推しの完璧超人お兄様になっちゃった

紫 もくれん

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8歳

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「シルヴェスター公爵は早速新しい妻を迎えたらしいな。」

しばらく皇帝陛下と雑談をした後この話をぶっ込んできた。これ聞きたかったんだろうなぁ。社交界の噂の的だし。

「息子として恥ずかしい限りです。母の弔いも終わらぬ前に妻を迎えるなど貴族として…いえ、人としての心が足りていません。」

まぁテオ様に会えたから僕としてはよくやったと言ってやりたいけどね。
人としてはダメダメだろう。
にしても、この皇帝…お人好しか?昔婚約者寝盗られたんだろ?よくその息子を視界に入れられるな。しかも僕は父親似だし。テオ様も父親似だから僕と似てるんだよ。
ふふ。それだけで幸せ。


「クラウス。私は君も息子のように思っている。君から会いたいというのならなにかねだりごとがあるんだろう?話してくれるかい?」

「全て察していらしたのですね。さすがへい「クラウス、君と私の間にお世辞はいらないよ。さぁ、話してごらん。」」

こわぁ。こういうとこ見ればこの人も貴族社会生き抜いてきたんだなぁって実感する。父様か腑抜けで本当に良かった。

「2つあります。1つ目は義母の連れ子のことです。魔法と剣術を皇宮で学ばせてもよろしいでしょうか?」

「連れ子を?理由を聞いてもいいかな?」

そんなのテオ様と一緒にいたいから。テオ様のカッコいいところを見たいから。テオ様似僕のカッコいいところ見てほしいから。に決まってる。言わないけども。

「闇魔法の適性があります。」

「それは…。」

だよね。めっちゃ危ない。でもね。テオ様は僕が守るの。


「はい。洗脳や諜報を得意とする闇魔法が他者の手に渡れば危険です。今のうちに取り込んでおくのが吉かと愚考致しました。」

「そう、だな。まさか闇魔法の使い手がもうひとり現れるとは…。公爵でも手を焼いたと言うのに。魔力の濃度はどのくらいだ?」

「濃いですね。僕くらいはあるかと。」

「…分かった。その件は了承しよう。頼んだぞ、シルヴェスター公子。」

「はい。承りました。もう1つの願いなのですが…。」

「なんでも言ってくれ。できることなら尽力しよう。」

よっしゃ。
先に帝国のためになること言っといてよかった。本でこういう心理学読んだことあるんだよなんて効果かは忘れたけど。


「僕の公爵という地位をできるだけ早く確立して頂きたい。父様を引きずり下ろす策は皇帝陛下が指示を下されば直ぐに実行できます。」

「承知した。正直、シルヴェスター公爵に公爵家を任すのは不安だったのだ。」

「ありがとうございます。」

だろうね。寝盗られが趣味じゃなかったら許せるはずないよね。僕なら抹殺してるわ。テオ様に手を出したってことでしょ?許せない。テオ様が出したなら1億1万歩譲って許すけど。


「ただ、公子の年齢が問題だ。今は8つだろう?あと最低2年は待って欲しい。最低だからな。」

「はい。陛下。」

「うむ。では私からの願いを言ってもいいか?」

「なんなりと。」

「皇子の後援の件、考えてくれたか。」

本題でしょ?僕の願いを叶える代わりにそれを叶えて欲しいんでしょ?わかってる。だから皇子に聞いたんだから。

「はい。第一皇子の後援をしたいと考えています。」

「そうか。よかったよかった。」


釣れないな。さすが皇帝というかなんというか。
今は貴族派閥が強いから柔くいるけど虎視眈々と狙ってるんでしょ?だから僕を引き入れたい。シルヴェスター家は歴代貴族派閥だからね。
父様はろくでなしだから中立派。貴族派閥も皇帝派閥も押し付けあってる状態だ。
つまり今の僕も中立派なんだけどこれを皮切りに皇帝派閥に下るんだろう。それならそれで利益を求めるだけだ。


「クラウス。私はどちらかに肩入れはしない。息子を頼んだぞ。」

「はい。皇帝陛下。」


胡散臭いなぁ。
この人を御せるくらいにならないと完璧超人のクラウスにはなれないのかもしれない。


「クラウス。今度魔法大会に出るそうだな。手を貸そうか?」

は?
なんつった。このオヤジ。
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