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8歳
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テオ様が来て生活に気力が湧いた。まぁ忙しいから淡々とこなしてはいるけど気持ち的にはめっちゃ頑張れる状態よ?
テオ様は1日1回僕の前に現れてくれる。ご飯を呼びに来たり、散歩いこうと誘ってくれたり。
どれだけ疲れてて忙しくてもテオ様が顔を見せてくれるだけで頑張れる。
毎日朝ごはんをテオ様と食べて。領地から送られてくる紙を決裁して。変な所あれば使用人を領地に走らせたり、領地を任せてるやつを呼びつける手紙を送ったりする。
昼過ぎに皇宮に行って魔法と、もしくは剣の訓練。ヘトヘトになって帰ってくるから一度お昼寝。
お昼寝が終わればまた決裁か勉強。夕食前に剣の自主練習。夕食をテオ様とたまに義母様と食って、寝る前まで錬金術の勉強。
この流れに空いた時間で言語とか歴史の勉強。
ほとんど母様が生きてた時に学ばされたから家庭教師は週一。最近は雑談という名の論文論議してる。僕はあまり論文読む時間ないからそこから情報得られてラッキー。
ただ10歳から貴族の学校に通わないといけないのが最近の悩み。行かなくても理解してるしね。だから寮に入るつもりはないんだよ。高等部はそうもいかないから手を打たないと…。
…考えることが多すぎる。
まだ母が連れてきた執事のアルフレートがいるから決裁とかは任せられるけど。でも領地や商いの全体像は把握しておきたい。
切実に信用出来る事務係が欲しい。でも今から育てるとなると僕の高等部入学に追いつかない。それなら育てない方がマシだ。…いや将来に向けて育てるべきか?
それにゲームのこと考えないと。どうせ主人公の初恋相手はシルヴェスター家に来る。それなら先に考えておくのも悪くない。初恋相手を殺すのか。生かすのか。飼い殺しにするのか。テオ様のように使える人材にするのか。なんなら第1皇子に売りつけるのもあり。
大変だな。
今日は決裁書類もないから勉強しないと。神聖言語と…あぁ新しい紅茶が手に入ったから試し飲みしてどこに卸すか考えないとね。いい茶葉なら貴族街に店舗を出すのもありかな。最近香辛料も多く下ろされてるからそっち方面のお店作る案も出てる。
それとテオ様の誕生日…。チョコレート作ろうかと思ったんだけど砂糖が高い。錬金術で作れないかなぁ。作れそうではあるんだよね。サトウキビの代わりになりそうなもの見つけたし。
この世界じゃ砂糖も魔法で作るんだよ。逆に意味がわからない。
…テオ様のためにやってみるか。
静かに置かれたティカップ。
はぁ。1度落ち着くか。思考を切り替えよう。
「ありがとう。アル。」
「いえいえ。仕事ですので。」
そういうとこ良くないよ。善意で持ってくれればいいのに。そういうとこも好きだけど。
「飢饉対策で北の領地に芋という植物を植えて。」
そう決済された書類と領主代理に向けた手紙を渡す。
「北ですか?冬は凍りついてしまいますが。」
「家にでも入れてたら家庭で食べられるでしょ。早々に腐るものでもなさそうだし、今よりかはマシになると思う。」
食料対策は一旦これでいいか。あとは例年通り他の領地から余った食料を移動させる。
残りは寒さ対策だけど…。この世界の体を温める方法が魔法石とかなんだよね。魔法石なんてバカ高くて領民に分け与えられる量を用意できない。どうにかできないものか。
カイロの原理使ってみる?あれに錬金術で魔法陣でも付与できれば永久に使えるかも。
「アル。今日のうちに砂鉄1袋買ってきて。」
「砂鉄、ですか?」
「凍傷対策にね。さすがにいつまでも毛皮で耐え忍ぶのは無理あるし。北の方は出生率はあっても大人に成長できる子が少ないからね。成長しても皇都に出稼ぎにくる数が多すぎる。どうにかしないとジリ貧だ。」
「砂鉄で解決できますか?」
分かんないけど試さないとなにも進歩しないじゃん。
「今回は試験的に1番寒い街で試すつもり。本当はもっと使用人を増やしたいんだけどね。今ギリギリでしょ?あの若いメイドたちも入れ替えたいところなのに…総入れ替えにはあと3年はかかるね。」
「領主としての仕事は領民に還元してこそです。この屋敷のことは私とメラニーに任せてください。」
そこは信用してるよ。2人以上に信用して仕事を任せられる人はいない。メラニーの若いメイドへの愚痴は止まらないけど。
「もちろん信用してるよ。」
そういやさ。テオ様っていつもなにしてんだろ。僕を呼びに来てくれる時しかしてること知らない。
「テオはいつも何してるの?」
アルフレートは珍しく間をあけた。アルフレートに限って把握してないってことはないと思うけど。
「テオ様は大抵は素振りをしております。クラウス様のお古の木刀をお渡ししました。そういえば…魔法を打とうとして乳母に止められていましたね。」
魔法ねぇ。
そういやテオ様の魔力適正検査しないと。僕は攻略本で勝手に知ってるけど本来は神殿で検査してそれを皇宮に提出してやっと魔法士と認められる。
もし、前の家でしてるならこっちでしなくて済むんだけど…。聞いとかないと。
「まぁ火と闇の適性はあるだろうね。」
「奥様も綺麗な赤い髪ですから。」
ほんとそうだよね。髪や目に魔力が現れていると言ってもあそこまではっきりした色はなかなかない。それは僕やテオ様もだけど。
義母様は目も髪もペンキのように真っ赤な色をしている。色が濃い貴族は貴族連中の中でもモテるからね。それだけ才能があるんだ。一家繁栄には欠かせない才能。
なのに父様に嫁いだってことは人を見る目がないのか。公爵という後ろ盾がよく写ったのか。性格や趣味が貴族ウケしなかったのか。
本当に阿呆なら父様の見た目に惑わされたってだけだね。
あの人も鍛えれば宮廷魔法士くらいにはなれる才能はあるだろうに。勿体ない。
「神殿に魔力適性検査の依頼しといて。その結果を持って皇宮に行くから。」
「はい。クラウス様。」
テオ様は1日1回僕の前に現れてくれる。ご飯を呼びに来たり、散歩いこうと誘ってくれたり。
どれだけ疲れてて忙しくてもテオ様が顔を見せてくれるだけで頑張れる。
毎日朝ごはんをテオ様と食べて。領地から送られてくる紙を決裁して。変な所あれば使用人を領地に走らせたり、領地を任せてるやつを呼びつける手紙を送ったりする。
昼過ぎに皇宮に行って魔法と、もしくは剣の訓練。ヘトヘトになって帰ってくるから一度お昼寝。
お昼寝が終わればまた決裁か勉強。夕食前に剣の自主練習。夕食をテオ様とたまに義母様と食って、寝る前まで錬金術の勉強。
この流れに空いた時間で言語とか歴史の勉強。
ほとんど母様が生きてた時に学ばされたから家庭教師は週一。最近は雑談という名の論文論議してる。僕はあまり論文読む時間ないからそこから情報得られてラッキー。
ただ10歳から貴族の学校に通わないといけないのが最近の悩み。行かなくても理解してるしね。だから寮に入るつもりはないんだよ。高等部はそうもいかないから手を打たないと…。
…考えることが多すぎる。
まだ母が連れてきた執事のアルフレートがいるから決裁とかは任せられるけど。でも領地や商いの全体像は把握しておきたい。
切実に信用出来る事務係が欲しい。でも今から育てるとなると僕の高等部入学に追いつかない。それなら育てない方がマシだ。…いや将来に向けて育てるべきか?
それにゲームのこと考えないと。どうせ主人公の初恋相手はシルヴェスター家に来る。それなら先に考えておくのも悪くない。初恋相手を殺すのか。生かすのか。飼い殺しにするのか。テオ様のように使える人材にするのか。なんなら第1皇子に売りつけるのもあり。
大変だな。
今日は決裁書類もないから勉強しないと。神聖言語と…あぁ新しい紅茶が手に入ったから試し飲みしてどこに卸すか考えないとね。いい茶葉なら貴族街に店舗を出すのもありかな。最近香辛料も多く下ろされてるからそっち方面のお店作る案も出てる。
それとテオ様の誕生日…。チョコレート作ろうかと思ったんだけど砂糖が高い。錬金術で作れないかなぁ。作れそうではあるんだよね。サトウキビの代わりになりそうなもの見つけたし。
この世界じゃ砂糖も魔法で作るんだよ。逆に意味がわからない。
…テオ様のためにやってみるか。
静かに置かれたティカップ。
はぁ。1度落ち着くか。思考を切り替えよう。
「ありがとう。アル。」
「いえいえ。仕事ですので。」
そういうとこ良くないよ。善意で持ってくれればいいのに。そういうとこも好きだけど。
「飢饉対策で北の領地に芋という植物を植えて。」
そう決済された書類と領主代理に向けた手紙を渡す。
「北ですか?冬は凍りついてしまいますが。」
「家にでも入れてたら家庭で食べられるでしょ。早々に腐るものでもなさそうだし、今よりかはマシになると思う。」
食料対策は一旦これでいいか。あとは例年通り他の領地から余った食料を移動させる。
残りは寒さ対策だけど…。この世界の体を温める方法が魔法石とかなんだよね。魔法石なんてバカ高くて領民に分け与えられる量を用意できない。どうにかできないものか。
カイロの原理使ってみる?あれに錬金術で魔法陣でも付与できれば永久に使えるかも。
「アル。今日のうちに砂鉄1袋買ってきて。」
「砂鉄、ですか?」
「凍傷対策にね。さすがにいつまでも毛皮で耐え忍ぶのは無理あるし。北の方は出生率はあっても大人に成長できる子が少ないからね。成長しても皇都に出稼ぎにくる数が多すぎる。どうにかしないとジリ貧だ。」
「砂鉄で解決できますか?」
分かんないけど試さないとなにも進歩しないじゃん。
「今回は試験的に1番寒い街で試すつもり。本当はもっと使用人を増やしたいんだけどね。今ギリギリでしょ?あの若いメイドたちも入れ替えたいところなのに…総入れ替えにはあと3年はかかるね。」
「領主としての仕事は領民に還元してこそです。この屋敷のことは私とメラニーに任せてください。」
そこは信用してるよ。2人以上に信用して仕事を任せられる人はいない。メラニーの若いメイドへの愚痴は止まらないけど。
「もちろん信用してるよ。」
そういやさ。テオ様っていつもなにしてんだろ。僕を呼びに来てくれる時しかしてること知らない。
「テオはいつも何してるの?」
アルフレートは珍しく間をあけた。アルフレートに限って把握してないってことはないと思うけど。
「テオ様は大抵は素振りをしております。クラウス様のお古の木刀をお渡ししました。そういえば…魔法を打とうとして乳母に止められていましたね。」
魔法ねぇ。
そういやテオ様の魔力適正検査しないと。僕は攻略本で勝手に知ってるけど本来は神殿で検査してそれを皇宮に提出してやっと魔法士と認められる。
もし、前の家でしてるならこっちでしなくて済むんだけど…。聞いとかないと。
「まぁ火と闇の適性はあるだろうね。」
「奥様も綺麗な赤い髪ですから。」
ほんとそうだよね。髪や目に魔力が現れていると言ってもあそこまではっきりした色はなかなかない。それは僕やテオ様もだけど。
義母様は目も髪もペンキのように真っ赤な色をしている。色が濃い貴族は貴族連中の中でもモテるからね。それだけ才能があるんだ。一家繁栄には欠かせない才能。
なのに父様に嫁いだってことは人を見る目がないのか。公爵という後ろ盾がよく写ったのか。性格や趣味が貴族ウケしなかったのか。
本当に阿呆なら父様の見た目に惑わされたってだけだね。
あの人も鍛えれば宮廷魔法士くらいにはなれる才能はあるだろうに。勿体ない。
「神殿に魔力適性検査の依頼しといて。その結果を持って皇宮に行くから。」
「はい。クラウス様。」
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