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第1章
届いた1通の招待状。
しおりを挟む私の評価は、ウィンストン公爵家全体の評価に関わる。そう考えると、確かに70点で満足していた私は半端者なのかもしれない。
そう思った私は、さらに勉強をする時間と量を増やした。
ウィンストン家へ来てからは毎日と言っても過言ではない程、足繁く通っていた庭園にも行かなくなったし、読む本と言えば、恋愛小説から経営学や歴史学の本へと変わっていった。
勉強を始めたばかりの頃は、深夜まで起きていることが辛かったけれど、最近ではそれにも慣れてきた。
案外睡魔というものは、一度乗り越えてしまえばなんてことないらしい。
懸命に勉強をすればする程、成績もどんどんと上がっていった。
2回目のテストでは、10点上がって80点を。3回目のテストでは、さらに10点上がって90点を。4回目のテストではついに、100点を取ることが出来た。
最初は嫌味ばかりだったバーサ先生も、私の努力は認めざるを得ないのか、次第に態度を軟化させていった。
勿論、勉強だけではなく、マナーの習得にも力を入れた。
教えられたことをきちんと出来るようになれば、ジェームズは『流石でございます』と褒めてくれた。
ある日、学問とマナーの勉強を両立させていた私の元に、1通の招待状が届いた。相手はなんと、あの性悪王太子からだという。
招待状には、『王宮でパーティーを開くから、勉強の一環として参加してみれば?』と書かれてあった。
相変わらず鼻に付く言い方だと思う。
私個人としては、パーティーなどに興味はなかったし、何よりあの性悪王太子からの誘いなんて受けたくない気持ちでいっぱいだったが、非常に残念なことに相手は王族。
はなから断るという選択肢が用意されていなかった私は、2週間後に開催される王宮でのパーティーに、ヒューゴ達と共に参加することとなった。
パーティーなんて大それたものに参加したことがなかった私にとって、今回が初の社交場となる。
社交の場にダンスは付き物ということで、経験のない私に、奥様が基本のステップと踊り方を教えてくれた。
時々、ヒューゴやカーシーが私のぎこちないダンスに付き合ってくれたおかげもあって、パーティーが開催されるその日までにはなんとか形になった。
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