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【ざまぁ回】第40話 新たな黒幕【ゴーレム研究院】、動き出す&元勇者パーティーメンバー、【裏冒険者ギルド】で強制労働させられる
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街の、とある高級宿。
あごひげをたっぷりたくわえた中年の男が、偉そうに脚を組みながらソファーに座っている。
男の名前は、ボイル。超古代技術【ゴーレム】を研究する組織【ゴーレム研究院】のナンバー3だ。
ボイルの前には若い男がひざまずいている。
「ボイル様、報告します。『アルカに剣術を教える予定だった冒険者に根回しして、アルカがパワーアップするのを阻止する』作戦は上手くいきました。
しかし、その状態でナットとアルカは勇者ハロンを撃破してしまいました」
報告を聞いて、ボイルは舌打ちする。
「ナットを冒険者として叩き潰して、弱ったところを我ら【ゴーレム研究院】に引き込む作戦は失敗か」
「ボイル様が前に考えた、『勇者パーティーの仲間に”ゴーレムのメンテナスは簡単だ”と吹き込んで、勇者パーティーからナットを追放するように仕向ける』作戦は面白いように上手くいったのですが。残念です」
「まぁ上手くいかないときもある。ナットを引き込み、技術を全て奪い取り、独占する。そうすれば我ら【ゴーレム研究院】で国家に等しい力を持つことも可能だ」
ボイルが口元を醜く歪める。
「俺たちもついに、0からゴーレムを作り出すことに成功した。この技術を使い、今度はナットに直接対決を挑む。そのための策はある」
ボイルのクックックという笑い声が部屋に響いた。
――――一方そのころ。
冒険者ギルド本部の地下にある、裏冒険者ギルド
何らかの理由で冒険者ギルドに借金を作った者たちが集められる、強制収容施設である。
屈強な冒険者達が、大部屋で整列して呼び出されるのを待っている。
冒険者の身体のどこか一部には、刺青が入っている。
奴隷紋。呪術の1種で、術者は紋章を刻んだ相手に命令できるようになったり、紋章が刻まれたものが逃げ出そうとした時にダメージを与える効果を持つ。
そんな裏冒険者ギルドに、新人2人が連れてこられた。
キキとカカだ。
2人を連れてきたのは、冒険者ギルド本部所属に所属している、小柄な黒髪呪術師のメルツ。
「……どうしましたか、2人とも。なにか不満がありますか……?」
「「あるぞ! 他のやつらは普通の紋章なのに、なんで俺たちだけえっちな紋章なんだよ!?」」
キキとカカは、ヘソのあたりにピンク色の♡形の紋章をつけられていた。
「俺は知っているんだぞ! これ、えっちな紋章だろ! えっちな気分にさせるための紋章だろ!」
「兄者の言うとおりだ! 俺たちにえっちな仕事させるつもりだろ! このヘンタイ呪術師め!」
「紋章の色や形はランダムです。……その紋章には、命令に従わなかったり逃げ出そうとした時に電流を流す効果しかありません。試してみますか?
……お2人とも、トイレの横の扉は外に通じていますが、絶対にそこから外に逃げ出したりしてはいけませんよ?」
「分かったぜ! ちょっと催してきたから俺はトイレに行ってくるぜ!」
「俺も行くぞ兄者ー!」
トイレ(の隣の扉)に向かってキキとカカが走り出す。そして、
”ビリビリビリッ!!”
「「ぐわああああああああああああああああああああ!!」」
紋章から電流が流れ、キキとカカは大ダメージを受ける。
「身をもって紋章の効果を体験していただいたところで、早速クエストを強制受注してもらいますね……」
メルツが手帳をめくる。
「裏冒険者ギルドでは、表のギルドで誰も受注しなかったり、表に出せないようなクエストを債務者に強制受注させて、その報酬金で借金を払わせます。……今日のクエストはこれですね」
手帳の1ページをメルツが見せる。
「依頼人は、ペット好きで有名なとある貴族の方。ペットのハミガキを依頼したいそうです」
「おいおいおいおい聞いたか弟よ! ペットの世話ごとき俺たちに掛かれば超楽勝だな!」
「兄者の言うとおりだ! そんな楽な仕事で借金返済が進むなんてありがたすぎるぜ!」
「ちなみにぺスは体長5メートルのワニモンスター、タイラントアリゲーターだそうです……」
「「ひょええええええ!? ハミガキなんかしたら、絶対俺たち喰われちゃうじゃん!!」」
「以前3回ぺスのハミガキを人に頼んだのですが、全員行方不明になってしまったそうです……。そしてそのあとしばらくぺスは餌を欲しがらなくなったと……。不思議ですね」
「「いやそれ絶対ハミガキした人喰われてるううううう!!」」
珍しくキキとカカが頭を働かせている。
「俺達はそんな危険すぎるクエスト絶対にやらないぜ!」
「兄者の言うとおりだ、俺達はモンスターの餌じゃないんだぜ!」
キキとカカが命令を拒否して逃げ出そうとする。だが、
”ビリビリビリッ!!”
「「ぐわああああああああああああああああああああ!!」」
再び電流でダメージを受ける。
「ですから先ほど説明した通り、命令を拒否したり逃げようとすれば電流が流れます……」
「「ええいクソ! 逃げられないならやってやるよー!!」」
キキとカカはヤケクソでクエストに挑む。
そして何とか、全身ワニの歯形だらけになって生還するのだった。
あごひげをたっぷりたくわえた中年の男が、偉そうに脚を組みながらソファーに座っている。
男の名前は、ボイル。超古代技術【ゴーレム】を研究する組織【ゴーレム研究院】のナンバー3だ。
ボイルの前には若い男がひざまずいている。
「ボイル様、報告します。『アルカに剣術を教える予定だった冒険者に根回しして、アルカがパワーアップするのを阻止する』作戦は上手くいきました。
しかし、その状態でナットとアルカは勇者ハロンを撃破してしまいました」
報告を聞いて、ボイルは舌打ちする。
「ナットを冒険者として叩き潰して、弱ったところを我ら【ゴーレム研究院】に引き込む作戦は失敗か」
「ボイル様が前に考えた、『勇者パーティーの仲間に”ゴーレムのメンテナスは簡単だ”と吹き込んで、勇者パーティーからナットを追放するように仕向ける』作戦は面白いように上手くいったのですが。残念です」
「まぁ上手くいかないときもある。ナットを引き込み、技術を全て奪い取り、独占する。そうすれば我ら【ゴーレム研究院】で国家に等しい力を持つことも可能だ」
ボイルが口元を醜く歪める。
「俺たちもついに、0からゴーレムを作り出すことに成功した。この技術を使い、今度はナットに直接対決を挑む。そのための策はある」
ボイルのクックックという笑い声が部屋に響いた。
――――一方そのころ。
冒険者ギルド本部の地下にある、裏冒険者ギルド
何らかの理由で冒険者ギルドに借金を作った者たちが集められる、強制収容施設である。
屈強な冒険者達が、大部屋で整列して呼び出されるのを待っている。
冒険者の身体のどこか一部には、刺青が入っている。
奴隷紋。呪術の1種で、術者は紋章を刻んだ相手に命令できるようになったり、紋章が刻まれたものが逃げ出そうとした時にダメージを与える効果を持つ。
そんな裏冒険者ギルドに、新人2人が連れてこられた。
キキとカカだ。
2人を連れてきたのは、冒険者ギルド本部所属に所属している、小柄な黒髪呪術師のメルツ。
「……どうしましたか、2人とも。なにか不満がありますか……?」
「「あるぞ! 他のやつらは普通の紋章なのに、なんで俺たちだけえっちな紋章なんだよ!?」」
キキとカカは、ヘソのあたりにピンク色の♡形の紋章をつけられていた。
「俺は知っているんだぞ! これ、えっちな紋章だろ! えっちな気分にさせるための紋章だろ!」
「兄者の言うとおりだ! 俺たちにえっちな仕事させるつもりだろ! このヘンタイ呪術師め!」
「紋章の色や形はランダムです。……その紋章には、命令に従わなかったり逃げ出そうとした時に電流を流す効果しかありません。試してみますか?
……お2人とも、トイレの横の扉は外に通じていますが、絶対にそこから外に逃げ出したりしてはいけませんよ?」
「分かったぜ! ちょっと催してきたから俺はトイレに行ってくるぜ!」
「俺も行くぞ兄者ー!」
トイレ(の隣の扉)に向かってキキとカカが走り出す。そして、
”ビリビリビリッ!!”
「「ぐわああああああああああああああああああああ!!」」
紋章から電流が流れ、キキとカカは大ダメージを受ける。
「身をもって紋章の効果を体験していただいたところで、早速クエストを強制受注してもらいますね……」
メルツが手帳をめくる。
「裏冒険者ギルドでは、表のギルドで誰も受注しなかったり、表に出せないようなクエストを債務者に強制受注させて、その報酬金で借金を払わせます。……今日のクエストはこれですね」
手帳の1ページをメルツが見せる。
「依頼人は、ペット好きで有名なとある貴族の方。ペットのハミガキを依頼したいそうです」
「おいおいおいおい聞いたか弟よ! ペットの世話ごとき俺たちに掛かれば超楽勝だな!」
「兄者の言うとおりだ! そんな楽な仕事で借金返済が進むなんてありがたすぎるぜ!」
「ちなみにぺスは体長5メートルのワニモンスター、タイラントアリゲーターだそうです……」
「「ひょええええええ!? ハミガキなんかしたら、絶対俺たち喰われちゃうじゃん!!」」
「以前3回ぺスのハミガキを人に頼んだのですが、全員行方不明になってしまったそうです……。そしてそのあとしばらくぺスは餌を欲しがらなくなったと……。不思議ですね」
「「いやそれ絶対ハミガキした人喰われてるううううう!!」」
珍しくキキとカカが頭を働かせている。
「俺達はそんな危険すぎるクエスト絶対にやらないぜ!」
「兄者の言うとおりだ、俺達はモンスターの餌じゃないんだぜ!」
キキとカカが命令を拒否して逃げ出そうとする。だが、
”ビリビリビリッ!!”
「「ぐわああああああああああああああああああああ!!」」
再び電流でダメージを受ける。
「ですから先ほど説明した通り、命令を拒否したり逃げようとすれば電流が流れます……」
「「ええいクソ! 逃げられないならやってやるよー!!」」
キキとカカはヤケクソでクエストに挑む。
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