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第15話 ゴーレム技師、念願だった冒険者としての1歩を踏み出す!
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――冒険者試験に合格した翌日。
僕とアルカは冒険者ギルドに来ていた。
「しまった、早すぎたな……冒険者ギルドが開く前に着いちゃった」
「張り切りすぎですよ、マスター」
正直、冒険者として自分の手でダンジョンを探索するのが楽しみ過ぎる。
実のところ、昨日もあんまり寝れていない。
そうこうしている間に、冒険者ギルドが開いた。
「では、このブロンズ冒険者でも受注可能なクエスト2つを受注させてください」
「かしこまりました。では、こちらの契約書にサインを」
冒険者には、いくつかのランクが設定されている。
入った直後は全員ブロンズ冒険者からスタート。そこから、シルバー・ゴールド・プラチナと昇格していく。そしてさらにその上に、13人の勇者がいる。
ランクを上げるには、クエストごとに設定されている貢献度ポイントを貯めていく。そして、貢献度が基準を超えたら昇格試験を受けることができる。
僕が目指すのは、勇者を除けば最上位のプラチナ冒険者。道のりは途方もなく長いけど、一歩一歩頑張っていこう。
僕が今回受注したのは、薬草の採取とラージラビットの討伐だ。
薬草は体力回復ポーションの素材になる草で、ダンジョン指定されている森の一部にしか生えないため、一般人ではなく冒険者が採取することになっている。
はっきり言って薬草摘みは地図さえ読めれば誰でもできる仕事なので、駆け出し冒険者が装備を整えるための下積みによく受けている。
もう1つのラージラビットは、畑を荒らす害獣だ。戦闘力は大して高くないが逃げ足は速いので、なかなか厄介な相手だ。そしてその分報酬は割高に設定されている。
2つのクエストは常に発注されているので、いつでも受けることができる。
どちらのクエストも、摘んだり駆除した量に応じて報酬が増える。
「マスター、ブロンズ冒険者でも受注できるクエストは沢山ありますが、なぜこの2つを選んだのですか?」
「ラージラビットの方は、単純に報酬が割高だから。なかなか捕まえるのが難しい害獣だけど、僕には捕まえるための作戦がある」
アルカに【#火炎放射形態_フレイムモード_#】を追加するとき、フレアウルフの素材を耐火用防具に設定した。あの時の防具の加工は僕の専門外だったので、街の防具屋に依頼している。
その時の費用で大分使ってしまい、今の手持ちは銀貨2枚しかない。普通に暮らしているだけでも5,6日でなくなってしまう金額だ。なので、早いところ安心できるだけのお金を貯えたい。
「薬草摘みを受注した理由は……じつは、駆け出し冒険者らしいことがしたいっていう理由かな」
冒険者はほぼ全員、駆け出しのころに薬草摘みを受注している。
ならば僕も、最初は薬草摘みというものを経験しておきたいと思ったのだ。
いわゆる、”形から入りたい”というやつだ。
勇者パーティーにいたころは、S級ダンジョンしか潜っていなかったから、駆け出し冒険者らしいことを僕は一切したことがない。
お金の心配さえなければ1週間くらい薬草摘みだけやって、駆け出し冒険者生活を嚙み締めたいくらいだ。
まぁ、流石にそんなことはしないけれども。
――というわけで。
早速馬車を乗り継いで、2つのクエストの現場である森へと到着した。
F級ダンジョン、ナーフィーの森。
そこまで強力なモンスターが存在しないので、駆け出し冒険者がよくお世話になるダンジョンだ。
が、僕は入るのは初めてだ。
「わくわくするなぁ」
「私も少し、楽しみです」
アルカの顔にもウキウキした表情が浮かんでいた。
一緒にダンジョン探索する以上、アルカにも楽しんでもらいたいと前から思っていた。僕は少し安心した。
こうして僕とアルカは、冒険者としての1歩を踏み出した。
僕とアルカは冒険者ギルドに来ていた。
「しまった、早すぎたな……冒険者ギルドが開く前に着いちゃった」
「張り切りすぎですよ、マスター」
正直、冒険者として自分の手でダンジョンを探索するのが楽しみ過ぎる。
実のところ、昨日もあんまり寝れていない。
そうこうしている間に、冒険者ギルドが開いた。
「では、このブロンズ冒険者でも受注可能なクエスト2つを受注させてください」
「かしこまりました。では、こちらの契約書にサインを」
冒険者には、いくつかのランクが設定されている。
入った直後は全員ブロンズ冒険者からスタート。そこから、シルバー・ゴールド・プラチナと昇格していく。そしてさらにその上に、13人の勇者がいる。
ランクを上げるには、クエストごとに設定されている貢献度ポイントを貯めていく。そして、貢献度が基準を超えたら昇格試験を受けることができる。
僕が目指すのは、勇者を除けば最上位のプラチナ冒険者。道のりは途方もなく長いけど、一歩一歩頑張っていこう。
僕が今回受注したのは、薬草の採取とラージラビットの討伐だ。
薬草は体力回復ポーションの素材になる草で、ダンジョン指定されている森の一部にしか生えないため、一般人ではなく冒険者が採取することになっている。
はっきり言って薬草摘みは地図さえ読めれば誰でもできる仕事なので、駆け出し冒険者が装備を整えるための下積みによく受けている。
もう1つのラージラビットは、畑を荒らす害獣だ。戦闘力は大して高くないが逃げ足は速いので、なかなか厄介な相手だ。そしてその分報酬は割高に設定されている。
2つのクエストは常に発注されているので、いつでも受けることができる。
どちらのクエストも、摘んだり駆除した量に応じて報酬が増える。
「マスター、ブロンズ冒険者でも受注できるクエストは沢山ありますが、なぜこの2つを選んだのですか?」
「ラージラビットの方は、単純に報酬が割高だから。なかなか捕まえるのが難しい害獣だけど、僕には捕まえるための作戦がある」
アルカに【#火炎放射形態_フレイムモード_#】を追加するとき、フレアウルフの素材を耐火用防具に設定した。あの時の防具の加工は僕の専門外だったので、街の防具屋に依頼している。
その時の費用で大分使ってしまい、今の手持ちは銀貨2枚しかない。普通に暮らしているだけでも5,6日でなくなってしまう金額だ。なので、早いところ安心できるだけのお金を貯えたい。
「薬草摘みを受注した理由は……じつは、駆け出し冒険者らしいことがしたいっていう理由かな」
冒険者はほぼ全員、駆け出しのころに薬草摘みを受注している。
ならば僕も、最初は薬草摘みというものを経験しておきたいと思ったのだ。
いわゆる、”形から入りたい”というやつだ。
勇者パーティーにいたころは、S級ダンジョンしか潜っていなかったから、駆け出し冒険者らしいことを僕は一切したことがない。
お金の心配さえなければ1週間くらい薬草摘みだけやって、駆け出し冒険者生活を嚙み締めたいくらいだ。
まぁ、流石にそんなことはしないけれども。
――というわけで。
早速馬車を乗り継いで、2つのクエストの現場である森へと到着した。
F級ダンジョン、ナーフィーの森。
そこまで強力なモンスターが存在しないので、駆け出し冒険者がよくお世話になるダンジョンだ。
が、僕は入るのは初めてだ。
「わくわくするなぁ」
「私も少し、楽しみです」
アルカの顔にもウキウキした表情が浮かんでいた。
一緒にダンジョン探索する以上、アルカにも楽しんでもらいたいと前から思っていた。僕は少し安心した。
こうして僕とアルカは、冒険者としての1歩を踏み出した。
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