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8歳
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テオ様がこの屋敷に来てからテオ様とはよく食事を一緒にする。おやつは時間が空いた時に誘ってるけど、偶にって感じ。
テオ様のマナーってさ人前に出せるレベルなんだよね。もちろん皇帝陛下とかそう言った公の場に出すには怖いところもあるけどお茶会くらいなら出せる。
まだ8歳。よくできた子だ。誰に教わったんだか。
それに義母様も綺麗な食べ方をする。そこらの上位貴族と並んでも遜色ないくらい。ただ見た目がねぇ。成り上がりの娼婦みたいな格好してるから高級娼婦にしか見えない。
もうちょいマシな服装勧めたら義母様からは「センスがない。」と鼻で笑われ、父様からは「趣味じゃない。」と一蹴された。
そんなにセンスがないだろうか?その格好より幾分もマシだと思うけど。というか、綺麗な赤い髪なんだから際立たせるために対色使えばいいじゃん。なんで全部真っ赤なの?血に染ってるようにしか見えない。せめて父様の目と髪色のグレーでも取り入れればいいのに。黒は地味で嫌いなんだと。
真っ黒な髪を持つ僕とテオ様の前で言うことかなぁ。それ。
案の定、母様が仲を取り持ってくれた媚びてくる友人達は距離を置きはじめてる。どうにかしないといけないな。アレでも親に力はあるし。
ため息が出る。良いことといえば母様がやっていた仕事を全部僕が引き継げたこと。父様には一切手出しさせてない。もちろんお金もお小遣い制。母様から貰った弱みをチラつかせたら黙った。
弱みがなにかって?
女関係のだらしなさ。それと横領の証拠。あとね、皇帝陛下の周りの洗脳計画書。この計画書もお粗末なものだったけど。洗脳って重罰だよ?
シルヴェスター家が皇家の血筋であることと過去の国への貢献から見逃してもらってるの。何を堂々と反逆しようとしてるの?馬鹿なの?どうせするなら新しく国を建てることから考えなよ。父様には無理だろうけどね。
ほんと可哀想な脳味噌してる。
「兄上、悩み事ですか?」
あ…テオ様が目の前にいるのに思考が飛んでた。オタクとして有るまじき行為だね。気をつけなきゃ。
「大事ではないから心配しなくていいよ。」
「人に話せば心も楽になると聞いたことがあります。俺では力になれませんか?」
なんていい子なんだろう。可愛い。
そういう心優しいところが漬け込む隙ができるんだよ。まぁテオ様に悪意を持って近ずく輩は僕が成敗してやるから問題ないけど。
「ふふ。ありがとうね。じゃあ話してみようか。」
かといって内情をペラペラ話す訳にも、ね。なにを喋ろうか。話してもいい心配事なんてあったっけ?
あぁ。一つあった。僕じゃどうにもできないやつ。
「もうすぐテオの誕生日でしょ?」
「知っていたんですか?」
「メイド長から最近聞いたの。だから大規模なものは開けないけど個人的に祝うのはどうかなって。欲しいものはある?」
お祝いする口実だよね。いらないって言われても準備してあげる。家にお金ないから豪勢なものはできないかもだけど。来年にはちゃんと外見だけはそれなりの貴族になれるように貯蓄するから待って欲しい。
「…いえ…。特には。」
「そう?ケーキは準備するつもりだよ。好きなケーキはある?」
「なんでも大丈夫です。」
「…そう。じゃあ僕の方で色々決めるね。来年も聞くから考えといてね。」
ないのかなぁ。テオ様のことならなんでも知りたいんだよ。でも公式設定でもテオ様の好きなもの『努力』だからなぁ。
もうちょっとさ。なんか…好きな食べ物とかも教えて欲しいよね。テオ様が努力好きだなんてゲームしてたら分かるし。
さて、どうしようか。クラウスならどうしようか。冷めてしまった紅茶に口をつけて考える。このポーズ、クラウスにそっくりになるように練習したからね。自信ありだよ。
「テオ。」
「はい。」
「君はもうテオ・フォン・シルヴェスターだよ。皇帝ですら易く折ることはできないシルヴェスター公爵の息子だ。」
「…は、い。」
わかってるのかな?金がないとはいえ僕がいる。絶対にテオ様だけは幸せにしてみせる。皇帝ですらあんなポンコツ父様を御せきれない。そのくらいには力も伝統もある家系だ。
「したいこと、やりたいこと、わがまま。全部許されるんだ。テオの謙虚さは美徳だけどあまり不快にさせないでね。」
「申し訳ありません…。」
怒ってるわけじゃないんだけど。もう1回覚めた紅茶に口をつけて唇を濡らす。なんと言えば通じるんだろう。
「悪いと思ってるならいつか好きなもの教えてね。」
「考えておきます…。」
「そうして。このケーキはどう?前のより美味しい?」
「どちらも美味しいです。」
「そう。」
どうしようかなぁ。小さいケーキ沢山用意させようか。でもそれならお金がなぁ。困ったな。どうしようか。
そういえば皇宮から持って帰ってきたチーズケーキ喜んでたし今回はそれにしようか。
…最近カカオっぽい実が輸入されたんだよ。この際、チョコレート作ってみる?
なんにしても甘めのやつがいいよね。貿易任せてるやつに聞いてみようか。
テオ様のマナーってさ人前に出せるレベルなんだよね。もちろん皇帝陛下とかそう言った公の場に出すには怖いところもあるけどお茶会くらいなら出せる。
まだ8歳。よくできた子だ。誰に教わったんだか。
それに義母様も綺麗な食べ方をする。そこらの上位貴族と並んでも遜色ないくらい。ただ見た目がねぇ。成り上がりの娼婦みたいな格好してるから高級娼婦にしか見えない。
もうちょいマシな服装勧めたら義母様からは「センスがない。」と鼻で笑われ、父様からは「趣味じゃない。」と一蹴された。
そんなにセンスがないだろうか?その格好より幾分もマシだと思うけど。というか、綺麗な赤い髪なんだから際立たせるために対色使えばいいじゃん。なんで全部真っ赤なの?血に染ってるようにしか見えない。せめて父様の目と髪色のグレーでも取り入れればいいのに。黒は地味で嫌いなんだと。
真っ黒な髪を持つ僕とテオ様の前で言うことかなぁ。それ。
案の定、母様が仲を取り持ってくれた媚びてくる友人達は距離を置きはじめてる。どうにかしないといけないな。アレでも親に力はあるし。
ため息が出る。良いことといえば母様がやっていた仕事を全部僕が引き継げたこと。父様には一切手出しさせてない。もちろんお金もお小遣い制。母様から貰った弱みをチラつかせたら黙った。
弱みがなにかって?
女関係のだらしなさ。それと横領の証拠。あとね、皇帝陛下の周りの洗脳計画書。この計画書もお粗末なものだったけど。洗脳って重罰だよ?
シルヴェスター家が皇家の血筋であることと過去の国への貢献から見逃してもらってるの。何を堂々と反逆しようとしてるの?馬鹿なの?どうせするなら新しく国を建てることから考えなよ。父様には無理だろうけどね。
ほんと可哀想な脳味噌してる。
「兄上、悩み事ですか?」
あ…テオ様が目の前にいるのに思考が飛んでた。オタクとして有るまじき行為だね。気をつけなきゃ。
「大事ではないから心配しなくていいよ。」
「人に話せば心も楽になると聞いたことがあります。俺では力になれませんか?」
なんていい子なんだろう。可愛い。
そういう心優しいところが漬け込む隙ができるんだよ。まぁテオ様に悪意を持って近ずく輩は僕が成敗してやるから問題ないけど。
「ふふ。ありがとうね。じゃあ話してみようか。」
かといって内情をペラペラ話す訳にも、ね。なにを喋ろうか。話してもいい心配事なんてあったっけ?
あぁ。一つあった。僕じゃどうにもできないやつ。
「もうすぐテオの誕生日でしょ?」
「知っていたんですか?」
「メイド長から最近聞いたの。だから大規模なものは開けないけど個人的に祝うのはどうかなって。欲しいものはある?」
お祝いする口実だよね。いらないって言われても準備してあげる。家にお金ないから豪勢なものはできないかもだけど。来年にはちゃんと外見だけはそれなりの貴族になれるように貯蓄するから待って欲しい。
「…いえ…。特には。」
「そう?ケーキは準備するつもりだよ。好きなケーキはある?」
「なんでも大丈夫です。」
「…そう。じゃあ僕の方で色々決めるね。来年も聞くから考えといてね。」
ないのかなぁ。テオ様のことならなんでも知りたいんだよ。でも公式設定でもテオ様の好きなもの『努力』だからなぁ。
もうちょっとさ。なんか…好きな食べ物とかも教えて欲しいよね。テオ様が努力好きだなんてゲームしてたら分かるし。
さて、どうしようか。クラウスならどうしようか。冷めてしまった紅茶に口をつけて考える。このポーズ、クラウスにそっくりになるように練習したからね。自信ありだよ。
「テオ。」
「はい。」
「君はもうテオ・フォン・シルヴェスターだよ。皇帝ですら易く折ることはできないシルヴェスター公爵の息子だ。」
「…は、い。」
わかってるのかな?金がないとはいえ僕がいる。絶対にテオ様だけは幸せにしてみせる。皇帝ですらあんなポンコツ父様を御せきれない。そのくらいには力も伝統もある家系だ。
「したいこと、やりたいこと、わがまま。全部許されるんだ。テオの謙虚さは美徳だけどあまり不快にさせないでね。」
「申し訳ありません…。」
怒ってるわけじゃないんだけど。もう1回覚めた紅茶に口をつけて唇を濡らす。なんと言えば通じるんだろう。
「悪いと思ってるならいつか好きなもの教えてね。」
「考えておきます…。」
「そうして。このケーキはどう?前のより美味しい?」
「どちらも美味しいです。」
「そう。」
どうしようかなぁ。小さいケーキ沢山用意させようか。でもそれならお金がなぁ。困ったな。どうしようか。
そういえば皇宮から持って帰ってきたチーズケーキ喜んでたし今回はそれにしようか。
…最近カカオっぽい実が輸入されたんだよ。この際、チョコレート作ってみる?
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