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アフター編
10.未来への宿題
しおりを挟む 三枚の物件資料を手にして、不動産屋を後にする。
今日は笹塚の家に泊まる事となって、いつもの定食屋で夕飯を食べる為に、二人で夜の道を歩いていた。
むー……と私の顔が歪んでるのが自分でも判る。
笹塚も、突拍子ない発言をしたこと自体はわかっているのか、言葉少なだった。
小さく溜息をついて、隣を歩く笹塚を見上げる。
そんな、今にも捨てられそうな犬みたいに、寂しそうな表情しないでよ……。
「一緒に住もうなんて、どうしてあんな事を言ってきたの? 最初からそのつもりで、私を不動産屋に連れて行ったの?」
ボールを投げてみる。いつも口下手な私に何かと気を使ってくれるのは、いつも笹塚だ。こういう時こそ、私から気遣わないと対等にならない気がする。
がしがし、と頭を掻く音が隣から聞こえた。
「最初はそんなつもりじゃなかった。ただ、ちょっと……」
笹塚の言葉が止まる。何かに詰まったような、言葉を慎重に選んでるような、そんな感じがする。
「焦っていたのかもしれない」
「焦る?」
「うん。由里は何でも人の話を真面目に受けて、まっすぐに受け止めるから」
ぎゅ、と手を握ってくる。いつの間にか笹塚の足は止まり、私を見つめていた。
「妙な事になる前に、できるだけ早く傍に置いておきたいのかもしれない」
「……妙な事?」
「杞憂ならいいんだが。……でも」
不安そうな表情を浮かべる笹塚。この人は、私に言えない不安を抱えているのだろうか。笹塚は、私に何でも話せ、隠し事をするなと言う癖に、自分自身は割と秘密主義だ。
でも、それは疚しいものではなくて、単に私を心配させたくないという気遣いなのだと判っている。
……ただ、私は彼の助けになれないのかな、と思う時はある。
笹塚は少し考えるように俯くと、改めたように私へ顔を向けた。そして、次は打って変わって明るい口調で話しかけてくる。
「由里はさ、俺と一緒に住むっていうのはどうだ? まだ早いって思うか?」
「ええっ? う、うーんと、それより、いきなりすぎて……びっくりした方が強いかな」
「……そっか」
ぽつ、と相槌を打ち、笹塚は再び私の手を取って歩き出す。
4月の夜はまだ肌寒い。時折車が走る音を聞きながら、二人で夜道を歩いた。
「俺は、すぐにでも一緒になりたいと思ってる」
「……」
「お互いの親に挨拶するつもりもある。……だけど」
笹塚が遠い夜空を見ながら話す。どこか、私から明確な答えを聞きたくない……そんな意思が感じられた。もしかすると、私がここでノーと言うのを恐れているのかもしれない。
拒絶するなら、今は答えを言わないでくれ。……彼の心の声が聞こえた気がした。
「由里は俺より若いから。色々考えたいこともあるだろうし。しばらく、返事は待つよ」
私は何も答える事ができない。ここで「同棲していいよ」と言うのは易いが、よく考えるとそんな安易に返事していい事なのだろうかと思ってしまうし、かといって嫌なのかと言えば嘘になる。
それを、どう言葉にして笹塚に言えばいいのだろう。つまり、そこんとこを考えてくれと言う事だろうか。
「部屋の方は、どっちにしても1LDKで考えてたし、このまま進めておくから。良かったら考えておいてくれ。これからの事を」
「……わかった」
かろうじて了承の言葉だけを出す。
後は普通に世間話をしながら定食屋で夕飯を食べ、笹塚のマンションに泊まった。
結局一度も話を蒸し返す事はしないまま、けれど笹塚のこの言葉だけはずっとしこりのように心の隅に残っていた。
◆◇◆◇
ジャーン! と、ご丁寧に効果音まで声に乗せた園部さんが、一枚の紙を見せてくる。それは継続的にウチの会社で印刷発注をしてくれるという……契約書だった。
あの居酒屋で水沢と園部さんが喧嘩腰の話をつけてから一ヶ月というところ、ついに園部さんは、新規契約をもぎ取ってきたのである。
びっくりもびっくりだ。まさに有言実行。園部さんは愛の力で継続顧客をゲットしたのである。
「すごいですね。しかもこれ、ICカード印刷ですか? 単価高いやつですよね?」
「そうそう。契約会社でね、セキュリティ強化をする為の提案をしたら、乗ってくれたんだよー。社員全員にICカード配ってさ、機密文書の認証印刷を徹底させて、情報の漏洩を防ぐようにするのが目的なの」
「つまり、社員全員分のカード印刷、ってことですか?」
「そういう事。後は、社員の入れ替え等がある度に、発注が来るってわけ。そう毎日もらえる仕事ではないけど、季節の節目節目には大量発注が入るはずだよー」
私と横山主任が契約書をまじまじと見ては、園部さんと契約内容の話をする。しかし水沢だけはそ知らぬ顔でパソコンに向かい、仕事をしていた。「私なんにも関係ありませーん」といった顔だ。
園部さんとしては、水沢に褒めてもらいたくて頑張っただろうに、その態度はあんまりな気もする。……が、しかし、さすがにそこまでは言えない。
私が岸さんに迷惑していたように、水沢も本当に嫌がっているのかもしれないのだから。
そういえば岸さんは、あのゲーセン前の一件から、一切私に声をかけてくることはなくなった。本当に困っていたので、笹塚がビシッと言ってくれたのは本当に助かった。心も体も笹塚にめろめろなのぉ、とバラしたのは酷いが……。
「水沢さん、見てみてー! 契約書だよ。ほら、すごいすごい?」
「はい。わぁ~! とってもすごいですね。お疲れ様です、園部さん。ところで課長が手招きしてますよ。行かなくていいんですか?」
ニコニコと返す水沢の笑顔は完璧に外面のソレだ。しかし雰囲気が「わかったから、あっち行ってよ。まだ勝負はついてないでしょ」と物語っている。野良犬をシッシッと追いやるような、そんな感じだ。
そんな水沢にしょんぼりした様子でとぼとぼと課長のデスクに向かう園部さん。……ますます可哀想な感じに見えてしまう。
継続契約なんて、本当に取るの大変なのに。それは水沢もわかってるはずなんだけどなぁ。課長の喜びようを見よ。「とってこい」ができた犬に「よーしよしよし!」と褒めちぎる飼い主と全く同じではないか。
結局園部さんの契約を皆で祝うことになって、夜は宴会が決まった。営業部だけでやるのかと思いきや、参加したかったら誰でも歓迎というノリになってしまい、結局総務部と製造部もくっついてくる事になった。
……園部さんを祝うより、皆はただ、宴をする理由が欲しいだけなのである。つくづくお祭り騒ぎの好きな会社だ。
◆◇◆◇
私が思っていた通り、最初こそ園部さんの契約を祝してかんぱーい等と言っていたのが、30分もしないうちに、皆それぞれで全く関係ない話をしながら酒を楽しんでいる。
会社の宴会でよく行く大衆居酒屋。広間のお座敷で、私は水沢や横山主任、それから総務部の谷口さんと固まってお酒を頂いていた。
谷口さんは総務部の係長で、社内では古参に入る、いわゆる「お局さん」だ。でも、一般的にイメージされるイジワルなお局さんではなく、谷口さんは本当に素敵な先輩である。
その菩薩ぶりは我が社の良心と呼ばれる程で、多少のミスでは怒らないし、フォローが手厚い。上司である高畠さんの信頼も厚く、笹塚は勿論、営業部課長でも谷口さんには頭が上がらない。彼女に助けられている社員はたくさんいる。
そんな谷口さんは、年齢的な差もあるのか、他の若い女子社員みたいに高畠さんファンというわけではない。他の事務員は皆して高畠さんの周りにくっついているけど、彼女はのんびり私達と一緒にお酒を楽しんでいた。
ちなみに製造部の美丈夫である所沢さんは、もっぱら技術部と工場の女の子にモテる人だ。今日はどちらの部署も参加しないので、周りに女の子の姿はなく、ゆっくり酒を楽しんでるようだった。
自然、視線は気になる人の所へ向かってしまう。次に目が行くのは……岸さん。彼は製造部の皆と固まって飲んでるようだった。もう前みたいに、毎日営業事務の島に来ては私をナンパするような事もしなくなったので、製造部でもそこまで引かれることもなく、上手くやってるようだった。
彼はあれだな。世渡り上手なんだろう。……そんな気がする。
次は笹塚。彼は営業で固まってる所でビールを飲んでいる。一体そのビールは何杯目なんだろう。そして、居酒屋の宴会で並ぶ料理といえば、もっぱらツマミのような小鉢ものが多いのに、彼は個人で石焼ビビンバを頼んで食べてるあたり、彼らしいと思ってしまう。
そんな笹塚の隣には園部さん。あの二人は本当に仲がいい。チョットだけ笹塚に聞いてみたら、大学時代の同級生だったんだとか。笹塚がこの会社に就職して二年後、遅れて入社してきたのが園部さんなんだそうだ。再会した時は滅茶苦茶びっくりしたらしい。それはそうだろうな。会社で再会って、多分、滅多にない事だと思う。
そんな園部さんの隣には……あれ? 女の子がいた。
もちろん水沢じゃない。彼女は私の目の前で3杯目の中ジョッキを空け、谷口さんと焼酎のメニューを見て酒談義をしている。
赤霧島がどうだの魔王がどうだのと話している水沢の肩を何となくツンツンとつついて、園部さんの方向を指差してしまう。
「あら、樋口さん?」
「ですよね」
谷口さんの言葉に頷く。園部さんの隣にいて、彼に酌をしている女性は、今年の春入ってきたばかりのピチピチハタチ、派遣社員の樋口さんだった。ちなみに歓迎会の時、岸さんがしつこく声をかけてきた被害者第1号でもある。
そんな樋口さんはふんわりした笑顔をしながら、園部さんへ積極的に話しかけ、時々営業の人にからかわれているのかあたふたと慌てたり、顔を赤くしたりしていた。
おお……いじらしい。時折見蕩れたような目で園部さんを見ては、にっこりと笑っている。
彼女は園部が好きなのかな? そう思って見ていると、彼女はしずしずと移動して。次は笹塚の隣に座り、ピッチャーに入ったビールを注ぎ始めた。そして園部さんにしていたような、うっとりした目で彼を見みつめては話しかけ、時折笹塚の腕にさりげなく触れたりしていた。
なんだろう。園部さん狙いってわけでも無くて、ただ営業部に愛想振りまきたいのかな?
ぐび、と手に持った中ナマを飲みきって、水沢が面白くなさそうにブツブツと呟く。
「また、あからさまな子が入ってきたのね。歓迎会の時、放っておけばよかったわ」
「へ?」
「そうなのよね~。ずっと営業部との合同宴会を待ってたみたい。高畠さんはすでにあんな感じだから諦めてるんでしょう。所沢さんは工場の子の目が怖いみたいだし。あっちは気の強い子が多いからね」
「なるほど~。だから園部さんと笹塚さんね。フフ、『二番手の男』も災難ねぇ」
何の会話をしているのかよくわからない私の周りで、水沢と谷口さんと横山主任が話をしている。
とりあえず妙な単語が出てきたので、主任に首をかしげた。
「なんですか? 二番手の男って」
「あー、羽坂は知らないんだ。あんまり噂話に興味なさそうだもんねぇ、アンタは」
「事務員の間で密かに言われてるあだ名みたいなものよ。笹塚さんも園部さんも結構顔がいいでしょ? なのに高畠さんや所沢さんのほうが人気があるから、あの二人はいまいち社内でモテなくて」
「だから人気ある方が一番手、そうじゃない方は二番手ってわけ。実際過去には高畠さんが振り向いてくれないあまり、妥協して笹塚さんに告白した、って子もいたわよ」
なんと、そんな事が。しかし、何となく笹塚の残念ぶりが分かった気がした。顔が良くてスポーツもできて仕事もできる。そんな人だから、他の女性社員が「笹塚さんっていいよね~」と話題に出すことはある。だけど、彼女らの本命はあくまで高畠さんや所沢さんなわけで。ようするに……オイシイ所は全てそっちにとられてしまってるのだ。高畠さん達がいるからこそ、笹塚達がモテない。きっと、場所さえ違えば彼らはものすごく女の子に人気が出るのだろう。
なんて……不憫な。でも今はその不憫さに感謝しよう。きっと周りで女の子がキャッキャしてたら。笹塚は私なんかに目を留めなかっただろうし。可哀想だけど……でも、良かった。
私はホッとしてお酒を飲む。しかし、水沢がその表情をどう取ったのか軽く目を細めて嫌味な顔をした。
「余裕ぶってんじゃないわよ。男なんて皆構ってちゃんなんだから。油断して餌あげる事忘れてたらあっという間にとられちゃうんだからね」
「えっ……餌!?」
「笹塚さんの事。樋口はアンタより若くて可愛い女の子なんだもん。べたべたされて嬉しくないわけないでしょ。ちゃんとリード掴んでおきなさいよ?」
「み! 水沢! しーっしーっ!」
慌てて彼女の口に手を当てる。笹塚とつきあってるのは会社の人に言ってないのだ。なんか、あんまり会社でベタベタするのはよくないだろうし、公言するようなことでもないし……。
なのに目の前の横山主任が私の慌てようを見て「あははっ」と明るく笑う。
「相変わらずね、羽坂。心配しなくてもみーんな知ってるわよぉ。アンタが笹塚さんとつきあってることは」
「ぬぇっ!? ど、どうして!」
「ふふっ。隠すならもっと上手に隠さないと。それこそ他人を決め込む位にね? 笹塚さんと羽坂さんは仕事の話をしたりする度、見つめあったり微笑みあったりしていて。それはもう見てられない程可愛らしくて分かりやすかったわ?」
主任に続いて谷口さんまでもがクスクスと笑って言ってくる。…ク、あんなに隠していようと思っていたのに。皆本当に観察眼に長けてるというか……いや、この場合私が鈍すぎるのかな。
「全く、バレバレなのよあんたたちは。ちなみに社内恋愛がバレるとね、もし取った取られたって修羅場になったら、ホントみっともないわよ。だからアンタはちゃんと笹塚さんの管理だけはしておく事。時々餌もあげて、しっかりリードも持って。もし余所見したら『おあずけ』が効く位にはしつけておくのよ」
つきあいはじめのころにも水沢からアドバイスされたが、その時も「飴と鞭を使い分けるのよ」と言っていたし、彼女の物言いは、まるで犬を飼う人に指導するドッグトレーナーのようだ。
「せ、先生。とりあえず餌とかおあずけの意味がわかりません」
「はぁ~? あんたら、一年もつきあっててまだ清い仲なんですとか言わないでよね。もうやる事やってんでしょ?」
「ヒッ!? そ、それはその、いわゆるあの、あ、あれを指しているのでしょうか……」
呆れた表情をする水沢に、私は指をごにょごにょさせて俯き、ぽそっと呟く。
「え、えっち……とか?」
「きゃあ!」
「ひぇあ!」
私の呟きに横山主任がテーブルに倒れ、谷口さんは身をくねらせて何故か手をわきわきさせる。何だろう、皆して挙動不審だ。
ハッ! もしかしてえっちじゃない!? うわぁ、他にやる事って何だろう……。じゃなくて! めちゃくちゃ恥ずかしい発言をしてしまった!!
「今、今のなしです! じ、じゃああれ、えっと、そう! き、キスしたりとか。あの、ぎゅってしたり!」
「きす!?」
「ぎゅってしたり!?」
また私の言葉に主任と谷口さんが反応する。一体なんなんだ。水沢だけがずっとしらーっとした顔をして酒を飲んでいる。ううむ…もう他に恋人としてやる事が思いつかないのですが…。
「やばい、羽坂。今のはやばかったわ…」
「笹塚さん、きっと思わぬ収穫でしたでしょうね。それに、ああ、なんていうか。……横山さん、私達にもこういう時代がありましたねぇ」
「本当ねぇ、懐かしいわぁ。甘酸っぱくて初々しくて。笹塚さん、これはかなりやられてるでしょうね」
そして二人して「かんぱーい!」とグラスを合わせて仲良く飲み始める主任と谷口さん。もう何が起こってるのかさっぱりわからなくて戸惑いつつ水沢を見ると、彼女はメニュー片手に店員呼び出しボタンを押していた。
「もー本当にばっかみたい。心配してマジ損した。全く、アンタんとこは何も問題なしよ。そんな高校生でもしないような態度……余所見するわけないわよね。一生ラブラブしてなさいよ! やってらんない! 飲も飲も!」
心底嫌そうな顔をして、水沢は店員に焼酎のロックを頼みついでに焼き鳥も追加注文した。……何だろう、主任と谷口さんは「私も昔はねぇ」とか「初恋はねぇ」と昔の恋話に話を咲かせているし、何時の間にか水沢はぷりぷり怒ってるし、一人置いてかれた私はちびり、と所在なげにチューハイを飲むのであった。
今日は笹塚の家に泊まる事となって、いつもの定食屋で夕飯を食べる為に、二人で夜の道を歩いていた。
むー……と私の顔が歪んでるのが自分でも判る。
笹塚も、突拍子ない発言をしたこと自体はわかっているのか、言葉少なだった。
小さく溜息をついて、隣を歩く笹塚を見上げる。
そんな、今にも捨てられそうな犬みたいに、寂しそうな表情しないでよ……。
「一緒に住もうなんて、どうしてあんな事を言ってきたの? 最初からそのつもりで、私を不動産屋に連れて行ったの?」
ボールを投げてみる。いつも口下手な私に何かと気を使ってくれるのは、いつも笹塚だ。こういう時こそ、私から気遣わないと対等にならない気がする。
がしがし、と頭を掻く音が隣から聞こえた。
「最初はそんなつもりじゃなかった。ただ、ちょっと……」
笹塚の言葉が止まる。何かに詰まったような、言葉を慎重に選んでるような、そんな感じがする。
「焦っていたのかもしれない」
「焦る?」
「うん。由里は何でも人の話を真面目に受けて、まっすぐに受け止めるから」
ぎゅ、と手を握ってくる。いつの間にか笹塚の足は止まり、私を見つめていた。
「妙な事になる前に、できるだけ早く傍に置いておきたいのかもしれない」
「……妙な事?」
「杞憂ならいいんだが。……でも」
不安そうな表情を浮かべる笹塚。この人は、私に言えない不安を抱えているのだろうか。笹塚は、私に何でも話せ、隠し事をするなと言う癖に、自分自身は割と秘密主義だ。
でも、それは疚しいものではなくて、単に私を心配させたくないという気遣いなのだと判っている。
……ただ、私は彼の助けになれないのかな、と思う時はある。
笹塚は少し考えるように俯くと、改めたように私へ顔を向けた。そして、次は打って変わって明るい口調で話しかけてくる。
「由里はさ、俺と一緒に住むっていうのはどうだ? まだ早いって思うか?」
「ええっ? う、うーんと、それより、いきなりすぎて……びっくりした方が強いかな」
「……そっか」
ぽつ、と相槌を打ち、笹塚は再び私の手を取って歩き出す。
4月の夜はまだ肌寒い。時折車が走る音を聞きながら、二人で夜道を歩いた。
「俺は、すぐにでも一緒になりたいと思ってる」
「……」
「お互いの親に挨拶するつもりもある。……だけど」
笹塚が遠い夜空を見ながら話す。どこか、私から明確な答えを聞きたくない……そんな意思が感じられた。もしかすると、私がここでノーと言うのを恐れているのかもしれない。
拒絶するなら、今は答えを言わないでくれ。……彼の心の声が聞こえた気がした。
「由里は俺より若いから。色々考えたいこともあるだろうし。しばらく、返事は待つよ」
私は何も答える事ができない。ここで「同棲していいよ」と言うのは易いが、よく考えるとそんな安易に返事していい事なのだろうかと思ってしまうし、かといって嫌なのかと言えば嘘になる。
それを、どう言葉にして笹塚に言えばいいのだろう。つまり、そこんとこを考えてくれと言う事だろうか。
「部屋の方は、どっちにしても1LDKで考えてたし、このまま進めておくから。良かったら考えておいてくれ。これからの事を」
「……わかった」
かろうじて了承の言葉だけを出す。
後は普通に世間話をしながら定食屋で夕飯を食べ、笹塚のマンションに泊まった。
結局一度も話を蒸し返す事はしないまま、けれど笹塚のこの言葉だけはずっとしこりのように心の隅に残っていた。
◆◇◆◇
ジャーン! と、ご丁寧に効果音まで声に乗せた園部さんが、一枚の紙を見せてくる。それは継続的にウチの会社で印刷発注をしてくれるという……契約書だった。
あの居酒屋で水沢と園部さんが喧嘩腰の話をつけてから一ヶ月というところ、ついに園部さんは、新規契約をもぎ取ってきたのである。
びっくりもびっくりだ。まさに有言実行。園部さんは愛の力で継続顧客をゲットしたのである。
「すごいですね。しかもこれ、ICカード印刷ですか? 単価高いやつですよね?」
「そうそう。契約会社でね、セキュリティ強化をする為の提案をしたら、乗ってくれたんだよー。社員全員にICカード配ってさ、機密文書の認証印刷を徹底させて、情報の漏洩を防ぐようにするのが目的なの」
「つまり、社員全員分のカード印刷、ってことですか?」
「そういう事。後は、社員の入れ替え等がある度に、発注が来るってわけ。そう毎日もらえる仕事ではないけど、季節の節目節目には大量発注が入るはずだよー」
私と横山主任が契約書をまじまじと見ては、園部さんと契約内容の話をする。しかし水沢だけはそ知らぬ顔でパソコンに向かい、仕事をしていた。「私なんにも関係ありませーん」といった顔だ。
園部さんとしては、水沢に褒めてもらいたくて頑張っただろうに、その態度はあんまりな気もする。……が、しかし、さすがにそこまでは言えない。
私が岸さんに迷惑していたように、水沢も本当に嫌がっているのかもしれないのだから。
そういえば岸さんは、あのゲーセン前の一件から、一切私に声をかけてくることはなくなった。本当に困っていたので、笹塚がビシッと言ってくれたのは本当に助かった。心も体も笹塚にめろめろなのぉ、とバラしたのは酷いが……。
「水沢さん、見てみてー! 契約書だよ。ほら、すごいすごい?」
「はい。わぁ~! とってもすごいですね。お疲れ様です、園部さん。ところで課長が手招きしてますよ。行かなくていいんですか?」
ニコニコと返す水沢の笑顔は完璧に外面のソレだ。しかし雰囲気が「わかったから、あっち行ってよ。まだ勝負はついてないでしょ」と物語っている。野良犬をシッシッと追いやるような、そんな感じだ。
そんな水沢にしょんぼりした様子でとぼとぼと課長のデスクに向かう園部さん。……ますます可哀想な感じに見えてしまう。
継続契約なんて、本当に取るの大変なのに。それは水沢もわかってるはずなんだけどなぁ。課長の喜びようを見よ。「とってこい」ができた犬に「よーしよしよし!」と褒めちぎる飼い主と全く同じではないか。
結局園部さんの契約を皆で祝うことになって、夜は宴会が決まった。営業部だけでやるのかと思いきや、参加したかったら誰でも歓迎というノリになってしまい、結局総務部と製造部もくっついてくる事になった。
……園部さんを祝うより、皆はただ、宴をする理由が欲しいだけなのである。つくづくお祭り騒ぎの好きな会社だ。
◆◇◆◇
私が思っていた通り、最初こそ園部さんの契約を祝してかんぱーい等と言っていたのが、30分もしないうちに、皆それぞれで全く関係ない話をしながら酒を楽しんでいる。
会社の宴会でよく行く大衆居酒屋。広間のお座敷で、私は水沢や横山主任、それから総務部の谷口さんと固まってお酒を頂いていた。
谷口さんは総務部の係長で、社内では古参に入る、いわゆる「お局さん」だ。でも、一般的にイメージされるイジワルなお局さんではなく、谷口さんは本当に素敵な先輩である。
その菩薩ぶりは我が社の良心と呼ばれる程で、多少のミスでは怒らないし、フォローが手厚い。上司である高畠さんの信頼も厚く、笹塚は勿論、営業部課長でも谷口さんには頭が上がらない。彼女に助けられている社員はたくさんいる。
そんな谷口さんは、年齢的な差もあるのか、他の若い女子社員みたいに高畠さんファンというわけではない。他の事務員は皆して高畠さんの周りにくっついているけど、彼女はのんびり私達と一緒にお酒を楽しんでいた。
ちなみに製造部の美丈夫である所沢さんは、もっぱら技術部と工場の女の子にモテる人だ。今日はどちらの部署も参加しないので、周りに女の子の姿はなく、ゆっくり酒を楽しんでるようだった。
自然、視線は気になる人の所へ向かってしまう。次に目が行くのは……岸さん。彼は製造部の皆と固まって飲んでるようだった。もう前みたいに、毎日営業事務の島に来ては私をナンパするような事もしなくなったので、製造部でもそこまで引かれることもなく、上手くやってるようだった。
彼はあれだな。世渡り上手なんだろう。……そんな気がする。
次は笹塚。彼は営業で固まってる所でビールを飲んでいる。一体そのビールは何杯目なんだろう。そして、居酒屋の宴会で並ぶ料理といえば、もっぱらツマミのような小鉢ものが多いのに、彼は個人で石焼ビビンバを頼んで食べてるあたり、彼らしいと思ってしまう。
そんな笹塚の隣には園部さん。あの二人は本当に仲がいい。チョットだけ笹塚に聞いてみたら、大学時代の同級生だったんだとか。笹塚がこの会社に就職して二年後、遅れて入社してきたのが園部さんなんだそうだ。再会した時は滅茶苦茶びっくりしたらしい。それはそうだろうな。会社で再会って、多分、滅多にない事だと思う。
そんな園部さんの隣には……あれ? 女の子がいた。
もちろん水沢じゃない。彼女は私の目の前で3杯目の中ジョッキを空け、谷口さんと焼酎のメニューを見て酒談義をしている。
赤霧島がどうだの魔王がどうだのと話している水沢の肩を何となくツンツンとつついて、園部さんの方向を指差してしまう。
「あら、樋口さん?」
「ですよね」
谷口さんの言葉に頷く。園部さんの隣にいて、彼に酌をしている女性は、今年の春入ってきたばかりのピチピチハタチ、派遣社員の樋口さんだった。ちなみに歓迎会の時、岸さんがしつこく声をかけてきた被害者第1号でもある。
そんな樋口さんはふんわりした笑顔をしながら、園部さんへ積極的に話しかけ、時々営業の人にからかわれているのかあたふたと慌てたり、顔を赤くしたりしていた。
おお……いじらしい。時折見蕩れたような目で園部さんを見ては、にっこりと笑っている。
彼女は園部が好きなのかな? そう思って見ていると、彼女はしずしずと移動して。次は笹塚の隣に座り、ピッチャーに入ったビールを注ぎ始めた。そして園部さんにしていたような、うっとりした目で彼を見みつめては話しかけ、時折笹塚の腕にさりげなく触れたりしていた。
なんだろう。園部さん狙いってわけでも無くて、ただ営業部に愛想振りまきたいのかな?
ぐび、と手に持った中ナマを飲みきって、水沢が面白くなさそうにブツブツと呟く。
「また、あからさまな子が入ってきたのね。歓迎会の時、放っておけばよかったわ」
「へ?」
「そうなのよね~。ずっと営業部との合同宴会を待ってたみたい。高畠さんはすでにあんな感じだから諦めてるんでしょう。所沢さんは工場の子の目が怖いみたいだし。あっちは気の強い子が多いからね」
「なるほど~。だから園部さんと笹塚さんね。フフ、『二番手の男』も災難ねぇ」
何の会話をしているのかよくわからない私の周りで、水沢と谷口さんと横山主任が話をしている。
とりあえず妙な単語が出てきたので、主任に首をかしげた。
「なんですか? 二番手の男って」
「あー、羽坂は知らないんだ。あんまり噂話に興味なさそうだもんねぇ、アンタは」
「事務員の間で密かに言われてるあだ名みたいなものよ。笹塚さんも園部さんも結構顔がいいでしょ? なのに高畠さんや所沢さんのほうが人気があるから、あの二人はいまいち社内でモテなくて」
「だから人気ある方が一番手、そうじゃない方は二番手ってわけ。実際過去には高畠さんが振り向いてくれないあまり、妥協して笹塚さんに告白した、って子もいたわよ」
なんと、そんな事が。しかし、何となく笹塚の残念ぶりが分かった気がした。顔が良くてスポーツもできて仕事もできる。そんな人だから、他の女性社員が「笹塚さんっていいよね~」と話題に出すことはある。だけど、彼女らの本命はあくまで高畠さんや所沢さんなわけで。ようするに……オイシイ所は全てそっちにとられてしまってるのだ。高畠さん達がいるからこそ、笹塚達がモテない。きっと、場所さえ違えば彼らはものすごく女の子に人気が出るのだろう。
なんて……不憫な。でも今はその不憫さに感謝しよう。きっと周りで女の子がキャッキャしてたら。笹塚は私なんかに目を留めなかっただろうし。可哀想だけど……でも、良かった。
私はホッとしてお酒を飲む。しかし、水沢がその表情をどう取ったのか軽く目を細めて嫌味な顔をした。
「余裕ぶってんじゃないわよ。男なんて皆構ってちゃんなんだから。油断して餌あげる事忘れてたらあっという間にとられちゃうんだからね」
「えっ……餌!?」
「笹塚さんの事。樋口はアンタより若くて可愛い女の子なんだもん。べたべたされて嬉しくないわけないでしょ。ちゃんとリード掴んでおきなさいよ?」
「み! 水沢! しーっしーっ!」
慌てて彼女の口に手を当てる。笹塚とつきあってるのは会社の人に言ってないのだ。なんか、あんまり会社でベタベタするのはよくないだろうし、公言するようなことでもないし……。
なのに目の前の横山主任が私の慌てようを見て「あははっ」と明るく笑う。
「相変わらずね、羽坂。心配しなくてもみーんな知ってるわよぉ。アンタが笹塚さんとつきあってることは」
「ぬぇっ!? ど、どうして!」
「ふふっ。隠すならもっと上手に隠さないと。それこそ他人を決め込む位にね? 笹塚さんと羽坂さんは仕事の話をしたりする度、見つめあったり微笑みあったりしていて。それはもう見てられない程可愛らしくて分かりやすかったわ?」
主任に続いて谷口さんまでもがクスクスと笑って言ってくる。…ク、あんなに隠していようと思っていたのに。皆本当に観察眼に長けてるというか……いや、この場合私が鈍すぎるのかな。
「全く、バレバレなのよあんたたちは。ちなみに社内恋愛がバレるとね、もし取った取られたって修羅場になったら、ホントみっともないわよ。だからアンタはちゃんと笹塚さんの管理だけはしておく事。時々餌もあげて、しっかりリードも持って。もし余所見したら『おあずけ』が効く位にはしつけておくのよ」
つきあいはじめのころにも水沢からアドバイスされたが、その時も「飴と鞭を使い分けるのよ」と言っていたし、彼女の物言いは、まるで犬を飼う人に指導するドッグトレーナーのようだ。
「せ、先生。とりあえず餌とかおあずけの意味がわかりません」
「はぁ~? あんたら、一年もつきあっててまだ清い仲なんですとか言わないでよね。もうやる事やってんでしょ?」
「ヒッ!? そ、それはその、いわゆるあの、あ、あれを指しているのでしょうか……」
呆れた表情をする水沢に、私は指をごにょごにょさせて俯き、ぽそっと呟く。
「え、えっち……とか?」
「きゃあ!」
「ひぇあ!」
私の呟きに横山主任がテーブルに倒れ、谷口さんは身をくねらせて何故か手をわきわきさせる。何だろう、皆して挙動不審だ。
ハッ! もしかしてえっちじゃない!? うわぁ、他にやる事って何だろう……。じゃなくて! めちゃくちゃ恥ずかしい発言をしてしまった!!
「今、今のなしです! じ、じゃああれ、えっと、そう! き、キスしたりとか。あの、ぎゅってしたり!」
「きす!?」
「ぎゅってしたり!?」
また私の言葉に主任と谷口さんが反応する。一体なんなんだ。水沢だけがずっとしらーっとした顔をして酒を飲んでいる。ううむ…もう他に恋人としてやる事が思いつかないのですが…。
「やばい、羽坂。今のはやばかったわ…」
「笹塚さん、きっと思わぬ収穫でしたでしょうね。それに、ああ、なんていうか。……横山さん、私達にもこういう時代がありましたねぇ」
「本当ねぇ、懐かしいわぁ。甘酸っぱくて初々しくて。笹塚さん、これはかなりやられてるでしょうね」
そして二人して「かんぱーい!」とグラスを合わせて仲良く飲み始める主任と谷口さん。もう何が起こってるのかさっぱりわからなくて戸惑いつつ水沢を見ると、彼女はメニュー片手に店員呼び出しボタンを押していた。
「もー本当にばっかみたい。心配してマジ損した。全く、アンタんとこは何も問題なしよ。そんな高校生でもしないような態度……余所見するわけないわよね。一生ラブラブしてなさいよ! やってらんない! 飲も飲も!」
心底嫌そうな顔をして、水沢は店員に焼酎のロックを頼みついでに焼き鳥も追加注文した。……何だろう、主任と谷口さんは「私も昔はねぇ」とか「初恋はねぇ」と昔の恋話に話を咲かせているし、何時の間にか水沢はぷりぷり怒ってるし、一人置いてかれた私はちびり、と所在なげにチューハイを飲むのであった。
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