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最終章 氷室 霰のレクイエム
17 お母さんだから
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お母さんは慌てて立ち上がると、焦った顔つきで夜子さんを見た。
じんわりと汗を滲ませながら、戸惑いと迷いに手を震わせながら。
サッと、私の前に出た。
「待ってちょうだい、イヴ」
「ホーリー」
突然のことに驚く私とは裏腹に、夜子さんは全く動じていなかった。
お母さんのことを見つめて、驚くわけでもなく、怒るわけでもなく。
むしろ穏やかに、愛おしげな表情ですらあった。
「どうしたんだい?」
「やっぱり……やっぱりダメよ。私……できない」
優しく問い掛ける夜子さんに、お母さんはそう、呟くように答えた。
できない。何を? 今、何をできないって、お母さんは言ってるの?
夜子さんは、「そうか」と頷く。
「できない。私には、できないわ。私に……アリスちゃんを見捨てることなんて、できない!」
「え…………」
お母さんは、突然そんなことを言い出して。
私を庇うように、腕を広げる。
「ごめんなさい、イヴ。ずっと、ずっと考えていたけれど。覚悟を、決めていたはずだけど。やっぱり私は、ダメだったわ」
「ああ。構わないよ、ホーリー」
「ずっと、この時のために、私たちは二千年も生きてきたのに。でも、無理なの。だって私は……この子の、お母さんだから……!」
とくんと、胸が鳴る。
思ってもみなかった言葉に、心が震える。
もう諦めていて、苦しいけれど割り切らなきゃって思ってたのに。
でもお母さんは、私のお母さんは、そう言った。
「ドルミーレは、私の大切な親友。それは、今だって全く変わらないけれど。でも私には、この子を犠牲にしてまで得たいものなんて、なかった。なかったの。だってこの子は、私の娘だから……!」
「お母、さん…………」
声を張り上げて、お母さんはそう言って。
そして、私に振り返って眉を落とす。
「ごめんなさい、アリスちゃん。私にこんなことを言う資格は、ないってわかっているの。でも、私はもう、自分でもどうしようもないくらい、あなたのお母さんで。あなたの顔を見ていたら、それ以上に大切なものなんて、浮かべられなかった」
「お母さんっ…………」
ごめんなさいと、そう何度も繰り返すお母さん。
今こうして庇ってくれたって、今までの裏切りがなくなるわけじゃない。
隠されていた事実や、お母さんたちが私の奥に見ていたものがなくなるわけじゃない。
わかっているけど、それでも。今こうして、確かに私のお母さんであってくれることが、たまらなく嬉しかった。
何度も何度も謝りながら、お母さんは私の頭を撫でて。
私は、もう何の涙かわからないくらい、流し続けた涙を更に溢れさせて、泣いて。
そんな私を、お母さんは愛おしそうに見てから、夜子さんへと向き直った。
「……イヴ。本当にごめんなさい。でも、ドルミーレを目覚めさせるわけには、いかなくなってしまったわ。彼女を、私は呼べない。ごめんなさい」
「いいよ、構わない。私はそれで、君を裏切り者だなんて言うつもりはないよ。だって君は、私の気持ちの代弁をしてくれているんだから」
お母さんの突然の反論に、夜子さんは全く顔色を変えない。
むしろ、喜ばしいくらいの勢いで、僅かに微笑む。
「君が言い出さなきゃ、私がそっちに回っていたかもしれない。私だって、アリスちゃんが大好きだ。そう簡単に切り捨てられるようなものじゃない」
「イヴ……」
「でも、君がそうやって声を上げてくれた。だから私は心置きなく、こちら側でいられる。これで、いいんだ。私たちはあまりにも長く、生きすぎた」
二千年の時を、ドルミーレを復活させるために生きてきた二人。
それなのに、いや、だからなのか。二人の間に諍う気持ちはまるでなくて。
淡々と、何事もないように話が進んでいく。
「ホーリー。私は君を愛している。愛すべき、私の親友だ。だからこそ、君が最後の障害になるというのなら、これ以上に喜ばしいことはない」
「私もよ、イヴ。あなただから私は、全てを託してわがままを言えるんだから」
だっていうのに、二人は静かに、いつの間にか一触即発の空気へと切り替わる。
当たり前のように、そうなることが自然だというように、流れるように。
争うことさえも、何も障害になり得ないというように。
「ま、待って! 待って待って!」
穏やかながらも張り詰めた空気に、私は慌てて声を上げた。
静かに鋭い二人の視線が、私へと向けられる。
「待ってよ。二人は親友なんでしょ? ずっと、同じ目的のために歩いてきたんでしょ? それなのに今、喧嘩しないでよ……!」
立場がどうとか、自分にとってどうかとか、そんなことはどうでもよくて。
今は、掛け替えの無い親友であるはずの二人が、こうして争おうとしていることが、たまらなく嫌だった。
「でも、アリスちゃん。彼女を止めないと、あなたは……」
「ありがとう、お母さん。でも、もういいんだよ」
だって、私は覚悟を決めたから。
夜子さんの言うことが正しくて、それしかないと気付いたから。
今それを理由に争ってなんて欲しく無い。
「お母さんの気持ちは、すっごく嬉しい。大切に思ってくれて、本当にありがとう。でも、もう私は決めたんだ。友達を守るために、霰ちゃんを守るために、自分にできることをしようって」
「アリスちゃん……!」
信じられないと、お母さんは私を見る。
私は、頑張って笑って返した。
でも、反対にお母さんは怒った。
「そうしたら、あなたは消えてしまうのよ!? そんなの、私はいや。誰かのために自分が犠牲になればいいなんて、そんなこと、言うものじゃない!」
「でも、それが最善だから。お母さんたちにとって大切なドルミーレが蘇って、そしたらみんなが救われる。それが一番、みんなのためになるんだよ」
「そんなこと……そんなこと、関係ないのに……!」
お母さんはがなるように言う。
そんなに必死になって怒って喚く姿、初めて見たかもしれない。
厳しい時だってもちろんあったけど、でもお母さんはいつだって、嫌になるくらい朗らかな人だったから。
だから、私のためにそんなに必死になってくれるのが嬉しくて。
その事実だけで、私は少しだけ救われたような気分になって。
更に、覚悟が決まってしまった。
霰ちゃんをそっと床に寝かせて、立ち上がる。
同じ目線に立つと、お母さんはくしゃっと顔を歪めた。
「ダメよ、待って。お母さんが、絶対にあなたを守るから。だから、自分を大切にして。アリスちゃん……!」
「ごめんね。でも、お母さんならわかるでしょ? 自分より大切な人がいるんだ。自分よりも守りたい人が、私にはいるんだよ」
「……でも、でも! 私は、あなたさえ生きてくれれば、他の誰がどうなったって……!」
そう言って私の肩を掴むお母さんに、私は、ああそうかと、納得してしまった。
私のことをとても大切に想ってくれていて、必死に守ろうとしてくれた。
それは私の今の気持ちと同じで、何に変えても守りたいと、そう思ってくれていた。
そのために、何を犠牲にしても、私に安寧を与えようとしてくれていたんだ。
その愛に、一点の曇りもなかったんだ。
「お母さん、ありがとう」
心の中に、その事実を何の疑いもなく受け入れて。
そして私は、肩にかかるその手を下ろして、握る。
「でもね、お母さん。私のことを、そんなに大切に想ってくれてるなら。それならね。晴香の時と同じ過ちを、犯さないでほしいんだ」
「ッ…………」
私のために、私を守るために、他人の犠牲を飲み込むようなことを、お母さんにはしてほしくない。
まして、私の何より大切な人に対して。
私の言葉に、お母さんは真っ青な顔をして。
でも、それでも尚、諦める素振りは見せなかった。
泣きそうな顔をぎゅっと引き締め、厳しい顔で私を睨む。
それは怒りではなく、叱咤の表情だった。
じんわりと汗を滲ませながら、戸惑いと迷いに手を震わせながら。
サッと、私の前に出た。
「待ってちょうだい、イヴ」
「ホーリー」
突然のことに驚く私とは裏腹に、夜子さんは全く動じていなかった。
お母さんのことを見つめて、驚くわけでもなく、怒るわけでもなく。
むしろ穏やかに、愛おしげな表情ですらあった。
「どうしたんだい?」
「やっぱり……やっぱりダメよ。私……できない」
優しく問い掛ける夜子さんに、お母さんはそう、呟くように答えた。
できない。何を? 今、何をできないって、お母さんは言ってるの?
夜子さんは、「そうか」と頷く。
「できない。私には、できないわ。私に……アリスちゃんを見捨てることなんて、できない!」
「え…………」
お母さんは、突然そんなことを言い出して。
私を庇うように、腕を広げる。
「ごめんなさい、イヴ。ずっと、ずっと考えていたけれど。覚悟を、決めていたはずだけど。やっぱり私は、ダメだったわ」
「ああ。構わないよ、ホーリー」
「ずっと、この時のために、私たちは二千年も生きてきたのに。でも、無理なの。だって私は……この子の、お母さんだから……!」
とくんと、胸が鳴る。
思ってもみなかった言葉に、心が震える。
もう諦めていて、苦しいけれど割り切らなきゃって思ってたのに。
でもお母さんは、私のお母さんは、そう言った。
「ドルミーレは、私の大切な親友。それは、今だって全く変わらないけれど。でも私には、この子を犠牲にしてまで得たいものなんて、なかった。なかったの。だってこの子は、私の娘だから……!」
「お母、さん…………」
声を張り上げて、お母さんはそう言って。
そして、私に振り返って眉を落とす。
「ごめんなさい、アリスちゃん。私にこんなことを言う資格は、ないってわかっているの。でも、私はもう、自分でもどうしようもないくらい、あなたのお母さんで。あなたの顔を見ていたら、それ以上に大切なものなんて、浮かべられなかった」
「お母さんっ…………」
ごめんなさいと、そう何度も繰り返すお母さん。
今こうして庇ってくれたって、今までの裏切りがなくなるわけじゃない。
隠されていた事実や、お母さんたちが私の奥に見ていたものがなくなるわけじゃない。
わかっているけど、それでも。今こうして、確かに私のお母さんであってくれることが、たまらなく嬉しかった。
何度も何度も謝りながら、お母さんは私の頭を撫でて。
私は、もう何の涙かわからないくらい、流し続けた涙を更に溢れさせて、泣いて。
そんな私を、お母さんは愛おしそうに見てから、夜子さんへと向き直った。
「……イヴ。本当にごめんなさい。でも、ドルミーレを目覚めさせるわけには、いかなくなってしまったわ。彼女を、私は呼べない。ごめんなさい」
「いいよ、構わない。私はそれで、君を裏切り者だなんて言うつもりはないよ。だって君は、私の気持ちの代弁をしてくれているんだから」
お母さんの突然の反論に、夜子さんは全く顔色を変えない。
むしろ、喜ばしいくらいの勢いで、僅かに微笑む。
「君が言い出さなきゃ、私がそっちに回っていたかもしれない。私だって、アリスちゃんが大好きだ。そう簡単に切り捨てられるようなものじゃない」
「イヴ……」
「でも、君がそうやって声を上げてくれた。だから私は心置きなく、こちら側でいられる。これで、いいんだ。私たちはあまりにも長く、生きすぎた」
二千年の時を、ドルミーレを復活させるために生きてきた二人。
それなのに、いや、だからなのか。二人の間に諍う気持ちはまるでなくて。
淡々と、何事もないように話が進んでいく。
「ホーリー。私は君を愛している。愛すべき、私の親友だ。だからこそ、君が最後の障害になるというのなら、これ以上に喜ばしいことはない」
「私もよ、イヴ。あなただから私は、全てを託してわがままを言えるんだから」
だっていうのに、二人は静かに、いつの間にか一触即発の空気へと切り替わる。
当たり前のように、そうなることが自然だというように、流れるように。
争うことさえも、何も障害になり得ないというように。
「ま、待って! 待って待って!」
穏やかながらも張り詰めた空気に、私は慌てて声を上げた。
静かに鋭い二人の視線が、私へと向けられる。
「待ってよ。二人は親友なんでしょ? ずっと、同じ目的のために歩いてきたんでしょ? それなのに今、喧嘩しないでよ……!」
立場がどうとか、自分にとってどうかとか、そんなことはどうでもよくて。
今は、掛け替えの無い親友であるはずの二人が、こうして争おうとしていることが、たまらなく嫌だった。
「でも、アリスちゃん。彼女を止めないと、あなたは……」
「ありがとう、お母さん。でも、もういいんだよ」
だって、私は覚悟を決めたから。
夜子さんの言うことが正しくて、それしかないと気付いたから。
今それを理由に争ってなんて欲しく無い。
「お母さんの気持ちは、すっごく嬉しい。大切に思ってくれて、本当にありがとう。でも、もう私は決めたんだ。友達を守るために、霰ちゃんを守るために、自分にできることをしようって」
「アリスちゃん……!」
信じられないと、お母さんは私を見る。
私は、頑張って笑って返した。
でも、反対にお母さんは怒った。
「そうしたら、あなたは消えてしまうのよ!? そんなの、私はいや。誰かのために自分が犠牲になればいいなんて、そんなこと、言うものじゃない!」
「でも、それが最善だから。お母さんたちにとって大切なドルミーレが蘇って、そしたらみんなが救われる。それが一番、みんなのためになるんだよ」
「そんなこと……そんなこと、関係ないのに……!」
お母さんはがなるように言う。
そんなに必死になって怒って喚く姿、初めて見たかもしれない。
厳しい時だってもちろんあったけど、でもお母さんはいつだって、嫌になるくらい朗らかな人だったから。
だから、私のためにそんなに必死になってくれるのが嬉しくて。
その事実だけで、私は少しだけ救われたような気分になって。
更に、覚悟が決まってしまった。
霰ちゃんをそっと床に寝かせて、立ち上がる。
同じ目線に立つと、お母さんはくしゃっと顔を歪めた。
「ダメよ、待って。お母さんが、絶対にあなたを守るから。だから、自分を大切にして。アリスちゃん……!」
「ごめんね。でも、お母さんならわかるでしょ? 自分より大切な人がいるんだ。自分よりも守りたい人が、私にはいるんだよ」
「……でも、でも! 私は、あなたさえ生きてくれれば、他の誰がどうなったって……!」
そう言って私の肩を掴むお母さんに、私は、ああそうかと、納得してしまった。
私のことをとても大切に想ってくれていて、必死に守ろうとしてくれた。
それは私の今の気持ちと同じで、何に変えても守りたいと、そう思ってくれていた。
そのために、何を犠牲にしても、私に安寧を与えようとしてくれていたんだ。
その愛に、一点の曇りもなかったんだ。
「お母さん、ありがとう」
心の中に、その事実を何の疑いもなく受け入れて。
そして私は、肩にかかるその手を下ろして、握る。
「でもね、お母さん。私のことを、そんなに大切に想ってくれてるなら。それならね。晴香の時と同じ過ちを、犯さないでほしいんだ」
「ッ…………」
私のために、私を守るために、他人の犠牲を飲み込むようなことを、お母さんにはしてほしくない。
まして、私の何より大切な人に対して。
私の言葉に、お母さんは真っ青な顔をして。
でも、それでも尚、諦める素振りは見せなかった。
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