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11 秘密の部屋

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 しばらくキスをしたり、胸を弄られていると、私の中にまだいる殿下の肉棒が力を取り戻した。殿下は私の中からソレを抜いた。シーツに白いものと赤いものが斑に広がってとても恥ずかしい。
 それに、何だか喪失感がすごい。私の襞が、それを引き留めるように蠢く。
「ふふ、引き留めてくれるんだ。大丈夫、今度は後ろからしてあげる」
 私は俯せにされて、腰を持ち上げられた。殿下の剛直が後ろから入って来た。
 先程とは違うところが押し広げられる感じで少し辛い。

 殿下が動き出す。ぐちゅずちゅと卑猥な水音がする。
 ああん、気持ちがいい。どうしたの、どうしてこんなにいいの?
 もっと突いて、捏ね繰り回して無茶苦茶にして、もっと……。ああん……。
 泣いてしまう。こんなにダメになってしまって、啜り上げて泣いてしまう。
「あああん……」
 腰を抱いていた手を胸に回して、両の手で揉んだり、粒を捏ね繰り回したりそんな事をされるのも嬉しい。
 そして耳に囁きかける。
「私たちは相性がいいね。セラフィ、愛しているよ」
 ああ、ダメ。耳にそんなこと、
「君はここも弱いんだね。こんなにきゅうきゅう締め付けて、こんなに蜜を零して、こんなに乱れて」
 ああん、囁かないで……。
「あっ……あん……、オ―リさまぁ……わたしも、あいしてます……」
「可愛いセラフィ……。たくさん可愛がってあげるからね」
「おーりさまぁ……あんっああんっ……!」
 私は殿下の剛直を咥え込んで、すすり泣くように喘ぐ。
 顔も身体もドロドロになるまで殿下に犯されて、両手を縛られたまま、殿下の好きなようにされて、悦んでよがり狂っている。
 ああ、狂ってるんだわ。こんなに声をあげて泣き叫んで……。


 どうしよう。仮面を外したら旦那様がサドだった。彼もダヴィードみたいにナイフを出して、私を切り刻みたいのかしら。

 私も新しい扉を開いてしまったのかしら。
 鉄仮面を外すと変態が二人とか。何の冗談なのか。笑えない。


 目が覚めるとすっかりきれいにされて、紐も解かれて殿下の腕の中で眠っていた。殿下の美しい顔を見ると昨夜のことが思い出されて、恥ずかしくて恥ずかしくて、どうしようもなくなった。

「うん……、セラフィ、起きたの」
「あ……、起こしてしまって……ご、ごめんなさい」
 声がヘンだわ。
「何時かな、よく寝たね」
 私を抱き寄せてキスをする。
「昨日は無理をさせたね、体大丈夫?」
「は……い……」
 声がガラガラでまともに返事が出来ない。
 殿下が侍女を呼んで、はちみつ水を持って来てもらった。

 昨夜は少し怖い話をされたから、殿下の事が怖かったんだけど、ひどい事もされなくて、とても気持ちがよかった。
 でも、彼は喜んでくれたのかしら。途中から何が何だか分からなくなって、ほとんど泣き叫んでいたような気がするのだけれど。
 私だけよくなって、呆れていないかしら。

 その日は動こうとしても腰が立たなくて、とても怠くてずっとベッドにいた。殿下はかいがいしく世話を焼いてくれて、それも恥ずかしかった。


 身体の調子がよくなると、殿下に離宮を案内してもらった。
 離宮は静かであまり人の気配はない。あまり広くなくこぢんまりとしていて、庭園は綺麗に手入れされている。


 殿下は書斎に入った。書棚の奥に大きな鏡がある。鏡の額のどこかを動かすと鏡がドアのように開いて、そこに階段が現れた。
 手燭を持った殿下に手を取られて薄暗い階段を下りて行く。踊り場に出て、薄いカーテンが幾重にも張り巡らされたところを潜る。

 ベッドルームくらいの大きさの部屋に出た。壁も床も石で出来ていて、壁に燭台がいくつか取り付けられている。部屋にはいつか見た甲冑や鎧が並べて置いてあった。薄暗くてとても怖い。ビロードのカーテンが下りてその間に絵が見える。
 奥の方に、薄いカーテンをたくさん下した一段高い場所があって、広いベッドが置いてあった。ベッドの周りには鎖があちこちから出て先に手鎖が付いている。

 私は殿下にしがみ付いた。
「あの……」
 喉が渇いて声が出ない。でも聞かなければ。
「ここは……何ですか?」
「お仕置きする所だよ」
 殿下は私を、ベッドの横に取り付けられた戸棚の方に連れて行って、戸を開いた。
「ひっ!」

 そこにはたくさんの鞭やら蝋燭やら小型のナイフやらロープが仕舞ってあった。
殿下は私の手を掴んで、もう一つの戸を開く。
 そちらにはうねうねと動くゼリー状のものや、張り型や何に使うのか分からないような細々とした道具類や、魔道具が置かれている。
「まあ、めったに使う事はないが」
 戸を閉めて殿下は明るく言う。そうだろうか。では何で私に見せたのだろう。それに、何でマリカとダヴィードの話をしたのか。そんな話は聞きたくなかった。
「行こうか」
 私の肩を抱いてその部屋を後にする。
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