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第8章 私の一番大切なもの
77 守ってきた理由
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夜子さんはダボッとしたズボンのポケットに両手を突っ込んで、だらけたポージングで私たちを見据える。
広間の出口は私たちの真後ろで、夜子さんは奥側にいるから、ここから出ようと思えば簡単なはずなのに。
夜子さんの突き刺すような視線に当てられて、私たちは身動きが取れなくなってしまった。
「どういうことだか、さっぱり意味がわかりませんよ、夜子さん。今はまず、氷室さんを助けないと。それに、クリアちゃんだって一刻も早く止めないと、ジャバウォックが……」
「うん、それはわかっているよアリスちゃん。だからさ、残念だとは思っているけれど、霰ちゃんのことは諦めてくれ」
「……は?」
夜子さんはそう言うと、大きな溜息をついて頭を掻いた。
どこか気怠そうに、けれど意思は決まっていると踏ん切りをつけるように。
その重苦しい雰囲気が、私の知る夜子さんらしくなくて、とても嫌な気持ちになった。
「冗談、やめてくださいよ。そんなこと、できるわけないじゃないですか……! 氷室さんは絶対に見捨てられません。何がなんでも、助けないと……!」
「まぁ、君ならそう言うと思っていたけどさ。じゃあ聞くけど、君が王城に向かうことでジャバウォックが呼び寄せられ、世界が崩壊するとしても、それでも君は『何がなんでも』霰ちゃんを助けに行くのかい?」
「それは……え……?」
声を荒げる私に全く動じることなく、夜子さんはそう淡々と言った。
私が行くことで、ジャバウォックが呼び寄せられる……?
「私たちだって、一刻も早くクリアちゃんを止めるべきだと思ってる。けれどね、彼女の術のトリガーが君なんだとわかった以上、私たちは君を彼女のもとに向かわせることなんてできないんだよ」
「私が、トリガー? 一体、なんの話をしているんですか?」
「クリアちゃんは、君の前でジャバウォックを顕現させようだなんて、最低なことを考えているんだ。でもそれも裏を返せば、君が彼女の元に辿り着かせなければいいってことになる。まぁ、痺れを切らしてしまう可能性もあるけれど、大きな時間稼ぎになるだろう」
「…………!?」
夜子さんはもう笑ってはいない。暗闇のような静かな瞳が、ただ真っ直ぐ私を見据えているだけだ。
なんとしてもジャバウォックを阻止しようとしている彼女にとって、私がクリアちゃんと対面するというきっかけを潰すことは、とても重要なことなんだ。
確かに、そう聞けば私が行ってはいけないというのもわからなくはないけれど。
でも、氷室さんがクリアちゃんに囚われているのなら、私は絶対に引くことなんてできないし、それを抜きにしたって、これはもう私が手を引ける事態なんかじゃない。
「話はなんとなくわかりましたけど……でも、そう言われたって私は、ここでじっとなんてしていられません。氷室さんを助けて、ジャバウォックが呼び起こされる前にクリアちゃんを止めます!」
「……それは理想論だよ、アリスちゃん。物事は、そう上手くはいかないものだ」
「そんなの、やってみなくちゃわからないじゃないですか!」
「やってみてダメでしたじゃ、取り返しがつかないんだよ。それくらいのこと、君でもわかるだろう?」
全く優しさがない夜子さんの言葉は、とても冷ややかに浴びせかかってくる。
言っていることは正しいのかもしれないけれど、でも色んなものを見限ったようなその考え方を、私は受け入れたくなかった。
でも、ここで相反する言葉をぶつけ合っていても埒が明かない。どうにかして、ここを脱しないと。
「私たちがクリアちゃんを止めに行く前に、君にはここで大人しくしていてもらわないと。素直に言うことを聞いてもらえると助かるんだけれど、どうかな?」
「……夜子さんなら、わかってるんじゃないですか? この状況で、私が言うことを聞くわけなんかないって」
「まぁ、そうだね」
夜子さんと争いたくなんてないけれど、全く譲る気のない彼女を見れば、そんなことを言っている場合ではないとわかる。
私としては一緒に王城に向かって、協力してクリアちゃんを止めたいとこだけれど。
そもそも私を向かわせないと言うのなら、それは叶わない願いだ。
でも、それを口に出さずにはいられない。
「夜子さん、やめましょうよ。私たちがこうやって争う意味なんてないですよ。こうしている間にも、事態はどんどん悪くなっているんですから……!」
「同感だ。だからこそ、手っ取り早く大人しくさせる必要があるね。私たちは絶対に、君をジャバウォックに引き合わせるわけにはいかないんだから」
「どうして、どうしてそこまで……! ジャバウォックが危険だっていうのは、私もわかってます。だったらみんなで力を合わせた方が絶対いいのに。そうすれば、例え私がクリアちゃんに対面したって、ジャバウォックが顕現する前に止められますよ!」
「万が一ということがある。あってはならないことだけれど、私たちは万に一つも、その危険を冒したくはないのさ。例え他のなにが犠牲になろうとも、私たちは君の目にあの魔物の姿を晒したくはないんだ」
淡々と語る夜子さんではあるけれど、言葉の裏からは静かな感情の波が窺える。
いつもは飄々としている夜子さんだけれど、今はいつなくムキになっている。
でもジャバウォックという災厄から私を守ろうとしているようなその言葉は、私に向けられているようで、でもきっとそうではなくて。
そんな彼女の気持ちの行方の違いが、どうしても私の気持ちとのすれ違いを生んでいく気がした。
今の夜子さんの目には、きっと私の姿は写っていないんだ。
私に向けられている言葉も、きっと違うところに語り掛けられていて。
だからこうも、寂しい気持ちが心を満たすんだ。
そして、その理由はきっと────
「ドルミーレの、ためですか?」
それはきっと、彼女がドルミーレの親友だからだ。
「私の中で彼女が眠っているから、だからそうやって言うんですか? ジャバウォックが、彼女にとってよくないものだから……!」
私が困った時、いつもそれとなく助け舟を出してきてくれた夜子さん。
意地悪なところだってあったし、意見が合わなかったことだってあるけれど。
でもいつだって夜子さんは、私が前に進むためのヒントを与えてくれて来た。
私はそんな夜子さんが好きだったし、信じていたし、頼りにしていた。
でも夜子さんがそうやって私に力を貸してくれたのは、私の中にドルミーレがいるからなんだ。
夜子さんは私を助けてくれていたんじゃなくて、私の中のドルミーレを見ていただけなんだ……!
「そうなんでしょう!? 夜子さん、あなたは私を助けるふりをして、ドルミーレを助けたいだけ。『始まりの魔女』、全ての原因である、彼女を……!」
ままならない感情が、思わず口から飛び出してしまう。
私にとってドルミーレは、どうしようもなく受け入れ難い存在だ。
多くの人々を苦しめる原因で、私という存在を脅かす人で、とても冷たく残酷な人で。
でも、夜子さんはそんな彼女を守ろうとしている。そのために、私を阻もうとしている。
とても頼もしく、友達のように仲良く接してくれていた、夜子さんが。
その現実が、私の心をどうしようもなく締め付けるんだ。
どうして、一緒に戦おうと言ってくれないのかって、そんなわがままみたいな気持ちでいっぱいになってしまう。
けれどやっぱり夜子さんは、私の言葉に静かに頷くだけだった。
「君の言う通りだよ、アリスちゃん。私が君のそばにいたのは、ドルミーレを守るためだ。昔、ちっちゃかった君がこの国に迷い込んだ時も、そこから君を救い出した時も、そして、今こうして君が自分自身の意思で問題に立ち向かっている時だって。私が力を添えたのは、全部ドルミーレのためだ」
夜子さんは一切様子を変えず、当たり前のようにそう言った。
何一つ誤魔化すことなく、悪びれももちろんなく、ただ事実を淡々と述べるだけ。
彼女は責められるようなことはしていないけれど、でも私はそれが、堪らなく悲しかった。
「もう知っているようだけれど、私は彼女の親友だからね。私はドルミーレのためにこの二千年間を生きていた。私がすることは全て、彼女のためなんだ」
夜子さんは、いつも私に語りかける時と同じトーンで、そう言った。
もう既に知っていたことなのに、でも本人の口から聞くとより一層心に突き刺さった。
今までのことが全て、否定されたような気がして。
項垂れそうになるのを必死で堪えて。でもショックは隠せなくて。
それでも踏ん張って、目の前を見続ける。
そこにいるのは普段何も変わらない夜子さんと、そして、白いローブに身を包むお母さんの姿。
「……お母さんも、そうなの?」
夜子さんの言葉が頭の中で響いて、私は思わず尋ねてしまった。
ずっと口を閉ざし、顔を背けているお母さんに。その口からちゃんと説明してほしくて。
「…………」
けれどお母さんは、何も答えてくれなかった。
広間の出口は私たちの真後ろで、夜子さんは奥側にいるから、ここから出ようと思えば簡単なはずなのに。
夜子さんの突き刺すような視線に当てられて、私たちは身動きが取れなくなってしまった。
「どういうことだか、さっぱり意味がわかりませんよ、夜子さん。今はまず、氷室さんを助けないと。それに、クリアちゃんだって一刻も早く止めないと、ジャバウォックが……」
「うん、それはわかっているよアリスちゃん。だからさ、残念だとは思っているけれど、霰ちゃんのことは諦めてくれ」
「……は?」
夜子さんはそう言うと、大きな溜息をついて頭を掻いた。
どこか気怠そうに、けれど意思は決まっていると踏ん切りをつけるように。
その重苦しい雰囲気が、私の知る夜子さんらしくなくて、とても嫌な気持ちになった。
「冗談、やめてくださいよ。そんなこと、できるわけないじゃないですか……! 氷室さんは絶対に見捨てられません。何がなんでも、助けないと……!」
「まぁ、君ならそう言うと思っていたけどさ。じゃあ聞くけど、君が王城に向かうことでジャバウォックが呼び寄せられ、世界が崩壊するとしても、それでも君は『何がなんでも』霰ちゃんを助けに行くのかい?」
「それは……え……?」
声を荒げる私に全く動じることなく、夜子さんはそう淡々と言った。
私が行くことで、ジャバウォックが呼び寄せられる……?
「私たちだって、一刻も早くクリアちゃんを止めるべきだと思ってる。けれどね、彼女の術のトリガーが君なんだとわかった以上、私たちは君を彼女のもとに向かわせることなんてできないんだよ」
「私が、トリガー? 一体、なんの話をしているんですか?」
「クリアちゃんは、君の前でジャバウォックを顕現させようだなんて、最低なことを考えているんだ。でもそれも裏を返せば、君が彼女の元に辿り着かせなければいいってことになる。まぁ、痺れを切らしてしまう可能性もあるけれど、大きな時間稼ぎになるだろう」
「…………!?」
夜子さんはもう笑ってはいない。暗闇のような静かな瞳が、ただ真っ直ぐ私を見据えているだけだ。
なんとしてもジャバウォックを阻止しようとしている彼女にとって、私がクリアちゃんと対面するというきっかけを潰すことは、とても重要なことなんだ。
確かに、そう聞けば私が行ってはいけないというのもわからなくはないけれど。
でも、氷室さんがクリアちゃんに囚われているのなら、私は絶対に引くことなんてできないし、それを抜きにしたって、これはもう私が手を引ける事態なんかじゃない。
「話はなんとなくわかりましたけど……でも、そう言われたって私は、ここでじっとなんてしていられません。氷室さんを助けて、ジャバウォックが呼び起こされる前にクリアちゃんを止めます!」
「……それは理想論だよ、アリスちゃん。物事は、そう上手くはいかないものだ」
「そんなの、やってみなくちゃわからないじゃないですか!」
「やってみてダメでしたじゃ、取り返しがつかないんだよ。それくらいのこと、君でもわかるだろう?」
全く優しさがない夜子さんの言葉は、とても冷ややかに浴びせかかってくる。
言っていることは正しいのかもしれないけれど、でも色んなものを見限ったようなその考え方を、私は受け入れたくなかった。
でも、ここで相反する言葉をぶつけ合っていても埒が明かない。どうにかして、ここを脱しないと。
「私たちがクリアちゃんを止めに行く前に、君にはここで大人しくしていてもらわないと。素直に言うことを聞いてもらえると助かるんだけれど、どうかな?」
「……夜子さんなら、わかってるんじゃないですか? この状況で、私が言うことを聞くわけなんかないって」
「まぁ、そうだね」
夜子さんと争いたくなんてないけれど、全く譲る気のない彼女を見れば、そんなことを言っている場合ではないとわかる。
私としては一緒に王城に向かって、協力してクリアちゃんを止めたいとこだけれど。
そもそも私を向かわせないと言うのなら、それは叶わない願いだ。
でも、それを口に出さずにはいられない。
「夜子さん、やめましょうよ。私たちがこうやって争う意味なんてないですよ。こうしている間にも、事態はどんどん悪くなっているんですから……!」
「同感だ。だからこそ、手っ取り早く大人しくさせる必要があるね。私たちは絶対に、君をジャバウォックに引き合わせるわけにはいかないんだから」
「どうして、どうしてそこまで……! ジャバウォックが危険だっていうのは、私もわかってます。だったらみんなで力を合わせた方が絶対いいのに。そうすれば、例え私がクリアちゃんに対面したって、ジャバウォックが顕現する前に止められますよ!」
「万が一ということがある。あってはならないことだけれど、私たちは万に一つも、その危険を冒したくはないのさ。例え他のなにが犠牲になろうとも、私たちは君の目にあの魔物の姿を晒したくはないんだ」
淡々と語る夜子さんではあるけれど、言葉の裏からは静かな感情の波が窺える。
いつもは飄々としている夜子さんだけれど、今はいつなくムキになっている。
でもジャバウォックという災厄から私を守ろうとしているようなその言葉は、私に向けられているようで、でもきっとそうではなくて。
そんな彼女の気持ちの行方の違いが、どうしても私の気持ちとのすれ違いを生んでいく気がした。
今の夜子さんの目には、きっと私の姿は写っていないんだ。
私に向けられている言葉も、きっと違うところに語り掛けられていて。
だからこうも、寂しい気持ちが心を満たすんだ。
そして、その理由はきっと────
「ドルミーレの、ためですか?」
それはきっと、彼女がドルミーレの親友だからだ。
「私の中で彼女が眠っているから、だからそうやって言うんですか? ジャバウォックが、彼女にとってよくないものだから……!」
私が困った時、いつもそれとなく助け舟を出してきてくれた夜子さん。
意地悪なところだってあったし、意見が合わなかったことだってあるけれど。
でもいつだって夜子さんは、私が前に進むためのヒントを与えてくれて来た。
私はそんな夜子さんが好きだったし、信じていたし、頼りにしていた。
でも夜子さんがそうやって私に力を貸してくれたのは、私の中にドルミーレがいるからなんだ。
夜子さんは私を助けてくれていたんじゃなくて、私の中のドルミーレを見ていただけなんだ……!
「そうなんでしょう!? 夜子さん、あなたは私を助けるふりをして、ドルミーレを助けたいだけ。『始まりの魔女』、全ての原因である、彼女を……!」
ままならない感情が、思わず口から飛び出してしまう。
私にとってドルミーレは、どうしようもなく受け入れ難い存在だ。
多くの人々を苦しめる原因で、私という存在を脅かす人で、とても冷たく残酷な人で。
でも、夜子さんはそんな彼女を守ろうとしている。そのために、私を阻もうとしている。
とても頼もしく、友達のように仲良く接してくれていた、夜子さんが。
その現実が、私の心をどうしようもなく締め付けるんだ。
どうして、一緒に戦おうと言ってくれないのかって、そんなわがままみたいな気持ちでいっぱいになってしまう。
けれどやっぱり夜子さんは、私の言葉に静かに頷くだけだった。
「君の言う通りだよ、アリスちゃん。私が君のそばにいたのは、ドルミーレを守るためだ。昔、ちっちゃかった君がこの国に迷い込んだ時も、そこから君を救い出した時も、そして、今こうして君が自分自身の意思で問題に立ち向かっている時だって。私が力を添えたのは、全部ドルミーレのためだ」
夜子さんは一切様子を変えず、当たり前のようにそう言った。
何一つ誤魔化すことなく、悪びれももちろんなく、ただ事実を淡々と述べるだけ。
彼女は責められるようなことはしていないけれど、でも私はそれが、堪らなく悲しかった。
「もう知っているようだけれど、私は彼女の親友だからね。私はドルミーレのためにこの二千年間を生きていた。私がすることは全て、彼女のためなんだ」
夜子さんは、いつも私に語りかける時と同じトーンで、そう言った。
もう既に知っていたことなのに、でも本人の口から聞くとより一層心に突き刺さった。
今までのことが全て、否定されたような気がして。
項垂れそうになるのを必死で堪えて。でもショックは隠せなくて。
それでも踏ん張って、目の前を見続ける。
そこにいるのは普段何も変わらない夜子さんと、そして、白いローブに身を包むお母さんの姿。
「……お母さんも、そうなの?」
夜子さんの言葉が頭の中で響いて、私は思わず尋ねてしまった。
ずっと口を閉ざし、顔を背けているお母さんに。その口からちゃんと説明してほしくて。
「…………」
けれどお母さんは、何も答えてくれなかった。
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