上 下
20 / 212
8歳

18

しおりを挟む
執事がサボり始めたから先に貴族街と市街の間にある喫茶に行くことにした。
魔法を使えばちょちょいのちょいだよ。
まぁ使うのは苦手な風魔法。神経使うから疲れるけれど。


「よいしょっと。」

ちょっと遠かったかな。

テオ様に手を差し出して降りてもらう。魔法だから不安定なんだよ。僕じゃまだ安全に消せないし。

「風魔法も使えるんですね。驚きました。」

「下手くそだけどね。安全に消せないし粗が目立つ。まだまだだよ。」

僕は先に降りてるからテオ様を下から覗き込む形になるけど、テオ様がそれより下の足元を見てるせいで顔が見えない。

可愛いお顔見たかったなぁ。
まぁ不安定な魔法出した僕が悪いけど。

「シルヴェスター公子様!」

お店からバタバタという足音。それと蹴破ったような音を出しながら店員が出てきた。落ち着きなよ。ここ、貴族も使用してるカフェでしょ。
テオ様連れてきて大丈夫だったかな。

「初めましてだよね。僕のことわかるの?服とか平民に寄せたんだけど。」

「シルヴェスター公子様は有名ですので。それにその服も一般人では普段着として着用できないほどのグレードですよ。」

「ふぅん。安物でいいって言ったんだけど。…使えないな。」

アルフレートはこんなミスする人じゃないと思うんだけど。だからあんな風に見られたのか。

ちょっと黙っちゃった僕にテオ様が話しかけてきた。可愛い。なーあーに?

「兄上、髪色はシルヴェスター公爵家ならではとして有名です。それを加味してアルフレートは準備したのだと思います。」

「まぁそれもそうか。まだ幻影魔法使えないんだよね。早く習得しないとなぁ。」

「幻影魔法は光魔法特有のものですよね?使えるんですか?」

まぁ光魔法と闇魔法なら得意と言えるくらいには使える。
風魔法はからっきし。苦手すぎる。 
それでも諦めたりしないけど。クラウスの体なんだもん。ゲームのクラウスはなんでも出来たし僕もできるはず。


「貰った才能は使いこなさなきゃでしょ?いま習ってるところだよ。他人に器用貧乏や宝の持ち腐れだなんて言わせない。」

「凄いですね…。」

「テオもできるよ。僕の弟だもん。」

僕はテオ様の兄だからね。できないなんて言えやしない。嫌われたくないもん。
だから僕より才能のあるテオ様はきっと大丈夫。ゲームでもできてたもん。

テオ様に喜んで欲しい。それが僕にできることなら何でもしてあげたい。
景色は好きかな。今なら綺麗な夜の街が見えるかも。市街は夜でも賑やかだからね。


「外が見える席を準備できる?」

「はい。もちろんでございます。シルヴェスター公子様。」

テオ様の手を握って中に入る。
ふぅん。帝国には珍しく木で作られた家なんだ。確かにこれは人目を引くよね。
チョコレート専門のカフェを作るなら珍しいもので溢れさせるのもありかも。

「テオ、このカフェの気に入ったところとかあったらすぐに教えてね。」

「?分かりました。でもなぜですか?」

「テオの好み知りたいの。お菓子の味かな?それとも雰囲気?なんでもいいよ。」

どうせ作るならテオ様好みの作りたいよね。僕の趣味は別のところで作ればいいし。

…作ればいい。作ればいいか。
そういや北の領地は冬はなにも仕事がないって言ってたな。やっぱり農地が無理なら一気に工業に変えるのもありかな。
もしくは錬金術都市とか。

この帝国での錬金術師の立場は詐欺師だからもっと地位をあげたい。そうすれば僕も思う存分研究してテオ様に好かれるはず。努力家な人が好きなテオ様の心に響くはず!!


しおりを挟む
感想 30

あなたにおすすめの小説

モブらしいので目立たないよう逃げ続けます

餅粉
BL
ある日目覚めると見慣れた天井に違和感を覚えた。そしてどうやら僕ばモブという存存在らしい。多分僕には前世の記憶らしきものがあると思う。 まぁ、モブはモブらしく目立たないようにしよう。 モブというものはあまりわからないがでも目立っていい存在ではないということだけはわかる。そう、目立たぬよう……目立たぬよう………。 「アルウィン、君が好きだ」 「え、お断りします」 「……王子命令だ、私と付き合えアルウィン」 目立たぬように過ごすつもりが何故か第二王子に執着されています。 ざまぁ要素あるかも………しれませんね

BL世界に転生したけど主人公の弟で悪役だったのでほっといてください

わさび
BL
前世、妹から聞いていたBL世界に転生してしまった主人公。 まだ転生したのはいいとして、何故よりにもよって悪役である弟に転生してしまったのか…!? 悪役の弟が抱えていたであろう嫉妬に抗いつつ転生生活を過ごす物語。

もう人気者とは付き合っていられません

花果唯
BL
僕の恋人は頭も良くて、顔も良くておまけに優しい。 モテるのは当然だ。でも――。 『たまには二人だけで過ごしたい』 そう願うのは、贅沢なのだろうか。 いや、そんな人を好きになった僕の方が間違っていたのだ。 「好きなのは君だ」なんて言葉に縋って耐えてきたけど、それが間違いだったってことに、ようやく気がついた。さようなら。 ちょうど生徒会の補佐をしないかと誘われたし、そっちの方に専念します。 生徒会長が格好いいから見ていて癒やされるし、一石二鳥です。 ※ライトBL学園モノ ※2024再公開・改稿中

引き籠りたい魔術師殿はそうもいかないかもしれない

いろり
BL
騎士×魔術師の予定 

悪役令息の死ぬ前に

やぬい
BL
「あんたら全員最高の馬鹿だ」  ある日、高貴な血筋に生まれた公爵令息であるラインハルト・ニーチェ・デ・サヴォイアが突如として婚約者によって破棄されるという衝撃的な出来事が起こった。  彼が愛し、心から信じていた相手の裏切りに、しかもその新たな相手が自分の義弟だということに彼の心は深く傷ついた。  さらに冤罪をかけられたラインハルトは公爵家の自室に幽閉され、数日後、シーツで作った縄で首を吊っているのを発見された。  青年たちは、ラインハルトの遺体を抱きしめる男からその話を聞いた。その青年たちこそ、マークの元婚約者と義弟とその友人である。 「真実も分からないクセに分かった風になっているガキがいたからラインは死んだんだ」  男によって過去に戻された青年たちは「真実」を見つけられるのか。

転生悪役令息、雌落ち回避で溺愛地獄!?義兄がラスボスです!

めがねあざらし
BL
人気BLゲーム『ノエル』の悪役令息リアムに転生した俺。 ゲームの中では「雌落ちエンド」しか用意されていない絶望的な未来が待っている。 兄の過剰な溺愛をかわしながらフラグを回避しようと奮闘する俺だが、いつしか兄の目に奇妙な影が──。 義兄の溺愛が執着へと変わり、ついには「ラスボス化」!? このままじゃゲームオーバー確定!?俺は義兄を救い、ハッピーエンドを迎えられるのか……。 ※タイトル変更(2024/11/27)

異世界に召喚されて失明したけど幸せです。

るて
BL
僕はシノ。 なんでか異世界に召喚されたみたいです! でも、声は聴こえるのに目の前が真っ暗なんだろう あ、失明したらしいっす うん。まー、別にいーや。 なんかチヤホヤしてもらえて嬉しい! あと、めっちゃ耳が良くなってたよ( ˘꒳˘) 目が見えなくても僕は戦えます(`✧ω✧´)

迷子の僕の異世界生活

クローナ
BL
高校を卒業と同時に長年暮らした養護施設を出て働き始めて半年。18歳の桜木冬夜は休日に買い物に出たはずなのに突然異世界へ迷い込んでしまった。 通りかかった子供に助けられついていった先は人手不足の宿屋で、衣食住を求め臨時で働く事になった。 その宿屋で出逢ったのは冒険者のクラウス。 冒険者を辞めて騎士に復帰すると言うクラウスに誘われ仕事を求め一緒に王都へ向かい今度は馴染み深い孤児院で働く事に。 神様からの啓示もなく、なぜ自分が迷い込んだのか理由もわからないまま周りの人に助けられながら異世界で幸せになるお話です。 2022,04,02 第二部を始めることに加え読みやすくなればと第一部に章を追加しました。

処理中です...