推しの完璧超人お兄様になっちゃった

紫 もくれん

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8歳

37

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3回目の獣人への訪問の時、やっと話が進んだ。

2回目なんてまともに口を聞いてくれなかった。その割には並べた食べ物を口いっぱいに頬張る。3日くらい開けたから吐き戻ししないか心配したけどそんな様子を見せずに全部食った。獣人は胃袋も強いのかもしれない。

3回目はもう少し間を開けてみた。だんだんと伸ばして今度はいつ来るのかという不安を煽ってこうと思ってね。

それが3回目で効果が現れ始めた。思ったよりもだいぶ早い。やっぱり五感無しは精神的にキツイのかも。

《今回遅くなかったか?》

《僕も忙しいの。》

《あっそ。》

獣人は体内時計が正確だね。真っ暗なんだから延びたかどうかなんて分かんないだろうに。

あとはいつも通りの会話。あ、でも手に入れた情報はある。

獣人の名前。ラージャ。いい名前じゃん。

後ちょっとで落ちるかな。落ちないなら餓死寸前くらいまで暗闇に放り込むことになるけどそれはさすがに可哀想。
僕だって人間の心はあるもん。




5回目の逢瀬でやっとラージャは僕に忠誠を誓ってくれた。
良かったぁ。今日が無理なら追い込む気だったもん。さすがにボロ雑巾みたいな使用人はちょっと使い道がないから悩んでたんだよね。タダ働きで力自慢の護衛兼奴隷。言うことなし!

もちろん役に立ってくれた分だけ褒美はあげるよ。僕は優しいってテオ様に思ってもらいたいし。

《本当に復讐させてくれるんだろうな。》

《ラージャの働きしだいだよ。》

僕が影から出る時に手を引いてあげる。ここは僕の領域だから他人は離れたら僕が迎えに行くまで出られない。

本当はテオ様以外の手を繋ぐなんてしたくないけど仕方ない。嫌な時間は短い方がいいもんね。

《俺はなにをすればいい。》

《まずはあの島国の帝国の言葉を覚えて。文法が似てるからその後にソル帝国の言葉も覚えて。あとマナーと敬語ね。》

《?なにをさせる気だ。》

《僕の信頼できる付き人になってね。南の国を依存させた時にはお前に任せられるくらいに。》

あんまり期待してないけど。その言葉は隠して、信用していると伝える。
本当はテオ様に任そうかと思ったけどテオ様が離れたら僕が発狂する。アルフレートは有用すぎて手放せない。いなくなったたら困るのはぼくだ。入れてくれる紅茶も美味しいし。

だから代わりになる有用な玩具が必要なんだよね。この子頭は悪いけど使い物になって欲しい。
無駄に頭がいいやつより扱いやすいし。

微妙に頭が良くて善性が強いやつはもっと扱いやすい。敵としてだけど。味方にしたら邪魔なことこの上ない。
良いことだけでは貴族社会どころか社会でも生きていけない。


《それと僕の弟に手を出さないでね。なにされてもどんなこと言われても従って。》

そう言ったら後ろでハンっと鼻で笑われた。なに?ムカつくんだけど。というか本気で手を出さないでよね。ここBLゲームだから気が気じゃない。

《…悪魔も家族が大事か。》

《家族じゃないよ。》

テオ様は僕の推しかみだから。
家族なんて恐れ多い。






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