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8歳
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報告書の確認も済んだから早めに部屋を出てテオ様の部屋に向かう。
アルフレートには仕事を押し付けてるから着いてきてない。基本的にあの執事とは性格が合わないんだよ。でもアイツしか僕に意見してくれる人がいないから置かなきゃなんないし。仕事もできるから手放せないし。ジレンマだよね。
部屋の前にはだべってるメイド。テオ様の睡眠の邪魔になったらどうしてくれるんだろう。この子達の首時だけじゃ済まないのに。ナメきられてるな。
テオ様はちょっとシルヴェスター家で遠慮してるところがある。あの子は次男なんだからはっきり言えばいいのにね。
僕が角を曲がったところで気づいたのか黙って僕に礼をする。まぁうん。何か言うべきなのはテオ様だからなにも言わないけど。
「テオは中にいる?」
「中でお休みになられております。クラウス様。」
「そう。じゃあ起きるまで待たせてもらおうかな。」
そう言えば慌てたようにし始める。大方テオ様の動向なんて気にかけてなかったんだろう。
メイドなんだからテオ様が起きる時間とか把握してるでしょ。もしかして着いて歩けばそれでいいとか思ってるの?本当に入れ替えたい。
「テオの乳母は?」
「中でテオ様の起床を待っておられます。」
それなら…。
控えめにトントンとドアを叩いてテオ様の乳母を呼ぶ。これでテオ様が起きたら自分を殴るしかない。
「はい。なんで…若様!如何なされましたか?」
「ちょっとね。そこのメイドと変わってくれる?話をしたいの。」
「はい…!」
テオ様の乳母を連れて近くの空いていた部屋に入る。
それと伝え忘れてたことをメイドに伝える。
「テオが起きたら僕が迎えに来てること伝えて。無理やり起こしたら許さないから。」
恭しく一礼してテオ様の部屋に入るメイド。僕にだけ礼するの治した方がいいよ。この乳母だってこの人達より地位は上なんだし。
部屋に入った乳母を座らせる。
「クラウス様、なにか不手際がございましたか?」
「不手際と言えばあそこのメイドたちだけどね。君はただの暇つぶしだよ。テオと仲良くなりたくてね、テオの話とか君の困ってることとか聞かせてくれない?」
遠慮しながらもテオ様の乳母はソファに座ってくれた。
「困ったこともない?メラニーにも聞いてはいたんだけど教えてくれなくてね。」
困った困ったと微笑んでやる。話しやすい雰囲気作りも大切だからね。
「もう少しまともな使用人は用意できませんか?」
まぁあの態度見てたらそう言いたくなるのもわかる。でもね、あの子たち義母には失礼な態度とってなかったんだよ。でもテオ様には取る。それって完璧舐められてるってことだよね。
「あの子たちも僕と義母様の前ならマトモだったよ。」
訝しげに僕を見すえるテオ様の乳母。
うーんと少しだけ考えた振りをしてみる。
「それってさ、君は自分の主は人の統率を取る能力が無いって言いたいってこと?」
「ちが、違います!」
「僕もね、テオの遠慮がちな性格には少し困ってたの。公爵家次男として自覚しろとは言ってるけど。こればかりは本人の自覚が必要だからね。」
僕も何度か言い聞かせてるけど聞いてくれないからね。そうなると他の人から言い聞かせてもらうか、何らかの気づきが必要になる。この人がそれに使えればいいんだけど。
「それと、乳母としてそういうこと教えるのもお前の義務だよ。公爵家次男の乳母という自覚を持ってね。」
僕の乳母のメラニーはあんなに偉そうにしてるんだから文句は言えないはずだよ。この人自体が卑屈になってんじゃないのかな。
あとは発破をかけて今日は終わりにしようか。
「悪いね。あまり話す気なくなっちゃった。メラニーが報告しない判断を下した理由が分かったよ。」
扉を開けてくれる使用人もいないから自分でドアを開けて外に出た。
アルフレートには仕事を押し付けてるから着いてきてない。基本的にあの執事とは性格が合わないんだよ。でもアイツしか僕に意見してくれる人がいないから置かなきゃなんないし。仕事もできるから手放せないし。ジレンマだよね。
部屋の前にはだべってるメイド。テオ様の睡眠の邪魔になったらどうしてくれるんだろう。この子達の首時だけじゃ済まないのに。ナメきられてるな。
テオ様はちょっとシルヴェスター家で遠慮してるところがある。あの子は次男なんだからはっきり言えばいいのにね。
僕が角を曲がったところで気づいたのか黙って僕に礼をする。まぁうん。何か言うべきなのはテオ様だからなにも言わないけど。
「テオは中にいる?」
「中でお休みになられております。クラウス様。」
「そう。じゃあ起きるまで待たせてもらおうかな。」
そう言えば慌てたようにし始める。大方テオ様の動向なんて気にかけてなかったんだろう。
メイドなんだからテオ様が起きる時間とか把握してるでしょ。もしかして着いて歩けばそれでいいとか思ってるの?本当に入れ替えたい。
「テオの乳母は?」
「中でテオ様の起床を待っておられます。」
それなら…。
控えめにトントンとドアを叩いてテオ様の乳母を呼ぶ。これでテオ様が起きたら自分を殴るしかない。
「はい。なんで…若様!如何なされましたか?」
「ちょっとね。そこのメイドと変わってくれる?話をしたいの。」
「はい…!」
テオ様の乳母を連れて近くの空いていた部屋に入る。
それと伝え忘れてたことをメイドに伝える。
「テオが起きたら僕が迎えに来てること伝えて。無理やり起こしたら許さないから。」
恭しく一礼してテオ様の部屋に入るメイド。僕にだけ礼するの治した方がいいよ。この乳母だってこの人達より地位は上なんだし。
部屋に入った乳母を座らせる。
「クラウス様、なにか不手際がございましたか?」
「不手際と言えばあそこのメイドたちだけどね。君はただの暇つぶしだよ。テオと仲良くなりたくてね、テオの話とか君の困ってることとか聞かせてくれない?」
遠慮しながらもテオ様の乳母はソファに座ってくれた。
「困ったこともない?メラニーにも聞いてはいたんだけど教えてくれなくてね。」
困った困ったと微笑んでやる。話しやすい雰囲気作りも大切だからね。
「もう少しまともな使用人は用意できませんか?」
まぁあの態度見てたらそう言いたくなるのもわかる。でもね、あの子たち義母には失礼な態度とってなかったんだよ。でもテオ様には取る。それって完璧舐められてるってことだよね。
「あの子たちも僕と義母様の前ならマトモだったよ。」
訝しげに僕を見すえるテオ様の乳母。
うーんと少しだけ考えた振りをしてみる。
「それってさ、君は自分の主は人の統率を取る能力が無いって言いたいってこと?」
「ちが、違います!」
「僕もね、テオの遠慮がちな性格には少し困ってたの。公爵家次男として自覚しろとは言ってるけど。こればかりは本人の自覚が必要だからね。」
僕も何度か言い聞かせてるけど聞いてくれないからね。そうなると他の人から言い聞かせてもらうか、何らかの気づきが必要になる。この人がそれに使えればいいんだけど。
「それと、乳母としてそういうこと教えるのもお前の義務だよ。公爵家次男の乳母という自覚を持ってね。」
僕の乳母のメラニーはあんなに偉そうにしてるんだから文句は言えないはずだよ。この人自体が卑屈になってんじゃないのかな。
あとは発破をかけて今日は終わりにしようか。
「悪いね。あまり話す気なくなっちゃった。メラニーが報告しない判断を下した理由が分かったよ。」
扉を開けてくれる使用人もいないから自分でドアを開けて外に出た。
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