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第11話 ゴーレム技師、オーバーキルし過ぎて周りの受験者をドン引きさせる
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「さぁ動き出せ、僕のゴーレム!」
僕はさっきから土魔法を使って準備を進めていた、ゴーレムを起動する。
地面が盛り上がり、人の形をとって這い出てくる。
現れたのは、体長3メートルを超えるゴーレムだ。
一応人型をしているが、手足は人間のそれよりも遥かに太い。
勇者パーティーを抜けても冒険者として生きていくと決めたときから、僕はずっと考えていた。ゴーレムのメンテナンス以外で戦闘に参加する方法はないか、と。
その答えが、この【インスタントゴーレム】だ。
僕はこれまで、魔石やフレームなどの部品を使い、魔法陣を丁寧に書き込んでゴーレムを作っていた。そうすることで、丈夫で長く使えるゴーレムが作れるからだ。
しかし、その常識を僕は捨てた。
1度の戦闘で使い切りのゴーレム、【インスタントゴーレム】を作り、戦闘させる。これが新しい僕の戦い方だ。
インスタントゴーレムは、状況に応じて作り方を変えることができる。
今回の試験の制限時間は5分。だから、持久力は要らない。たった5分だけ動いてくれれば、それでいい。
攻撃を受けることもないので、防御力も必要ない。
雨も降っていないので、耐水性も必要ない。
ただその代わり、パワーに特化させる。
”この5分の間、破壊をふりまく存在であれ”。
僕が呼び出したインスタントゴーレムは、十分にその願いに応えてくれた。
インスタントゴーレムは、一番近くにあったターゲットを掴む。そしてインスタントゴーレムが力をこめると、地面からターゲットが引っこ抜ける。
そして、ゴーレムが引っこ抜いたターゲットを別のターゲットに叩きつける。
”ガッシャアアアアアアアアァンンン!!”
2つのターゲットは、金属のフレームごと木っ端みじんに砕け散った。
インスタントゴーレムは、無機質に次のターゲットに襲い掛かっていく。
「お、俺があんなに苦労して壊したターゲットを一瞬で、しかもフレームごと完全に破壊しただと……?」
「なんだよあれ!? A級ダンジョンでもあんな化け物見たことないぞ!」
「あんな強力な使い魔を一瞬で召喚したの!? 嘘でしょ?」
他の冒険者は騒然としていた。
インスタントゴーレムは、次々とターゲットを粉砕していく。
ここまで派手に壊してしまうと、後片付けが大変かもしれない。が、手加減をして試験に落ちては元も子もない。少しの申し訳なさを感じつつ、僕はゴーレムを見守る。
「……そこまで!」
5分の制限時間ギリギリに、インスタントゴーレムが最後のターゲットを破壊した。
これで、地上と空のターゲットは全て破壊した。合計で56個。
有望視されていた兄弟が壊したのがたしか5個くらいだったので、ターゲット破壊試験は合格点以上取れているだろう。
これで、実践試験の点数が悪くても、多少ならリカバーできる。が、まだまだ油断はできない。
インスタントゴーレムが、よろよろとした足取りで戻ってくる。
「ありがとう、お疲れ様」
僕が優しくなでると同時に、インスタントゴーレムの制限時間が来た。身体が崩れ、土に戻っていく。
命が無いゴーレムにも、使命をしっかり果たしてくれた感謝の気持ちは伝えたい。
「マスターマスター、私にも”よくやった”って言って欲しいです」
と、アルカが駆けよってくる。
「アルカもお疲れ様。よくやった」
と、お礼を言うがアルカは何か不満気だ。
頭を僕の方に突き出して、背を少し屈めている。
「……もしかして、こうか……?」
僕は恐る恐るアルカの頭を撫でる。
するとアルカは満足そうな顔で笑ってくれた。
僕なんかに撫でられたくらいで、何がそんなにうれしいのだろう。
僕はさっきから土魔法を使って準備を進めていた、ゴーレムを起動する。
地面が盛り上がり、人の形をとって這い出てくる。
現れたのは、体長3メートルを超えるゴーレムだ。
一応人型をしているが、手足は人間のそれよりも遥かに太い。
勇者パーティーを抜けても冒険者として生きていくと決めたときから、僕はずっと考えていた。ゴーレムのメンテナンス以外で戦闘に参加する方法はないか、と。
その答えが、この【インスタントゴーレム】だ。
僕はこれまで、魔石やフレームなどの部品を使い、魔法陣を丁寧に書き込んでゴーレムを作っていた。そうすることで、丈夫で長く使えるゴーレムが作れるからだ。
しかし、その常識を僕は捨てた。
1度の戦闘で使い切りのゴーレム、【インスタントゴーレム】を作り、戦闘させる。これが新しい僕の戦い方だ。
インスタントゴーレムは、状況に応じて作り方を変えることができる。
今回の試験の制限時間は5分。だから、持久力は要らない。たった5分だけ動いてくれれば、それでいい。
攻撃を受けることもないので、防御力も必要ない。
雨も降っていないので、耐水性も必要ない。
ただその代わり、パワーに特化させる。
”この5分の間、破壊をふりまく存在であれ”。
僕が呼び出したインスタントゴーレムは、十分にその願いに応えてくれた。
インスタントゴーレムは、一番近くにあったターゲットを掴む。そしてインスタントゴーレムが力をこめると、地面からターゲットが引っこ抜ける。
そして、ゴーレムが引っこ抜いたターゲットを別のターゲットに叩きつける。
”ガッシャアアアアアアアアァンンン!!”
2つのターゲットは、金属のフレームごと木っ端みじんに砕け散った。
インスタントゴーレムは、無機質に次のターゲットに襲い掛かっていく。
「お、俺があんなに苦労して壊したターゲットを一瞬で、しかもフレームごと完全に破壊しただと……?」
「なんだよあれ!? A級ダンジョンでもあんな化け物見たことないぞ!」
「あんな強力な使い魔を一瞬で召喚したの!? 嘘でしょ?」
他の冒険者は騒然としていた。
インスタントゴーレムは、次々とターゲットを粉砕していく。
ここまで派手に壊してしまうと、後片付けが大変かもしれない。が、手加減をして試験に落ちては元も子もない。少しの申し訳なさを感じつつ、僕はゴーレムを見守る。
「……そこまで!」
5分の制限時間ギリギリに、インスタントゴーレムが最後のターゲットを破壊した。
これで、地上と空のターゲットは全て破壊した。合計で56個。
有望視されていた兄弟が壊したのがたしか5個くらいだったので、ターゲット破壊試験は合格点以上取れているだろう。
これで、実践試験の点数が悪くても、多少ならリカバーできる。が、まだまだ油断はできない。
インスタントゴーレムが、よろよろとした足取りで戻ってくる。
「ありがとう、お疲れ様」
僕が優しくなでると同時に、インスタントゴーレムの制限時間が来た。身体が崩れ、土に戻っていく。
命が無いゴーレムにも、使命をしっかり果たしてくれた感謝の気持ちは伝えたい。
「マスターマスター、私にも”よくやった”って言って欲しいです」
と、アルカが駆けよってくる。
「アルカもお疲れ様。よくやった」
と、お礼を言うがアルカは何か不満気だ。
頭を僕の方に突き出して、背を少し屈めている。
「……もしかして、こうか……?」
僕は恐る恐るアルカの頭を撫でる。
するとアルカは満足そうな顔で笑ってくれた。
僕なんかに撫でられたくらいで、何がそんなにうれしいのだろう。
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