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8歳
19
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案内された席は確かに街並みが見える。周りはカップルが多いけど。テオ様とこの景色を見られるなら大丈夫。心細くない。
「綺麗ですね。」
「そうだね。光を火で代用するというのは嫌いじゃないよ。まぁ火事になる危険があるけどね」
「平民なりに考えているということですね。」
「そうだね。便利なんだけど魔石高いものね。」
「魔石は光る以外にどういう使い方をするんですか?」
「んー。冒険者なら魔法を封じこめて使ったり、貴族なら不正の証拠とか記録を残したりとかかな。お金持ちのところなら子供の成長を残したりしてるね。」
「兄上の子供の頃の記録もあるんですか?」
そんなお金なかったからねぇ。ないな。
あったところで僕の錬金術の糧になるだけだけど。
「ないねぇ。母様、父様、僕の肖像画は一応あるけど母様も父様すっごくしかめっ面だから仕舞っちゃったな。」
でもテオ様のなら欲しいかも。男爵家にないのかな。なくても僕が貢げばいいだけだけど。
「今度テオと僕のも作ろうか。」
「父上と母上はいいんですか?」
必要なら家族の中に入れるけど…。
「いる?」
「…いえ。兄上の言う通りにします。」
そういう意味じゃない。別に義母のことはめんどくさいとは思ってるけど嫌ってるわけじゃない。
そんな顔しないで。
「いや、いいんだよ。テオにとっては母だからね。義母様くらいなら入れてもいいかな。」
「兄上は。」
なに?
なんかプルプルしてるけど。可愛い。チワワの真似?可愛いね。
「兄上は父上が嫌いですか?」
「別になんとも思ってないよ。人としてはダメな人だけど才能はあるからね。中の上ってとこかな。」
使い道はある人だ。そのうち良いように使って使い潰すつもりだし。別に普通だよ。好きでも嫌いでもない。使い道があるから僕のテリトリーに踏み入ることを許してるだけ。
ちょうどよく店員が僕らの机の隣にたった。頼んだ商品も持ってる。会話が途切れるのを待ってたのかな。すごいね。
僕の家で雇いたいくらいだ。
「お待たせ致しました。ホットティとチーズケーキ。ショートケーキとアイスティでお間違いないでしょうか。」
「ないよ。」
注文を取った店員だから僕の方に言わなくてもホットティとチーズケーキを、テオ様にショートケーキとアイスティを僕らの前に置いてくれた。
ほんと有能だな。
紅茶の温度も悪くない。風味もよく立ってる。
本気で欲しい。
一口飲んでからチーズケーキに手をつける。テオ様もショートケーキを頬張って目を煌めかせてた。可愛い。愛らしい。
うん。やっぱり甘いものが好きなのかも。
「兄上。このイチゴ好きです。一口…食べますか?」
えっ。かわ。
美味しいならテオ様が食べなよ。可愛すぎ。
「いいよ。美味しいんでしょ?テオが食べな。それにそのケーキ、形も可愛いね。」
前世ほどふわふわあまあましてないけど。
まぁ他のやつよりマシってとこかな。
というかもう要らない。魔獣の肉のせいでお腹がいっぱいかも。でも捨てるのは勿体ない。
ってことで、もう食べきってるテオ様にあげよ。
「テオ、あーん。」
「お腹がいっぱいになったんですか?」
「うん。テオも無理?なら僕、頑張るよ。」
「大丈夫です。食べられますよ。」
そのままお皿を奪ってた。ちぇっ。さっきはあんなに照れてたのに…。連れないなぁ。もっかいあの顔見たかったのに。
「外綺麗だよね。」
「…。」
返事返してよ。
なに?絡みすぎた?嫌われた?ここで号泣してもいいんだよ。
「兄上は意外と子供らしいですね。」
「そう?まぁあの頃は気を張ってたからね。弟にいいところを見せたいというのが兄心と言うものだよ。」
そうかなぁ。まぁテオ様に無様なとこ見せらんないから気を張ってたのもあるかも。今は段々と化けの皮が剥がれてきてる。
「それを言うならテオは年相応って感じだったね。もう公爵家には慣れた?今のテオが素なのかな?」
「そうですね。」
ほんと可愛くて困っちゃう。緊張して子供っぽくなるの?可愛い可愛い。愛らしい。
「愛らしいね。はぁ。明日から皇宮に行ってテオを見せびらかさないといけないのか…。このまま僕だけで愛でてたい。」
おっと本音が出ちゃった。
テオ様はなんともない顔してるけど少しだけ頬が染まってる。
怒ってないよね?喜んでるよね?分かんないな。人付き合いないんだよ。
「明日は第1皇子との面会ですね。皇帝陛下に面会などはしなくて良かったんですか?」
「そのうちお茶会開かれるからそのときでいいよ。ルディは面会する前に訓練に入るかも。」
「訓練ですか?」
「うん。テオが明日から入ることは知らせてあるから。あの変人たちはテオのこと喜ぶと思うよ。皇子なんて押しのけて話しかけてくると思うから覚悟しときなね。」
「第1皇子を押しのける…!?」
テオ様には刺激が強かったのかな。テオ様、権力に弱いからなぁ。仕方ない。
「そういう人たちを選んだからね。僕らに忖度しない叩き上げ。」
「貴族ですらないんですか?」
「魔法の先生は伯爵家の五男だったかな。」
魔力持ちは貴族に多いから仕方ない。貴族は貴族としか子作りしないし。
たまに父様みたいに見境ない人がいるけど。
まぁ?そのおかげで市街でも発展できるわけだね。
少しぬるくなった紅茶に口をつける。ほんといい味出してんな。コレ。
「綺麗ですね。」
「そうだね。光を火で代用するというのは嫌いじゃないよ。まぁ火事になる危険があるけどね」
「平民なりに考えているということですね。」
「そうだね。便利なんだけど魔石高いものね。」
「魔石は光る以外にどういう使い方をするんですか?」
「んー。冒険者なら魔法を封じこめて使ったり、貴族なら不正の証拠とか記録を残したりとかかな。お金持ちのところなら子供の成長を残したりしてるね。」
「兄上の子供の頃の記録もあるんですか?」
そんなお金なかったからねぇ。ないな。
あったところで僕の錬金術の糧になるだけだけど。
「ないねぇ。母様、父様、僕の肖像画は一応あるけど母様も父様すっごくしかめっ面だから仕舞っちゃったな。」
でもテオ様のなら欲しいかも。男爵家にないのかな。なくても僕が貢げばいいだけだけど。
「今度テオと僕のも作ろうか。」
「父上と母上はいいんですか?」
必要なら家族の中に入れるけど…。
「いる?」
「…いえ。兄上の言う通りにします。」
そういう意味じゃない。別に義母のことはめんどくさいとは思ってるけど嫌ってるわけじゃない。
そんな顔しないで。
「いや、いいんだよ。テオにとっては母だからね。義母様くらいなら入れてもいいかな。」
「兄上は。」
なに?
なんかプルプルしてるけど。可愛い。チワワの真似?可愛いね。
「兄上は父上が嫌いですか?」
「別になんとも思ってないよ。人としてはダメな人だけど才能はあるからね。中の上ってとこかな。」
使い道はある人だ。そのうち良いように使って使い潰すつもりだし。別に普通だよ。好きでも嫌いでもない。使い道があるから僕のテリトリーに踏み入ることを許してるだけ。
ちょうどよく店員が僕らの机の隣にたった。頼んだ商品も持ってる。会話が途切れるのを待ってたのかな。すごいね。
僕の家で雇いたいくらいだ。
「お待たせ致しました。ホットティとチーズケーキ。ショートケーキとアイスティでお間違いないでしょうか。」
「ないよ。」
注文を取った店員だから僕の方に言わなくてもホットティとチーズケーキを、テオ様にショートケーキとアイスティを僕らの前に置いてくれた。
ほんと有能だな。
紅茶の温度も悪くない。風味もよく立ってる。
本気で欲しい。
一口飲んでからチーズケーキに手をつける。テオ様もショートケーキを頬張って目を煌めかせてた。可愛い。愛らしい。
うん。やっぱり甘いものが好きなのかも。
「兄上。このイチゴ好きです。一口…食べますか?」
えっ。かわ。
美味しいならテオ様が食べなよ。可愛すぎ。
「いいよ。美味しいんでしょ?テオが食べな。それにそのケーキ、形も可愛いね。」
前世ほどふわふわあまあましてないけど。
まぁ他のやつよりマシってとこかな。
というかもう要らない。魔獣の肉のせいでお腹がいっぱいかも。でも捨てるのは勿体ない。
ってことで、もう食べきってるテオ様にあげよ。
「テオ、あーん。」
「お腹がいっぱいになったんですか?」
「うん。テオも無理?なら僕、頑張るよ。」
「大丈夫です。食べられますよ。」
そのままお皿を奪ってた。ちぇっ。さっきはあんなに照れてたのに…。連れないなぁ。もっかいあの顔見たかったのに。
「外綺麗だよね。」
「…。」
返事返してよ。
なに?絡みすぎた?嫌われた?ここで号泣してもいいんだよ。
「兄上は意外と子供らしいですね。」
「そう?まぁあの頃は気を張ってたからね。弟にいいところを見せたいというのが兄心と言うものだよ。」
そうかなぁ。まぁテオ様に無様なとこ見せらんないから気を張ってたのもあるかも。今は段々と化けの皮が剥がれてきてる。
「それを言うならテオは年相応って感じだったね。もう公爵家には慣れた?今のテオが素なのかな?」
「そうですね。」
ほんと可愛くて困っちゃう。緊張して子供っぽくなるの?可愛い可愛い。愛らしい。
「愛らしいね。はぁ。明日から皇宮に行ってテオを見せびらかさないといけないのか…。このまま僕だけで愛でてたい。」
おっと本音が出ちゃった。
テオ様はなんともない顔してるけど少しだけ頬が染まってる。
怒ってないよね?喜んでるよね?分かんないな。人付き合いないんだよ。
「明日は第1皇子との面会ですね。皇帝陛下に面会などはしなくて良かったんですか?」
「そのうちお茶会開かれるからそのときでいいよ。ルディは面会する前に訓練に入るかも。」
「訓練ですか?」
「うん。テオが明日から入ることは知らせてあるから。あの変人たちはテオのこと喜ぶと思うよ。皇子なんて押しのけて話しかけてくると思うから覚悟しときなね。」
「第1皇子を押しのける…!?」
テオ様には刺激が強かったのかな。テオ様、権力に弱いからなぁ。仕方ない。
「そういう人たちを選んだからね。僕らに忖度しない叩き上げ。」
「貴族ですらないんですか?」
「魔法の先生は伯爵家の五男だったかな。」
魔力持ちは貴族に多いから仕方ない。貴族は貴族としか子作りしないし。
たまに父様みたいに見境ない人がいるけど。
まぁ?そのおかげで市街でも発展できるわけだね。
少しぬるくなった紅茶に口をつける。ほんといい味出してんな。コレ。
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