これでわたくしも立派な悪役令嬢に…ってちょっとそこの貴方、勝手にわたくしの役目を担わないでくださいまし!

onyx

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転生者たるものたくさん悩むべし!

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漫画の内容で行われる重要な物事の対象が変わっているというのは由々しき事態ですわ。どうして変化が?どれほど頑張ったところで物語の大筋が変わらないことは把握しております。それなのに何故今になって、根底から覆るような事が起こったのでしょう?
スピンオフ作品が発売されていてそちらの世界だったということ?いいえ少女漫画のスピンオフ作品は大抵同じ世界線でのお話。イジメの主体となっていたティアナのスピンオフでの描写としては些か違和感を覚えるためおそらく違います。
原作ではなく二次創作物の世界だったということ?こちらの可能性も無きにしも非ずではあるものの、ティアナとの組み合わせで一番人気は殿下でしたし、お相手が違うもしくは日常を描いた作品であったとしても日々の描写や周りの反応などを確認するにそれもおそらく違うような気がするのです。

他に考えられる線としましては漫画に関係なくただただわたくしが気に入らなかった、ということでしょうか。台詞もよくある文言ではございましたし。
そういえばリアトリス侯爵家は数年前に事業に失敗し芳しくないご様子でしたわね。なるほど、はしたない言い方をしてしまえば玉の輿を狙ったということでしょうか。一応納得出来なくもないですわね。
ファウスト様は幼少の頃より婚約者がおらず、加えて婚約、婚姻に関しては御当主であらせられるファウスト様のお父様から一任されていらっしゃるらしいんですの。

婚姻。

ファウスト様もいつか何方かと結婚されます。なんだか想像が難しいのですけれど、クレマチス公爵家次期当主の彼が結婚しないなんてことあるわけございませんし、愛妻家でいらっしゃるファウスト様のお父様が愛の無い結婚を是とするわけもなく、きっと幸せな家庭を築くのでしょう。
その時わたくしは笑顔でおめでとうと言えるのでしょうか…。

「ティアナ様?」

ハッとして前を見ますと、心配そうなメリルの顔が。
知らず知らずのうちに溜息をついてしまっていたようで、何か気掛かりなことでもあるのかといった視線がわたくしに向いておりました。

「あら失礼。こうも毎日お勉強ばかりで少し疲れてしまったようですわ。」
「確かに、ずっと机に向かっていると疲労感が募りますよね。」
「僕も飽きた。」
「わたくしは飽きたとは言っておりませんでしてよ。」

わたくしの隣に座って本を読んでいらっしゃった筈のファウスト様は、いつの間にか本を閉じて頬杖をついておられました。

「いつも思うけど、ひと目でわかる問題と向き合うことになんの意味があるの?」
「いつも申しておりますけれど、わたくしはひと目で分からないから向き合うのですわ。もう、ファウスト様が来たいって仰ったのに。」
「だって四苦八苦してるティア可愛いんだもん。あとこれ公式使うならこっちね。」
「あら、ありがとうございます。」

一つ前の問題を消してやり直して、ふと時計を見ればお昼を少し過ぎた頃でした。

「丁度良い。一度休憩にしよう。」

黙々と問題集を解いていらっしゃった殿下がパタリと閉じ、そう告げられました。



はい。今日も今日とて、4人でのお勉強会でございます。






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