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26 浄化の巨人
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アストリとミハウは辺境から帰って来たクルトとマガリも連れて、前修道院長であるブルトン男爵夫人の屋敷に行った。貴族街の外れで木立の間にぽつりぽつりと裕福な下位貴族や平民等が屋敷を構える閑静な住宅街である。
広い庭のある奥まった屋敷に着くと、目立たない中肉中背の男が出迎える。
「こちらロジェさん。ブルトン男爵夫人の秘書兼執事さん。この二人はクルトとマガリ。私達の身近な使用人だ」
「それはそれは、新参者ですがよろしくお願いします」
「よろしくお願いします」
紹介すれば察したのだろう、ロジェはクルトとマガリに丁寧にあいさつする。
クルトとマガリは直ぐにロジェと打ち解けて、何くれとなく手伝い始めた。
アストリとマガリがブルトン夫人と編み物の話を始めて、ミハウは屋敷の周りを調べる為に外に出た。屋敷の周りに怪しい者はいない。結界も綺麗に張れている。
流石は前修道院長だと感心しながら屋敷に戻る。
エントランスを抜けると廊下に前王妃マリーが心許なげに立っていた。
「ミハウ様……」
呼びかけて一歩二歩と歩いた。ヨロと躓くようにミハウに縋る。
「わたくし怖くって、わたくしの所為だと思っていらっしゃるの?」
「君の魅了は私には効かない」
「え」
アストリはミハウが帰って来ないのでドアを開けて部屋の外を覗いた。そして、見てしまった。ミハウとマリーが寄り添っているように見えて、スッと部屋に引っ込んだ。
◇◇
「護衛の男は銀髪で、顔に切り傷のあった男だとシスターから聞いたわ」
リビングでゆったりとお茶を飲む修道院長に聞くと彼女はそう答えた。眼鏡をかけて茶色の髪を緩くお団子にして纏め、軽く化粧をして、モスグリーンのドレスを着た彼女は若々しくて、とても前の修道院長には見えない。
護衛の男はルイーズを送り届けると、何も話さずあっさり去っていったという。
「シスターは傷があったので覚えていたのね」
「わたくし覚えているわよ」と口を挟むのは修道女の格好をした前王妃マリーだ。
「何度か見たことがあるの。王宮でルイーズの送迎の護衛をしていた。美しいのに顔に無残な切り傷があって、際物っていう感じの男だったわ」
「まあ選り取り見取りのあなたにとって、際物かもしれませんがね」
ブルトン夫人は嫌味な調子で言う。際物って何だろうとアストリは思った。銀髪という事はもしかしてと期待も持つ。とにかく、あの前国王達ではないと信じたいのだ。
「そりゃあ、あんな風にして自分が出来たと思いたくないわよ、ねえ」
ニヤリと獲物を甚振る肉食獣のような目で笑うマリーは、魔物か悪魔に思える。あの時の恐怖と絶望感。だが母には助けに来る人もいなかった。
「モンタニエ教授。これでヒエラルキーと言えるのか?」
アストリを引き寄せて教授に文句をつけるミハウ。
「我々に対して、面と向かって悪口を言っているじゃないか」
「うーむ。面と向かって歯向かっておるわけではないがの」
「あーら、違うわよ。わたくしは苛めるのが好きなの。ゾクゾクしちゃう。それに、この方虐められるの好きじゃない?」
「そんなことはありません」
誰が苛められることが好きな者がいるものか。それは正常ではない。アストリは我慢はしても傷付かないように心に鎧を纏っている。
大の男に押さえ付けられたら勝てないけれど、国王だからと遠慮せずに雷撃でも光の剣でもぶち込めばよかったと後悔している。女性である王妃がゲスな男達の手助けをした事にも納得がいかないのだ。
母の日記もどこか信じられない所があった。だが殆んどは真実だったのだ。
(お母さん、ごめんなさい)
心の中で謝る。
(きっと、お父さんを探し出すから)
マリーは揶揄って引っ掻き回して面白がっている。そんな人なのだ。自分が面白いことをいつも探している。引っ掻き回すのが好きなのだろう。道を外れても、人をいいように操って、何があっても、面白かったらいいのだろうか。
国王陛下が死んでも、取り巻きが死んでも、悼む気持ちもない。
人が死のうが、国が滅びようが、笑っているのだろうか。
こういう人に引っ掻き回されたら、上手くいくものも行かなくなるのではないか。初期のまだ何もない時期に、この人数を引っ掻き回されたら──。
ただでさえ危険な不死の身体を、彼女がいいように使ったら────。
じっと前王妃を見る。にこやかに笑っている彼女の目の奥に黒いモノがゆらゆらと揺れているように思える。多分それは自分の思い過ごしなのだろう。人は誰も多かれ少なかれそういうものを持っている。
でも、気になる。
(この彼女の心の奥にある黒い何かは、綺麗にならないのかしら)
「あのう、この方を浄化してみてもいいでしょうか」
「聖水じゃなくてもいいのか?」
「あ、聖水も使ってみますね」
アストリは立ち上がると、手を組み元王妃マリーに向かって詠唱し始める。
「ちょっと何をする気よ?」と、油断なくアストリを見るマリー。
「地に封じられし巨人よ、光の触媒として蘇り、浄化せよ『ピュリフィエ』」
すると、床からゴゴゴゴゴゴ…………、と湧き出るように、髭もじゃもじゃの巨人が現れたのだ。巨人はマリーを囲うように両手で包む。
「いやあ、何よこれっ!」
流石に逃げられもせず、身体を抱きしめて身を伏せ、怯えるマリー。
「な、何を呼んだんだ」
「ティタン……?」
驚いて殆んど逃げ腰でその場に止まる面々。
アストリの横に立つミハウも目を丸くしている。
「浄化で、何でそんなものが出るのだー!?」
堪りかねた教授が叫ぶ。
「魔法は個人の感性やひらめきが大きい。だから、定型の呪文ではなく、心に浮かんだ文言をそのまま紡ぐことがある」
ミハウはアストリのすぐ後ろに控えて、部屋の半分を占める巨人を見上げる。
「その方が効果が大きいんだ。しかし、これは大技だな」と感心したように呟いた。
アストリの魔法はまだ完成していない。
天を見上げ、両手を掲げる。光が降りて来た。輝く光は巨人に向かって降り巨人を包む。巨人は光を吸収して、マリーどころか室内全体を浄化して行く。
清らかで清浄な空気が広がった。それは部屋を突き抜けて屋敷の内外まで広がって行ったのだ。
そして、浄化が終わると巨人の姿はゆっくり消えて行った。
「ああ、何だか昇天したくなります」
マガリが胸で手を組んでほうと息を吐く。
「こらこら」クルトがその肩を押さえた。
「あれが昇天しないから大丈夫だろう」
モンタニエ教授はマリーに顎をしゃくる。マリーはその場にしゃがみ込んだまま呆然としていた。
「そうですね」
手を組んで祈っていたブルトン夫人はそのままの姿勢でほうと息を吐いた。
マリーの顔を首を傾げて見て「聖水も使いましょうか?」とアストリが聞くと「じょ、冗談じゃないわ!」
真っ先に拒絶して、床に座り込んでさめざめと泣きだした。
アストリはミハウと顔を見合わせる。
「大丈夫でしょうか」
「私はスッキリ気持ち良くなったんだがな」
「そうですか」
少しホッとしたように笑った。
すっかり大人しくなったマリーだったがミハウは容赦しない。
「教授、ちゃんと隷属の首輪は発動させろ。でないとお前の書いた計画は絵に描いた餅になる」
「はい、肝に銘じました」
モンタニエ教授は神妙にそう言って、何故かアストリを恐ろし気に見るのだった。
広い庭のある奥まった屋敷に着くと、目立たない中肉中背の男が出迎える。
「こちらロジェさん。ブルトン男爵夫人の秘書兼執事さん。この二人はクルトとマガリ。私達の身近な使用人だ」
「それはそれは、新参者ですがよろしくお願いします」
「よろしくお願いします」
紹介すれば察したのだろう、ロジェはクルトとマガリに丁寧にあいさつする。
クルトとマガリは直ぐにロジェと打ち解けて、何くれとなく手伝い始めた。
アストリとマガリがブルトン夫人と編み物の話を始めて、ミハウは屋敷の周りを調べる為に外に出た。屋敷の周りに怪しい者はいない。結界も綺麗に張れている。
流石は前修道院長だと感心しながら屋敷に戻る。
エントランスを抜けると廊下に前王妃マリーが心許なげに立っていた。
「ミハウ様……」
呼びかけて一歩二歩と歩いた。ヨロと躓くようにミハウに縋る。
「わたくし怖くって、わたくしの所為だと思っていらっしゃるの?」
「君の魅了は私には効かない」
「え」
アストリはミハウが帰って来ないのでドアを開けて部屋の外を覗いた。そして、見てしまった。ミハウとマリーが寄り添っているように見えて、スッと部屋に引っ込んだ。
◇◇
「護衛の男は銀髪で、顔に切り傷のあった男だとシスターから聞いたわ」
リビングでゆったりとお茶を飲む修道院長に聞くと彼女はそう答えた。眼鏡をかけて茶色の髪を緩くお団子にして纏め、軽く化粧をして、モスグリーンのドレスを着た彼女は若々しくて、とても前の修道院長には見えない。
護衛の男はルイーズを送り届けると、何も話さずあっさり去っていったという。
「シスターは傷があったので覚えていたのね」
「わたくし覚えているわよ」と口を挟むのは修道女の格好をした前王妃マリーだ。
「何度か見たことがあるの。王宮でルイーズの送迎の護衛をしていた。美しいのに顔に無残な切り傷があって、際物っていう感じの男だったわ」
「まあ選り取り見取りのあなたにとって、際物かもしれませんがね」
ブルトン夫人は嫌味な調子で言う。際物って何だろうとアストリは思った。銀髪という事はもしかしてと期待も持つ。とにかく、あの前国王達ではないと信じたいのだ。
「そりゃあ、あんな風にして自分が出来たと思いたくないわよ、ねえ」
ニヤリと獲物を甚振る肉食獣のような目で笑うマリーは、魔物か悪魔に思える。あの時の恐怖と絶望感。だが母には助けに来る人もいなかった。
「モンタニエ教授。これでヒエラルキーと言えるのか?」
アストリを引き寄せて教授に文句をつけるミハウ。
「我々に対して、面と向かって悪口を言っているじゃないか」
「うーむ。面と向かって歯向かっておるわけではないがの」
「あーら、違うわよ。わたくしは苛めるのが好きなの。ゾクゾクしちゃう。それに、この方虐められるの好きじゃない?」
「そんなことはありません」
誰が苛められることが好きな者がいるものか。それは正常ではない。アストリは我慢はしても傷付かないように心に鎧を纏っている。
大の男に押さえ付けられたら勝てないけれど、国王だからと遠慮せずに雷撃でも光の剣でもぶち込めばよかったと後悔している。女性である王妃がゲスな男達の手助けをした事にも納得がいかないのだ。
母の日記もどこか信じられない所があった。だが殆んどは真実だったのだ。
(お母さん、ごめんなさい)
心の中で謝る。
(きっと、お父さんを探し出すから)
マリーは揶揄って引っ掻き回して面白がっている。そんな人なのだ。自分が面白いことをいつも探している。引っ掻き回すのが好きなのだろう。道を外れても、人をいいように操って、何があっても、面白かったらいいのだろうか。
国王陛下が死んでも、取り巻きが死んでも、悼む気持ちもない。
人が死のうが、国が滅びようが、笑っているのだろうか。
こういう人に引っ掻き回されたら、上手くいくものも行かなくなるのではないか。初期のまだ何もない時期に、この人数を引っ掻き回されたら──。
ただでさえ危険な不死の身体を、彼女がいいように使ったら────。
じっと前王妃を見る。にこやかに笑っている彼女の目の奥に黒いモノがゆらゆらと揺れているように思える。多分それは自分の思い過ごしなのだろう。人は誰も多かれ少なかれそういうものを持っている。
でも、気になる。
(この彼女の心の奥にある黒い何かは、綺麗にならないのかしら)
「あのう、この方を浄化してみてもいいでしょうか」
「聖水じゃなくてもいいのか?」
「あ、聖水も使ってみますね」
アストリは立ち上がると、手を組み元王妃マリーに向かって詠唱し始める。
「ちょっと何をする気よ?」と、油断なくアストリを見るマリー。
「地に封じられし巨人よ、光の触媒として蘇り、浄化せよ『ピュリフィエ』」
すると、床からゴゴゴゴゴゴ…………、と湧き出るように、髭もじゃもじゃの巨人が現れたのだ。巨人はマリーを囲うように両手で包む。
「いやあ、何よこれっ!」
流石に逃げられもせず、身体を抱きしめて身を伏せ、怯えるマリー。
「な、何を呼んだんだ」
「ティタン……?」
驚いて殆んど逃げ腰でその場に止まる面々。
アストリの横に立つミハウも目を丸くしている。
「浄化で、何でそんなものが出るのだー!?」
堪りかねた教授が叫ぶ。
「魔法は個人の感性やひらめきが大きい。だから、定型の呪文ではなく、心に浮かんだ文言をそのまま紡ぐことがある」
ミハウはアストリのすぐ後ろに控えて、部屋の半分を占める巨人を見上げる。
「その方が効果が大きいんだ。しかし、これは大技だな」と感心したように呟いた。
アストリの魔法はまだ完成していない。
天を見上げ、両手を掲げる。光が降りて来た。輝く光は巨人に向かって降り巨人を包む。巨人は光を吸収して、マリーどころか室内全体を浄化して行く。
清らかで清浄な空気が広がった。それは部屋を突き抜けて屋敷の内外まで広がって行ったのだ。
そして、浄化が終わると巨人の姿はゆっくり消えて行った。
「ああ、何だか昇天したくなります」
マガリが胸で手を組んでほうと息を吐く。
「こらこら」クルトがその肩を押さえた。
「あれが昇天しないから大丈夫だろう」
モンタニエ教授はマリーに顎をしゃくる。マリーはその場にしゃがみ込んだまま呆然としていた。
「そうですね」
手を組んで祈っていたブルトン夫人はそのままの姿勢でほうと息を吐いた。
マリーの顔を首を傾げて見て「聖水も使いましょうか?」とアストリが聞くと「じょ、冗談じゃないわ!」
真っ先に拒絶して、床に座り込んでさめざめと泣きだした。
アストリはミハウと顔を見合わせる。
「大丈夫でしょうか」
「私はスッキリ気持ち良くなったんだがな」
「そうですか」
少しホッとしたように笑った。
すっかり大人しくなったマリーだったがミハウは容赦しない。
「教授、ちゃんと隷属の首輪は発動させろ。でないとお前の書いた計画は絵に描いた餅になる」
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