【2章完結】超古代技術【ゴーレム】を扱える世界唯一の少年、不当に勇者パーティを追放されるが、戦闘も農業も全自動化し、世界最強に成りあがる!!

音速炒飯

文字の大きさ
上 下
32 / 65

第32話 ゴーレム技師、疫病から街を救い感謝される&災害級モンスターの討伐隊リーダーに任命される

しおりを挟む
 僕とアルカは、冒険者ギルドに捕獲したレインボーリザードを持ち込んでいた。

 またレインボーリザードを詰め込んだ袋を馬車に乗せて持ち込んだのだが、今回は前回ほど驚かれなかった。

「まぁ、ナットさんですからね。これくらいのことはするんじゃないかと心の準備をしていましたよ」

 と、若干呆れ気味の対応をされてしまったが。

 納品専用カウンターで、アルカと一緒にレインボーリザードの角を斬り落として1つ1つ受付のお姉さんに手渡ししていく。

「ナットさん、レインボーリザード本体はどうされますか? 角以外の部位にはあまり価値がないので高くはないですが、素材として買取できますよ?」

「いえ、レインボーリザード本体の素材は自分で使おうかと思っています。この素材をつかってやりたいことがあるんです」

「マスター、また新しい#形態_モード_#を追加してくれるのですか!?」

 アルカが目を輝かせて僕の方を見る。

「うん。難しい改造になりそうだから今回の討伐作戦には間に合わないけど、アルカがまたこれまでと違う戦術を使えるようにしたいんだ」

「楽しみです、マスター!」

 そんな話をしながら、レインボーリザードの角を斬り落としていく。

 ――そしてようやく、全ての角を取り終えた。

「ありがとうございます、確かに受領しました」

 角の入った袋を抱えて、受付のお姉さんが御礼をいう。

 ――その時、お姉さんの目から一筋の涙が零れ落ちる。

「ど、どうしました!?」

「すみません、実は……年の離れた私の弟も疫病に感染していまして。薬が無ければ1週間と言われていたのですが、これで弟は助かります……! 良かった、本当によかった!」

 一度こぼれると、後はとどまることなく涙があふれる。

「ありがとうございますナットさん! ナットさんのおかげで、弟は助かります!」

 袋を抱えて、受付のお姉さんは泣きじゃくる。

 僕とアルカは、お姉さんの方を見ないようにしつつお姉さんが落ち着くのを待った。

「……すみません、もう大丈夫です。お恥ずかしいところをお見せしました」

 お姉さんがカウンターの奥へ袋を運んでいく。戻って来た時には、すっかり普段の調子に戻っていた。流石プロだなぁ、と僕は感心した。

「ところで1つ、報告しないといけないことがあります。ダンジョンの中で、僕とアルカが不思議なものを見つけました」

「不思議な場所、ですか?」

 僕は、レインボーリザードを探す途中で見つけた不思議な場所の話をする。

 一見すると、その場所は他の場所と全く変わりない。しかし、その一帯だけ異常にモンスターが少ないのだ。

 ――まるで、何かを避けているかのように。

 そして、その中心には、深い穴が空いていた。その奥から、1つの大きなモンスターの鼓動が聞こえてくる。

 時々、穴の奥から何か巨大なものが動くような音が聞こえるのだ。

「……待ってください、直ちに調べます」

 切り替わった受付のお姉さんが、カウンターの奥から分厚い本を持ってくる。

 真剣な顔でページをめくっていく。

「……恐らく、そのモンスターは【ブロンズアームグリズリー】ではないかと思います。

「ブロンズアームグリズリーですか!? あの有名な!?」

 この街の冒険者で、その名前を知らない者はいない。

 1年前、街を襲撃したモンスターだ。

 超巨大な熊のモンスターなのだが、青銅のような強固な装甲を纏っていて、あらゆる攻撃を弾き返すという。

 当時ギルドに運よくプラチナ級冒険者が3人いたので迎撃したが、敗北。一方のブロンズアームグリズリーは、手傷を負った程度だったという。

 冒険者ギルドは迎撃を諦め、市民を避難させることにした。

 ブロンズアームグリズリーは商店エリアを我がもの顔で歩き回り、建物を壊しまくり、大量の食料を平らげたという。

 正確な金額は分からないが、この支部の冒険者ギルドに所属する冒険者全員の1カ月分の収入に匹敵する被害が出たらしい。

「前回の襲撃も、丁度今くらいの季節でした。もしかすると、冬眠から覚めて腹を空かせて街を襲ったのかもしれません」

「私が聴いた音では、穴の奥にいるモンスターはいつ目覚めてもおかしくない状態でした」

「分かりました。一刻も早く戦力を整えて、討伐する必要があります」

 受付のお姉さんが覚悟を決めたような目で宣言する。

「只今より、新たな緊急クエスト『アームグリズリーの討伐作戦』を発令します! そして、この作戦のリーダーとして、この場にいる最も信頼のおける冒険者、ナット=ソイルレットさんを指名します!!」

「ええ、僕がリーダーですか!?」
しおりを挟む
感想 38

あなたにおすすめの小説

もしかして寝てる間にざまぁしました?

ぴぴみ
ファンタジー
令嬢アリアは気が弱く、何をされても言い返せない。 内気な性格が邪魔をして本来の能力を活かせていなかった。 しかし、ある時から状況は一変する。彼女を馬鹿にし嘲笑っていた人間が怯えたように見てくるのだ。 私、寝てる間に何かしました?

貴様とは婚約破棄だ!え、出来ない?(仮)

胸の轟
ファンタジー
顔だけ王子が婚約破棄しようとして失敗する話 注)シリアス

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

婚約破棄を目撃したら国家運営が破綻しました

ダイスケ
ファンタジー
「もう遅い」テンプレが流行っているので書いてみました。 王子の婚約破棄と醜聞を目撃した魔術師ビギナは王国から追放されてしまいます。 しかし王国首脳陣も本人も自覚はなかったのですが、彼女は王国の国家運営を左右する存在であったのです。

【完結】妃が毒を盛っている。

井上 佳
ファンタジー
2年前から病床に臥しているハイディルベルクの王には、息子が2人いる。 王妃フリーデの息子で第一王子のジークムント。 側妃ガブリエレの息子で第二王子のハルトヴィヒ。 いま王が崩御するようなことがあれば、第一王子が玉座につくことになるのは間違いないだろう。 貴族が集まって出る一番の話題は、王の後継者を推測することだった―― 見舞いに来たエルメンヒルデ・シュティルナー侯爵令嬢。 「エルメンヒルデか……。」 「はい。お側に寄っても?」 「ああ、おいで。」 彼女の行動が、出会いが、全てを解決に導く――。 この優しい王の、原因不明の病気とはいったい……? ※オリジナルファンタジー第1作目カムバックイェイ!! ※妖精王チートですので細かいことは気にしない。 ※隣国の王子はテンプレですよね。 ※イチオシは護衛たちとの気安いやり取り ※最後のほうにざまぁがあるようなないような ※敬語尊敬語滅茶苦茶御免!(なさい) ※他サイトでは佳(ケイ)+苗字で掲載中 ※完結保証……保障と保証がわからない! 2022.11.26 18:30 完結しました。 お付き合いいただきありがとうございました!

ここは貴方の国ではありませんよ

水姫
ファンタジー
傲慢な王子は自分の置かれている状況も理解出来ませんでした。 厄介ごとが多いですね。 裏を司る一族は見極めてから調整に働くようです。…まぁ、手遅れでしたけど。 ※過去に投稿したモノを手直し後再度投稿しています。

リリゼットの学園生活 〜 聖魔法?我が家では誰でも使えますよ?

あくの
ファンタジー
 15になって領地の修道院から王立ディアーヌ学園、通称『学園』に通うことになったリリゼット。 加護細工の家系のドルバック伯爵家の娘として他家の令嬢達と交流開始するも世間知らずのリリゼットは令嬢との会話についていけない。 また姉と婚約者の破天荒な行動からリリゼットも同じなのかと学園の男子生徒が近寄ってくる。 長女気質のダンテス公爵家の長女リーゼはそんなリリゼットの危うさを危惧しており…。 リリゼットは楽しい学園生活を全うできるのか?!

処理中です...