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13.お風呂えっち
しおりを挟むぽかぽかと温まる湯船の中でキスをされると、余計に熱が篭る気がする。ドキドキとしながら巽のキスを受けて、真夜は自分からキスをした。
彼と同じような、啄ばむようなキス。
すると、また巽が唇を重ねた。次はちゅ、ちゅ、と二回啄ばんで。そして唇を離してニッコリする。真夜は慌ててキスを返した。二回、軽く啄ばむ。
次は三回、その次は四回。
キスをする度、される度、ぐんぐんと体が火照ってくる。ドキドキが止まらなくて真夜の瞳が潤み始めた頃、巽はゆっくりと唇を合わせ、舌を差し入れてきた。
クチュ、とねっとりした水音。探る舌が、真夜のそれを絡めとる。二週間前、初体験の時にも深いキスはした。灼熱のように熱を孕んだとろける舌。その熱さに耐えられずとろとろと溶けてしまいそう。でも、それは溶けることなく真夜の舌をしっかりと絡ませ、チロチロと舐め合った。真夜の内に潜む快感がずるずる引きずり出されていく。
はぁ……と、甘い溜息が零れ落ちて、巽がすっと唇を外した。
ぼうっとする真夜を上から見下ろして、にっこり微笑む。
「ぼーっとしてないで、ちゃんと返してよ」
「……え? あ、ごめんなさい」
うまく頭が働かない。言われるままに真夜は巽に口付けた。そろりと舌を差込み、彼の舌を探る。されるのとするのではまた感覚が違って、自分から舌をあわせ絡ませるのは酷く恥ずかしい。
でも、前回は痛みから逃れたい一心で必死に自分からキスをせがんでいたのだ。そのことを思い出して、真夜は顔をますます熱くして目線を反らす。
その時、巽の手が淫らに動き出した。後ろからやわやわと胸に触れ、ぎゅっと先端に向かって搾るように力を入れる。
びくんと体が反応した。舌をあわせながら体の熱を逃すように、短く息を吐く。
舌の絡みはまだ続く。巽は意地悪をするように真夜の舌から逃れ、真夜は追いかけた。自然とキスは深さを増して、くぐもった甘い呻きが零れ出す。
「っ、は……ぁ。ん……。んぅっ!」
ビクビク、と体が震えた。巽が乳首を摘んだのだ。両胸どちらも摘まれ、くりくりと擦られる。
甘い痛覚は、痛みすら気持ちが良いと思えてしまう。その刺激がたまらない。もっと、もっとしてほしい……。
くちゅくちゅと絡みあう舌の交わり。やっと巽が満足したのか、彼の方から唇を外した。
「いい顔。真夜ちゃん、すごく色っぽいよ」
「そ……う、ですか?」
「うん。髪、解くね」
髪を纏めていたバレッタを外される。パサ、と音がして真夜の黒い髪が湯船に零れ落ちた。
手櫛をかけるようにこめかみから髪を触り、もう一度キスをする。
「ふふ、真夜ちゃん。今、えっちな気分?」
「え、えっち……って、もう」
「だってこういうの、やっぱりその場の雰囲気とかノリが必要じゃない。まぁ、こっちに聞いたほうが早そうだけど」
クスッと笑って、巽のいたずらな指が秘所を探る。
「ひゃっ」
真夜は思わず声を上げた。ぱしゃんと湯音が鳴る。だが、巽は構わず秘裂をゆるく擦り、割れ目をなぞるように触った。
「とろとろ。初めての時よりヌルヌルしてるね」
「んッ……ふっ」
「でも、真夜ちゃん。今日はもっとヌルヌルしよう。……のぼせちゃうね。そろそろ上がろう?」
巽が優しい声で真夜に手を差し伸べる。真夜は力ない手で握り、湯船のフチに手を掛け立ち上がった。巽はバスタブから出ると、洗い場の壁に立てかけてあったバスマットを敷いて座る。
「おいで」
そう誘われて、真夜はおずおずと向かいに座った。すると、彼が一本の瓶を見せる。
「ローションだよ。さっき自販機で買ったんだけど、知ってる?」
「そういうものがあるとは知ってますけど。ま、また買ったんですか」
「割高なのは判ってるけど。なんだかこういうの、事前に用意して鞄に入れて、会社に行くのはさすがにねぇ、気が引けるっていうか」
困ったように巽が笑う。
その気持ちはわからないでもない。だが、別に買わなくてもいいじゃないかと思う。しかし巽はにんまりとして瓶のフタを開け、とろとろとローションを手に取った。
「ほら、前にさ、色々やってみたいって言ったでしょ。実は俺、ローションプレイとかしてみたかったんだ」
「そ、そうなんですか。……彼女さんにはしちゃダメなんですか?」
「ダメってことはないけど。そりゃあ少しは使ったことがあるけどさ。なんかこう、お店でするくらいにドロッドロでやるのはないね。そこまですると嫌がられそうだし」
「そういうものですか」
真夜は相槌を打ってから、ふと「……お店?」と首を傾げた。そしていわゆる風俗店を思い出し、真夜はズサッと体を引いてしまった。
「ちょ、ちょっと待って下さい。望月さんは風俗にも行くんですか?」
「今は行ってないよ、真夜ちゃんがいるしね。でも、独り身の時ならそりゃ行くよ。種類も豊富だしねー」
何の種類が豊富なのだろう。真夜は少し考えてぷるぷると首を横に振る。
よくわからなけど、すごく複雑だ。セフレはそういうものなのかもしれないけど、お店でするようなことをやるつもりなら、そっちでやって欲しい。
自分はあくまで普通が良いのだ。……普通が何なのかもよくわかっていないのだが。
「や、あの、望月さん。そういうのはやっぱり、プロの方とするほうが楽しいのでは。私ではきっと物足りないですよ。な、なんせ初心者ですから」
「初心者だからいいんじゃない~。慣れてるおねーさんと反応も違いそうじゃん? まぁまぁ、一度やってみようよ。それで俺が楽しくなかったら止めるからさ」
「なっ、なんですかそれ! って……きゃ、ヤッ」
少し強引に腕が引っ張られた。クルッと真夜の体勢を変えて、後ろから抱きしめられる。そして真夜の身体に、巽がとろとろとローションを塗りたくった。少し粘度のあるもので、身体にまとわりつく感触がドロドロしている。真夜は巽の手が滑る感覚にぎゅっと目を瞑って耐えた。
「ふふ、我慢しちゃって。でも真夜ちゃんは正直者で持たない子だからね。こうやって触ると……」
「ッ……あぁっ!」
「ほーら、すぐ声出しちゃう。カワイイね。ぬるぬる気持ちいい?」
にゅるにゅる、と胸を搾るように揉み込む。手を離す度に乳首まで摘み、引っ張るように指を滑らせた。
その感覚は途端に快感へと変わり、真夜は高い声を上げて体をびくつかせる。
「ねぇ、喘いでばかりいないで、答えてよ」
耳元にかかる熱い吐息。下腹がズクリとするような低い声で囁く。
彼は普段の声が少し高めのハスキーボイスだから、たまに低い声色で話されると酷くドキドキしてしまうのだ。
「うっ……ン! っあ、気持ち、いい……です」
「そっか。おっぱい、こうやってぐにゃぐにゃにされるの好き?」
「ア……。は、い。好き……」
「……ふふ、相変わらず、真夜ちゃんはえっちだねぇ?」
そうして巽は真夜をクルッと回し、正面で向かいあった。そしてやわりと抱きしめると、背中からお尻にかけてを、ゆっくり手で滑らせる。
「あー、やわらかーい」
「うう……」
心底気持ち良さそうな声を出す巽。どうしても彼のペースになってしまうようだ。真夜は抵抗するのを諦めて、ゆるゆると手を動かし始める。ローションでぬるついた手で、巽の肩に手を這わせてみた。
つるりと滑る肌は気持ちよく、暖かい。
彼がしたみたいに背中を撫でたり、腕を触ってみたりしていると、クスクスとおかしそうに巽が笑った。
「嬉しい。もっと触って」
「……はい」
抱きしめあったまま、互いの体の手触りを楽しむ。巽は真夜の柔らかな肌の質感を、真夜は巽の硬くしっかりとした背中の手触りを。
ローションの粘度も相まって、重なったふたりの体はぺっとりとくっついた。巽が少し真夜の体をゆすると、すっかり硬くなった乳首が彼の胸板を擦る。
「あっ、ン!」
「真夜ちゃん、乳首がコリコリだよ? すっごくイイんだね。ローションも悪くないみたい」
「ん……ぅ、そう、かも。すごく感じて、ドキドキします」
「良かった。俺だけ楽しんでたら不公平だもんね。……ねぇ、そのコリコリ乳首で触ってよ」
「え?」
意味がわからず、真夜が巽に目を向けた。
彼は茶色の目を細めて、ヌチャリといやらしい音を立てて体を離すと、真夜の体を上下にゆさぶる。
硬くなった乳首がヌルヌルと彼の胸板で擦られて、真夜はその快感に体を震わせた。
「ほら、こうやるの。やってみて」
続きは自分でするようにと巽が促し、真夜は彼の肩に両手を置いた。ゆっくり体を上下させて、自分の乳首を巽の肌に滑らせる。
「あっあっ! んっ、あっ!」
痺れるような感覚が甘くて辛い。でも、味わいたい。不思議なジレンマを抱えながら、真夜は熱に浮かされたように体を動かした。
そんな真夜の痴態を、巽はうっとりと蕩けるような目で見つめて、彼の指がヌルリと這う。次に触れた先は、真夜の秘めた繁みだった。そこは既にローションのぬるつきと真夜の蜜液で熱くとろとろと濡れていた。巽はぐっしょりした繁みをくすぐるように触った後、グチ、と音を立てて秘裂を割る。
真夜の身体がぴくんと反応する。しかし構わず秘芯を指の腹で擦り、やわく摘んだ。途端に痺れるような――しかし、例えようもない快感が体中を走り抜け、真夜の身体が痺れたように跳ねる。
「きゃあっ」
まるで少女のような高い悲鳴を上げて、目をぎゅっと瞑った。
「――だめだよ。ちゃんと体、動かしていて」
低い声で指示される。
涙がこぼれそうな目で巽を見つめ、真夜は体を上下に揺らした。ぬるつく体というのはどうしてこんなに気持ちが良いのだろう。あまりに悦すぎて、時々気が遠くなってしまう。
だが、巽は真夜への責めを止めるつもりはないらしい。秘芯を弄る指とは別に、もう片方の指が膣内にヌルリと差し込まれたのだ。
巽の人差し指は、狭い隘路を広げるようにグニグニと蠢き、真夜はその快感に苦しそうな声で喘く。
「あっ、あ……ゆびっ!」
「ふふ、今日は騎乗位の練習もしてみよう。俺の指を抜き挿しするみたいに動いてごらん」
「んっ、あ。……こ、う?」
「そう。……ローションでドロドロだと滑りが良すぎて足りないかな? もう一本増やしてみようね」
そう言って真夜の了承を聞かず、彼は中指を新たに埋める。
膣内での異物感がいっそう増し、より一層摩擦の感覚が鋭くなって、快感が増していく。
ちゅぷ、ちゅぷ。
真夜が身体を上下に揺さぶると、指を抜き差しするはしたない音が浴室に響いた。真夜は快感に酔いしれ、夢中になったように腰を動かし続ける。やがて縋るように巽の首に腕をまわし、ぎゅっと抱きしめた。
「あっ、あっ、ひゃっ! そ、こ……! ゆび、動かさないでぇ」
「どうして? クリ弄られると気持ち良いでしょ。……今日はイクまで弄ってあげるね」
「んっ……イ、ク?」
「……動き、止めたらだめだよ。いっぱい気持ち良くなろうね」
くちゅくちゅ、くにゅくにゅ。
体を上下させて抽挿する指、転がして嬲られる秘芽。二週間前に与えられた愛撫とはまた違った快感。ローションのぬるつきは容易に真夜を高みに昇らせる。
その官能は追いたくて、でも逃げたくて。自分でも何かよくわからないまま、真夜はひたすら巽の指示に従い、体をゆすって快感を貪る。
やがて、何かが膣内から出てきそうな感覚がした。え、だめ……と思った瞬間、頭が真っ白になってググッと体中が強張る。
「あぁぁああっ!」
ぎゅう、と彼の首元を抱きしめ、かすれた声を上げた。
巽の指を咥える膣内がきつく収縮し、そのまま飲み込むように力が入る。
「はぁ……」
「イッたね。指が痛いくらいキュウ~ってなったよ。かわいい」
チュッと軽い音を立てて額にキスをした。彼はキスが好きだと言っていたが、本当のことなのだろう。ことあるごとにやたらとキスをする。
でも、今のキスは何だかとても嬉しかった。真夜は弛緩する体でぺたりとバスマットに座り、ふにゃりと笑う。
巽が嬉しそうな顔をして、茶色の目を優しく細めた。
「今の顔いいね。写真撮りたいくらい可愛かったよ」
「えっ!? や、やめてくださいよ写真なんて!」
「アハハ、ハメ撮りとか? そういうのもいいかもね。保存する趣味はないけど、プレイとしてなら楽しめそう」
クスクスと冗談に聞こえないような事を言って、巽は真夜の体をころんと転がした。そして太ももの部分をぴったりと合わせてぐっと膝を持ち上げる。
「さて、次は俺の番だよ。スマタ、させてね」
「す、すまた? あっ」
ずぷっと彼の杭が差し込まれる。しかしそこは膣内ではなく、閉じた太ももの間だ。真夜の秘所を滑らせるように、じゅぷじゅぷと腰を動かし始める。
「あぁ、ローションってやっぱりいいなぁ。めちゃくちゃ気持ちいーよ」
「んっ、あ、そう……なの?」
「うん。真夜ちゃんはナカも好きだけど、こっちもいいね。ふふ、むちむちした太ももが柔らかーい、あったかーい」
「む、むちむちは……!」
また人が気にしてることを嬉々として言う。自分は決して太ももが太いわけではない、太いわけではない! と繰り返し心の中で抗議した。
しかし巽の硬い先端が測ったように真夜の秘芯を擦って、思わずビクンと身体を震わせてしまう。
「あンッ!」
つい甘い悲鳴を上げてしまった。すると、それに気付いた巽がニヤリと人の悪い笑みを浮かべる。
「あぁ――。クリ擦っちゃった? 丁度いいね。一緒に気持ちよくなろう」
「んっ、あ、私、今は、ちょっ……!」
果てたばかりでまだ敏感なそこを、わざとえぐるように擦り上げた。
にゅぷっ、ぐちゅっ。
自分の太ももの間を彼のモノが出たり入ったりする様が露骨に見えて、たまらない恥ずかしさが上塗りされていく。
秘芯を擦る快感と視界に映る羞恥。それらが混ざってどうしようもなく頭が混乱してきた時、巽が小さく呻いた。
「クッ……、んっ」
彼の先端から白い液体が迸る。
それはびちゃりと真夜の腹にかけられ、少し力を緩めた巽が長いため息をつき、ぺたんとバスマットに座った。
「あぁ、ハァ、良かったー。こういうのもいいねぇ」
「はぁ……はぁ、そ、そう、ですか?」
「うん。真夜ちゃんは気持ちよくなかったの?」
「そ、そんなこと、ないですけど」
実際に、気がおかしくなるほど気持ちが良かったので、正直に答えてしまった。
巽はくすくす笑ってシャワーのコックをひねり、真夜の体を暖かい湯で流してくれる。
「そうでしょう? またしようね」
「うっ。は、はい……」
気持ち良かったけど、何だかとても恥ずかしかったような気もする……。だけど、巽が楽しそうだし、たまにはいいかなと思ってコクリと頷くと、彼はにっこりと微笑んだ。
「じゃあ体洗いっこして、ベッドいこうね」
「はい……。え?」
「まだ時間あるし、後一回くらいはできるかなー。次はベッドでちゃんと挿れてあげるね?」
(挿れてあげるね、って……何を? あと、洗いっこって、何?)
真夜がそう考えたところで巽がザバーッとシャワーを頭にかけてきたのでびっくりする。
「ひゃわーっ!?」
思わず悲鳴を上げると、巽は「あはは!」と明るく笑った。
「頭、洗ってあげるね。これも気持ち良いでしょ?」
そう言って、巽はとても楽しそうに真夜の頭を洗った。
……確かに、人に洗髪してもらうのは気持ちがいい。真夜もお返しに巽の頭を洗った。洗いっこというのは存外悪くない。巽も気持ち良さそうな顔をして、真夜に身を任せてくれたので、何となく嬉しかった。
しかし巽の予告通り、その後はベッドで再び、散々と喘がされてしまうのだった。
彼と同じような、啄ばむようなキス。
すると、また巽が唇を重ねた。次はちゅ、ちゅ、と二回啄ばんで。そして唇を離してニッコリする。真夜は慌ててキスを返した。二回、軽く啄ばむ。
次は三回、その次は四回。
キスをする度、される度、ぐんぐんと体が火照ってくる。ドキドキが止まらなくて真夜の瞳が潤み始めた頃、巽はゆっくりと唇を合わせ、舌を差し入れてきた。
クチュ、とねっとりした水音。探る舌が、真夜のそれを絡めとる。二週間前、初体験の時にも深いキスはした。灼熱のように熱を孕んだとろける舌。その熱さに耐えられずとろとろと溶けてしまいそう。でも、それは溶けることなく真夜の舌をしっかりと絡ませ、チロチロと舐め合った。真夜の内に潜む快感がずるずる引きずり出されていく。
はぁ……と、甘い溜息が零れ落ちて、巽がすっと唇を外した。
ぼうっとする真夜を上から見下ろして、にっこり微笑む。
「ぼーっとしてないで、ちゃんと返してよ」
「……え? あ、ごめんなさい」
うまく頭が働かない。言われるままに真夜は巽に口付けた。そろりと舌を差込み、彼の舌を探る。されるのとするのではまた感覚が違って、自分から舌をあわせ絡ませるのは酷く恥ずかしい。
でも、前回は痛みから逃れたい一心で必死に自分からキスをせがんでいたのだ。そのことを思い出して、真夜は顔をますます熱くして目線を反らす。
その時、巽の手が淫らに動き出した。後ろからやわやわと胸に触れ、ぎゅっと先端に向かって搾るように力を入れる。
びくんと体が反応した。舌をあわせながら体の熱を逃すように、短く息を吐く。
舌の絡みはまだ続く。巽は意地悪をするように真夜の舌から逃れ、真夜は追いかけた。自然とキスは深さを増して、くぐもった甘い呻きが零れ出す。
「っ、は……ぁ。ん……。んぅっ!」
ビクビク、と体が震えた。巽が乳首を摘んだのだ。両胸どちらも摘まれ、くりくりと擦られる。
甘い痛覚は、痛みすら気持ちが良いと思えてしまう。その刺激がたまらない。もっと、もっとしてほしい……。
くちゅくちゅと絡みあう舌の交わり。やっと巽が満足したのか、彼の方から唇を外した。
「いい顔。真夜ちゃん、すごく色っぽいよ」
「そ……う、ですか?」
「うん。髪、解くね」
髪を纏めていたバレッタを外される。パサ、と音がして真夜の黒い髪が湯船に零れ落ちた。
手櫛をかけるようにこめかみから髪を触り、もう一度キスをする。
「ふふ、真夜ちゃん。今、えっちな気分?」
「え、えっち……って、もう」
「だってこういうの、やっぱりその場の雰囲気とかノリが必要じゃない。まぁ、こっちに聞いたほうが早そうだけど」
クスッと笑って、巽のいたずらな指が秘所を探る。
「ひゃっ」
真夜は思わず声を上げた。ぱしゃんと湯音が鳴る。だが、巽は構わず秘裂をゆるく擦り、割れ目をなぞるように触った。
「とろとろ。初めての時よりヌルヌルしてるね」
「んッ……ふっ」
「でも、真夜ちゃん。今日はもっとヌルヌルしよう。……のぼせちゃうね。そろそろ上がろう?」
巽が優しい声で真夜に手を差し伸べる。真夜は力ない手で握り、湯船のフチに手を掛け立ち上がった。巽はバスタブから出ると、洗い場の壁に立てかけてあったバスマットを敷いて座る。
「おいで」
そう誘われて、真夜はおずおずと向かいに座った。すると、彼が一本の瓶を見せる。
「ローションだよ。さっき自販機で買ったんだけど、知ってる?」
「そういうものがあるとは知ってますけど。ま、また買ったんですか」
「割高なのは判ってるけど。なんだかこういうの、事前に用意して鞄に入れて、会社に行くのはさすがにねぇ、気が引けるっていうか」
困ったように巽が笑う。
その気持ちはわからないでもない。だが、別に買わなくてもいいじゃないかと思う。しかし巽はにんまりとして瓶のフタを開け、とろとろとローションを手に取った。
「ほら、前にさ、色々やってみたいって言ったでしょ。実は俺、ローションプレイとかしてみたかったんだ」
「そ、そうなんですか。……彼女さんにはしちゃダメなんですか?」
「ダメってことはないけど。そりゃあ少しは使ったことがあるけどさ。なんかこう、お店でするくらいにドロッドロでやるのはないね。そこまですると嫌がられそうだし」
「そういうものですか」
真夜は相槌を打ってから、ふと「……お店?」と首を傾げた。そしていわゆる風俗店を思い出し、真夜はズサッと体を引いてしまった。
「ちょ、ちょっと待って下さい。望月さんは風俗にも行くんですか?」
「今は行ってないよ、真夜ちゃんがいるしね。でも、独り身の時ならそりゃ行くよ。種類も豊富だしねー」
何の種類が豊富なのだろう。真夜は少し考えてぷるぷると首を横に振る。
よくわからなけど、すごく複雑だ。セフレはそういうものなのかもしれないけど、お店でするようなことをやるつもりなら、そっちでやって欲しい。
自分はあくまで普通が良いのだ。……普通が何なのかもよくわかっていないのだが。
「や、あの、望月さん。そういうのはやっぱり、プロの方とするほうが楽しいのでは。私ではきっと物足りないですよ。な、なんせ初心者ですから」
「初心者だからいいんじゃない~。慣れてるおねーさんと反応も違いそうじゃん? まぁまぁ、一度やってみようよ。それで俺が楽しくなかったら止めるからさ」
「なっ、なんですかそれ! って……きゃ、ヤッ」
少し強引に腕が引っ張られた。クルッと真夜の体勢を変えて、後ろから抱きしめられる。そして真夜の身体に、巽がとろとろとローションを塗りたくった。少し粘度のあるもので、身体にまとわりつく感触がドロドロしている。真夜は巽の手が滑る感覚にぎゅっと目を瞑って耐えた。
「ふふ、我慢しちゃって。でも真夜ちゃんは正直者で持たない子だからね。こうやって触ると……」
「ッ……あぁっ!」
「ほーら、すぐ声出しちゃう。カワイイね。ぬるぬる気持ちいい?」
にゅるにゅる、と胸を搾るように揉み込む。手を離す度に乳首まで摘み、引っ張るように指を滑らせた。
その感覚は途端に快感へと変わり、真夜は高い声を上げて体をびくつかせる。
「ねぇ、喘いでばかりいないで、答えてよ」
耳元にかかる熱い吐息。下腹がズクリとするような低い声で囁く。
彼は普段の声が少し高めのハスキーボイスだから、たまに低い声色で話されると酷くドキドキしてしまうのだ。
「うっ……ン! っあ、気持ち、いい……です」
「そっか。おっぱい、こうやってぐにゃぐにゃにされるの好き?」
「ア……。は、い。好き……」
「……ふふ、相変わらず、真夜ちゃんはえっちだねぇ?」
そうして巽は真夜をクルッと回し、正面で向かいあった。そしてやわりと抱きしめると、背中からお尻にかけてを、ゆっくり手で滑らせる。
「あー、やわらかーい」
「うう……」
心底気持ち良さそうな声を出す巽。どうしても彼のペースになってしまうようだ。真夜は抵抗するのを諦めて、ゆるゆると手を動かし始める。ローションでぬるついた手で、巽の肩に手を這わせてみた。
つるりと滑る肌は気持ちよく、暖かい。
彼がしたみたいに背中を撫でたり、腕を触ってみたりしていると、クスクスとおかしそうに巽が笑った。
「嬉しい。もっと触って」
「……はい」
抱きしめあったまま、互いの体の手触りを楽しむ。巽は真夜の柔らかな肌の質感を、真夜は巽の硬くしっかりとした背中の手触りを。
ローションの粘度も相まって、重なったふたりの体はぺっとりとくっついた。巽が少し真夜の体をゆすると、すっかり硬くなった乳首が彼の胸板を擦る。
「あっ、ン!」
「真夜ちゃん、乳首がコリコリだよ? すっごくイイんだね。ローションも悪くないみたい」
「ん……ぅ、そう、かも。すごく感じて、ドキドキします」
「良かった。俺だけ楽しんでたら不公平だもんね。……ねぇ、そのコリコリ乳首で触ってよ」
「え?」
意味がわからず、真夜が巽に目を向けた。
彼は茶色の目を細めて、ヌチャリといやらしい音を立てて体を離すと、真夜の体を上下にゆさぶる。
硬くなった乳首がヌルヌルと彼の胸板で擦られて、真夜はその快感に体を震わせた。
「ほら、こうやるの。やってみて」
続きは自分でするようにと巽が促し、真夜は彼の肩に両手を置いた。ゆっくり体を上下させて、自分の乳首を巽の肌に滑らせる。
「あっあっ! んっ、あっ!」
痺れるような感覚が甘くて辛い。でも、味わいたい。不思議なジレンマを抱えながら、真夜は熱に浮かされたように体を動かした。
そんな真夜の痴態を、巽はうっとりと蕩けるような目で見つめて、彼の指がヌルリと這う。次に触れた先は、真夜の秘めた繁みだった。そこは既にローションのぬるつきと真夜の蜜液で熱くとろとろと濡れていた。巽はぐっしょりした繁みをくすぐるように触った後、グチ、と音を立てて秘裂を割る。
真夜の身体がぴくんと反応する。しかし構わず秘芯を指の腹で擦り、やわく摘んだ。途端に痺れるような――しかし、例えようもない快感が体中を走り抜け、真夜の身体が痺れたように跳ねる。
「きゃあっ」
まるで少女のような高い悲鳴を上げて、目をぎゅっと瞑った。
「――だめだよ。ちゃんと体、動かしていて」
低い声で指示される。
涙がこぼれそうな目で巽を見つめ、真夜は体を上下に揺らした。ぬるつく体というのはどうしてこんなに気持ちが良いのだろう。あまりに悦すぎて、時々気が遠くなってしまう。
だが、巽は真夜への責めを止めるつもりはないらしい。秘芯を弄る指とは別に、もう片方の指が膣内にヌルリと差し込まれたのだ。
巽の人差し指は、狭い隘路を広げるようにグニグニと蠢き、真夜はその快感に苦しそうな声で喘く。
「あっ、あ……ゆびっ!」
「ふふ、今日は騎乗位の練習もしてみよう。俺の指を抜き挿しするみたいに動いてごらん」
「んっ、あ。……こ、う?」
「そう。……ローションでドロドロだと滑りが良すぎて足りないかな? もう一本増やしてみようね」
そう言って真夜の了承を聞かず、彼は中指を新たに埋める。
膣内での異物感がいっそう増し、より一層摩擦の感覚が鋭くなって、快感が増していく。
ちゅぷ、ちゅぷ。
真夜が身体を上下に揺さぶると、指を抜き差しするはしたない音が浴室に響いた。真夜は快感に酔いしれ、夢中になったように腰を動かし続ける。やがて縋るように巽の首に腕をまわし、ぎゅっと抱きしめた。
「あっ、あっ、ひゃっ! そ、こ……! ゆび、動かさないでぇ」
「どうして? クリ弄られると気持ち良いでしょ。……今日はイクまで弄ってあげるね」
「んっ……イ、ク?」
「……動き、止めたらだめだよ。いっぱい気持ち良くなろうね」
くちゅくちゅ、くにゅくにゅ。
体を上下させて抽挿する指、転がして嬲られる秘芽。二週間前に与えられた愛撫とはまた違った快感。ローションのぬるつきは容易に真夜を高みに昇らせる。
その官能は追いたくて、でも逃げたくて。自分でも何かよくわからないまま、真夜はひたすら巽の指示に従い、体をゆすって快感を貪る。
やがて、何かが膣内から出てきそうな感覚がした。え、だめ……と思った瞬間、頭が真っ白になってググッと体中が強張る。
「あぁぁああっ!」
ぎゅう、と彼の首元を抱きしめ、かすれた声を上げた。
巽の指を咥える膣内がきつく収縮し、そのまま飲み込むように力が入る。
「はぁ……」
「イッたね。指が痛いくらいキュウ~ってなったよ。かわいい」
チュッと軽い音を立てて額にキスをした。彼はキスが好きだと言っていたが、本当のことなのだろう。ことあるごとにやたらとキスをする。
でも、今のキスは何だかとても嬉しかった。真夜は弛緩する体でぺたりとバスマットに座り、ふにゃりと笑う。
巽が嬉しそうな顔をして、茶色の目を優しく細めた。
「今の顔いいね。写真撮りたいくらい可愛かったよ」
「えっ!? や、やめてくださいよ写真なんて!」
「アハハ、ハメ撮りとか? そういうのもいいかもね。保存する趣味はないけど、プレイとしてなら楽しめそう」
クスクスと冗談に聞こえないような事を言って、巽は真夜の体をころんと転がした。そして太ももの部分をぴったりと合わせてぐっと膝を持ち上げる。
「さて、次は俺の番だよ。スマタ、させてね」
「す、すまた? あっ」
ずぷっと彼の杭が差し込まれる。しかしそこは膣内ではなく、閉じた太ももの間だ。真夜の秘所を滑らせるように、じゅぷじゅぷと腰を動かし始める。
「あぁ、ローションってやっぱりいいなぁ。めちゃくちゃ気持ちいーよ」
「んっ、あ、そう……なの?」
「うん。真夜ちゃんはナカも好きだけど、こっちもいいね。ふふ、むちむちした太ももが柔らかーい、あったかーい」
「む、むちむちは……!」
また人が気にしてることを嬉々として言う。自分は決して太ももが太いわけではない、太いわけではない! と繰り返し心の中で抗議した。
しかし巽の硬い先端が測ったように真夜の秘芯を擦って、思わずビクンと身体を震わせてしまう。
「あンッ!」
つい甘い悲鳴を上げてしまった。すると、それに気付いた巽がニヤリと人の悪い笑みを浮かべる。
「あぁ――。クリ擦っちゃった? 丁度いいね。一緒に気持ちよくなろう」
「んっ、あ、私、今は、ちょっ……!」
果てたばかりでまだ敏感なそこを、わざとえぐるように擦り上げた。
にゅぷっ、ぐちゅっ。
自分の太ももの間を彼のモノが出たり入ったりする様が露骨に見えて、たまらない恥ずかしさが上塗りされていく。
秘芯を擦る快感と視界に映る羞恥。それらが混ざってどうしようもなく頭が混乱してきた時、巽が小さく呻いた。
「クッ……、んっ」
彼の先端から白い液体が迸る。
それはびちゃりと真夜の腹にかけられ、少し力を緩めた巽が長いため息をつき、ぺたんとバスマットに座った。
「あぁ、ハァ、良かったー。こういうのもいいねぇ」
「はぁ……はぁ、そ、そう、ですか?」
「うん。真夜ちゃんは気持ちよくなかったの?」
「そ、そんなこと、ないですけど」
実際に、気がおかしくなるほど気持ちが良かったので、正直に答えてしまった。
巽はくすくす笑ってシャワーのコックをひねり、真夜の体を暖かい湯で流してくれる。
「そうでしょう? またしようね」
「うっ。は、はい……」
気持ち良かったけど、何だかとても恥ずかしかったような気もする……。だけど、巽が楽しそうだし、たまにはいいかなと思ってコクリと頷くと、彼はにっこりと微笑んだ。
「じゃあ体洗いっこして、ベッドいこうね」
「はい……。え?」
「まだ時間あるし、後一回くらいはできるかなー。次はベッドでちゃんと挿れてあげるね?」
(挿れてあげるね、って……何を? あと、洗いっこって、何?)
真夜がそう考えたところで巽がザバーッとシャワーを頭にかけてきたのでびっくりする。
「ひゃわーっ!?」
思わず悲鳴を上げると、巽は「あはは!」と明るく笑った。
「頭、洗ってあげるね。これも気持ち良いでしょ?」
そう言って、巽はとても楽しそうに真夜の頭を洗った。
……確かに、人に洗髪してもらうのは気持ちがいい。真夜もお返しに巽の頭を洗った。洗いっこというのは存外悪くない。巽も気持ち良さそうな顔をして、真夜に身を任せてくれたので、何となく嬉しかった。
しかし巽の予告通り、その後はベッドで再び、散々と喘がされてしまうのだった。
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