855 / 984
第8章 私の一番大切なもの
27 魔法という穢れ
しおりを挟む
レオとアリアが背後で絶句しているのが、目を向けなくてもわかった。
ロード・デュークスが口にした言葉は、魔法使いのものとは到底思えないからだ。
それが、魔法使いとして上位の位置である、君主の立場を持つ彼であれば、尚更だ。
ロード・デュークスは、魔法を崇高な神秘として仰ぎ、そして誇りを持って研鑽を重ねている魔法使いとして、あるまじき発言をした。
魔女や『魔女ウィルス』、そしてドルミーレを否定するのは当然のことだけれど。
魔法使いが魔法すらも否定するなんて、本来ありえないことだ。
けれどどうやら、ロード・デュークスは魔法の本質を知り得ているらしい。
ならばそれはある意味、魔法使いとして当然の反応なのかもしれない。
魔法に誇りを抱き、自らのアイデンティティの一つとしてきたからこそ、その実態に強烈な悍ましさを覚えた。
そう思えば、決して外れた発言ではない。
でも彼の言葉には、どこかそれ以上の感情が含まれているように思えた。
「姫殿下、あなた様はとても尊い思想を持つ、清らかなお方だ。しかし、それ故に未熟さが拭えない。あなた様が目指すものは間違ってはいないが、理想の域を出ないのです。あなた様は、まだ子供だ」
「っ…………」
普通のトーンで言っているだけなのに、その言葉はとても冷たく、私の胸に刺さった。
私よりも長い人生を歩み、長い間この世界を見てきた彼には、それならではの現実が見えている。
それがどんなに残酷な選択でも、確かに私よりも現実に近いものを提示しているかもしれない。
私のやろうとしている事は、確かに確証がなく、希望に縋る部分が大きい。
私の中の信頼や自信は、他人に証明できるものじゃないし、国家の行末を左右する出来事に対して提示するには、確かに弱い。
そういう観点で見れば、ロード・デュークスの案の方が現実的で、確実性が高く見えてくる事は否めない。
でも、でも……。それでも、納得はできない。
私は気圧されそうになりながらも、歯を食いしばって喰らい付いた。
「確かに、私の考えは甘いかもしれません。けれど、やっぱり私は、『ジャバウォック計画』を受け入れる事はできません。だってそれを用いれば、何もかも台無しになってしまう。他の方法があるならまだしも、それは……」
「台無しになる、か。それは仕方のない事でしょう。今のこの世界の在り方が、そもそも間違っているのだから」
私の反論に、ロード・デュークスは溜息をついた。
「全ての魔女を駆逐し、その原因である『魔女ウィルス』を排除する。それを成す為には、同様の力である魔法という手段は全く適切ではない。不可能と言ってもいいくらいだ。であればそれに反する力、ジャバウォックを用いるのが当然の帰結でしょう」
魔法が『魔女ウィルス』を前提とするものである以上、確かに魔法による解決策などあるわけがない。
彼らが飽くまで魔法使いである以上、魔法以外の手段を模索する事は難しい事だろう。
「それにジャバウォックを用いれば、ドルミーレの力である『始まりの力』をも打ち砕くことが可能です。あなた様もそれを望まれていたようですし、何も問題はありますまい。『ジャバウォック計画』は、この世界に蔓延る穢れを全て抹消することができるのです」
「違う、違います。私が言いたいのは、そういうことじゃない……!」
私は堪らず、僅かに声を荒げてしまった。
それでも冷静さを保つロード・デュークスを見据えながら食ってかかる。
「『魔女ウィルス』を排除することも、私の『始まりの力』を砕くことも、確かにいいことです。魔法すらも消し去ることだって、あなたたち魔法使いがいいのであれば、いいでしょう。でも、ジャバウォックが破壊するのはそれだけでは収まらない。それが姿を現せば、世界ごと滅ぼされてしまうと、私はそう言っているんです……!」
ロード・デュークスは真っ当なことを言っているようで、肝心な点について触れていない。
ジャバウォックは全てを崩壊させる、混沌の権化の魔物だ。
私自身はそれを知らないけれど、この心はその名前にとても危機を感じるし、実際にそれを知るレイくんがそう言っている。
ジャバウォックを使って望むものを消し去れたとしても、その代償として世界そのものまでも破壊されてしまっては、元も子もない。
私の危惧は、話の本質はそこなんだ。
そこが解決しない以上、どんなに理屈や正当性を語られたって、頷くことなんてできない。
そこについてロード・デュークスはどのように考えているのか。
詰問するような勢いで見詰めると、返ってきたのは嘆息だった。
「そんなことは心得ていますよ、姫殿下。私は、魔法によって穢れたこの世界を、破壊すべきだと考えているのですから」
「…………!」
事も無げにそう言ってのけたロード・デュークス。
そのあまりの発言に、アリアは小さく悲鳴を上げた。
彼女は、ロード・デュークスはそんな危険を冒さないと、そう言ってた。
しかし実際は、危険を顧みないどころか、寧ろそれを望んでいるという。
私も流石に、それは信じられなかった。
「あなたは、この世界に生きる人間として、この国を守る魔法使いとして、それでいいんですか? 本当に、あなたは、世界を滅ぼそうと……」
「何も驚くことではない。申し上げたではないですか。私は、魔法という穢れを清算すべきだと考えている、と。それはつまり、この世界に蔓延るあらゆる『魔なるもの』の抹消であり、魔法によって道を誤ったこの世界の破壊でもあるのです」
ロード・デュークスは顔色一つ変えることなく、当たり前のようにそう語る。
自らが暮らす世界を、間違っているという理由で壊そうとしている。
『始まりの魔女』ドルミーレから齎された魔法が、穢らわしく受け入れ難いものであるから。それに満たされた世界そのものを破壊すべきだと、本当にそう思っている。
ロード・デュークスがいつ、魔法の本質に気がついたのかはわからないけれど。
彼はきっとはじめから、そこまでを見据えて計画を立て、それを目指していたんだ。
彼にとって魔女の掃討や『魔女ウィルス』の除去は、飽くまで表面的なことでしかなくて。
そのもっと本質、自らが扱う魔法や、それが広く浸透した世界までもを破壊することが、ロード・デュークスの魔女狩りとしての目的なんだ。
彼の『魔女』に対する嫌悪は、自らとその環境を排除することを躊躇わせないほどに、本物だということ。
それは魔法使いとしては真っ当なようで、けれどとても逸脱した感性のように思えた。
私は何て言葉を返せばいいのかわからず、硬直してしまった。
後ろにいるレオとアリアも、混乱と動揺を隠せずにいる。
そんな私たちに、ロード・デュークスは淡々と言葉を続ける。
「それこそが、『始まりの魔女』ドルミーレの穢れを拭う、唯一の方法なのです。悪しき魔女によって歪んでしまったこの世界を、このまま続けていても仕方がない。何もかもを破却し、世界はやり直すべきなのだ。この世界は太古の時代から、間違ってしまっているのだから」
「そんな、そんなこと……」
「そうすれば、もう誰も苦悩することなどない。穢れは全て失われるのです。ですから姫殿下、私にご協力頂きたい。何もせず、ジャバウォックを受け入れるという協力を。そうすれば、あなた様は強大すぎる力から解放され、そしてこの世界の多くの人々もまた、果てしない『魔女』の呪いから救われるのですから」
それが最も正しいことだと信じて疑わないロード・デュークスの言葉には、罪悪感のかけらもない。
きっと彼はそこに悪意など微塵もなく、それこそがこの世界のためだと信じて疑わないんだ。
魔女を否定する魔女狩りとしての突き詰めた感性と使命感が、彼にその究極的な選択をさせている。
でもそこには、魔女憎しという私情がどうしても見えてしまう。
確かに彼が言う通り、ドルミーレが残した『魔女ウィルス』と、そこから繋がっている魔法は、世界の方向性を大きく変えてしまったかもしれない。
けれど、それを理由に世界ごと滅ぼしてしまおうなんていうのはやっぱり、魔女狩りの極端な思想だ。
この世界で生きる人々や、『まほうつかいの国』以外の魔法とはほぼ無関係の人々や物事を、全て無視している。
魔女を憎む者としては、それは当然の選択かもしれないけれど。
でもそれは、そこしか見えていない人の感情だ。
そんな恐ろしいことを考えている人に、私は絶対賛同なんてできない。
ロード・デュークスが口にした言葉は、魔法使いのものとは到底思えないからだ。
それが、魔法使いとして上位の位置である、君主の立場を持つ彼であれば、尚更だ。
ロード・デュークスは、魔法を崇高な神秘として仰ぎ、そして誇りを持って研鑽を重ねている魔法使いとして、あるまじき発言をした。
魔女や『魔女ウィルス』、そしてドルミーレを否定するのは当然のことだけれど。
魔法使いが魔法すらも否定するなんて、本来ありえないことだ。
けれどどうやら、ロード・デュークスは魔法の本質を知り得ているらしい。
ならばそれはある意味、魔法使いとして当然の反応なのかもしれない。
魔法に誇りを抱き、自らのアイデンティティの一つとしてきたからこそ、その実態に強烈な悍ましさを覚えた。
そう思えば、決して外れた発言ではない。
でも彼の言葉には、どこかそれ以上の感情が含まれているように思えた。
「姫殿下、あなた様はとても尊い思想を持つ、清らかなお方だ。しかし、それ故に未熟さが拭えない。あなた様が目指すものは間違ってはいないが、理想の域を出ないのです。あなた様は、まだ子供だ」
「っ…………」
普通のトーンで言っているだけなのに、その言葉はとても冷たく、私の胸に刺さった。
私よりも長い人生を歩み、長い間この世界を見てきた彼には、それならではの現実が見えている。
それがどんなに残酷な選択でも、確かに私よりも現実に近いものを提示しているかもしれない。
私のやろうとしている事は、確かに確証がなく、希望に縋る部分が大きい。
私の中の信頼や自信は、他人に証明できるものじゃないし、国家の行末を左右する出来事に対して提示するには、確かに弱い。
そういう観点で見れば、ロード・デュークスの案の方が現実的で、確実性が高く見えてくる事は否めない。
でも、でも……。それでも、納得はできない。
私は気圧されそうになりながらも、歯を食いしばって喰らい付いた。
「確かに、私の考えは甘いかもしれません。けれど、やっぱり私は、『ジャバウォック計画』を受け入れる事はできません。だってそれを用いれば、何もかも台無しになってしまう。他の方法があるならまだしも、それは……」
「台無しになる、か。それは仕方のない事でしょう。今のこの世界の在り方が、そもそも間違っているのだから」
私の反論に、ロード・デュークスは溜息をついた。
「全ての魔女を駆逐し、その原因である『魔女ウィルス』を排除する。それを成す為には、同様の力である魔法という手段は全く適切ではない。不可能と言ってもいいくらいだ。であればそれに反する力、ジャバウォックを用いるのが当然の帰結でしょう」
魔法が『魔女ウィルス』を前提とするものである以上、確かに魔法による解決策などあるわけがない。
彼らが飽くまで魔法使いである以上、魔法以外の手段を模索する事は難しい事だろう。
「それにジャバウォックを用いれば、ドルミーレの力である『始まりの力』をも打ち砕くことが可能です。あなた様もそれを望まれていたようですし、何も問題はありますまい。『ジャバウォック計画』は、この世界に蔓延る穢れを全て抹消することができるのです」
「違う、違います。私が言いたいのは、そういうことじゃない……!」
私は堪らず、僅かに声を荒げてしまった。
それでも冷静さを保つロード・デュークスを見据えながら食ってかかる。
「『魔女ウィルス』を排除することも、私の『始まりの力』を砕くことも、確かにいいことです。魔法すらも消し去ることだって、あなたたち魔法使いがいいのであれば、いいでしょう。でも、ジャバウォックが破壊するのはそれだけでは収まらない。それが姿を現せば、世界ごと滅ぼされてしまうと、私はそう言っているんです……!」
ロード・デュークスは真っ当なことを言っているようで、肝心な点について触れていない。
ジャバウォックは全てを崩壊させる、混沌の権化の魔物だ。
私自身はそれを知らないけれど、この心はその名前にとても危機を感じるし、実際にそれを知るレイくんがそう言っている。
ジャバウォックを使って望むものを消し去れたとしても、その代償として世界そのものまでも破壊されてしまっては、元も子もない。
私の危惧は、話の本質はそこなんだ。
そこが解決しない以上、どんなに理屈や正当性を語られたって、頷くことなんてできない。
そこについてロード・デュークスはどのように考えているのか。
詰問するような勢いで見詰めると、返ってきたのは嘆息だった。
「そんなことは心得ていますよ、姫殿下。私は、魔法によって穢れたこの世界を、破壊すべきだと考えているのですから」
「…………!」
事も無げにそう言ってのけたロード・デュークス。
そのあまりの発言に、アリアは小さく悲鳴を上げた。
彼女は、ロード・デュークスはそんな危険を冒さないと、そう言ってた。
しかし実際は、危険を顧みないどころか、寧ろそれを望んでいるという。
私も流石に、それは信じられなかった。
「あなたは、この世界に生きる人間として、この国を守る魔法使いとして、それでいいんですか? 本当に、あなたは、世界を滅ぼそうと……」
「何も驚くことではない。申し上げたではないですか。私は、魔法という穢れを清算すべきだと考えている、と。それはつまり、この世界に蔓延るあらゆる『魔なるもの』の抹消であり、魔法によって道を誤ったこの世界の破壊でもあるのです」
ロード・デュークスは顔色一つ変えることなく、当たり前のようにそう語る。
自らが暮らす世界を、間違っているという理由で壊そうとしている。
『始まりの魔女』ドルミーレから齎された魔法が、穢らわしく受け入れ難いものであるから。それに満たされた世界そのものを破壊すべきだと、本当にそう思っている。
ロード・デュークスがいつ、魔法の本質に気がついたのかはわからないけれど。
彼はきっとはじめから、そこまでを見据えて計画を立て、それを目指していたんだ。
彼にとって魔女の掃討や『魔女ウィルス』の除去は、飽くまで表面的なことでしかなくて。
そのもっと本質、自らが扱う魔法や、それが広く浸透した世界までもを破壊することが、ロード・デュークスの魔女狩りとしての目的なんだ。
彼の『魔女』に対する嫌悪は、自らとその環境を排除することを躊躇わせないほどに、本物だということ。
それは魔法使いとしては真っ当なようで、けれどとても逸脱した感性のように思えた。
私は何て言葉を返せばいいのかわからず、硬直してしまった。
後ろにいるレオとアリアも、混乱と動揺を隠せずにいる。
そんな私たちに、ロード・デュークスは淡々と言葉を続ける。
「それこそが、『始まりの魔女』ドルミーレの穢れを拭う、唯一の方法なのです。悪しき魔女によって歪んでしまったこの世界を、このまま続けていても仕方がない。何もかもを破却し、世界はやり直すべきなのだ。この世界は太古の時代から、間違ってしまっているのだから」
「そんな、そんなこと……」
「そうすれば、もう誰も苦悩することなどない。穢れは全て失われるのです。ですから姫殿下、私にご協力頂きたい。何もせず、ジャバウォックを受け入れるという協力を。そうすれば、あなた様は強大すぎる力から解放され、そしてこの世界の多くの人々もまた、果てしない『魔女』の呪いから救われるのですから」
それが最も正しいことだと信じて疑わないロード・デュークスの言葉には、罪悪感のかけらもない。
きっと彼はそこに悪意など微塵もなく、それこそがこの世界のためだと信じて疑わないんだ。
魔女を否定する魔女狩りとしての突き詰めた感性と使命感が、彼にその究極的な選択をさせている。
でもそこには、魔女憎しという私情がどうしても見えてしまう。
確かに彼が言う通り、ドルミーレが残した『魔女ウィルス』と、そこから繋がっている魔法は、世界の方向性を大きく変えてしまったかもしれない。
けれど、それを理由に世界ごと滅ぼしてしまおうなんていうのはやっぱり、魔女狩りの極端な思想だ。
この世界で生きる人々や、『まほうつかいの国』以外の魔法とはほぼ無関係の人々や物事を、全て無視している。
魔女を憎む者としては、それは当然の選択かもしれないけれど。
でもそれは、そこしか見えていない人の感情だ。
そんな恐ろしいことを考えている人に、私は絶対賛同なんてできない。
0
お気に入りに追加
99
あなたにおすすめの小説
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
婚約者が私以外の人と勝手に結婚したので黙って逃げてやりました〜某国の王子と珍獣ミミルキーを愛でます〜
平川
恋愛
侯爵家の莫大な借金を黒字に塗り替え事業を成功させ続ける才女コリーン。
だが愛する婚約者の為にと寝る間を惜しむほど侯爵家を支えてきたのにも関わらず知らぬ間に裏切られた彼女は一人、誰にも何も告げずに屋敷を飛び出した。
流れ流れて辿り着いたのは獣人が治めるバムダ王国。珍獣ミミルキーが生息するマサラヤマン島でこの国の第一王子ウィンダムに偶然出会い、強引に王宮に連れ去られミミルキーの生態調査に参加する事に!?
魔法使いのウィンロードである王子に溺愛され珍獣に癒されたコリーンは少しずつ自分を取り戻していく。
そして追い掛けて来た元婚約者に対して少女であった彼女が最後に出した答えとは…?
完結済全6話
【完結】義妹とやらが現れましたが認めません。〜断罪劇の次世代たち〜
福田 杜季
ファンタジー
侯爵令嬢のセシリアのもとに、ある日突然、義妹だという少女が現れた。
彼女はメリル。父親の友人であった彼女の父が不幸に見舞われ、親族に虐げられていたところを父が引き取ったらしい。
だがこの女、セシリアの父に欲しいものを買わせまくったり、人の婚約者に媚を打ったり、夜会で非常識な言動をくり返して顰蹙を買ったりと、どうしようもない。
「お義姉さま!」 . .
「姉などと呼ばないでください、メリルさん」
しかし、今はまだ辛抱のとき。
セシリアは来たるべき時へ向け、画策する。
──これは、20年前の断罪劇の続き。
喜劇がくり返されたとき、いま一度鉄槌は振り下ろされるのだ。
※ご指摘を受けて題名を変更しました。作者の見通しが甘くてご迷惑をおかけいたします。
旧題『義妹ができましたが大嫌いです。〜断罪劇の次世代たち〜』
※初投稿です。話に粗やご都合主義的な部分があるかもしれません。生あたたかい目で見守ってください。
※本編完結済みで、毎日1話ずつ投稿していきます。
ヤケになってドレスを脱いだら、なんだかえらい事になりました
杜野秋人
恋愛
「そなたとの婚約、今この場をもって破棄してくれる!」
王族専用の壇上から、立太子間近と言われる第一王子が、声高にそう叫んだ。それを、第一王子の婚約者アレクシアは黙って聞いていた。
第一王子は次々と、アレクシアの不行跡や不品行をあげつらい、容姿をけなし、彼女を責める。傍らに呼び寄せたアレクシアの異母妹が訴えるままに、鵜呑みにして信じ込んだのだろう。
確かに婚約してからの5年間、第一王子とは一度も会わなかったし手紙や贈り物のやり取りもしなかった。だがそれは「させてもらえなかった」が正しい。全ては母が死んだ後に乗り込んできた後妻と、その娘である異母妹の仕組んだことで、父がそれを許可したからこそそんな事がまかり通ったのだということに、第一王子は気付かないらしい。
唯一の味方だと信じていた第一王子までも、アレクシアの味方ではなくなった。
もう味方はいない。
誰への義理もない。
ならば、もうどうにでもなればいい。
アレクシアはスッと背筋を伸ばした。
そうして彼女が次に取った行動に、第一王子は驚愕することになる⸺!
◆虐げられてるドアマットヒロインって、見たら分かるじゃんね?って作品が最近多いので便乗してみました(笑)。
◆虐待を窺わせる描写が少しだけあるのでR15で。
◆ざまぁは二段階。いわゆるおまいう系のざまぁを含みます。
◆全8話、最終話だけ少し長めです。
恋愛は後半で、メインディッシュはざまぁでどうぞ。
◆片手間で書いたんで、主要人物以外の固有名詞はありません。どこの国とも設定してないんで悪しからず。
◆この作品はアルファポリスのほか、小説家になろうでも公開します。
◆過去作のヒロインと本作主人公の名前が丸被りしてたので、名前を変更しています。(2024/09/03)
◆9/2、HOTランキング11→7位!ありがとうございます!
9/3、HOTランキング5位→3位!ありがとうございます!
あなたのことなんて、もうどうでもいいです
もるだ
恋愛
舞踏会でレオニーに突きつけられたのは婚約破棄だった。婚約者の相手にぶつかられて派手に転んだせいで、大騒ぎになったのに……。日々の業務を押しつけられ怒鳴りつけられいいように扱われていたレオニーは限界を迎える。そして、気がつくと魔法が使えるようになっていた。
元婚約者にこき使われていたレオニーは復讐を始める。
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
私はお母様の奴隷じゃありません。「出てけ」とおっしゃるなら、望み通り出ていきます【完結】
小平ニコ
ファンタジー
主人公レベッカは、幼いころから母親に冷たく当たられ、家庭内の雑務を全て押し付けられてきた。
他の姉妹たちとは明らかに違う、奴隷のような扱いを受けても、いつか母親が自分を愛してくれると信じ、出来得る限りの努力を続けてきたレベッカだったが、16歳の誕生日に突然、公爵の館に奉公に行けと命じられる。
それは『家を出て行け』と言われているのと同じであり、レベッカはショックを受ける。しかし、奉公先の人々は皆優しく、主であるハーヴィン公爵はとても美しい人で、レベッカは彼にとても気に入られる。
友達もでき、忙しいながらも幸せな毎日を送るレベッカ。そんなある日のこと、妹のキャリーがいきなり公爵の館を訪れた。……キャリーは、レベッカに支払われた給料を回収しに来たのだ。
レベッカは、金銭に対する執着などなかったが、あまりにも身勝手で悪辣なキャリーに怒り、彼女を追い返す。それをきっかけに、公爵家の人々も巻き込む形で、レベッカと実家の姉妹たちは争うことになる。
そして、姉妹たちがそれぞれ悪行の報いを受けた後。
レベッカはとうとう、母親と直接対峙するのだった……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる