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悪役たるもの計画を立てるべし!
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あの後殿下はメリルをクラスまで送るとご自分の教室へと向かわれたらしいですわ。
突然のことに驚かれた方々も、落ち着いてみればすぐに察せられます。
殿下がわたくしとの縁を切り、傍に女性を置くというその意図を。
正式な婚約であるか否かは別として、メリルが殿下の大切な人であるということはこれで周知されたということですわね。
これらは原作にない展開でございます。当然ですわね。漫画のエンディングは殿下とメリルの公然婚約でしたもの。つまり、わたくしの知る漫画の描写は残すところ数年後の結婚式のみとなったのです。あとは、そうですわね、卒業パーティでの婚約発表はあるのかもしれませんが周知された今、予定調和で終わりそうな気がいたしますわ。
ということはですね、これからの半年間何が起こるか分からないということなんですのよ!
ど、どうしましょう?わたくしは何をすべきなのでしょうか?
下手に手出ししてお二人の仲が悪くなったりしてしまったら目も当てられませんし、かといって何もしないというのは、悪役令嬢として如何なものかと思ってしまいます。
やはり何か手を考えなければ…。
「ティア、引っ掛け問題好きだねぇ。」
自習室のテーブルに置かれた問題集に横から指で触れたファウスト様を見て、わたくしは溜息を零してしまいました。
消しゴムで記入していた数式を消していきます。
「用事は終わったんですの?」
「うん。ティア、これとこれも引っ掛け。」
「…もう、どうして先生は引っ掛け問題なんて作るのかしら!」
「普通に四角四面じゃつまらないからじゃない?」
「なら仕方ないですわ。」
「あはは、納得するんだ?」
「先生方の創意工夫ですもの。」
「僕ティアのそういう考え方好きだな。」
「ありがとうございます。」
「…うーん、ちょっと甘やかし過ぎちゃったかな。」
「?…ハッ!ごめんなさい、毎回テスト前にお勉強をみていただいていますのに、わたくし何もお礼を差し上げてなくて…!」
ファウスト様の困った様子を見て、わたくし気付いてしまいました!
そうですわよね、ファウスト様は復習せずとも問題ございませんのに、毎回ご好意に甘えて付き合わせてしまって…。
「あぁ、違う違う。その話じゃないよ。それに何もって言うけど、毎回お菓子用意してくれてるでしょ?」
「それは、そうですけれど。」
「勉強に四苦八苦してるティア見てるの面白いから構わないよ。」
「まぁ!とても良い趣味をお持ちですこと。」
「僕もそう思う。ふふ、ごめん冗談冗談。んー、まぁティアが気にするなら、そうだなぁ…。今度お義父様に時間作ってくれるように言ってもらえる?」
「お父様にですか?今日は確かお休みですから家に居るかと。遊びに来ますか?」
「うん、ありがとう。話し合いが終わったら、ティアにも伝えるね。」
「?はい。」
従者に言伝を頼めば、にこやかに退室して行きます。…歳頃の男女を二人きりにすることに躊躇いとか無いんですの?え、無い?そうですか…。えぇ分かっております。わたくしとファウスト様ですものね!何も無いことは分かっておりますわ!!
「ここまで長かったなぁ。」
「ファウスト様?」
「ティア。」
「はい。」
「あともう少しだ。」
そう仰って目を細められたファウスト様は、なんだかいつもと少しだけ違う様に見えて、わたくしはただ顔が赤くならないように目を逸らすことしか出来ませんでした。
さようならの準備を、しなければいけないというのに。
突然のことに驚かれた方々も、落ち着いてみればすぐに察せられます。
殿下がわたくしとの縁を切り、傍に女性を置くというその意図を。
正式な婚約であるか否かは別として、メリルが殿下の大切な人であるということはこれで周知されたということですわね。
これらは原作にない展開でございます。当然ですわね。漫画のエンディングは殿下とメリルの公然婚約でしたもの。つまり、わたくしの知る漫画の描写は残すところ数年後の結婚式のみとなったのです。あとは、そうですわね、卒業パーティでの婚約発表はあるのかもしれませんが周知された今、予定調和で終わりそうな気がいたしますわ。
ということはですね、これからの半年間何が起こるか分からないということなんですのよ!
ど、どうしましょう?わたくしは何をすべきなのでしょうか?
下手に手出ししてお二人の仲が悪くなったりしてしまったら目も当てられませんし、かといって何もしないというのは、悪役令嬢として如何なものかと思ってしまいます。
やはり何か手を考えなければ…。
「ティア、引っ掛け問題好きだねぇ。」
自習室のテーブルに置かれた問題集に横から指で触れたファウスト様を見て、わたくしは溜息を零してしまいました。
消しゴムで記入していた数式を消していきます。
「用事は終わったんですの?」
「うん。ティア、これとこれも引っ掛け。」
「…もう、どうして先生は引っ掛け問題なんて作るのかしら!」
「普通に四角四面じゃつまらないからじゃない?」
「なら仕方ないですわ。」
「あはは、納得するんだ?」
「先生方の創意工夫ですもの。」
「僕ティアのそういう考え方好きだな。」
「ありがとうございます。」
「…うーん、ちょっと甘やかし過ぎちゃったかな。」
「?…ハッ!ごめんなさい、毎回テスト前にお勉強をみていただいていますのに、わたくし何もお礼を差し上げてなくて…!」
ファウスト様の困った様子を見て、わたくし気付いてしまいました!
そうですわよね、ファウスト様は復習せずとも問題ございませんのに、毎回ご好意に甘えて付き合わせてしまって…。
「あぁ、違う違う。その話じゃないよ。それに何もって言うけど、毎回お菓子用意してくれてるでしょ?」
「それは、そうですけれど。」
「勉強に四苦八苦してるティア見てるの面白いから構わないよ。」
「まぁ!とても良い趣味をお持ちですこと。」
「僕もそう思う。ふふ、ごめん冗談冗談。んー、まぁティアが気にするなら、そうだなぁ…。今度お義父様に時間作ってくれるように言ってもらえる?」
「お父様にですか?今日は確かお休みですから家に居るかと。遊びに来ますか?」
「うん、ありがとう。話し合いが終わったら、ティアにも伝えるね。」
「?はい。」
従者に言伝を頼めば、にこやかに退室して行きます。…歳頃の男女を二人きりにすることに躊躇いとか無いんですの?え、無い?そうですか…。えぇ分かっております。わたくしとファウスト様ですものね!何も無いことは分かっておりますわ!!
「ここまで長かったなぁ。」
「ファウスト様?」
「ティア。」
「はい。」
「あともう少しだ。」
そう仰って目を細められたファウスト様は、なんだかいつもと少しだけ違う様に見えて、わたくしはただ顔が赤くならないように目を逸らすことしか出来ませんでした。
さようならの準備を、しなければいけないというのに。
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