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【プチざまぁ回】第8話 ゴーレム技師、「勇者パーティーに戻ってくる気はないか?」と言われるがお断りする
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アルカを改造した後、僕とアルカは買い物のために出かけた。
少し匂うけどゴミ処理場の近くの道を通る。こっちのほうが商店エリアへの近道なのだ。
あるいてると、ゴミ処理場の方から何やら聞き覚えのある声がする。
「あああああぁ! こんな紙切れに、こんな紙切れに金貨3枚と銀貨4枚も支払わされてしまった……!! 悔しい……! 悔しいっ……!!」
僕は目を疑った。
なんと、勇者ハロン様が、ゴミの山の上で手足をバタつかせているのだ。
近くには、キキとカカの兄弟もいる。
「そもそも私は勇者だぞ……?! 何故勇者である私がこんな無様なゴミ漁りなどせねばならんのだ……! そしてなぜあんな大金をこんな紙切れごときに使わされねばならないのだ……! どうして……! どうして……っ!! 私 が 何 を し た と い う ん だ ! !」
自分のことを勇者と言っていたし、勇者ハロン様で間違いないだろう。
「い、一体何を……!?」
3人はこちらに気付くと、ギクリ、と身体をこわばらせた。
「3人とも、一体何をしているんですか?」
勇者ハロン様が立ち上がり、いつもの凛々しい表情に戻る。が、目は真っ赤だし純白の鎧のあちらこちらにゴミが乗っていて台無しだ。
「ふん、見てわからないのかナットよ。まぁお前程度では分からないだろうな。いいだろう、特別に教えてやろう。私たちはな――ゴミ漁りをしているのだ」
「見たまんまですけれども」
体中ゴミにまみれなのに、勇者ハロン様は何故か得意げだ。
「お前には言っていなかったがな、私達は実はゴミ漁りが大好きなんだ。なぁ、2人とも」
「「お、おう! 勇者様の言うとおり、ゴミ漁りは楽しいぜ!」」
なんだか3人とも、表情がぎこちない。
「というわけで、決して私たちはゴミの中から何かを探しているわけではない。分かったらさっさとどこかへ消えろ、ナット」
「言われなくてもこんな臭いところに長居なんてしたくないですよ」
と言って、僕とアルカはさっさと歩き始める。
3人がゴミ漁りが趣味だなんて、初めて知ったなぁ。
もしかして、僕がパーティーから抜けたときに渡したゴーレムのメンテナンスの説明書が必要になって、ゴミの中を探しいるんじゃないかと思ったけど、そんなことはないらしい。
「ところでナット、『勇者様のパーティーに戻りたいな~』なんて思うことはないか? 今の私は機嫌がいい。どうしてもというなら、特別に、特別に戻ってくることを許してやっても――」
「戻る気はないです! 僕は、自分の力で冒険者になってダンジョン探索するので!」
もうあんなパーティーでダンジョン探索するのはごめんだ。
僕はこれ以上声をかけられないように足早に立ち去る。
少し匂うけどゴミ処理場の近くの道を通る。こっちのほうが商店エリアへの近道なのだ。
あるいてると、ゴミ処理場の方から何やら聞き覚えのある声がする。
「あああああぁ! こんな紙切れに、こんな紙切れに金貨3枚と銀貨4枚も支払わされてしまった……!! 悔しい……! 悔しいっ……!!」
僕は目を疑った。
なんと、勇者ハロン様が、ゴミの山の上で手足をバタつかせているのだ。
近くには、キキとカカの兄弟もいる。
「そもそも私は勇者だぞ……?! 何故勇者である私がこんな無様なゴミ漁りなどせねばならんのだ……! そしてなぜあんな大金をこんな紙切れごときに使わされねばならないのだ……! どうして……! どうして……っ!! 私 が 何 を し た と い う ん だ ! !」
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「い、一体何を……!?」
3人はこちらに気付くと、ギクリ、と身体をこわばらせた。
「3人とも、一体何をしているんですか?」
勇者ハロン様が立ち上がり、いつもの凛々しい表情に戻る。が、目は真っ赤だし純白の鎧のあちらこちらにゴミが乗っていて台無しだ。
「ふん、見てわからないのかナットよ。まぁお前程度では分からないだろうな。いいだろう、特別に教えてやろう。私たちはな――ゴミ漁りをしているのだ」
「見たまんまですけれども」
体中ゴミにまみれなのに、勇者ハロン様は何故か得意げだ。
「お前には言っていなかったがな、私達は実はゴミ漁りが大好きなんだ。なぁ、2人とも」
「「お、おう! 勇者様の言うとおり、ゴミ漁りは楽しいぜ!」」
なんだか3人とも、表情がぎこちない。
「というわけで、決して私たちはゴミの中から何かを探しているわけではない。分かったらさっさとどこかへ消えろ、ナット」
「言われなくてもこんな臭いところに長居なんてしたくないですよ」
と言って、僕とアルカはさっさと歩き始める。
3人がゴミ漁りが趣味だなんて、初めて知ったなぁ。
もしかして、僕がパーティーから抜けたときに渡したゴーレムのメンテナンスの説明書が必要になって、ゴミの中を探しいるんじゃないかと思ったけど、そんなことはないらしい。
「ところでナット、『勇者様のパーティーに戻りたいな~』なんて思うことはないか? 今の私は機嫌がいい。どうしてもというなら、特別に、特別に戻ってくることを許してやっても――」
「戻る気はないです! 僕は、自分の力で冒険者になってダンジョン探索するので!」
もうあんなパーティーでダンジョン探索するのはごめんだ。
僕はこれ以上声をかけられないように足早に立ち去る。
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