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8歳
51
しおりを挟む始まる前に簡単なルール説明がある。参加者だけにね。
観客達は見に来ただけだからそんなことしたら不満が溜まるらしい。
ルールは単純。
・降参の意志を示せば終わり
・どんな魔法を使ってもいい
・死んでも文句言わない
そのくらいかな。この大会は魔法の発表会じみたところもあるから『こんな魔法を生み出しましたよ!すごいでしょ?だから誰か雇って~!』みたいな感じもある。それは本当に才能がある人だけなんだけど。ほとんどというか数年に1度くらいそんなのがある。今年も全員貴族の推薦だし。
もちろん推薦か実績があれば誰れでも参加できるから参加してる魔法師は多い。何故か騎士団長の次男もいるし。僕よりも年上で11歳だったかな。こいつは攻略対象者じゃないけどテオ様と仲良くなる先輩。腹立つな。
騎士団長の息子は来てるのに魔法師家系のツェペシュは来てない。こういうのに興味無いのかもね。強すぎるから宮廷魔法師団にも所属してないのに皇宮に出入りしてる。戦争が起きれば真っ先に連れ出される家系だ。強すぎるのも困ったものだよね。
僕が最年少だけど最年長は50代。
その歳で宮廷魔法師団団長の弟子なんだって。魔法師って長生きだから代替わりも遅いんだ。
見た目もどう見ても50代には見えない。魔法って便利だよね。それと同じで剣技を使う人もなかなか老けない。いつかテオ様が使うようになるから僕も調べてはいるけど意味がわからないんだよ。
なに?剣を極めたものが至る境地。って。剣を極めるのラインはどこなの?人によるでしょ。もつっとはっきりして欲しいものだ。
通常はお年を召した方、それか戦場とか魔獣を相手に命を懸けて剣の腕を研いた方。そういう人が多い。
才能だけで開花させる人もいるけど稀。
「以上、質問はございませんか?」
いけない。思考が飛んでた。テオ様のことを思うと思考が飛ぶのは悪い癖だね。勝たないといけないのに考え事とか笑っちゃう。
「ではこれより、開始時刻までに戻ってきて下さればなにをしていただいても構いません。」
そう言われてもすることないんだよね。
他もそうだろう。話し相手も騎士団長の息子くらい。あんまり仲良くないんだよね。あの子の正義感が強すぎて話にならない。僕は悪なんだって。僕の何を知ってそう言ってるのか知らないけどとっても失礼。
「シルヴェスター公子様、ご挨拶申し上げます。ランドン伯爵です。」
ランドン…あぁ。魔法師家系の。なんだかんだ毎回宮廷魔法師を排出してる有名な家系だ。こういう風に挨拶回りを怠らないのも宮廷で出世する一員なんだろう。
「お久しぶりです。当主直々の参加とは珍しいですね。」
「これでも魔法師の家系ですから。シルヴェスター家も久しぶりではありませんか?」
「今まで公爵様が出ませんでしたから。皇帝陛下の剣として毎回出たいとは思ってるんですよ。僕もまだまだ子供だから出るだけになるかもしれないですが、もし当たった時は本気で来てくれたら嬉しいです。」
「素晴らしい考え方です。」
あんまりおべっかは好きじゃないな。子供なら喜ぶんだろうけど僕は精神年齢だけは高いから。
「ありがとうございます。」
伯爵から連続で僕に挨拶に来る貴族たち。今の今まで知らなかったのかな。騎士団長の息子ヴェルナーはガン無視。まぁ侯子だからってのもあるんだろう。普通身分が上の人から挨拶するのに僕は大層嫌われてるらしい。
「ご挨拶申し上げます、公子様!」
うるさいなぁ。ほっといて欲しいんだけど公子の身分でそんなこと言えないからなぁ。
いつも通り微笑んで対応してあげる。挨拶しに来たわけじゃないだろうに。魔法の練習はいいのかな。
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