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第0.5章 まほうつかいの国のアリス
56 妖精の喧嘩と始まりの力7
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「ちょっと……ちょっと待てよ! そりゃどういうことだ!?」
少しの間、ポカンとして静かだった二人。
そんな中でレオがハッと我に返って、噛みつくように口を開いた。
「ドルミーレって、あれだろ? 『始まりの魔女』とかいう、『魔女ウィルス』の元凶の魔女だろ!? 大昔にいたっていう……」
「そういうことみたいだねぇ。僕らはその辺、あんまり詳しくはないけど」
『こうふん』して顔が真っ赤なレオとは『たいしょうてき』に、ソルベちゃんは元々の青い顔とのんびりした口調で返した。
「その『始まりの魔女』が魔法を確立させた!? そんな馬鹿な! だって魔法は、魔法使いが……」
「うーん、この国の事情は僕にはよくわかんないけどね。でも、この国ではドルミーレに関することはタブーらしいし、その辺り歴史が誤魔化されてるかもねぇ」
「だけどよ……! いや、でも……」
レオはソルベちゃんに食らいつくように身を乗り出して、でも腕を組んで考え込んだ。
前にココノツさんから、『始まりの魔女』ドルミーレの話を聞いた。
ドルミーレは国のみんなに嫌われて、はじめからいなかったことにされちゃったって、そう言ってた。
だからこの国で育った魔法使いのレオとアリアも、そんな大それた『かたがき』の人のことを知らなかった。
『魔女ウィルス』の『げんきょう』で、すべての魔女の始まりっていう、重要そうな人なのに。
それは、この国の人たちがそういう風に歴史を伝えてきたからなんだ。
「ドルミーレの存在を歴史の闇に葬ったのと同じように、ドルミーレこそが魔法の元祖だってことも、覆い隠したってこと……?」
「そういうことなのかな? 僕ら妖精にはその経緯はわからないけど。でも実際、この国ではその事実が語られてないわけだし、そういうことだね~」
アリアが少し青い顔で言うと、ソルベちゃんはあっさりと答えた。
レオもアリアもだいぶショックみたいで、ずーんと暗い顔をして下を向いちゃった。
魔法使いは魔女のことを嫌ってる。
それに、自分たちが魔法を使えるってことをほこりに思ってるって言った。
ずっとそう思ってたのに、そもそも魔法は魔女のものだったって言われたら……。
魔法使いじゃないわたしには、二人の気持ちをぜんぶわかってあげることはできないけど。
でも、とってもがっくりすることなんだってことは、二人の『ふんいき』からよくわかった。
「……えっと。それじゃあ、妖精さんたちはそのドルミーレに頼まれてこの国に来たってことなの?」
「ううん、それはちがうよ。ドルミーレには力の使い方というか、感覚を伝授しただけなんだ。妖精の精術とドルミーレの魔法は、少し似てるからね」
一気に暗くなっちゃって、レオもアリアも黙っちゃったから、わたしはあわててソルベちゃんに話の続きを聞いた。
ソルベちゃんはあんまりこの『ふんいき』を気にしていないみたいで、普通のトーンで返事をした。
「精術は自然に働きかける力で、ドルミーレの力は世界に働きかける力だった。規模は違うけど、でも方向性は似てた。だから彼女は自分の力を知る為に、妖精を頼ったんだよ。人間は元々『力』がない唯一の種族だったから、他の種族の手を借りるしかなかったんだろうねぇ」
「力がないって……?」
「僕ら妖精が精術を扱うように、各国の各種族には、それぞれ独自の力の概念と法則があるんだよ。でも昔の人間にはそれがなかった。数ある種族の中で唯一、いわゆる『神秘』というものがなかったんだ」
「え!? そうなの!?」
暗くなってたアリアがガバッと食らいついた。
あまりにも勢いよく顔を上げるから、わたしはビクッとしちゃった。
「で、でもそうなっちゃうのか……。魔法の始まりが魔法使いじゃなくて『始まりの魔女』ドルミーレなら、そうなっちゃうんだ……」
アリアはすぐに落ち着いて、ひとり言を呟くみたいにうんうんうなった。
わたしの世界の人間と同じように、この世界の人間にもはじめは魔法なんてなかったってこと?
ドルミーレが持ってた魔法の力を、周りの人たちが後から使えるようになって、そうやって魔法使いができたってこと?
『まほうつかいの国』っていうくらいだから、ずっとずっと最初から、魔法使いがいたみたいな感じがするけれど。
この世界の人間にも、魔法がない本当にただの人間だった時があったってことなのかな。
でも、あれ?
ドルミーレが嫌われてたのって、特別な力があるからじゃなかったっけ?
その特別な力が魔法なんだったとしたら、嫌ってたその力をこの国の人たちは使ってるってことじゃ…………。
「ドルミーレが討伐された後に、魔法が使えるようになったこの国の人たちに、僕ら妖精は協力を頼まれたんだよ。まだ力に不慣れだったこの国の人たちが、魔法を潤滑に使えるように自然の力の流れのコントロールを手伝って欲しいってね」
ソルベちゃんはマイペースにペラペラと続きをしゃべる。
そもそもこの国の事情にくわしくないわたしはもちろん、レオもアリアもすこし『こんらん』気味。
多分二人は、今まで信じてたものが色々とまちがってたって言われてとってもこまってる。
でもソルベちゃんはまったくウソを言ってる感じはなくて、悪気もなくて。親切で色々教えてくれてるんだ。
「魔法に不慣れで、力に不慣れで、『神秘』に不慣れだった人間は、妖精の協力もあって段々と魔法を使いこなせるようになったんだよ。自然への働きかけは世界への働きかけの前段階みたいなものだからね。僕らの力は魔法使いにとっていい勉強材料だったんじゃないかな」
ソルベちゃんはすこしだけ得意げな感じで、ニコニコ楽しそうにしゃべる。
自然を『かんり』して、その力を使う妖精さんたちの精術は、確かに魔法をもっと『げんていてき』にした感じのイメージだ。
だからドルミーレも、その後に魔法を使えるようになった魔法使いも、妖精さんたちを『さんこう』にしたんだ。
それは、なんとなくわかってきた。
この国の人たち、魔法使いの人たちは妖精さんたちにとってもお世話になって、今まできたんだって。
だったらなおさら、妖精さんを追い出すなんてしちゃいけないと思うんだけどなぁ。
女王様のわがままっぷり、『おうぼう』っぷりは、本当にめちゃくちゃだよ。
「そういうことだったんだね。それにしても、ソルベちゃんくわしいね。ドルミーレがいたのってすっごく昔だって聞いてたけど、まさかソルベちゃん、その頃からずっと生きてるなんてことないよねー?」
「え、そうだよ?」
「……へ???」
考え込んで静かになっちゃってるレオとアリア。
ちょっぴり暗い空気をすこしでもよくしようと思って、じょうだんを言ってみたのに。
ソルベちゃんはキョトンとした顔で、すごく当たり前そうにうなずいた。
少しの間、ポカンとして静かだった二人。
そんな中でレオがハッと我に返って、噛みつくように口を開いた。
「ドルミーレって、あれだろ? 『始まりの魔女』とかいう、『魔女ウィルス』の元凶の魔女だろ!? 大昔にいたっていう……」
「そういうことみたいだねぇ。僕らはその辺、あんまり詳しくはないけど」
『こうふん』して顔が真っ赤なレオとは『たいしょうてき』に、ソルベちゃんは元々の青い顔とのんびりした口調で返した。
「その『始まりの魔女』が魔法を確立させた!? そんな馬鹿な! だって魔法は、魔法使いが……」
「うーん、この国の事情は僕にはよくわかんないけどね。でも、この国ではドルミーレに関することはタブーらしいし、その辺り歴史が誤魔化されてるかもねぇ」
「だけどよ……! いや、でも……」
レオはソルベちゃんに食らいつくように身を乗り出して、でも腕を組んで考え込んだ。
前にココノツさんから、『始まりの魔女』ドルミーレの話を聞いた。
ドルミーレは国のみんなに嫌われて、はじめからいなかったことにされちゃったって、そう言ってた。
だからこの国で育った魔法使いのレオとアリアも、そんな大それた『かたがき』の人のことを知らなかった。
『魔女ウィルス』の『げんきょう』で、すべての魔女の始まりっていう、重要そうな人なのに。
それは、この国の人たちがそういう風に歴史を伝えてきたからなんだ。
「ドルミーレの存在を歴史の闇に葬ったのと同じように、ドルミーレこそが魔法の元祖だってことも、覆い隠したってこと……?」
「そういうことなのかな? 僕ら妖精にはその経緯はわからないけど。でも実際、この国ではその事実が語られてないわけだし、そういうことだね~」
アリアが少し青い顔で言うと、ソルベちゃんはあっさりと答えた。
レオもアリアもだいぶショックみたいで、ずーんと暗い顔をして下を向いちゃった。
魔法使いは魔女のことを嫌ってる。
それに、自分たちが魔法を使えるってことをほこりに思ってるって言った。
ずっとそう思ってたのに、そもそも魔法は魔女のものだったって言われたら……。
魔法使いじゃないわたしには、二人の気持ちをぜんぶわかってあげることはできないけど。
でも、とってもがっくりすることなんだってことは、二人の『ふんいき』からよくわかった。
「……えっと。それじゃあ、妖精さんたちはそのドルミーレに頼まれてこの国に来たってことなの?」
「ううん、それはちがうよ。ドルミーレには力の使い方というか、感覚を伝授しただけなんだ。妖精の精術とドルミーレの魔法は、少し似てるからね」
一気に暗くなっちゃって、レオもアリアも黙っちゃったから、わたしはあわててソルベちゃんに話の続きを聞いた。
ソルベちゃんはあんまりこの『ふんいき』を気にしていないみたいで、普通のトーンで返事をした。
「精術は自然に働きかける力で、ドルミーレの力は世界に働きかける力だった。規模は違うけど、でも方向性は似てた。だから彼女は自分の力を知る為に、妖精を頼ったんだよ。人間は元々『力』がない唯一の種族だったから、他の種族の手を借りるしかなかったんだろうねぇ」
「力がないって……?」
「僕ら妖精が精術を扱うように、各国の各種族には、それぞれ独自の力の概念と法則があるんだよ。でも昔の人間にはそれがなかった。数ある種族の中で唯一、いわゆる『神秘』というものがなかったんだ」
「え!? そうなの!?」
暗くなってたアリアがガバッと食らいついた。
あまりにも勢いよく顔を上げるから、わたしはビクッとしちゃった。
「で、でもそうなっちゃうのか……。魔法の始まりが魔法使いじゃなくて『始まりの魔女』ドルミーレなら、そうなっちゃうんだ……」
アリアはすぐに落ち着いて、ひとり言を呟くみたいにうんうんうなった。
わたしの世界の人間と同じように、この世界の人間にもはじめは魔法なんてなかったってこと?
ドルミーレが持ってた魔法の力を、周りの人たちが後から使えるようになって、そうやって魔法使いができたってこと?
『まほうつかいの国』っていうくらいだから、ずっとずっと最初から、魔法使いがいたみたいな感じがするけれど。
この世界の人間にも、魔法がない本当にただの人間だった時があったってことなのかな。
でも、あれ?
ドルミーレが嫌われてたのって、特別な力があるからじゃなかったっけ?
その特別な力が魔法なんだったとしたら、嫌ってたその力をこの国の人たちは使ってるってことじゃ…………。
「ドルミーレが討伐された後に、魔法が使えるようになったこの国の人たちに、僕ら妖精は協力を頼まれたんだよ。まだ力に不慣れだったこの国の人たちが、魔法を潤滑に使えるように自然の力の流れのコントロールを手伝って欲しいってね」
ソルベちゃんはマイペースにペラペラと続きをしゃべる。
そもそもこの国の事情にくわしくないわたしはもちろん、レオもアリアもすこし『こんらん』気味。
多分二人は、今まで信じてたものが色々とまちがってたって言われてとってもこまってる。
でもソルベちゃんはまったくウソを言ってる感じはなくて、悪気もなくて。親切で色々教えてくれてるんだ。
「魔法に不慣れで、力に不慣れで、『神秘』に不慣れだった人間は、妖精の協力もあって段々と魔法を使いこなせるようになったんだよ。自然への働きかけは世界への働きかけの前段階みたいなものだからね。僕らの力は魔法使いにとっていい勉強材料だったんじゃないかな」
ソルベちゃんはすこしだけ得意げな感じで、ニコニコ楽しそうにしゃべる。
自然を『かんり』して、その力を使う妖精さんたちの精術は、確かに魔法をもっと『げんていてき』にした感じのイメージだ。
だからドルミーレも、その後に魔法を使えるようになった魔法使いも、妖精さんたちを『さんこう』にしたんだ。
それは、なんとなくわかってきた。
この国の人たち、魔法使いの人たちは妖精さんたちにとってもお世話になって、今まできたんだって。
だったらなおさら、妖精さんを追い出すなんてしちゃいけないと思うんだけどなぁ。
女王様のわがままっぷり、『おうぼう』っぷりは、本当にめちゃくちゃだよ。
「そういうことだったんだね。それにしても、ソルベちゃんくわしいね。ドルミーレがいたのってすっごく昔だって聞いてたけど、まさかソルベちゃん、その頃からずっと生きてるなんてことないよねー?」
「え、そうだよ?」
「……へ???」
考え込んで静かになっちゃってるレオとアリア。
ちょっぴり暗い空気をすこしでもよくしようと思って、じょうだんを言ってみたのに。
ソルベちゃんはキョトンとした顔で、すごく当たり前そうにうなずいた。
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