233 / 984
第5章 フローズン・ファンタズム
8 不器用なハグ
しおりを挟む
夜子さんに改めてお礼を言って四階の部屋を出た。
もっと聞きたいこと、突っ込みたいことはあったけれど、夜子さんも話したくないことがあるようだったし、今聞いた話だけでも気持ちの整理は大変なのでやめることにした。
自分にできること、やらなければいけないこと。
私はもっとそういったことに目を向けないといけない。
私に心を託してくれている友達、そして私の心と繋がってくれている友達。
みんなのために、私は確実に前へと進んでいかないといけないんだ。
帰る前に透子ちゃんに一目会っていこうと五階へと上がった。
ボロボロの建物の中で浮いている小綺麗な扉。
それを潜って入った部屋の中は、私が以前見たものとは異なっていた。
以前は部屋の中心に水槽のような大きな筒があって、その中に満たされた液体の中に透子ちゃんが浮かんでいた。
まるでSF映画のような光景で、またその姿があまりにも儚げでよく覚えている。
けれどその筒は見る影もなく消え去っていて、その代わり部屋の中心には真っ白なシーツのベッドがあった。
まるで病院のように清潔感のある純白の内装の中に、穢れの一切ない真っ白なベッドが一つ。
そしてその中で穏やかな眠りについている透子ちゃんの姿があった。
「透子ちゃん……」
私は思わずその名前を口に出して駆け寄った。
目を開かないその姿はただ眠っているようで、もう長いこと目を覚まさない眠り姫とは思えない。
その傍に屈んで布団の中に手を忍ばせて手を握る。
確かに感じる柔らかく温かな感触。
透子ちゃんはちゃんと生きている。
前から体のダメージは大方回復できていると夜子さんは言っていたし。
きっと大掛かりな治療は終えたから、こうしてベッドで寝ているんだ。
身体のダメージは回復して、でも透子ちゃんは目覚めない。
その理由が本当に身体から心が抜けているんだとしたら。
それが私の中にいるもう一つの心なんだとしたら。
やっぱり透子ちゃんを助けられるのは私しかいない。
でも、そのもう一つの心が透子ちゃんのものだという確証はなかった。
確かに透子ちゃんは夢の中で助けにやって来てくれた。
それに透子ちゃんはあの時、繋がりを辿ってやってきたって言っていた。
でも一つ引っかかるのは、もう一つ思い当たる節があること。
私が心の奥底に落ちてドルミーレと会った時、夢の中、そして晴香だったものに立ち向かった時、私に語りかけてくれた誰か。
あれは確かに『誰か』だった。今思えば『誰か』の心だったのかもしれない。
夢の中では氷の精のように淡く輝いていたあの人も、私の中にいる『誰か』の心なのかもしれない。
もちろん夜子さんが気付かなかっただけで本当は全部で三人の心が私の中にはいるのかもしれない。
でもなんだか不安だった。本当に透子ちゃんの心が私の中にいてくれているのかって。
私の中にいてくれているのなら助ける手立てはあると思う。
でももし、どこかわからない所で彷徨っているとしたら……。
「ダメだ、私が弱気になっちゃ……」
今度は私が透子ちゃんを助けるって決めたんだ。
私が弱気になって諦めるようなことがあってはダメだ。
もし透子ちゃんの心が私の中にいなかったとしても、今度は私が繋がりを辿って見つけてあげればいい。導いてあげればいい。
「絶対、絶対私が助けるからね」
その艶やかな黒髪の頭をそっと撫でて、私は決意を口にした。
滑らかで柔らかな感触は、触れているこちらもとても心地よかった。
静かに乱れなく目を閉じているその姿は、それこそお伽話のお姫様のように可憐で儚げだった。
その顔をまじまじと見ていると、心がズキズキと痛んだ。
これは私自身の気持ちなのか、それとも私の中にいる心が感じているものなのか。
どちらかはわからなかったけれど、それでも透子ちゃんが目を覚まさなくて辛い気持ちは確かだった。
「また来るね」
いつか二人で笑い合えることを願いながら、私は小さく手を振った。
静かに眠るその姿を目に焼き付けて、心に刻みつける。
もう私のために誰かが犠牲になるところを見たくはない。
あの時透子ちゃんが私を助けてくれたら、今のこの私に繋がっている。
だから私が絶対に助けてあげるんだ。
部屋を出て、今度こそ廃ビルを後にしようと階段を下る。
全体的にボロボロなこのビルは階段もなんだか心許ない。
崩れてしまうようなことはないだろうけれど、手摺はもげてしまいそうだし所々欠けたり壊れたりしているし。
「ちょっと、待ちなさいよ」
足元を確かめながら慎重に降りている時だった。
夜子さんのいる四階を通過して三階まで降りてきた時、静かな廃ビルの中で呼び止める声が突然響いた。
私は飛び上がりそうになりつつも、恐る恐る声のした方に振り返る。
するとそこには、不機嫌そうに眉を釣り上げた千鳥ちゃんがいた。
目が覚めるような派手派手しい金髪をきゅっとツインテールに結んで、小柄な身体を大きく見せようと胸を張っている。
腰に手を当てて私を睨みつける様は、怒っているわけではなさそうだけれど、でもやっぱり不機嫌そうだった。
「あ、千鳥ちゃん。昨日は、ありがとうね」
「え? あぁ、うん……」
できるだけ懸命に笑顔を作って言うと、千鳥ちゃんは虚をつかれたのか目をパチクリさせてからおずおずと頷いた。
それから我に返って少し目を釣り上げると、ずんずんと私の目の前までやってきた。
「……ほら」
私の目の前までやってきたは良いものの何故だか顔を背けた千鳥ちゃんは、けれど私に向けて大きく腕を広げてみせた。
「…………?」
その行動が何を意味しているのか私にはわからなくて、思わず首を傾げてしまった。
そんな私を横目で見て、千鳥ちゃんキーッと喚いた。
「い、良いから来なさいよ! ほら!」
少し顔を赤らめて叫ぶ千鳥ちゃん。
私のことを直視できず横を向いたままなのに、横目で突き刺すように睨んでくる。
でもそれで千鳥ちゃんが何をしようとしているのかなんとなくわかって、それがちょっぴり意外で私は思わず笑みをこぼしてしまった。
「な、なに笑ってんのよ! 早くしなさいよ! 張っ倒すわよ!」
「ごめんごめん」
私を見咎めて更に声を荒らげる千鳥ちゃん。
怒っている風なのにその腕を下ろそうとはしない。
私は笑みを噛み殺しながら謝って、その腕の中に身体を収めた。
私の目線ほどしかない身長の千鳥ちゃんが私にぎゅっと抱きついた。
抱きしめてくれようとしているんだろうけれど、身長差と体格差でしがみ付いているようになってしまっている。
それでも力強く締め付けてくれる感覚が嬉しくて、私もぎゅっと抱きしめ返した。
「……なんだか、逆になってない?」
「アンタ本当に口が減らないわね。このまま感電死させて欲しいならそう言いなさい」
「ごめんごめん。こういうこと言うのは、千鳥ちゃんにだけだから」
「余計タチ悪いわ」
その温かさで思わず口から出た軽口に、千鳥ちゃんはいつものようにぶーぶーと返しながらも、でもその口調はどこか優しかった。
小柄な千鳥ちゃんだけれど、必死に私を抱きしめてくれるその腕にはちょっぴりお姉さんのような温もりを感じる。
細い腕が巻きつく感触、サラサラな金髪ツインテールが頰をくすぐる感触が、なんだか微笑ましく感じて私の心を柔らかくほぐしてくれた。
「ありがとね、千鳥ちゃん」
「…………別に」
顔は見えなくても、千鳥ちゃんが口をツンと尖らせているだろうことはわかった。
照れ隠しのように眉を釣り上げて、難しい顔をしているに違いない。
「……ごめん、アリス」
「え?」
「私、上手いこと何にもできないから。昨日のことだってそうだし、それに今だってアンタに気の利いたこと言ってあげらんない」
「別にいいよ、そんなの……」
気持ちはしっかり伝わってる。
不器用な千鳥ちゃんなりに、私のこと気遣ってくれてるんだって。
その気持ちを確かに感じて、それがとても心強いんだ。
「……まぁ、アンタならわかってると思うけどさ、一応言っとく」
千鳥ちゃんは私の肩に顔を埋めて、もごもごと言った。
「私はアンタの……友達、だからね」
照れ臭そうに言うその言葉が嬉しくて泣いてしまいそうで、私はそれを誤魔化すように強く強く抱きしめた。
苦しいって背中をバンバン叩かれたけど、それでもしばらくは千鳥ちゃんを放さなかった。
もっと聞きたいこと、突っ込みたいことはあったけれど、夜子さんも話したくないことがあるようだったし、今聞いた話だけでも気持ちの整理は大変なのでやめることにした。
自分にできること、やらなければいけないこと。
私はもっとそういったことに目を向けないといけない。
私に心を託してくれている友達、そして私の心と繋がってくれている友達。
みんなのために、私は確実に前へと進んでいかないといけないんだ。
帰る前に透子ちゃんに一目会っていこうと五階へと上がった。
ボロボロの建物の中で浮いている小綺麗な扉。
それを潜って入った部屋の中は、私が以前見たものとは異なっていた。
以前は部屋の中心に水槽のような大きな筒があって、その中に満たされた液体の中に透子ちゃんが浮かんでいた。
まるでSF映画のような光景で、またその姿があまりにも儚げでよく覚えている。
けれどその筒は見る影もなく消え去っていて、その代わり部屋の中心には真っ白なシーツのベッドがあった。
まるで病院のように清潔感のある純白の内装の中に、穢れの一切ない真っ白なベッドが一つ。
そしてその中で穏やかな眠りについている透子ちゃんの姿があった。
「透子ちゃん……」
私は思わずその名前を口に出して駆け寄った。
目を開かないその姿はただ眠っているようで、もう長いこと目を覚まさない眠り姫とは思えない。
その傍に屈んで布団の中に手を忍ばせて手を握る。
確かに感じる柔らかく温かな感触。
透子ちゃんはちゃんと生きている。
前から体のダメージは大方回復できていると夜子さんは言っていたし。
きっと大掛かりな治療は終えたから、こうしてベッドで寝ているんだ。
身体のダメージは回復して、でも透子ちゃんは目覚めない。
その理由が本当に身体から心が抜けているんだとしたら。
それが私の中にいるもう一つの心なんだとしたら。
やっぱり透子ちゃんを助けられるのは私しかいない。
でも、そのもう一つの心が透子ちゃんのものだという確証はなかった。
確かに透子ちゃんは夢の中で助けにやって来てくれた。
それに透子ちゃんはあの時、繋がりを辿ってやってきたって言っていた。
でも一つ引っかかるのは、もう一つ思い当たる節があること。
私が心の奥底に落ちてドルミーレと会った時、夢の中、そして晴香だったものに立ち向かった時、私に語りかけてくれた誰か。
あれは確かに『誰か』だった。今思えば『誰か』の心だったのかもしれない。
夢の中では氷の精のように淡く輝いていたあの人も、私の中にいる『誰か』の心なのかもしれない。
もちろん夜子さんが気付かなかっただけで本当は全部で三人の心が私の中にはいるのかもしれない。
でもなんだか不安だった。本当に透子ちゃんの心が私の中にいてくれているのかって。
私の中にいてくれているのなら助ける手立てはあると思う。
でももし、どこかわからない所で彷徨っているとしたら……。
「ダメだ、私が弱気になっちゃ……」
今度は私が透子ちゃんを助けるって決めたんだ。
私が弱気になって諦めるようなことがあってはダメだ。
もし透子ちゃんの心が私の中にいなかったとしても、今度は私が繋がりを辿って見つけてあげればいい。導いてあげればいい。
「絶対、絶対私が助けるからね」
その艶やかな黒髪の頭をそっと撫でて、私は決意を口にした。
滑らかで柔らかな感触は、触れているこちらもとても心地よかった。
静かに乱れなく目を閉じているその姿は、それこそお伽話のお姫様のように可憐で儚げだった。
その顔をまじまじと見ていると、心がズキズキと痛んだ。
これは私自身の気持ちなのか、それとも私の中にいる心が感じているものなのか。
どちらかはわからなかったけれど、それでも透子ちゃんが目を覚まさなくて辛い気持ちは確かだった。
「また来るね」
いつか二人で笑い合えることを願いながら、私は小さく手を振った。
静かに眠るその姿を目に焼き付けて、心に刻みつける。
もう私のために誰かが犠牲になるところを見たくはない。
あの時透子ちゃんが私を助けてくれたら、今のこの私に繋がっている。
だから私が絶対に助けてあげるんだ。
部屋を出て、今度こそ廃ビルを後にしようと階段を下る。
全体的にボロボロなこのビルは階段もなんだか心許ない。
崩れてしまうようなことはないだろうけれど、手摺はもげてしまいそうだし所々欠けたり壊れたりしているし。
「ちょっと、待ちなさいよ」
足元を確かめながら慎重に降りている時だった。
夜子さんのいる四階を通過して三階まで降りてきた時、静かな廃ビルの中で呼び止める声が突然響いた。
私は飛び上がりそうになりつつも、恐る恐る声のした方に振り返る。
するとそこには、不機嫌そうに眉を釣り上げた千鳥ちゃんがいた。
目が覚めるような派手派手しい金髪をきゅっとツインテールに結んで、小柄な身体を大きく見せようと胸を張っている。
腰に手を当てて私を睨みつける様は、怒っているわけではなさそうだけれど、でもやっぱり不機嫌そうだった。
「あ、千鳥ちゃん。昨日は、ありがとうね」
「え? あぁ、うん……」
できるだけ懸命に笑顔を作って言うと、千鳥ちゃんは虚をつかれたのか目をパチクリさせてからおずおずと頷いた。
それから我に返って少し目を釣り上げると、ずんずんと私の目の前までやってきた。
「……ほら」
私の目の前までやってきたは良いものの何故だか顔を背けた千鳥ちゃんは、けれど私に向けて大きく腕を広げてみせた。
「…………?」
その行動が何を意味しているのか私にはわからなくて、思わず首を傾げてしまった。
そんな私を横目で見て、千鳥ちゃんキーッと喚いた。
「い、良いから来なさいよ! ほら!」
少し顔を赤らめて叫ぶ千鳥ちゃん。
私のことを直視できず横を向いたままなのに、横目で突き刺すように睨んでくる。
でもそれで千鳥ちゃんが何をしようとしているのかなんとなくわかって、それがちょっぴり意外で私は思わず笑みをこぼしてしまった。
「な、なに笑ってんのよ! 早くしなさいよ! 張っ倒すわよ!」
「ごめんごめん」
私を見咎めて更に声を荒らげる千鳥ちゃん。
怒っている風なのにその腕を下ろそうとはしない。
私は笑みを噛み殺しながら謝って、その腕の中に身体を収めた。
私の目線ほどしかない身長の千鳥ちゃんが私にぎゅっと抱きついた。
抱きしめてくれようとしているんだろうけれど、身長差と体格差でしがみ付いているようになってしまっている。
それでも力強く締め付けてくれる感覚が嬉しくて、私もぎゅっと抱きしめ返した。
「……なんだか、逆になってない?」
「アンタ本当に口が減らないわね。このまま感電死させて欲しいならそう言いなさい」
「ごめんごめん。こういうこと言うのは、千鳥ちゃんにだけだから」
「余計タチ悪いわ」
その温かさで思わず口から出た軽口に、千鳥ちゃんはいつものようにぶーぶーと返しながらも、でもその口調はどこか優しかった。
小柄な千鳥ちゃんだけれど、必死に私を抱きしめてくれるその腕にはちょっぴりお姉さんのような温もりを感じる。
細い腕が巻きつく感触、サラサラな金髪ツインテールが頰をくすぐる感触が、なんだか微笑ましく感じて私の心を柔らかくほぐしてくれた。
「ありがとね、千鳥ちゃん」
「…………別に」
顔は見えなくても、千鳥ちゃんが口をツンと尖らせているだろうことはわかった。
照れ隠しのように眉を釣り上げて、難しい顔をしているに違いない。
「……ごめん、アリス」
「え?」
「私、上手いこと何にもできないから。昨日のことだってそうだし、それに今だってアンタに気の利いたこと言ってあげらんない」
「別にいいよ、そんなの……」
気持ちはしっかり伝わってる。
不器用な千鳥ちゃんなりに、私のこと気遣ってくれてるんだって。
その気持ちを確かに感じて、それがとても心強いんだ。
「……まぁ、アンタならわかってると思うけどさ、一応言っとく」
千鳥ちゃんは私の肩に顔を埋めて、もごもごと言った。
「私はアンタの……友達、だからね」
照れ臭そうに言うその言葉が嬉しくて泣いてしまいそうで、私はそれを誤魔化すように強く強く抱きしめた。
苦しいって背中をバンバン叩かれたけど、それでもしばらくは千鳥ちゃんを放さなかった。
0
お気に入りに追加
99
あなたにおすすめの小説
[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?
シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。
クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。
貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ?
魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。
ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。
私の生活を邪魔をするなら潰すわよ?
1月5日 誤字脱字修正 54話
★━戦闘シーンや猟奇的発言あり
流血シーンあり。
魔法・魔物あり。
ざぁま薄め。
恋愛要素あり。
婚約者が私以外の人と勝手に結婚したので黙って逃げてやりました〜某国の王子と珍獣ミミルキーを愛でます〜
平川
恋愛
侯爵家の莫大な借金を黒字に塗り替え事業を成功させ続ける才女コリーン。
だが愛する婚約者の為にと寝る間を惜しむほど侯爵家を支えてきたのにも関わらず知らぬ間に裏切られた彼女は一人、誰にも何も告げずに屋敷を飛び出した。
流れ流れて辿り着いたのは獣人が治めるバムダ王国。珍獣ミミルキーが生息するマサラヤマン島でこの国の第一王子ウィンダムに偶然出会い、強引に王宮に連れ去られミミルキーの生態調査に参加する事に!?
魔法使いのウィンロードである王子に溺愛され珍獣に癒されたコリーンは少しずつ自分を取り戻していく。
そして追い掛けて来た元婚約者に対して少女であった彼女が最後に出した答えとは…?
完結済全6話
【完結】義妹とやらが現れましたが認めません。〜断罪劇の次世代たち〜
福田 杜季
ファンタジー
侯爵令嬢のセシリアのもとに、ある日突然、義妹だという少女が現れた。
彼女はメリル。父親の友人であった彼女の父が不幸に見舞われ、親族に虐げられていたところを父が引き取ったらしい。
だがこの女、セシリアの父に欲しいものを買わせまくったり、人の婚約者に媚を打ったり、夜会で非常識な言動をくり返して顰蹙を買ったりと、どうしようもない。
「お義姉さま!」 . .
「姉などと呼ばないでください、メリルさん」
しかし、今はまだ辛抱のとき。
セシリアは来たるべき時へ向け、画策する。
──これは、20年前の断罪劇の続き。
喜劇がくり返されたとき、いま一度鉄槌は振り下ろされるのだ。
※ご指摘を受けて題名を変更しました。作者の見通しが甘くてご迷惑をおかけいたします。
旧題『義妹ができましたが大嫌いです。〜断罪劇の次世代たち〜』
※初投稿です。話に粗やご都合主義的な部分があるかもしれません。生あたたかい目で見守ってください。
※本編完結済みで、毎日1話ずつ投稿していきます。
ヤケになってドレスを脱いだら、なんだかえらい事になりました
杜野秋人
恋愛
「そなたとの婚約、今この場をもって破棄してくれる!」
王族専用の壇上から、立太子間近と言われる第一王子が、声高にそう叫んだ。それを、第一王子の婚約者アレクシアは黙って聞いていた。
第一王子は次々と、アレクシアの不行跡や不品行をあげつらい、容姿をけなし、彼女を責める。傍らに呼び寄せたアレクシアの異母妹が訴えるままに、鵜呑みにして信じ込んだのだろう。
確かに婚約してからの5年間、第一王子とは一度も会わなかったし手紙や贈り物のやり取りもしなかった。だがそれは「させてもらえなかった」が正しい。全ては母が死んだ後に乗り込んできた後妻と、その娘である異母妹の仕組んだことで、父がそれを許可したからこそそんな事がまかり通ったのだということに、第一王子は気付かないらしい。
唯一の味方だと信じていた第一王子までも、アレクシアの味方ではなくなった。
もう味方はいない。
誰への義理もない。
ならば、もうどうにでもなればいい。
アレクシアはスッと背筋を伸ばした。
そうして彼女が次に取った行動に、第一王子は驚愕することになる⸺!
◆虐げられてるドアマットヒロインって、見たら分かるじゃんね?って作品が最近多いので便乗してみました(笑)。
◆虐待を窺わせる描写が少しだけあるのでR15で。
◆ざまぁは二段階。いわゆるおまいう系のざまぁを含みます。
◆全8話、最終話だけ少し長めです。
恋愛は後半で、メインディッシュはざまぁでどうぞ。
◆片手間で書いたんで、主要人物以外の固有名詞はありません。どこの国とも設定してないんで悪しからず。
◆この作品はアルファポリスのほか、小説家になろうでも公開します。
◆過去作のヒロインと本作主人公の名前が丸被りしてたので、名前を変更しています。(2024/09/03)
◆9/2、HOTランキング11→7位!ありがとうございます!
9/3、HOTランキング5位→3位!ありがとうございます!
あなたのことなんて、もうどうでもいいです
もるだ
恋愛
舞踏会でレオニーに突きつけられたのは婚約破棄だった。婚約者の相手にぶつかられて派手に転んだせいで、大騒ぎになったのに……。日々の業務を押しつけられ怒鳴りつけられいいように扱われていたレオニーは限界を迎える。そして、気がつくと魔法が使えるようになっていた。
元婚約者にこき使われていたレオニーは復讐を始める。
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
【本編完結】さようなら、そしてどうかお幸せに ~彼女の選んだ決断
Hinaki
ファンタジー
16歳の侯爵令嬢エルネスティーネには結婚目前に控えた婚約者がいる。
23歳の公爵家当主ジークヴァルト。
年上の婚約者には気付けば幼いエルネスティーネよりも年齢も近く、彼女よりも女性らしい色香を纏った女友達が常にジークヴァルトの傍にいた。
ただの女友達だと彼は言う。
だが偶然エルネスティーネは知ってしまった。
彼らが友人ではなく想い合う関係である事を……。
また政略目的で結ばれたエルネスティーネを疎ましく思っていると、ジークヴァルトは恋人へ告げていた。
エルネスティーネとジークヴァルトの婚姻は王命。
覆す事は出来ない。
溝が深まりつつも結婚二日前に侯爵邸へ呼び出されたエルネスティーネ。
そこで彼女は彼の私室……寝室より聞こえてくるのは悍ましい獣にも似た二人の声。
二人がいた場所は二日後には夫婦となるであろうエルネスティーネとジークヴァルトの為の寝室。
これ見よがしに少し開け放たれた扉より垣間見える寝台で絡み合う二人の姿と勝ち誇る彼女の艶笑。
エルネスティーネは限界だった。
一晩悩んだ結果彼女の選んだ道は翌日愛するジークヴァルトへ晴れやかな笑顔で挨拶すると共にバルコニーより身を投げる事。
初めて愛した男を憎らしく思う以上に彼を心から愛していた。
だから愛する男の前で死を選ぶ。
永遠に私を忘れないで、でも愛する貴方には幸せになって欲しい。
矛盾した想いを抱え彼女は今――――。
長い間スランプ状態でしたが自分の中の性と生、人間と神、ずっと前からもやもやしていたものが一応の答えを導き出し、この物語を始める事にしました。
センシティブな所へ触れるかもしれません。
これはあくまで私の考え、思想なのでそこの所はどうかご容赦して下さいませ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる