541 / 984
第0.5章 まほうつかいの国のアリス
71 お花畑と城と剣5
しおりを挟む
「救いたいものが、守りたいものがある……! この国にいるたくさんの友達を、わたし、救いたいよ。あの、わがままで『おうぼう』な女王様から!」
「……そうか」
夜子さんはポツリと短く返事をして、わたしのことを静かに見つめてきた。
やんわりと笑顔を浮かべながら、でもその目はなんだかさみしそうというか、かなしそうというか。
「君がそう思うのならば、そうするといいよ。わたしは別に止めないし、止める資格はない。ただ、本当にいいのかな?」
「どういうこと?」
「今の君は、僅かにその力が顔を見せているが、けれどそれだけだ。今ならまだ、君はただのアリスちゃんのまま、運命に背を向けることができる。けれど剣を手に取り、力が大きく姿を表せば、君はその力を持つ者の運命から逃れられないよ」
イスのふちに寄りかかりながら、夜子さんはわたしを見下ろす。
そして『たんたん』と、わたしに質問してきた。
「運命って、なぁに? わたしはどうなるの?」
「どうなるかどうかは、君次第だけれど。今までの、ただの無邪気な女の子ではいられなくなるかもしれないよ。君の持つドルミーレの力、『始まりの力』とは、それ程強大な力だ」
「いままでのわたしじゃ、いられない……」
それってどういうことなんだろう。
うまくイメージができないけど、でもそれはなんだか、すこしこわい気がした。
わたしがわたしじゃなくなっちゃうって、どんな感じなんだろう。
でも、この剣をとれば、わたしは自分の中にある力をもっと使えて、それに救いたいものを救えるんだ。
わたしの大切な友達を守る力が手に入る。この何があるかわからない世界で、わたしは友達にいつまでも笑ってほしいんだ。
レオとアリアの顔を見る。
二人ともとってもハッと息を飲んだ引きつった顔をして、わたしのことをジッと見てきていた。
そんな二人と目が合って、レオの顔がギュッとこわくなった。
「アリス……オレは反対だ。『始まりの魔女』の力なんて、これ以上呼び起こさなくていい。お前は、今のままでいいんだ。お前の気持ちは、嬉しいけどよ……」
レオがわたしの手首をガバッとにぎった。
その力はとっても強くて、すこし痛い。
「でもお前はただ、家に帰るためにここに来たんだろ? 余計なことなんて考えなくていいんだ」
「そうだよ、アリス。アリスはアリスだもん。どんなにすごい力があったって、ドルミーレの力があるからって、アリスはアリスだもん。自分のしたいことをすればいいんだよ」
わたしの腕を抱きしめるアリア、もう一体化しちゃうんじゃないかってくらいに強く抱きしめてくる。
ちょっと腕がしびれちゃうくらいに。でもそれが、なんだかあったかい。
二人は、わたしのことを思って言ってくれてる。
いつだってそうだよ。二人はずっと優しくて、わたしのためを考えてくれる。
こんなところまで一緒に冒険してくれて、わたしのことを守って、一緒に笑ってきてくれた。
そんな二人のために、わたしができることがあるなら、わたしは……。
「ありがとう二人とも。でもね、これがわたしのやりたいことだと思うんだ。わたし、レオとアリアを守りたい。ここでできたたくさんの友達を、守りたい。だって、あんな女王様が今みたいにずっとわがまましてたら、二人やみんなに何があるかわからない。だから、この剣をとって、もっと力を使えるようになるんなら、わたしはその力でみんなを救いたい」
「アリス……!」
二人が一緒にわたしの名前を呼んで、顔を覗き込んできた。
おこっているというよりは、とっても心配そうな顔。
二人もきっと、わたしがどうなっちゃうのかこわいんだ。
二人は魔法使いだから。
わたしの中にある『始まりの魔女』の力が強くなるのが、きっとこわいんだ。
だって魔法使いは魔女のことが嫌いだから。
それに、ドルミーレが『魔女ウィルス』の原因だから。
わたしだって、こわい。
わたしがわたしじゃなくなっちゃうかもしれないっていうのは、こわい。
この力の運命っていうのがどういうことかもわからないし、それもこわい。
でも、わたしには友達がいるから。大切な友達がいるから。
どんなにはなれてても、心でつながってくれる友達がいるから。
元の世界で待っててくれてるあられちゃんに、この世界で出会った友達、それにレオとアリア。
今までわたしが仲良くしてきた友達の心と、わたしの心はいつだってつながってる。
だからなんだか、大丈夫な気がするんだ。
わたしの中の力がどんなに大きくなっても、わたしがわたしじゃなくなりそうになっても。
この心につながってる友達の心が、わたしにわたしを教えてくれる。そんな気がする。
だから、こわいけどこわくない。
「大丈夫だよ。大丈夫な気がするんだ。だって、わたしには二人がいるもん。二人の心が、たくさんの友達の心が、わたしにはつながってるってわかってるから。だからわたしは、何があってもこわくないよ」
「けど、魔女の力だ。しかも『始まりの魔女』だ。そんなのものがいい力だとは……」
「うん……。でも、今までこの力に何回も助けられてきたよ。だからわたしは、悪い力じゃないと思うんだ」
「それは、そうだけどよ……」
わたしがニッコリ笑って返すと、レオは唇をかんだ。
わたしの手首をつかんだままちょぴりうつむくレオの顔を、わたしは覗き込む。
「心配してくれてありがとう。でもさ、ほら、どっちにしたってわたしの中にある力なんだし、ずっとムシなんてできないよ。だからさ、この力で大好きな友達を助けられるなら、『ゆうこうてき』に使った方がいいでしょ?」
「ったく、もっともらしいこと言いやがって……」
ニシッと笑って言うと、レオは眉毛を下げた。
あきれたみたいに笑いながら、わたしのことを見返してくる。
その顔はまだこわがっている感じだけど、でもそれをガマンしているみたいだった。
「アリスは、それでいいの? アリスは元々魔法使いでも魔女でもなんでもなくて、そもそもこの世界の子でもないのに。ただ、おうちに帰りたかっただけでしょ? なのに、そんな無茶な……」
「うん、いいよ。だって、この世界にもたくさんの友達がいる。大切なレオとアリアがいる。みんなを、二人を救えることを、わたしはしたいんだよ」
わたしの肩に頭を乗せて、上目遣いで見上げてくるアリア。
いつもはしっかりしていて頼もしいのに、今はちょっぴり弱々しい。
そんなアリアに、わたしはすなおな気持ちで答える。
いつも守ってもらってばっかりで、助けてもらってばっかりだったわたし。
そんなわたしに、友達を救うことができるんなら、したい。
確かにわたしはこの世界の子じゃないけど、でももう無関係なんかじゃないから。
ここには、大切な人がいるから。
それに、レイくんとクロアさんとの約束もある。
レイくんが言っていた特別な力は、きっとこの『始まりの力』のこと。
わたしがもっとこの力を使えるようになれば、きっとレイくんとの約束も守れる。
魔女を、救うことができると思うから。
だからわたしは、運命とか宿命とか、そんなことよりも。
友達を守りたいから、この剣をとりたい。
「なるほど。君はそういう動機でこの剣をとるんだね。やっぱり君は、彼女とは違う」
レオとアリアに守られるように引っ付かれているわたしを見て、夜子さんはふむふむと頷いた。
イスから体を起こして、腕を組みながら柔らかい顔でわたしを見る。
「君が、君自身の心でそう選択したのならそうするといい。わたしはただ、見守るだけさ」
「……うん」
うなずいて、もう一度二人の顔を見る。
レオとアリアは心配そうな顔をしていたけど、でもキュッと顔を引きしめてうなずいてくれた。
二人の手がはなれたわたしは、一歩前に出て剣に手を伸ばす。
なにがどうなるのかは、わからないけれど。
それでも、友達の笑顔が守れるなら。
そう気持ちを固めて、わたしはイスに突き刺さる剣の柄をにぎった。
「……そうか」
夜子さんはポツリと短く返事をして、わたしのことを静かに見つめてきた。
やんわりと笑顔を浮かべながら、でもその目はなんだかさみしそうというか、かなしそうというか。
「君がそう思うのならば、そうするといいよ。わたしは別に止めないし、止める資格はない。ただ、本当にいいのかな?」
「どういうこと?」
「今の君は、僅かにその力が顔を見せているが、けれどそれだけだ。今ならまだ、君はただのアリスちゃんのまま、運命に背を向けることができる。けれど剣を手に取り、力が大きく姿を表せば、君はその力を持つ者の運命から逃れられないよ」
イスのふちに寄りかかりながら、夜子さんはわたしを見下ろす。
そして『たんたん』と、わたしに質問してきた。
「運命って、なぁに? わたしはどうなるの?」
「どうなるかどうかは、君次第だけれど。今までの、ただの無邪気な女の子ではいられなくなるかもしれないよ。君の持つドルミーレの力、『始まりの力』とは、それ程強大な力だ」
「いままでのわたしじゃ、いられない……」
それってどういうことなんだろう。
うまくイメージができないけど、でもそれはなんだか、すこしこわい気がした。
わたしがわたしじゃなくなっちゃうって、どんな感じなんだろう。
でも、この剣をとれば、わたしは自分の中にある力をもっと使えて、それに救いたいものを救えるんだ。
わたしの大切な友達を守る力が手に入る。この何があるかわからない世界で、わたしは友達にいつまでも笑ってほしいんだ。
レオとアリアの顔を見る。
二人ともとってもハッと息を飲んだ引きつった顔をして、わたしのことをジッと見てきていた。
そんな二人と目が合って、レオの顔がギュッとこわくなった。
「アリス……オレは反対だ。『始まりの魔女』の力なんて、これ以上呼び起こさなくていい。お前は、今のままでいいんだ。お前の気持ちは、嬉しいけどよ……」
レオがわたしの手首をガバッとにぎった。
その力はとっても強くて、すこし痛い。
「でもお前はただ、家に帰るためにここに来たんだろ? 余計なことなんて考えなくていいんだ」
「そうだよ、アリス。アリスはアリスだもん。どんなにすごい力があったって、ドルミーレの力があるからって、アリスはアリスだもん。自分のしたいことをすればいいんだよ」
わたしの腕を抱きしめるアリア、もう一体化しちゃうんじゃないかってくらいに強く抱きしめてくる。
ちょっと腕がしびれちゃうくらいに。でもそれが、なんだかあったかい。
二人は、わたしのことを思って言ってくれてる。
いつだってそうだよ。二人はずっと優しくて、わたしのためを考えてくれる。
こんなところまで一緒に冒険してくれて、わたしのことを守って、一緒に笑ってきてくれた。
そんな二人のために、わたしができることがあるなら、わたしは……。
「ありがとう二人とも。でもね、これがわたしのやりたいことだと思うんだ。わたし、レオとアリアを守りたい。ここでできたたくさんの友達を、守りたい。だって、あんな女王様が今みたいにずっとわがまましてたら、二人やみんなに何があるかわからない。だから、この剣をとって、もっと力を使えるようになるんなら、わたしはその力でみんなを救いたい」
「アリス……!」
二人が一緒にわたしの名前を呼んで、顔を覗き込んできた。
おこっているというよりは、とっても心配そうな顔。
二人もきっと、わたしがどうなっちゃうのかこわいんだ。
二人は魔法使いだから。
わたしの中にある『始まりの魔女』の力が強くなるのが、きっとこわいんだ。
だって魔法使いは魔女のことが嫌いだから。
それに、ドルミーレが『魔女ウィルス』の原因だから。
わたしだって、こわい。
わたしがわたしじゃなくなっちゃうかもしれないっていうのは、こわい。
この力の運命っていうのがどういうことかもわからないし、それもこわい。
でも、わたしには友達がいるから。大切な友達がいるから。
どんなにはなれてても、心でつながってくれる友達がいるから。
元の世界で待っててくれてるあられちゃんに、この世界で出会った友達、それにレオとアリア。
今までわたしが仲良くしてきた友達の心と、わたしの心はいつだってつながってる。
だからなんだか、大丈夫な気がするんだ。
わたしの中の力がどんなに大きくなっても、わたしがわたしじゃなくなりそうになっても。
この心につながってる友達の心が、わたしにわたしを教えてくれる。そんな気がする。
だから、こわいけどこわくない。
「大丈夫だよ。大丈夫な気がするんだ。だって、わたしには二人がいるもん。二人の心が、たくさんの友達の心が、わたしにはつながってるってわかってるから。だからわたしは、何があってもこわくないよ」
「けど、魔女の力だ。しかも『始まりの魔女』だ。そんなのものがいい力だとは……」
「うん……。でも、今までこの力に何回も助けられてきたよ。だからわたしは、悪い力じゃないと思うんだ」
「それは、そうだけどよ……」
わたしがニッコリ笑って返すと、レオは唇をかんだ。
わたしの手首をつかんだままちょぴりうつむくレオの顔を、わたしは覗き込む。
「心配してくれてありがとう。でもさ、ほら、どっちにしたってわたしの中にある力なんだし、ずっとムシなんてできないよ。だからさ、この力で大好きな友達を助けられるなら、『ゆうこうてき』に使った方がいいでしょ?」
「ったく、もっともらしいこと言いやがって……」
ニシッと笑って言うと、レオは眉毛を下げた。
あきれたみたいに笑いながら、わたしのことを見返してくる。
その顔はまだこわがっている感じだけど、でもそれをガマンしているみたいだった。
「アリスは、それでいいの? アリスは元々魔法使いでも魔女でもなんでもなくて、そもそもこの世界の子でもないのに。ただ、おうちに帰りたかっただけでしょ? なのに、そんな無茶な……」
「うん、いいよ。だって、この世界にもたくさんの友達がいる。大切なレオとアリアがいる。みんなを、二人を救えることを、わたしはしたいんだよ」
わたしの肩に頭を乗せて、上目遣いで見上げてくるアリア。
いつもはしっかりしていて頼もしいのに、今はちょっぴり弱々しい。
そんなアリアに、わたしはすなおな気持ちで答える。
いつも守ってもらってばっかりで、助けてもらってばっかりだったわたし。
そんなわたしに、友達を救うことができるんなら、したい。
確かにわたしはこの世界の子じゃないけど、でももう無関係なんかじゃないから。
ここには、大切な人がいるから。
それに、レイくんとクロアさんとの約束もある。
レイくんが言っていた特別な力は、きっとこの『始まりの力』のこと。
わたしがもっとこの力を使えるようになれば、きっとレイくんとの約束も守れる。
魔女を、救うことができると思うから。
だからわたしは、運命とか宿命とか、そんなことよりも。
友達を守りたいから、この剣をとりたい。
「なるほど。君はそういう動機でこの剣をとるんだね。やっぱり君は、彼女とは違う」
レオとアリアに守られるように引っ付かれているわたしを見て、夜子さんはふむふむと頷いた。
イスから体を起こして、腕を組みながら柔らかい顔でわたしを見る。
「君が、君自身の心でそう選択したのならそうするといい。わたしはただ、見守るだけさ」
「……うん」
うなずいて、もう一度二人の顔を見る。
レオとアリアは心配そうな顔をしていたけど、でもキュッと顔を引きしめてうなずいてくれた。
二人の手がはなれたわたしは、一歩前に出て剣に手を伸ばす。
なにがどうなるのかは、わからないけれど。
それでも、友達の笑顔が守れるなら。
そう気持ちを固めて、わたしはイスに突き刺さる剣の柄をにぎった。
0
お気に入りに追加
99
あなたにおすすめの小説
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
婚約者が私以外の人と勝手に結婚したので黙って逃げてやりました〜某国の王子と珍獣ミミルキーを愛でます〜
平川
恋愛
侯爵家の莫大な借金を黒字に塗り替え事業を成功させ続ける才女コリーン。
だが愛する婚約者の為にと寝る間を惜しむほど侯爵家を支えてきたのにも関わらず知らぬ間に裏切られた彼女は一人、誰にも何も告げずに屋敷を飛び出した。
流れ流れて辿り着いたのは獣人が治めるバムダ王国。珍獣ミミルキーが生息するマサラヤマン島でこの国の第一王子ウィンダムに偶然出会い、強引に王宮に連れ去られミミルキーの生態調査に参加する事に!?
魔法使いのウィンロードである王子に溺愛され珍獣に癒されたコリーンは少しずつ自分を取り戻していく。
そして追い掛けて来た元婚約者に対して少女であった彼女が最後に出した答えとは…?
完結済全6話
【完結】義妹とやらが現れましたが認めません。〜断罪劇の次世代たち〜
福田 杜季
ファンタジー
侯爵令嬢のセシリアのもとに、ある日突然、義妹だという少女が現れた。
彼女はメリル。父親の友人であった彼女の父が不幸に見舞われ、親族に虐げられていたところを父が引き取ったらしい。
だがこの女、セシリアの父に欲しいものを買わせまくったり、人の婚約者に媚を打ったり、夜会で非常識な言動をくり返して顰蹙を買ったりと、どうしようもない。
「お義姉さま!」 . .
「姉などと呼ばないでください、メリルさん」
しかし、今はまだ辛抱のとき。
セシリアは来たるべき時へ向け、画策する。
──これは、20年前の断罪劇の続き。
喜劇がくり返されたとき、いま一度鉄槌は振り下ろされるのだ。
※ご指摘を受けて題名を変更しました。作者の見通しが甘くてご迷惑をおかけいたします。
旧題『義妹ができましたが大嫌いです。〜断罪劇の次世代たち〜』
※初投稿です。話に粗やご都合主義的な部分があるかもしれません。生あたたかい目で見守ってください。
※本編完結済みで、毎日1話ずつ投稿していきます。
だから聖女はいなくなった
澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
「聖女ラティアーナよ。君との婚約を破棄することをここに宣言する」
レオンクル王国の王太子であるキンバリーが婚約破棄を告げた相手は聖女ラティアーナである。
彼女はその婚約破棄を黙って受け入れた。さらに彼女は、新たにキンバリーと婚約したアイニスに聖女の証である首飾りを手渡すと姿を消した。
だが、ラティアーナがいなくなってから彼女のありがたみに気づいたキンバリーだが、すでにその姿はどこにもない。
キンバリーの弟であるサディアスが、兄のためにもラティアーナを探し始める。だが、彼女を探していくうちに、なぜ彼女がキンバリーとの婚約破棄を受け入れ、聖女という地位を退いたのかの理由を知る――。
※7万字程度の中編です。
ヤケになってドレスを脱いだら、なんだかえらい事になりました
杜野秋人
恋愛
「そなたとの婚約、今この場をもって破棄してくれる!」
王族専用の壇上から、立太子間近と言われる第一王子が、声高にそう叫んだ。それを、第一王子の婚約者アレクシアは黙って聞いていた。
第一王子は次々と、アレクシアの不行跡や不品行をあげつらい、容姿をけなし、彼女を責める。傍らに呼び寄せたアレクシアの異母妹が訴えるままに、鵜呑みにして信じ込んだのだろう。
確かに婚約してからの5年間、第一王子とは一度も会わなかったし手紙や贈り物のやり取りもしなかった。だがそれは「させてもらえなかった」が正しい。全ては母が死んだ後に乗り込んできた後妻と、その娘である異母妹の仕組んだことで、父がそれを許可したからこそそんな事がまかり通ったのだということに、第一王子は気付かないらしい。
唯一の味方だと信じていた第一王子までも、アレクシアの味方ではなくなった。
もう味方はいない。
誰への義理もない。
ならば、もうどうにでもなればいい。
アレクシアはスッと背筋を伸ばした。
そうして彼女が次に取った行動に、第一王子は驚愕することになる⸺!
◆虐げられてるドアマットヒロインって、見たら分かるじゃんね?って作品が最近多いので便乗してみました(笑)。
◆虐待を窺わせる描写が少しだけあるのでR15で。
◆ざまぁは二段階。いわゆるおまいう系のざまぁを含みます。
◆全8話、最終話だけ少し長めです。
恋愛は後半で、メインディッシュはざまぁでどうぞ。
◆片手間で書いたんで、主要人物以外の固有名詞はありません。どこの国とも設定してないんで悪しからず。
◆この作品はアルファポリスのほか、小説家になろうでも公開します。
◆過去作のヒロインと本作主人公の名前が丸被りしてたので、名前を変更しています。(2024/09/03)
◆9/2、HOTランキング11→7位!ありがとうございます!
9/3、HOTランキング5位→3位!ありがとうございます!
あなたのことなんて、もうどうでもいいです
もるだ
恋愛
舞踏会でレオニーに突きつけられたのは婚約破棄だった。婚約者の相手にぶつかられて派手に転んだせいで、大騒ぎになったのに……。日々の業務を押しつけられ怒鳴りつけられいいように扱われていたレオニーは限界を迎える。そして、気がつくと魔法が使えるようになっていた。
元婚約者にこき使われていたレオニーは復讐を始める。
【長編・完結】私、12歳で死んだ。赤ちゃん還り?水魔法で救済じゃなくて、給水しますよー。
BBやっこ
ファンタジー
死因の毒殺は、意外とは言い切れない。だって貴族の後継者扱いだったから。けど、私はこの家の子ではないかもしれない。そこをつけいられて、親族と名乗る人達に好き勝手されていた。
辺境の地で魔物からの脅威に領地を守りながら、過ごした12年間。その生が終わった筈だったけど…雨。その日に辺境伯が連れて来た赤ん坊。「セリュートとでも名付けておけ」暫定後継者になった瞬間にいた、私は赤ちゃん??
私が、もう一度自分の人生を歩み始める物語。給水係と呼ばれる水魔法でお悩み解決?
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる