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第1章

自由の身になる私達。

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 「なっ…!?」


エルズバーグは、いったい何が起きているのか分からない様子だった。正直、私もよく分かっていない。


男達に身柄を拘束され、そのまま何処かへ連行されるエルズバーグ。必死に抵抗する声が廊下から聞こえてくるも、次第にそれも小さくなっていった。


いったいなんだったんだ?とこの状況を理解出来ていない私の元に、共に暮らしていた女の子達が駆け寄ってくる。


 「アイヴィ!私達、もう自由になったんだよ…!」


エルズバーグの罪状は、強制わいせつ罪及び買春の疑い。どうやら、この屋敷以外でも高い金を払って年端も行かない娘にいやらしいことをしていたそうだ。さらに、勝手に戸籍上は姉妹に当たると思っていた彼女達だが、どうやらエルズバーグとは親子関係になく、ただの囚われの身だったらしい。


お金のない平民の出身だったが故に、両親や親戚に、多額のお金と引き換えに売られても大事になることはなく、この屋敷に何年間も監禁されていたそうだ。


うわあああん、と子供の泣き叫ぶ声が部屋に鳴り響く。


一貫して暗い顔を顔をしていた彼女達だったが、どうやら涙は枯らしていなかったようだ。残念ながら、私は枯れてしまったようで涙は出てこない。


自由の身になれたこと自体はとても嬉しい。けれど、自由の身となったと同時に、私は、路頭に迷うことになってしまった。


 それから、私達は王宮の元に一時保護されることとなった。私と一緒だった彼女達の殆どは、孤児院に行くそうだ。


親の元に戻れない…いや、戻りたくないのは私も同じ。私も孤児院に行けたらいいのだが、如何せん、私の身分は貴族になっている為、そうもいかない。この国は、未来と教養のある者を失ってはいけないとかなんとかで、身寄りの無くなった貴族の子は他の貴族の養子となることを第一としているのだ。


なんて勝手な考え方なのだろうか。そう思っていれば、部屋の扉が叩かれた。無視をするわけにもいかず、返事をすれば、ガチャリと開けられた扉。入ってきたのは、見覚えのある男だった。








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