赤ちゃん竜のお世話係に任命されました

草野瀬津璃

文字の大きさ
38 / 89
コミカライズお礼+完結お祝い企画ss

 リク03 イシュドーラとの戦い直後。結衣とアレク、ソラでの会話。

しおりを挟む
 
 二巻の終わり、戦い直後のみんなでの会話です。
 こちらで企画ssは終わりです。
 アイデアくださった皆様、ありがとうございました(^ ^)

------------------------------------

 祭壇の間に入ってきた皆と、結衣は無事の再会を喜びあった。

『大丈夫か、ユイ! 怪我をしてはいないか?』

 心配そうにソラが問うので、結衣は両腕を広げてみせる。

「全然平気! ほら」
『良かった。盟友が、結衣が危ないと言い出した時は肝が冷えたぞ』

 ソラはそう言って、フンフンと結衣のにおいをかいでくる。結衣は破顔して、ソラの鼻面をぽんと軽く叩いた。

「ソラ達は大丈夫だったの?」
『まあ、なんとかな』

 頷いたソラだが、ちょっと歯切れの悪い返事だ。

「神殿の入口前で、番竜ばんりゅうや衛兵とともにアスラ兵を防いでいたんです、大変でしたでしょう」

 アレクがそう言うと、駆けつけた若い番竜のオスがゆるりと頭を下げる。

『長が倒れた時はどうなることかと思いましたが、聖竜様のお陰で、皆、助かりました』
「ビャッ!?」

 その時、フィアががばっと跳ね起きた。
 太陽の女神シャリアに褒められて、驚きのあまり失神していたが、話し声で目が覚めたらしい。

「ピィアー!」

 甲高い鳥の声のような悲鳴を上げ、フィアは祭壇の間を走り出してしまう。

『フィア、そなたの父は我が癒したから大丈夫だぞ……。行ってしまったな』

 ソラが困ったように言った。
 寝起きにこんなことを聞いてはパニックにもなるだろう。
 結衣はフィアを追いかけようかと思ったが、ソラがずいっと頭を突きだして質問してきた。

『なにやら忽然とアスラ兵が全て消えてしまったが、いったい何があったのだ?』
「うん、実はね」

 結衣はその場にいる面々に、事の顛末てんまつを説明した。

「なんと、太陽の女神様がご降臨こうりんくださったのですか!」

 神殿を守る衛兵が、感極まった様子で叫ぶ。

『聖なるものの一部で、夜闇の神の封印が解けるのか。我も知らなかったぞ。今後はユイの護りをしっかり固めねばなるまいな!』
「私も初めて知りましたよ。祖父の代で、人間側はなんとかここまで領土を取り返しましたが、一度、アスラに壊滅まで追い込まれた時期があるせいか、文献資料は少ないですから。――ユイ、こちらをどうぞ」

 そういえばと、アレクが床に落ちている聖竜のうろこを拾ってきた。

「あ、ありがとうございます」

 結衣は受け取ったものの、お守り袋はイシュドーラに取り上げられた時に、客室に捨てられたままだ。

『そうだな。人間達はこの国だけは死守しておったのだったか? 平和になってきて、気持ちが緩んでいるのだろう、改めて警備を強化してもらわねばな』
「ええ……。この国といえば、ユイ、リディア姫はどうなさったんですか? 一緒でしたよね」

 アレクの問いに、結衣は慌てた。

「あ、そうだった! お姫様、イシュドーラに驚いて気絶しちゃったんでした。神官さん、あの!」
「医師とともに向かいますわ。ご安心下さい」

 お医者さんをと結衣が言う前に、察した女性神官は頷いて、衛兵とともに祭壇の間を飛び出していった。
 ひとまず場が一段落したので、結衣はアレクとソラに声をかける。

「私もフィアのお父さんに会いに行ってもいいですか? フィアが心配なので」
「ええ、行きましょう。私も気になります」

 そして、ソラの背に乗って、結衣とアレクが神殿の外に出ると、シムドとフィアをすぐに見つけた。
 シムドの頭に乗ったフィアが、ピアピアと鳴いて嬉しそうにしている。シムドも目尻を緩めて、我が子との再会を喜んでいた。
 その微笑ましい光景に、結衣達はしばらく声をかけるのを遠慮して、笑みを浮かべて見守っていた。


 ……終わり。

しおりを挟む
感想 20

あなたにおすすめの小説

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?

冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。 オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。 だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。 その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・ 「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」 「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

夫が妹を第二夫人に迎えたので、英雄の妻の座を捨てます。

Nao*
恋愛
夫が英雄の称号を授かり、私は英雄の妻となった。 そして英雄は、何でも一つ願いを叶える事が出来る。 そんな夫が願ったのは、私の妹を第二夫人に迎えると言う信じられないものだった。 これまで夫の為に祈りを捧げて来たと言うのに、私は彼に手酷く裏切られたのだ──。 (1万字以上と少し長いので、短編集とは別にしてあります。)

私が死んで満足ですか?

マチバリ
恋愛
王太子に婚約破棄を告げられた伯爵令嬢ロロナが死んだ。 ある者は面倒な婚約破棄の手続きをせずに済んだと安堵し、ある者はずっと欲しかった物が手に入ると喜んだ。 全てが上手くおさまると思っていた彼らだったが、ロロナの死が与えた影響はあまりに大きかった。 書籍化にともない本編を引き下げいたしました

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』

夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」 教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。 ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。 王命による“形式結婚”。 夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。 だから、はい、離婚。勝手に。 白い結婚だったので、勝手に離婚しました。 何か問題あります?

お嬢様はお亡くなりになりました。

豆狸
恋愛
「お嬢様は……十日前にお亡くなりになりました」 「な……なにを言っている?」

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。