姉が結婚式から逃げ出したので、身代わりにヤクザの嫁になりました

拓海のり

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12 追いかけて来た男(1)

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 芳原暖斗は正式に義純と結婚して如月暖斗になってしまった。義父でつまりは暖斗の旦那であるところの如月義純はヤクザだった。暖斗は毎日義父の義純にこき使われ……、もとい可愛がられる身の上となったのだ。姉の有香を差し置いて。

 義純は表向きは如月工務店という真面目な建設会社を営んでいる。毎朝、秘書の梅田と共に真面目に出勤して行く。
 暖斗はそれを見送った後、脩二に連れられて新しい学校に通い始めた。

 新しい学校は私立の男子校だった。金持ち校に見える。通っている生徒の大半が送迎付きなのだ。暖斗は校門へ次々に乗りつける車を呆れて見た。

 担任の教師に連れられて新しいクラスに行くと、それまで騒がしかった教室が静まり返った。暖斗はこんな金持ち校に、自分のような庶民が受け入れてもらえるだろうかと不安になる。
 しかし、暖斗の席が決められホームルームが終わると早速話しかけてきた奴がいた。

「如月君」と呼ばれて誰の事だと暖斗は一瞬戸惑う。
 話しかけてきたのは、細い眼鏡をかけた黒髪短髪の背の高い男で私服の多いこの学校で制服を着ていた。
「僕は東原というんだ」
 と暖斗ににこやかに手を差し出して来る。
「君の事を先生から頼まれた。分からない事があったら何でも聞いてくれ」
 暖斗もよろしくと手を出した。他の生徒は遠巻きに二人の様子をチラチラと横目で見ている。

 東原は暖斗の隣の席で、教師の性格や癖を教えたり、校内を案内してくれた。
 しかし東原以外は皆遠巻きにして誰も近付いて来ない。訳の分からない所に放り込まれて不安で一杯だった暖斗は、とりあえず友人が一人出来た事にホッとした。

 迎えに来た脩二が「どうでした?」と聞いてくるので友達が出来たと話す。
「そうですかい」
 脩二は東原の事を簡単に聞いただけだった。
 家に帰ると掃除、片付け、夕飯の用意と脩二に追い使われた。その内義純が帰って来て、夕飯の後は夜のお勤めが待っている。

 * * *

「学校はどうだ」と義純も聞いた。
「金持ち校なのか?」
 暖斗が聞くと「いい学校だ。俺もあすこを出たからな」と言う。
(どういう風にいい学校なんだよ)
「おめえもあそこを出て、大学に行って、俺の片腕になれるよう頑張れ」
(ヤクザの片腕だろうか、それとも会社の方か?)
 義純の言葉に悩む暖斗の身体を引き寄せて義純は愛撫し始めた。

 キスをしながら寝巻きの中に手を差し込んで、乳首をくねくねと指で揉み込まれて息が荒くなる。
「はう……」
「感度がいいな、お前は」
 義純は暖斗の身体を膝に抱き上げた。暖斗の着ている寝巻きを肩から引き摺り下ろし、乳首に唇を寄せて舌で転がす。裾から侵入した手が太股や尻を這いずり回る。
 暖斗は義純にしがみ付いて身体をくねらせた。
「よ、義さん……、まだアレ入れなきゃあいけないの……?」
 暖斗がお尻をもじもじとする。まだ張り型と拘束具をつけられていた。
「そうだな」
 義純は暖斗の身体を横たえて、つけられたモノを取り去った。そのまま蕾に指を入れゆるゆると動かす。
「ああん……、義さん……」
「感じているんだな、もうこんなにして」
 義純が耳元で囁く。張り型の所為か義純に煽られてか暖斗のモノはすでに勃ち上がり透明な蜜を零していた。
「物足りないだろう、こんなもんじゃあ。何が欲しいかちゃんと言いな」
 義純は暖斗のモノには触らないで、蕾に入れた指を抽挿させて焦らした。
「んあ……、義さ……ん……、入れて……、可愛がって……」
 暖斗は堪らなくなっておねだりする。いい子だと義純は暖斗の上に乗り上がり、その大きな塊で暖斗の身体をこじ開けて入って来た。深く深く。
「どうだ……?」
 義純が耳元で聞く。
「う……ん……、きつい……」
「ふっ……、俺もキツイぜ。やっと全部収めたからな」
「みんな入ったの?」
「ああ……、動くぞ……」
 暖斗は義純の言葉にその身体にしがみついて待った。ゆるゆると義純が動き出す。
「あああん……義さ……ん……」
「いいか……?」
「ああん……、いい……」
「ふっ、おめえは素質があるぜ……」
「……素質って……?」
「淫乱──」
「い、淫乱……?」
「もっと狂え、もっとよがれ。もっと可愛がってやるぞ。もっと可愛く泣け」
「あああん……義さ……ん……」
「どうだ大きいのが好きだろうが」
「好き……義さん……」
「もっと言え、もっと可愛く泣け」
「ああん……義さん……大きいよぅ……好きだよぅ……」
 義純の言う通りにしているとだんだんその気になってくる。本当は自分がどうしたいのか分からなくなってくる。
 何度もイカされてこの淫乱がと言われると、暖斗は自分が本当に淫乱になってしまったような気がした。
 もう俺無しじゃいられないだろうと言われると、本当に義純がいないとどうしようと思うようになり、コレが一番だろうと言われると、本当に義純の大砲が一番いいように思えてきた。
 これでいいのだろうかと思うと、すかさず義純がコレが一番いいだろうと暖斗を高みに押し上げる。義純に言わされるままに喚いている内に、どれが自分の言葉か分からなくなった。

「あほう、全部おめえが言っているのよ。言わされようがどうしようが言葉は言葉だ。おめえがそう思っているからどんどん口から出て来るんだ。ソレ言ってみろ」
「ああん……義さん。好き、愛してる。もっと大きいのが欲しいよう」
 指で焦らされるともう堪らない。
「この淫乱が」
 義純にそう言われても欲しい。すると自分は淫乱なんだ。
 そう思うとすかさず「おめえの身体は何処もかしこも淫乱だ」と、義純が暖斗の体の感じるところを触りまくる。
 毎日触られて敏感にされて「欲しいと言え」と言わされて紙に書かされて、義純に開発されて、暖斗はどんどん義純好みに変えられていった。


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