推しの完璧超人お兄様になっちゃった

紫 もくれん

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8歳

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僕の聞き間違い?
僕が…完璧超人のクラウスが勝ち抜けないって言いたいの?


「…陛下。僕が勝ち抜けないと言いたいのですか?」


「い、いや。そのようなことはない。最年少での参加だ。出られるように手を回そうか?と言いたかったのだ。」

「あぁ。なるほど。ご心配には及びません。手は回してあります。それに誰が相手であろうと勝ち残ってみせますから。シルヴェスターの名にかけてでも。なにより、親族に力の差を見せつける機会でもありますから。」

「そうか。期待しているよ。」

びっくりした。皇帝がクラウスのことバカにしたのかと思った。テオ様が大好きなクラウスを馬鹿にするのはテオ様の感性を馬鹿にしてるってことだからね。
僕もクラウスが好きとかテオ様の感性は変だなって思う。口に出さないからブチ切れ案件ではないよ。


少し殺伐としたけど今代の宰相がちょうどよく皇帝を呼びに来た。まるで見てたみたいな反応だよね。

「陛下。お時間です。」

「ああ。そうか。ゆっくりできずすまないな。またいつでも来てくれ。その時はもてなそう。」

「過分なお言葉ありがとうございます。」

思ってもないくせに…。
陛下が出ていくまで頭を下げ続けた。
はぁだるい。



さーてと、僕もさっさと帰ろ。
僕の家にはテオ様が待ってる。
明日からは一緒に皇宮に来れる。
これ以上のことなんてないよね。







「兄上!お帰りなさいませ。」

この子はメイドでも目指してるのかな?
毎日毎日僕を見送って、お迎えして…お嫁さんじゃん。はぁ幸せ。
なにが楽しくて魔力が尽きるまで魔法打たされてんだろって思ってたけどこのためだったんだね。
やっと理解した。


「ただいま。テオ。」

もうフラフラのヘトヘトだけど微笑んでテオ様のお出迎えを受け入れる。めっちゃ幸せ。前世ならここでテオ様に抱きついて撫で回してたと思う。僕成長したなぁ…。

「あ、兄「クラウス様。お疲れのようですね。」

サッとアルフレートがハンカチを差し出してくれた。なに?訳わかんなくてアルを見上げたらどろりとした鉄の味が口の中に広がる。

あ…鼻血か。
大人しくアルからハンカチを受け取って抑えとく。まぁ止まるまで待つ暇ないからそのまま歩くけど。

「クラウス様。お休み下さい。体を壊してしまいます。」

「大丈夫だよ。それに今日はテオの魔力適性検査の日でしょ。付き合うよ。」

「しかし…。」

「兄上、俺一人でもやり遂げられます。休んでください。」

うーん。押しが強いな。いくらテオ様のお願いでもテオ様のイベントを見逃すことはできない。

僕が思うテオ様にして欲しい顔1番を試してみる。少しだけ覗き込んで上目遣いにお願い。鼻血が出てるのは愛嬌ってことで許して欲しい。


「僕がテオの適性結果を見たいの。だめ?」

「うっ。」

効いたかな。顔を真っ赤にして目を逸らされた。
どっちだ。キモイか効いたかの2択だ。テオ様に似た顔を持つ僕は美形だという自信はある。もう一押し!


「ねぇ。テオ。兄として家族として同席したいの。テオは認めてくれないの?」

「…あまり動かないでくださいね。」

仕方なさそうに頷くテオ様。なんて愛らしいんだろう。
嬉しさを隠さずにニコって微笑んであげる。そんでそのままおでこにチュッ♡
はぁ。前世なら叩き切られてたな。今は驚いた顔で見てくるだけだけ。

「テオ、愛してるよ。」

本心。テオ様が幸せなら何もいらない。僕の幸せだってあげちゃう。
できればテオ様似もおなじ気持ちを返して欲しい。

『尊い』って感情ね。恋愛感情は別の人に向けてね。テオ様の恋愛感情は歪みまくってるから。ちょっと気にはなるけど…怖いからなぁ。


「アル、神官たちが着いたら起こして。少し眠る。」

「承知致しました。」










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