推しの完璧超人お兄様になっちゃった

紫 もくれん

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8歳

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執事がサボり始めたから先に貴族街と市街の間にある喫茶に行くことにした。
魔法を使えばちょちょいのちょいだよ。
まぁ使うのは苦手な風魔法。神経使うから疲れるけれど。


「よいしょっと。」

ちょっと遠かったかな。

テオ様に手を差し出して降りてもらう。魔法だから不安定なんだよ。僕じゃまだ安全に消せないし。

「風魔法も使えるんですね。驚きました。」

「下手くそだけどね。安全に消せないし粗が目立つ。まだまだだよ。」

僕は先に降りてるからテオ様を下から覗き込む形になるけど、テオ様がそれより下の足元を見てるせいで顔が見えない。

可愛いお顔見たかったなぁ。
まぁ不安定な魔法出した僕が悪いけど。

「シルヴェスター公子様!」

お店からバタバタという足音。それと蹴破ったような音を出しながら店員が出てきた。落ち着きなよ。ここ、貴族も使用してるカフェでしょ。
テオ様連れてきて大丈夫だったかな。

「初めましてだよね。僕のことわかるの?服とか平民に寄せたんだけど。」

「シルヴェスター公子様は有名ですので。それにその服も一般人では普段着として着用できないほどのグレードですよ。」

「ふぅん。安物でいいって言ったんだけど。…使えないな。」

アルフレートはこんなミスする人じゃないと思うんだけど。だからあんな風に見られたのか。

ちょっと黙っちゃった僕にテオ様が話しかけてきた。可愛い。なーあーに?

「兄上、髪色はシルヴェスター公爵家ならではとして有名です。それを加味してアルフレートは準備したのだと思います。」

「まぁそれもそうか。まだ幻影魔法使えないんだよね。早く習得しないとなぁ。」

「幻影魔法は光魔法特有のものですよね?使えるんですか?」

まぁ光魔法と闇魔法なら得意と言えるくらいには使える。
風魔法はからっきし。苦手すぎる。 
それでも諦めたりしないけど。クラウスの体なんだもん。ゲームのクラウスはなんでも出来たし僕もできるはず。


「貰った才能は使いこなさなきゃでしょ?いま習ってるところだよ。他人に器用貧乏や宝の持ち腐れだなんて言わせない。」

「凄いですね…。」

「テオもできるよ。僕の弟だもん。」

僕はテオ様の兄だからね。できないなんて言えやしない。嫌われたくないもん。
だから僕より才能のあるテオ様はきっと大丈夫。ゲームでもできてたもん。

テオ様に喜んで欲しい。それが僕にできることなら何でもしてあげたい。
景色は好きかな。今なら綺麗な夜の街が見えるかも。市街は夜でも賑やかだからね。


「外が見える席を準備できる?」

「はい。もちろんでございます。シルヴェスター公子様。」

テオ様の手を握って中に入る。
ふぅん。帝国には珍しく木で作られた家なんだ。確かにこれは人目を引くよね。
チョコレート専門のカフェを作るなら珍しいもので溢れさせるのもありかも。

「テオ、このカフェの気に入ったところとかあったらすぐに教えてね。」

「?分かりました。でもなぜですか?」

「テオの好み知りたいの。お菓子の味かな?それとも雰囲気?なんでもいいよ。」

どうせ作るならテオ様好みの作りたいよね。僕の趣味は別のところで作ればいいし。

…作ればいい。作ればいいか。
そういや北の領地は冬はなにも仕事がないって言ってたな。やっぱり農地が無理なら一気に工業に変えるのもありかな。
もしくは錬金術都市とか。

この帝国での錬金術師の立場は詐欺師だからもっと地位をあげたい。そうすれば僕も思う存分研究してテオ様に好かれるはず。努力家な人が好きなテオ様の心に響くはず!!


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