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第24話 閑話 とある村の考古学者お姉さん(実年齢3026歳)のスローライフ

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 どうも、こんにちは。

 私の名前はミロ=オリオ。

 国の外れの小さな村で、考古学者をやっているおねえさんでーす。

 年齢は27歳、独身。

 ……というのは世を忍ぶ仮の姿で。

 実年齢3026歳。

 元、3000年前に滅んじゃった大帝国の魔法使いだったりします。

 当時皇帝に命令されて不老の魔法を色々実験していましたが、実験の結果が出る前に帝国が滅んでしまいまして。

 帝国で唯一の生き残りになってしまいました。

 不老でも魔力は衰えるので、魔法使いとしてはとっくに引退済。

 ここ100年くらいは、考古学者として古代文字の解読(をするフリ)をしています。

 当たり前ですが、子供のころから勉強していた文字なので古代文字はスラスラ読めます。むしろ、現代文字よりも読み易かったりして。

 今の考古学者達の間では若き天才と噂されております(実は若くないけど)。

 あんまり古代文字をスラスラ読み解いてしまうとお仕事がなくなってしまうので、机に向かって頭を悩ませるフリをしながら”今日は晩御飯何にしよっかな~”なんて考えている毎日です。

 仕事をサボってもらったお給料で飲むお酒は最高においしい♪

 と、そんなこんなで、悠々自適な不老ライフを送っています。

 が、最近やや物足りなさを感じます。

 原因は明白。

 2,3年前くらいまで、古代文明に興味を持った近所の少年に古文書を読み聞かせてあげていたのです。

 もう街を出て行ってしまいましたが、あの少年がいたときは本当に楽しかったです。

「凄かったなぁ~、あの少年」

 あの少年は古代文明のなかでも特に【ゴーレム】について特に興味を持っていました。

 そして、私がゴーレムの研究に関する本を読んであげると、とても目を輝かせていました。

 私は少年の笑顔を見るのが楽しくて、つい夢中でゴーレムの本を解読(するフリ)をしてしまいました。

 ……しかしそうするうちに、その少年、なんと自力でゴーレムを作ってしまいました。

 しかも見る間に腕を上げていき、色々な機能を持ったゴーレムを作るのです。

 3000年前にも、これほど上達の早いゴーレム技師は居ませんでした。

 しかも少年、ゴーレムの技術を自分だけで独占することなく、村の困っている人たちのためにゴーレムを作ってくれたのです。

 足の悪いおばあさんのために荷物持ちをするゴーレム。

 生まれつき歩けないお嬢様の車椅子を押すゴーレム。

 毎朝街の井戸から水をくみ上げるゴーレム。

 村の人たちは、ゴーレムをとても大事に扱い、しっかりメンテナンスしています。

 私の家にも、少年が練習で作った”コーヒーを入れてくれるゴーレム”がいます。これは私の何よりの宝物です。

「少年があと3000年早く生まれていたらな~」

 3000年前に帝国が滅びた理由。まぁ色々なことが起きて一言で説明するのは難しいのですが、簡単に言えば”ゴーレム技師が技術を独占していたから”ですかね。

 とある【災厄】に見舞われ、帝国は滅びました。

 あの時、ゴーレム技師がもっと技術を教えあい、国民の生活のためにゴーレムを作っていれば。帝国は滅びることはなかったでしょう。

 あの少年が3000年前に生まれていれば、きっと今も帝国は安泰だったでしょう。

「またこの村に戻ってこないかなー、あの少年」

 魔力が枯れていても時間さえかければ魔法は使えます。次に会った時には、こっそり少年に不老の魔法をプレゼントするのもいいかもしれません。

 ……そうでした、私は1つ大事なことを言っていませんでしたね。

 天才という言葉では言い表せないほどのまばゆい才能と、優しい心を持った少年。

 彼の名前は、【ナット=ソイルレット】といいます。

 もし会うことがあれば、仲良くしてあげてくださいね?
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