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8歳

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綿飴事件からしばらく僕は固まってたらしい。
テオ様を見すぎだって着いてきた執事に怒られた。可愛いのが悪くない???テオ様が可愛いのが悪いよね?僕悪くないって。



「テオ、欲しいものないの?」

「今の生活で十分です…」

なんて謙虚でいい子なんだろう。高いものはあげられないけど出来るだけ長く使える、日常使いできるものをあげよう。
そうすれば消耗品だって言えるし。使ってるところも見えるもん。

「いい子だね。後で貴族街のカフェ行きたいんだ。お腹はまだ大丈夫?」

「はい。」

「次はアレね。露店を見たかったんだ。平民はどんなものが好きなんだろうね。」

「腕飾りなとは人気ですよ。石を磨いて並べてたりもします。」

「へぇ?石を?」

なんのために?
前世でそういう地獄あったな。
なんか子供が石を積上げて鬼に崩されるやつ。地獄ではないんだっけ?忘れちゃった。

でも飲んで石を並べるんだろう。よくわかんない。
スラムは治安が悪いから防衛のためとか?布に石を詰めて殴れば防衛にはなると思う。そういうやつなのかな。


「んー。あ、わかった!強盗を殴り殺すためでしょ?」

「違います。綺麗なものを見て楽しむんです。」

「見て?絵とか宝石で良くない?」

「パワーストーンと言って何やら効能があるらしいですよ。」

「魔石ってこと?それなら使った方がいいと思うけど。」

ふぅん?よく分かんない。
貴族街で売れるかなって思ったけど…。どうだろう。実際見た方がいいよね。

「見てみようか。綺麗なら買って帰ろうね。」

「ただの石ですよ。」

「いいじゃない。記念だよ。」
「魔石でもないんです。本当にただの綺麗な石ですよ。」

まぁ一人なら興味無いけどテオ様がいるならなんでもいい。なんでも幸せ。

「テオと見るから価値があるんじゃない。ほら行くよ。」

手を繋いでお目当ての石を売ってる露店に来てみたけど…。
本当に石?変な魔力着いてるけど?

「ねぇ。」

「あ"ぁ?…貴族様っ!」

「うん。この石の説明して。なんの石なの?」

「この石は、パワーストーンと言いまして聖皇国から輸出されたものです。」

「へぇ。綺麗な石があるものだね。聖皇国には手が届かないゴロゴロこれが落ちてるの?」

「いえ、自然が豊かなところに多いと聞いています。」

「へぇ。綺麗だね。じゃあいくつかもらおうかな。効能聞いてもいい?赤と黒っぽい色がいいね。」

「俺は…俺も赤がいいです。」

可愛い~。僕はテオ様の目と髪の色だけどテオ様はなんだろう。好きな色なのかな?それとも母親の色?
それなら僕も緑を選ぼうかな。

「じゃあ緑も見せて。」

「へ、へぇ!」

へぇって何。それが素なのかな。まあま顔も厳ついしそうなのかも。
別に貴族だからってヘーコラしなくてもいいのに。僕も今は平民として来てるわけだし。
それになんで貴族ってバレたんだろう。いつもの堅苦しい服は置いてきて平民っぽい服にしてるのに。まぁ、別にいいけどさぁ。


「赤であればこのような色がございます。こちらは目標達成。こちらは安定した精神などの意味があります。」


「これはなんだ?」

そうテオ様が指さしたのは黒と赤が混ざった石。でも赤はなんか黒と混じって茶色っぽい。

「これは見守り、仕事への成功ですね。」

ふぅん。気に入ったのかな。

「黒は?」

「黒は総じて魔よけやトラブル回避の意味がありますね。」


ふぅん。

「腕輪などが最近は人気ですよ。隣の露店とのコラボです。」

商売上手いな。この人。

「緑も見せて。」

「こちらになります。」

うーん。やっぱり緑は趣味じゃないな。

「この黒とこの赤の石をブレスレットに。それと
黒と赤の石を1つづつちょうだい。」

「はい!」

「テオは?」

「ではこの透明な黄色の石をカフスに。」

「かしこまりました!!」

黄色なんだ。真面目に赤色見てたからそっちかと思ったんだけど。

できあがったブレスレットはなかなかだった。変な魔力が入ってる帰ったら調べないと。

「クラウス様。魔導書などの書店を見つけました。」

「いいね。行こう。」


錬金術の本あるかなぁ。







《テオside》

兄上は本が好きらしい。
市街に初めてでてきたらしい兄上はあっちへこっちへ執事を置いてふらふらふらとさ迷ってる。少し目を離せば迷子になりそうだ。

その中でも古本屋に興味を持ったのか2時間くらい本屋に入り浸ってた。オマケに店主と仲良くなって今も話し込んでる。

執事は服を取りに行くからとどこかへ行ってしまった。俺に「クラウス様から離れてはいけませんよ。」と言い残して。
主を置いて行っていいんだろうか。何かあったら笑い事ではない。

俺もパラパラと古本を見てみたがあまり面白くはない。
兄上が褒めてくださるからやってるだけでそもそも勉強は大して好きではない。
祖父母の男爵家でも勉強をすることは当たり前で褒めてはくれなかった。母上はアレだ。俺はアクセサリーか何かだとでも思っているんだろう。
そんな中初めて褒めてくれた。やる気は上がるというもの。ただ全てを捧げるほど好きでもない。程々に頑張るつもりだ。
兄上のように領主になる訳でもない。

可能性を広げるためだと兄上は言うが…。次男。男爵家の血が入った男がなれるものなど限られている。兄上が力添えしてくれるならば宮廷騎士か宮廷魔道士と言ったところか。
してくれなければ冒険者が良いところだろう。

「テオ、おまたせ。次はどこに行く?」

そう魔法でつくりあげた空間に本をしまう兄上。その魔法だって上級魔法だ。
同い年だとは思えない。これも生まれの違いのせいだ。兄上は公爵の父親と侯爵家の母親。その母親は皇后陛下と仲がいいときた。
それに比べて俺は同じ公爵の父親でも男爵家の派手好きな母親。繋がりなんて皆無。
…比べるまでもなかったか。

「待ってませんよ。兄上。」

「執事はどこ行ったの?サボり?」

「服を取りに行くと言っていました。」

「ふぅん。じゃあ近くで待ってようか。魔法もあるしいつか会えるでしょ。」

「…はい。」

俺にはそんな魔法はない。
兄上は相変わらず俺の手を取って前を歩きはじめる。
ほんとうに初めてあった時と変わらず暖かい手だと思う。


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