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第0.5章 まほうつかいの国のアリス
51 妖精の喧嘩と始まりの力2
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シンシンと雪が積もる、一面まっしろな銀世界。
とってもさむいけど、その分お日様の光が反射する白と透明の景色はとびっきりのキレイさだった。
雪が積もっていてさむくなってなってきたなぁと思ってたら現れた、氷の木の林。
まるで宝石みたいに透き通った透明の木は、ウソみたいにぜんぶ氷でできていた。
木がこおっちゃったんじゃない。
根っこから枝の先っぽまで、何にもまざってないキレイな氷が、木の形になっている感じ。
葉っぱはぜんぜんついてなくて、さむそうな裸の木だけど。
でも元々氷でできてるんだから、そのものがさむそうだ。
白い雪のカーペットからザクザクっと生えている氷の木の林は、とっても『しんぴてき』だった。
お日様の光を色んなところから『はんしゃ』して、すこしまぶしいけど、でも口がポッカリ開いちゃうくらいにキレイ。
わたしとアリアはさむいのも忘れてはしゃぎ回って、見わたす限りキラッキラな林の中を走り回った。
レオもおどいてはいたけど、でも何だか冷めててわたしたちのことをあきれたような顔で見てた。
男の子は、こういうステキな景色に興味ないのかな。
まぁでもさむいのはさむいから、しばらくするとわたしもアリアもどんどんブルブル体がふるえてきた。
レオが目の前に火の玉をポンと出してくれて、わたしたちはそれで温まりながら林の中をズンズン進んだ。
そして林が開けた先にあったのが、カチンコチンにこおっている湖でした。
ツルッツルにこおった湖は、スケートリンクみたいに平たく大きく広がってる。
でもあんまりにも『かんぺき』にツルツルだから、うっかり転んだらずっとステーンって湖のはしっこまですべっていっちゃいそう。
そんな北極みたいな『あっかん』の冬景色。
透き通ってキラキラ冷たい景色の先に、でもとってもちぐはぐなものがあった。
それが、ゴウゴウメラメラと燃え上がっているお山だったのです。
山火事とかそういうレベルじゃなくて、山そのものが、全体が一つの炎みたいに燃えていた。
湖をはさんですこし距離があるところにいるのに、たき火の前にいるみたいな熱さを感じる。
すぐ隣であんな風に山が燃えてるのに、その『ふもと』が冬景色なのはとっても不思議だった。
特にこの湖はカッチンカッチンにこおってるし、とってもチグハグな光景。
氷と雪のキレイな景色に浮かれていたわたしたちは、そのお山を見てびっくり『あぜん』としてしまいした。
「さすがにあの山は越えられねぇなぁ。遠回りでも迂回した方が良さそうだ」
レオは自分の髪と同じくらい真っ赤に炎が上がっているお山を見上げてながら、への字口でうめいた。
「てか、ありゃ異常事態だろ。だれも何もしねぇのかよ」
「やっぱりこの国でも、さすがに山が燃えてるのは変?」
「そうだなぁ。あんな風に燃え盛ってる山の話なんて聞いたこともねぇ。それに、あれがここにあるってのも不自然だな」
わたしが聞いてみると、レオはむずかしい顔をしながらうなずいた。
わたしとしてはヘンテコだとは思うけど、でもこの世界にあるたくさんのヘンテコなことの一つだって言われればそうなんだって思っちゃう。
でも、さすがにこれはこの世界でも普通じゃないんだ。
まぁ確かに、とってもさむくて雪と氷ばっかりのこんな場所に、あんなものがあるのは変だよね。
熱いのと冷たいの、まったく逆のものが同じところにあって、お互いに邪魔しあってるみたい。
何だか炎と氷がケンカして、ここは自分の居場所なんだって、そう言い合ってるみたいなそんなヘンテコな光景だ。
「でもなんだかさ、ちょっと不思議な感じしない? この氷の林に入ってからだけど、魔力はあんまり感じない代わりに、なんか……」
「魔法とは違う力が働いてるってことか? オレはそこら辺のことはわかんねぇな」
アリアが周りをキョロキョロ見わたしながら、不思議そうに、興味深そうに言った。
魔法使いとしてレオよりもアリアの方が『こまやか』だから、そういうちょっとした事に気づくのかもしれない。
「レオはほんとガサツだからねぇー。感知の特訓しなよって、前から言ってるでしょ?」
「細かいことは苦手なんだよー! 目の前にドカーンってくりゃわかるからいいだろ?」
「またそんなこと言って。レオがもう少し早く気付いてればーって場面、この旅でも何度かあったと思うよ?」
「だー! それを言うなよ! その分動いてんだからチャラだチャラ!」
いつの間にか、二人のちょっとした口ゲンカが始まった。
二人は幼馴染みだからとっても仲良しだけど、でもお互いのことをよく知ってるからか、その分ケンカもよくする。
大体は大したことじゃないから、わたしもそんなに気にしない。
いつも決まってアリアがお小言みたいなことを言って、レオがそれにプンプンするんだ。
まぁどっちが悪いってことはないし、すぐに落ち着くから、ケンカってほどでもないのかな。
二人にとっては普通のことなんだ。
「レオはああ言ってるけど、アリスはどう思う? レオがもう少し丁寧に魔法が使えれば、もうちょーっと旅が楽になると思わない?」
「え、わたし!? うーんと、どうなんだろう……」
でも、たまにこうやって話をふられちゃって困ったりすることもある。
アリアはわたしの腕にキュッと抱きついて、味方に引き込もうとしてくるんだ。
「レオは、いつもよく助けてくれるし……わたしは今のレオも十分頼りになると思うよ……?」
「わかってるなアリス! アリアは、魔法はオレより得意だけでよ、実戦にまだ慣れねぇじゃねぇか。オレがいなきゃ逃げるの大変だったことだって何度もあるだろ?」
「うーーーん。もぅ、アリス裏切ったなー」
とりあえず思ったことを言ってみると、レオは得意げな顔でニヤニヤした。
そんなレオにアリアはうなって、それからわたしのことをジトーっと見つめてきた。
そんなぁ。そもそもわたし、こういうケンカの時どっちの味方でもないのに。
ちょっぴりふてくされ気味のアリアに、とりあえずごめんねって謝っておく。
まぁアリアもそんなに『ふきげん』なわけじゃないみたいだから、すぐにケロリとした。
でもわたしの腕をぎゅうぎゅう抱きしめてくるから、ちょっとだけ根に持ってるのかもしれない。
まぁ実際、何かあった時に真っ先にかばったり、前に出てくれるのはレオだ。
一番最初、女王様を怒らせちゃった時もそうだった。
男の子のレオがどしんと構えてくれるから、わたしたちはがんばれてるところは、あると思う。
でも、『せんさい』なアリアだって、わたしたちには『ふかけつ』だ。
冒険中の野宿だったり、生活に必要な魔法はアリアが大体やってくれてる。
それに、アリアが真っ先に気付いてくれたおかげで、危ないことをさけられたことだってあった。
二人ともわたしなんかよりもよっぽどすごくて、頼りになって、どっちの方がすごいなんてない。
わたしにとっては、二人とも大好きな友達だから。
「レオもアリアも、わたしにとってもどっちもすごいよ。せっかくみんなでいるんだから、得意なことで助け合えばいいんだよ」
助けてもらってばっかりのわたしが言うのもなんだけど。
でもわたしがそう言うと、二人とも『まんざら』でもない顔をして、なんとなくケンカのムードは落ち着いた。
完全に巻き込まれたわたしがホッと一息ついた、そんな時だった。
ドカーンって大きな音が、身体中がふるえるような振動と一緒にひびいた。
何事かってみんなで音のした方────燃える山を見た。
すると、山のてっぺんが大きく爆発したみたいに炎が飛びちって、炎の塊がこっちに向かって飛んできたのでした。
とってもさむいけど、その分お日様の光が反射する白と透明の景色はとびっきりのキレイさだった。
雪が積もっていてさむくなってなってきたなぁと思ってたら現れた、氷の木の林。
まるで宝石みたいに透き通った透明の木は、ウソみたいにぜんぶ氷でできていた。
木がこおっちゃったんじゃない。
根っこから枝の先っぽまで、何にもまざってないキレイな氷が、木の形になっている感じ。
葉っぱはぜんぜんついてなくて、さむそうな裸の木だけど。
でも元々氷でできてるんだから、そのものがさむそうだ。
白い雪のカーペットからザクザクっと生えている氷の木の林は、とっても『しんぴてき』だった。
お日様の光を色んなところから『はんしゃ』して、すこしまぶしいけど、でも口がポッカリ開いちゃうくらいにキレイ。
わたしとアリアはさむいのも忘れてはしゃぎ回って、見わたす限りキラッキラな林の中を走り回った。
レオもおどいてはいたけど、でも何だか冷めててわたしたちのことをあきれたような顔で見てた。
男の子は、こういうステキな景色に興味ないのかな。
まぁでもさむいのはさむいから、しばらくするとわたしもアリアもどんどんブルブル体がふるえてきた。
レオが目の前に火の玉をポンと出してくれて、わたしたちはそれで温まりながら林の中をズンズン進んだ。
そして林が開けた先にあったのが、カチンコチンにこおっている湖でした。
ツルッツルにこおった湖は、スケートリンクみたいに平たく大きく広がってる。
でもあんまりにも『かんぺき』にツルツルだから、うっかり転んだらずっとステーンって湖のはしっこまですべっていっちゃいそう。
そんな北極みたいな『あっかん』の冬景色。
透き通ってキラキラ冷たい景色の先に、でもとってもちぐはぐなものがあった。
それが、ゴウゴウメラメラと燃え上がっているお山だったのです。
山火事とかそういうレベルじゃなくて、山そのものが、全体が一つの炎みたいに燃えていた。
湖をはさんですこし距離があるところにいるのに、たき火の前にいるみたいな熱さを感じる。
すぐ隣であんな風に山が燃えてるのに、その『ふもと』が冬景色なのはとっても不思議だった。
特にこの湖はカッチンカッチンにこおってるし、とってもチグハグな光景。
氷と雪のキレイな景色に浮かれていたわたしたちは、そのお山を見てびっくり『あぜん』としてしまいした。
「さすがにあの山は越えられねぇなぁ。遠回りでも迂回した方が良さそうだ」
レオは自分の髪と同じくらい真っ赤に炎が上がっているお山を見上げてながら、への字口でうめいた。
「てか、ありゃ異常事態だろ。だれも何もしねぇのかよ」
「やっぱりこの国でも、さすがに山が燃えてるのは変?」
「そうだなぁ。あんな風に燃え盛ってる山の話なんて聞いたこともねぇ。それに、あれがここにあるってのも不自然だな」
わたしが聞いてみると、レオはむずかしい顔をしながらうなずいた。
わたしとしてはヘンテコだとは思うけど、でもこの世界にあるたくさんのヘンテコなことの一つだって言われればそうなんだって思っちゃう。
でも、さすがにこれはこの世界でも普通じゃないんだ。
まぁ確かに、とってもさむくて雪と氷ばっかりのこんな場所に、あんなものがあるのは変だよね。
熱いのと冷たいの、まったく逆のものが同じところにあって、お互いに邪魔しあってるみたい。
何だか炎と氷がケンカして、ここは自分の居場所なんだって、そう言い合ってるみたいなそんなヘンテコな光景だ。
「でもなんだかさ、ちょっと不思議な感じしない? この氷の林に入ってからだけど、魔力はあんまり感じない代わりに、なんか……」
「魔法とは違う力が働いてるってことか? オレはそこら辺のことはわかんねぇな」
アリアが周りをキョロキョロ見わたしながら、不思議そうに、興味深そうに言った。
魔法使いとしてレオよりもアリアの方が『こまやか』だから、そういうちょっとした事に気づくのかもしれない。
「レオはほんとガサツだからねぇー。感知の特訓しなよって、前から言ってるでしょ?」
「細かいことは苦手なんだよー! 目の前にドカーンってくりゃわかるからいいだろ?」
「またそんなこと言って。レオがもう少し早く気付いてればーって場面、この旅でも何度かあったと思うよ?」
「だー! それを言うなよ! その分動いてんだからチャラだチャラ!」
いつの間にか、二人のちょっとした口ゲンカが始まった。
二人は幼馴染みだからとっても仲良しだけど、でもお互いのことをよく知ってるからか、その分ケンカもよくする。
大体は大したことじゃないから、わたしもそんなに気にしない。
いつも決まってアリアがお小言みたいなことを言って、レオがそれにプンプンするんだ。
まぁどっちが悪いってことはないし、すぐに落ち着くから、ケンカってほどでもないのかな。
二人にとっては普通のことなんだ。
「レオはああ言ってるけど、アリスはどう思う? レオがもう少し丁寧に魔法が使えれば、もうちょーっと旅が楽になると思わない?」
「え、わたし!? うーんと、どうなんだろう……」
でも、たまにこうやって話をふられちゃって困ったりすることもある。
アリアはわたしの腕にキュッと抱きついて、味方に引き込もうとしてくるんだ。
「レオは、いつもよく助けてくれるし……わたしは今のレオも十分頼りになると思うよ……?」
「わかってるなアリス! アリアは、魔法はオレより得意だけでよ、実戦にまだ慣れねぇじゃねぇか。オレがいなきゃ逃げるの大変だったことだって何度もあるだろ?」
「うーーーん。もぅ、アリス裏切ったなー」
とりあえず思ったことを言ってみると、レオは得意げな顔でニヤニヤした。
そんなレオにアリアはうなって、それからわたしのことをジトーっと見つめてきた。
そんなぁ。そもそもわたし、こういうケンカの時どっちの味方でもないのに。
ちょっぴりふてくされ気味のアリアに、とりあえずごめんねって謝っておく。
まぁアリアもそんなに『ふきげん』なわけじゃないみたいだから、すぐにケロリとした。
でもわたしの腕をぎゅうぎゅう抱きしめてくるから、ちょっとだけ根に持ってるのかもしれない。
まぁ実際、何かあった時に真っ先にかばったり、前に出てくれるのはレオだ。
一番最初、女王様を怒らせちゃった時もそうだった。
男の子のレオがどしんと構えてくれるから、わたしたちはがんばれてるところは、あると思う。
でも、『せんさい』なアリアだって、わたしたちには『ふかけつ』だ。
冒険中の野宿だったり、生活に必要な魔法はアリアが大体やってくれてる。
それに、アリアが真っ先に気付いてくれたおかげで、危ないことをさけられたことだってあった。
二人ともわたしなんかよりもよっぽどすごくて、頼りになって、どっちの方がすごいなんてない。
わたしにとっては、二人とも大好きな友達だから。
「レオもアリアも、わたしにとってもどっちもすごいよ。せっかくみんなでいるんだから、得意なことで助け合えばいいんだよ」
助けてもらってばっかりのわたしが言うのもなんだけど。
でもわたしがそう言うと、二人とも『まんざら』でもない顔をして、なんとなくケンカのムードは落ち着いた。
完全に巻き込まれたわたしがホッと一息ついた、そんな時だった。
ドカーンって大きな音が、身体中がふるえるような振動と一緒にひびいた。
何事かってみんなで音のした方────燃える山を見た。
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