上 下
5 / 211
8歳

3

しおりを挟む
いつもの仕事の合間にメイド長のメラニーを呼び付ける。この人は母様が連れてきた人だから信用できる。母様は人員管理は特に力を入れていたからね。


「メラニー。テオはなにか不便そうにはしてないかい?」

「特に報告には上がっていません。気にかけた方がいいですか?」

「うーん。お願いしようかな。義母様は?」

「相変わらずお金が足りない。いじめだ。虐げだと喚いていますよ。」

相変わらずだねぇ。マジでどうしようも無い。早々に金の流れを僕に集中させといてよかった。

「父様は?」

「外に女漁りに出ています。最後に帰宅したのは先月ですね。」

こっちも相変わらずのクズだね。罰の与えがいがあることしかしない。このままテオ様の弟とか僕の他に兄なんて出てきたら殺しかねない。僕の弟はテオ様と主人公の初恋相手だけでいい。逆にテオ様の兄は僕だけでいい。

「ふぅん。なら、あの使えないメイドたちは義母様と父様て分けて。今あの2人についてるメイドはテオに。有用な者を使い潰されたら溜まったものじゃないからね。テオの乳母はそのままでいいよ。」

「はい。クラウス様の仰せのままに。」

テオ様、虐められてないと良いけれど。虐められてたとしてもやり返しそうだよね。あの強気を極めたような性格…。メイド達が辞めないといいけど。




「メラニー。テオに手を出す使用人がいたらリストアップしておいて。」

「そこまでクラウス様が気にかけることがありますか?」

まぁ異母兄弟だしね。なにより向こうは男だし。シルヴェスター固有の闇魔法を持ってる。僕の立場が危うくなる存在だ。本来なら可愛がらなくていい存在。
でもテオ様ってだけで愛せる。テオ様を見届けられるなんてこれ以上のことってなくない?最高の空間を作り上げてみせるよ。

「弟だからね。可愛がるさ。それに愛らしいでしょ?」

「…同意しかねます。」

「ふふ。そう?」

メラニーとアルフレートは僕のこれからを心配してるらしい。

まだまだ僕の立場は弱い。いくら金の流れを掴んでるとはいえ子供だ。しかも公爵の妻はテオ様の母親。立場を逆転されるきっかけになるものは沢山転がってる。

僕としてはテオ様が望むならそれもありだとは思ってるんだけどね。そんなこと言った暁にはこの2人発狂しそうだな。


色んなものを残してくれた母様には悪いけどテオ様の方が大事だから。劣等感を抱かないようにお世話してあげたい。欲しいものは貢いであげたい。これってオタクの性だよね。

…僕も父様のこと言えないなぁ。ほんと血の繋がりって恐ろしいわ。

でも僕は父様とは違ってちゃんと理由を考えてあるからね。あんなロクデナシと一緒にされたら困る。


「どんな形であれ闇魔法は有用だからね。使える手が増えるなら増やしておくべきでしょ。」

あと書類は10枚くらいかな。この調子だと今日は神聖言語の勉強できそう。

「それとテオは皇宮で僕と一緒に学ばせるから服の準備しといて。ルディには礼儀とかいらないからマナーは後々ね。」

「承知致しました。」

皇宮ほど安心して魔法をぶっぱなせるところはない。特に闇魔法と光魔法なんて危険度MAXだからね。僕から言って拒否されることもないと思う。ゲームでもちゃんとテオ様とクラウス、第1皇子は皇宮で剣術と魔法を一緒に学んだし。


「それと魔力調査の準備もね。僕みたいに隠れてる才能があるかも。」

「使いこなせるでしょうか?」

「まぁ問題ない


―――コンコン。

控えめなノックが僕の会話を遮った。
この魔力…テオ様ともう一人いるね。というかそのノック可愛らしすぎる。めっちゃ控えめじゃん。僕らが静かに話してなきゃ聞こえないよ。もう!いじらしいなぁ。


「入れてあげて。」

一礼してメラニーが扉を開ける。僕と似てるのに全く違う印象を受ける目。ほんと可愛くてかっこいいね。僕の推しテオ様





しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】悪役令息の従者に転職しました

  *  
BL
暗殺者なのに無様な失敗で死にそうになった俺をたすけてくれたのは、BLゲームで、どのルートでも殺されて悲惨な最期を迎える悪役令息でした。 依頼人には死んだことにして、悪役令息の従者に転職しました。 皆でしあわせになるために、あるじと一緒にがんばるよ! 本編完結しました。 おまけのお話を更新したりします。

【完結済】(無自覚)妖精に転生した僕は、騎士の溺愛に気づかない。

キノア9g
BL
完結済。騎士エリオット視点を含め全10話(エリオット視点2話と主人公視点8話構成) エロなし。騎士×妖精 ※主人公が傷つけられるシーンがありますので、苦手な方はご注意ください。 気がつくと、僕は見知らぬ不思議な森にいた。 木や草花どれもやけに大きく見えるし、自分の体も妙に華奢だった。 色々疑問に思いながらも、1人は寂しくて人間に会うために森をさまよい歩く。 ようやく出会えた初めての人間に思わず話しかけたものの、言葉は通じず、なぜか捕らえられてしまい、無残な目に遭うことに。 捨てられ、意識が薄れる中、僕を助けてくれたのは、優しい騎士だった。 彼の献身的な看病に心が癒される僕だけれど、彼がどんな思いで僕を守っているのかは、まだ気づかないまま。 少しずつ深まっていくこの絆が、僕にどんな運命をもたらすのか──? いいねありがとうございます!励みになります。

転生令息は冒険者を目指す!?

葛城 惶
BL
ある時、日本に大規模災害が発生した。  救助活動中に取り残された少女を助けた自衛官、天海隆司は直後に土砂の崩落に巻き込まれ、意識を失う。  再び目を開けた時、彼は全く知らない世界に転生していた。  異世界で美貌の貴族令息に転生した脳筋の元自衛官は憧れの冒険者になれるのか?!  とってもお馬鹿なコメディです(;^_^A

気付いたら囲われていたという話

空兎
BL
文武両道、才色兼備な俺の兄は意地悪だ。小さい頃から色んな物を取られたし最近だと好きな女の子まで取られるようになった。おかげで俺はぼっちですよ、ちくしょう。だけども俺は諦めないからな!俺のこと好きになってくれる可愛い女の子見つけて絶対に幸せになってやる! ※無自覚囲い込み系兄×恋に恋する弟の話です。

嫌われ者の長男

りんか
BL
学校ではいじめられ、家でも誰からも愛してもらえない少年 岬。彼の家族は弟達だけ母親は幼い時に他界。一つずつ離れた五人の弟がいる。だけど弟達は岬には無関心で岬もそれはわかってるけど弟達の役に立つために頑張ってるそんな時とある事件が起きて.....

謎の死を遂げる予定の我儘悪役令息ですが、義兄が離してくれません

柴傘
BL
ミーシャ・ルリアン、4歳。 父が連れてきた僕の義兄になる人を見た瞬間、突然前世の記憶を思い出した。 あれ、僕ってばBL小説の悪役令息じゃない? 前世での愛読書だったBL小説の悪役令息であるミーシャは、義兄である主人公を出会った頃から蛇蝎のように嫌いイジメを繰り返し最終的には謎の死を遂げる。 そんなの絶対に嫌だ!そう思ったけれど、なぜか僕は理性が非常によわよわで直ぐにキレてしまう困った体質だった。 「おまえもクビ!おまえもだ!あしたから顔をみせるなー!」 今日も今日とて理不尽な理由で使用人を解雇しまくり。けれどそんな僕を見ても、主人公はずっとニコニコしている。 「おはようミーシャ、今日も元気だね」 あまつさえ僕を抱き上げ頬擦りして、可愛い可愛いと連呼する。あれれ?お兄様、全然キャラ違くない? 義弟が色々な意味で可愛くて仕方ない溺愛執着攻め×怒りの沸点ド底辺理性よわよわショタ受け 9/2以降不定期更新

イケメン王子四兄弟に捕まって、女にされました。

天災
BL
 イケメン王子四兄弟に捕まりました。  僕は、女にされました。

【完結】最強公爵様に拾われた孤児、俺

福の島
BL
ゴリゴリに前世の記憶がある少年シオンは戸惑う。 目の前にいる男が、この世界最強の公爵様であり、ましてやシオンを養子にしたいとまで言ったのだから。 でも…まぁ…いっか…ご飯美味しいし、風呂は暖かい… ……あれ…? …やばい…俺めちゃくちゃ公爵様が好きだ… 前置きが長いですがすぐくっつくのでシリアスのシの字もありません。 1万2000字前後です。 攻めのキャラがブレるし若干変態です。 無表情系クール最強公爵様×のんき転生主人公(無自覚美形) おまけ完結済み

処理中です...