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第2話 美少女化したゴーレム、ゴーレム技師に忠誠を誓う&圧倒的パワーとスピードで強力なモンスターを瞬殺する

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 何が起きたのか、僕にもわからない。ゴーレムが意思を持ち、喋るなんてこんなことはこれまで一度もなかった。
 まして女の子の姿になるだなんて、考えてもみなかった。

 でも今はそんなことはどうでもいい。とりあえず、まずは……

「まず、服を着て欲しい!」

 さっきまでの土人形型のゴーレムに服なんて着せていなかった。それが突然女の子の姿になったものだから、当たり前だけど裸の状態な訳で。

 すぐに目を逸らしたものだけど、……少しだけ、見えてしまった。

 ゴーレムは特にそんなことを気にしていない様子で、僕の渡した服を着た。

 改めてゴーレムの姿を見る。

 歳は僕と同じくらい。肩まで伸びた青く艶やかな髪。陶器のように白い肌。

 胸は豊満で、僕が渡した男物の服がはちきれそうだ。

 どれだけじっくりみても、普通の人間(ただしめちゃくちゃかわいい)にしか見えない。

「どうしてゴーレムが自分の意思を持って、女の子の姿になったの?」

「それは、私にもわかりません。私がわかるのは、あなたが私のマスターである事だけです。よろしくお願いします、マスター」

 アルカが僕の前で膝をつく。

「よ、よろしく……」

 これまで人に命令されることはあっても、人に命令する立場になんてなったことがない。

 こういう時、どんな態度を取るのが正解なのだろう。

「そうだ、君の名前は決めてあるんだ。“アルカ”っていう名前なんだけど……どうだろう」

「アルカ、ですね。……気に入りました。このアルカ、いつどんな時でもマスターの命令に従うと誓いましょう」

 そう言ってアルカは笑って僕の手を握る。

 柔らかい。

 本物の女の子の手を握った事なんてないのだが、きっと本物もこれぐらい柔らかいのだろう。ゴーレムだとわかっていても心拍数が上がってしまう。

 その時だった。

“ドゴオオオオオォ!!”

 窓の外から凄まじい破壊音が聞こえてきた。

「大変だ、街にモンスターが現れたぞ!」

 逃げ惑う街の人たちの悲鳴が聞こえる。冒険者を目指すものとして、この事態を見逃すわけにはいかない。街をモンスターの脅威から守るのも、冒険者の仕事の一つだ。

 僕はアルカの方を見る。

「もちろん、私はいつでも戦闘可能です」

 アルカがうなずいた。

「よし、行こう!」


――――――――――

 僕とアルカは、モンスター襲撃の現場である広場に到着する。

 そこには、想像以上に強大なモンスターが鎮座していた。

 フレアウルフ。炎を纏う、巨大な狼だ。四足歩行だというのに、頭の位置が大人の背丈より高いところにある。

 フレアウルフの身体から発せられる熱によって、広場の露店や植え込みが燃えている。

 このモンスターに対処するには、精鋭のゴールドランク冒険者を連れてくる必要がある。

 対して、アルカの装備は剣一本。僕が勇者パーティーにいた頃に、自分の身を守るために使っていた安物だ。防具に至ってはただの服。フレアウルフを相手にするにはあまりに頼りない装備だ。

 ――普通なら。

 アルカが、僕が設計した通りのスピードとパワーが出せるなら、この貧相な装備でも勝てる。

 フレアウルフが息を吸い込み、獄炎の息を吐こうとする。その先には、一般市民。

「頼んだぞ、アルカ!」

「お任せください!」

 アルカが走り出す。風より早く駆けつける。そして、剣で横薙ぎの一撃を繰り出す。

「やぁ!」

 アルカの一一閃が、炎を切り裂いた。

 フレアウルフも予想外の事態に混乱しているらしく、一瞬硬直する。

 しかも、アルカのパワーはまだまだ上がる。

「ギアチェンジ、ボディをパワー重視に切り替えます」

 ゴーレムの体を作っている土は、魔力の流し方によってパワー重視かスピード重視かに切り替えることができる。

 普段はスピード重視だが、ここ一番というところではパワー重視に切り替えることで普段の何倍ものパワーを出すことができるのだ。

「やああああああぁ!!」

 アルカが渾身の一撃をフレアウルフに叩き込む。

 強靭なフレアウルフの毛皮を、筋肉を、内臓を、骨を、鮮やかに両断した。

 フレアウルフだったものが地面に落ちる。

 そしてアルカは晴れやかな笑みで、僕にこう言うのだった。

「勝ちましたよ、マスター!」
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