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【ざまぁ回】第30話 勇者パーティーメンバー、借金を取り立てられる&強制労働施設【裏冒険者ギルド】へ連行される
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夜、とある酒場。
店の真ん中にある一番大きいテーブルで、キキとカカが飲んだくれていた。
「クソッ! 本当は今日からマイホーム暮らしのはずだったのに宿暮らしに逆戻りだぜ! それもこれも、多分全部ナットが悪い!」
「兄者の言うとおりだ、きっと全部ナットのせいだ!」
わめきながら2人は酒を飲む。
勇者ハロンに頼み込んでお金を借りているのだが、早速無計画に使っている。
「すみませーん☆ お兄さんたち、隣良いですかぁ?」
「失礼します……」
キキとカカの隣の席に、若い女性2人が座ってきた。
1人は背の高い赤髪の女。背中には大剣を背負っている。
1人は黒髪の背の小さい女。手には黒い鎖を握っている。
「ども、私の名前はゲッキー。【大剣使い】やってます~!」
「私は妹のメルツです……。【呪術師】です……」
対極的な姉妹が自己紹介する。
(弟よ、もしかしてこれは――)
(間違いないぞ、兄者。これは――)
((逆ナンパというやつだ!!))
キキとカカがアイコンタクトする。
(こんなに強くてカッコイイのにどうして俺たちモテないんだろうと思っていたが、ついにこの時が来たか!)
(俺たちの日頃の努力がついに認められる時が来たぞ、兄者!)
キキとカカは有頂天になっていた。
(俺は背の高いほうを狙うぞ、弟よ!)
(兄者、俺は小さいほうが好みだ!)
「さぁ、お嬢さんたち、好きなものを注文するといいぜ」
「兄者の言うとおりだぜ。今日は俺たちのおごりだぜ」
キキとカカは普段よりもキリッとした顔と声を作る。
「いえ、結構です。私達、あなた達兄弟の借金を取り立てに来ただけなので☆」
ゲッキーが明るく言うと、キキとカカの表情が固まる。
「私達姉妹は、冒険者ギルド本部の借金取り立て部門みたいなところに所属してます」
「よろしくお願いします……。支払ってください……」
「しゃ、借金だと!? 俺たちがいつ借金したっていうんだよ!」
「兄者の言うとおりだ、金貨130枚とマイホームの権利書なら渡しただろうが!」
「いえ、それとは別件の。勇者パーティーで使っていたゴーレムを壊した弁償金です」
「「あっ」」
キキとカカは、完全に弁償金のことを忘れていた。
「2人合わせて金貨2000枚。払って下さい……」
呪術師メルツが囁くように催促する。
「「へっへっへ……」」
キキとカカは、不敵に笑い始める。
「残念ながら、そんな金は払えないぜ!」
「なぜなら俺たちは今、金貨1枚も持っていないからだ!」
歯茎が見えるほどの笑顔でキキとカカは笑う。
「あの決闘立会人と同じ冒険者ギルド本部所属だろうが何だろうが、怖くないぜ! 取り立てられるもんなら取り立てて見やがれ!」
「兄者の言うとおりだ、払えないものは払えないんだぜ!」
「良いですよ、払わなくて☆」
「「えっ」」
ゲッキーの突然の申し出に、キキとカカは硬直する。
「払いたくないですよね~、お金。分かりますよその気持ち! だから払わなくっても良いです! 私も困ってる人からお金取り立てるの好きじゃないので、お互いハッピーですね!」
「「な、何だって~~!?」」
キキとカカが飛び上がって喜ぶ。
「やったぜ弟よ! 借金なんて払わなくっていいんだ!」
「嬉しいぜ兄者! 借金返済に追われる日々は嫌だからな!」
キキとカカが手を取り合って踊り出す。
――その時、2つのことが同時に起きた。
1つ目。調子に乗ったキキとカカが転んだ。
2つ目。ゲッキーか大剣を抜き、目にもとまらぬ速度で横なぎの一撃を放った。
結果、一瞬前までキキとカカの首があった空間を大剣が通過していった。
「「……え?」」
たまたま転ばなければ、キキとカカは首を斬り落とされていた。
「実は私達、ボスから『借金を払わないやつは、殺して内臓を持ってこい。頑丈な冒険者の内臓は色々と使い道がある』って言われてます。あと私、抵抗する人の首を斬り落とすのめっちゃ好きです☆」
「「ひえええええええぇ!! 殺されるうううううううううぅ!」」
「借金払うつもり、ないんですよね? ということは首斬ってもボスに怒られない! 最高ー☆」
メルツが大剣を持ってキキとカカに迫る。
「「ややややややややヤバい奴だーーー!!」」
キキとカカが一目散に酒場から逃げ出す。
が、何もない地面で転ぶ。
「「いってええええええぇ!!」」
キキとカカの足首には、黒い鎖が巻きついていた。
「逃がしません……」
メルツの使った呪術【カースバインド】によって、キキとカカの足首に黒い鎖が巻きついていた。
逃げられなくなったキキとカカに、ゆっくりとゲッキーが近づいていく。
「で、最後にもう一回聞きますけど、借金払いますー? 私的には払わないって言って首を斬らせて欲しいです☆」
「「払います払います!! 一生かかってでも払います! だから殺さないでえええええぇぇぇ!」」
「分かりました、では……これからキキさんとカカさんには強制労働施設【裏冒険者ギルド】に来て、働いて借金を返してもらいます」
メルツが囁くような声でキキとカカに告げる。
これが、キキとカカのさらなる人生どん底への旅の始まりだった。
店の真ん中にある一番大きいテーブルで、キキとカカが飲んだくれていた。
「クソッ! 本当は今日からマイホーム暮らしのはずだったのに宿暮らしに逆戻りだぜ! それもこれも、多分全部ナットが悪い!」
「兄者の言うとおりだ、きっと全部ナットのせいだ!」
わめきながら2人は酒を飲む。
勇者ハロンに頼み込んでお金を借りているのだが、早速無計画に使っている。
「すみませーん☆ お兄さんたち、隣良いですかぁ?」
「失礼します……」
キキとカカの隣の席に、若い女性2人が座ってきた。
1人は背の高い赤髪の女。背中には大剣を背負っている。
1人は黒髪の背の小さい女。手には黒い鎖を握っている。
「ども、私の名前はゲッキー。【大剣使い】やってます~!」
「私は妹のメルツです……。【呪術師】です……」
対極的な姉妹が自己紹介する。
(弟よ、もしかしてこれは――)
(間違いないぞ、兄者。これは――)
((逆ナンパというやつだ!!))
キキとカカがアイコンタクトする。
(こんなに強くてカッコイイのにどうして俺たちモテないんだろうと思っていたが、ついにこの時が来たか!)
(俺たちの日頃の努力がついに認められる時が来たぞ、兄者!)
キキとカカは有頂天になっていた。
(俺は背の高いほうを狙うぞ、弟よ!)
(兄者、俺は小さいほうが好みだ!)
「さぁ、お嬢さんたち、好きなものを注文するといいぜ」
「兄者の言うとおりだぜ。今日は俺たちのおごりだぜ」
キキとカカは普段よりもキリッとした顔と声を作る。
「いえ、結構です。私達、あなた達兄弟の借金を取り立てに来ただけなので☆」
ゲッキーが明るく言うと、キキとカカの表情が固まる。
「私達姉妹は、冒険者ギルド本部の借金取り立て部門みたいなところに所属してます」
「よろしくお願いします……。支払ってください……」
「しゃ、借金だと!? 俺たちがいつ借金したっていうんだよ!」
「兄者の言うとおりだ、金貨130枚とマイホームの権利書なら渡しただろうが!」
「いえ、それとは別件の。勇者パーティーで使っていたゴーレムを壊した弁償金です」
「「あっ」」
キキとカカは、完全に弁償金のことを忘れていた。
「2人合わせて金貨2000枚。払って下さい……」
呪術師メルツが囁くように催促する。
「「へっへっへ……」」
キキとカカは、不敵に笑い始める。
「残念ながら、そんな金は払えないぜ!」
「なぜなら俺たちは今、金貨1枚も持っていないからだ!」
歯茎が見えるほどの笑顔でキキとカカは笑う。
「あの決闘立会人と同じ冒険者ギルド本部所属だろうが何だろうが、怖くないぜ! 取り立てられるもんなら取り立てて見やがれ!」
「兄者の言うとおりだ、払えないものは払えないんだぜ!」
「良いですよ、払わなくて☆」
「「えっ」」
ゲッキーの突然の申し出に、キキとカカは硬直する。
「払いたくないですよね~、お金。分かりますよその気持ち! だから払わなくっても良いです! 私も困ってる人からお金取り立てるの好きじゃないので、お互いハッピーですね!」
「「な、何だって~~!?」」
キキとカカが飛び上がって喜ぶ。
「やったぜ弟よ! 借金なんて払わなくっていいんだ!」
「嬉しいぜ兄者! 借金返済に追われる日々は嫌だからな!」
キキとカカが手を取り合って踊り出す。
――その時、2つのことが同時に起きた。
1つ目。調子に乗ったキキとカカが転んだ。
2つ目。ゲッキーか大剣を抜き、目にもとまらぬ速度で横なぎの一撃を放った。
結果、一瞬前までキキとカカの首があった空間を大剣が通過していった。
「「……え?」」
たまたま転ばなければ、キキとカカは首を斬り落とされていた。
「実は私達、ボスから『借金を払わないやつは、殺して内臓を持ってこい。頑丈な冒険者の内臓は色々と使い道がある』って言われてます。あと私、抵抗する人の首を斬り落とすのめっちゃ好きです☆」
「「ひえええええええぇ!! 殺されるうううううううううぅ!」」
「借金払うつもり、ないんですよね? ということは首斬ってもボスに怒られない! 最高ー☆」
メルツが大剣を持ってキキとカカに迫る。
「「ややややややややヤバい奴だーーー!!」」
キキとカカが一目散に酒場から逃げ出す。
が、何もない地面で転ぶ。
「「いってええええええぇ!!」」
キキとカカの足首には、黒い鎖が巻きついていた。
「逃がしません……」
メルツの使った呪術【カースバインド】によって、キキとカカの足首に黒い鎖が巻きついていた。
逃げられなくなったキキとカカに、ゆっくりとゲッキーが近づいていく。
「で、最後にもう一回聞きますけど、借金払いますー? 私的には払わないって言って首を斬らせて欲しいです☆」
「「払います払います!! 一生かかってでも払います! だから殺さないでえええええぇぇぇ!」」
「分かりました、では……これからキキさんとカカさんには強制労働施設【裏冒険者ギルド】に来て、働いて借金を返してもらいます」
メルツが囁くような声でキキとカカに告げる。
これが、キキとカカのさらなる人生どん底への旅の始まりだった。
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