学校帰りに待っていた変態オヤジが俺のことを婚約者だという

拓海のり

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12 変態オヤジ本領発揮

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 ベッドで藤原はいよいよその本性を現したのだ。
「君はネコです。ネコになりなさい」
 そう言って取り出したのはネコミミのヘアバンドと鈴のついた首輪だった。

 それを身に着けさせて、その後取り出したのは、俺も見たことのある藤原人形だった。あのバイブレーターになっている奴だ。しかもそれには長い尻尾が付いている。藤原は俺の身体にそれを装着した。

「嫌だよ、こんなモノ」
「大丈夫。すぐに慣れます」
「慣れて変態になりたくないっ!」
「大丈夫。一緒になれば怖くないです」
(そんなもん、一緒になりたくなーいっ!!)

 藤原は俺を四つん這いにさせた。動くたびにチリンチリンと首輪についた鈴が鳴る。本当にネコになった気分だ。尻尾のバイブレーターを藤原が弄る。出したり、入れたり、周りを円を描くようにして動かしたり、尻尾で内股やら尻の割れ目を擽るようになぞって遊んだり、そして身体の中に入れてスイッチを入れるとウィーーンと低い音がしてそれが動き出した。

「あっ、やっ、止めてっ……」
 首の鈴がチリンチリンと鳴った。
「すぐに慣れます。他にも色々あるんですよ。そう、やっぱりフルコースを楽しんでいただかないと」
(たっ、楽しめるかーーーー!!!)

 こんな酷いコト、自分が好きな奴には出来ないよな。俺、あの子の代わりに苛められるんだ。あの子にはやりたいことが出来ないから俺にするんだ。

「可愛いですよ。もっと泣かせてあげましょう。うーんと苛めてあげましょう。立派なネコになれるよう、きちんと躾けてあげます」
 俺、躾けられてどうなるんだろう。ふと不安が湧き起こった。まさか──。

「あんたなんか嫌いだっ!!」

 不安がそのまま言葉になった。藤原がどんな顔をしたのか分からない。俺に向かって話す声の調子は変わらなかった。

「好きだと言いなさい。欲しいと言いなさい」
 そう言いながら俺のモノに手を伸ばして身体の熱を更に煽った。
「身体を擦り付けてお願いしなさい」
 まだイカせて貰っていなかった。解放出来ていない熱が俺の身体で暴れる。バイブの振動がちょうど俺のいいところに当たっている。

「ううう。助けて。助けて」
 俺はいつしか藤原にしがみ付いていた。鈴が耳にうるさく鳴る。
「何て言うんですか」
「好き……、藤原さんが好きっ……」
「いい子ですね。でも、おねだりするからには君にも奉仕していただかないと」
「何をっ……」
 目の前にいきなり獰猛なモノを持ってこられた。

「渉君にはこれが大好物になっていただかないと」
(大好物って……)
「うんと上手になって頂きたいですね」
(上手になってどうする気だよ)
「上のお口も下のお口もコレが大好きになって下さいね」

 藤原はそのすでに勃ち上がっているモノを俺の口に宛がった。大きなモノが口の中に入ってくる。見上げると藤原の笑った唇が見えた。藤原が俺の尻尾を動かした。振動がいいところを擦って俺の身体が跳ねる。

 手を藤原のモノに添えて口を動かした。チリンチリンと鈴が鳴る。
「そう、舌を絡めて下さいね」
 注文を出される。言う通りに舌を絡めると口の中のモノの容積が増した。口を動かしていると耳にチリチリチリと鈴の音が響いてやかましい。

「いい子ですね」
 そう言って藤原のモノが口から出て行った。腰を取られて後ろから大きなものが俺の身体をこじ開けて入ってくる。チリンチリンと鈴が忙しなく鳴った。グイグイと確実に押し進めて俺の身体の中に全部収めて、やっと俺を解放してくれた。

「はあ……」
 チリリンという鈴の音とともに脱力した俺の腰を掴み、ゆっくり抽挿をはじめた。
「これが大好きになってもらわないと。抱かれるときは嬉しそうにしていただかないと。もっととか、イイとか、可愛くおねだりしていただかないと。正しいネコはそうあるべきです」
(誰かこのオヤジにまともなネコの躾け方を教えてやってくれ)


 目が覚めると隣に藤原が寝ている。俺も奴も素っ裸だ。ネコミミと鈴をかなぐり捨てて、まだ夢の中にいるオヤジに中指をつきたてた。
 クルリと背中を向けて自分の部屋に戻ろうとしたとたん、オヤジの手が伸びてベッドに引きずり込まれる。

「ギャッ!! 何すんだよ!!」
 オヤジは俺を抱き寄せてニッと笑った。
「元気がいいですねえ」
 そのまま俺の顎を掴まえてキスをかました。朝っぱらからそんなディープなキスをするなーーー!!!
(ぐうっ!!)

「おや」
(キュルキュルキュルーーー!!)
「色気よりも食い気ですか」
(悪いか。健全な青少年は運動をすると腹が減るんだよっ!!)

 オヤジは俺の頭にぽふぽふと手を置くとベッドから出た。黒っぽい背広を着ていると分らなかったが、痩身でボクサーとかマラソンランナーみたいな見事な身体をしている。藤原は俺の方をチラリと見て嬉しそうに笑った。

「渉君の為に頑張って鍛えました」
 と力瘤を作ってみせる。俺の代わりにお腹がグウッと返事をした。
「君に色気を期待するのは百年早いようですね」
(百年どころか千年でも早いわいっ)


 食事の後、藤原に誘われて庭に出た。この家に来てからゆっくりと庭なんか見たことはなかった。

 家も広いが庭も広い。築山があって池があって赤白黒のきれいな模様の鯉が泳いでいた。庭木は綺麗に刈られて冬の支度がしてある。赤や黄色の落ち葉が苔や芝生の上に散って綺麗だった。

 藤原は俺と同じTシャツにセーター姿で下ろした前髪が歳よりも若く見せた。
「あんた何でその髪型にしないんだ?」
 藤原はほうという風に俺を見た。
「その髪形のほうが若く見える」
 俺が断言すると嬉しそうに笑って前髪に手をやった。

「そうですか。でも私は色々苦労しましたので頭の天辺が少し薄いんですよ。渉君、私がハゲオヤジになっても愛してくれますか」

 これは愛の告白だろうか。もしかして、俺を他所に売るんじゃないかとか、売りをやらせるんじゃないかとか不安になったが、そうじゃないのかな。
「渉君も何処に出しても恥ずかしくない立派なネコにしてあげますからね」
(やっぱり売るつもりかよ……)

 もしかしたらと思ったけれど、やっぱり変態オヤジは変態のままだった。

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