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悪役令嬢たるもの悪評を流すべし…?
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【作戦4 悪評をばら撒く】
「『リリー子爵家の令嬢は異性ばかりと交友を深めており、中には深い仲の者もいるようだ。』ですって…?なんですのこれは!」
まずは今の噂話を集めようと調べさせた結果、なんともまあ悪意を煮詰めたようなものばかり。こんなの誰が流したのかしら。
「何って、見たまんまのことだよ。ほら。」
「メリルさんはそんな子じゃ…まさか。」
中庭に目を向ければ、メリルさんが複数人に囲まれなにやら談笑しておりました。確かに、異性が目立つようではありますが、噂されるほどはしたない言動には見えません。
…もしかして、誰かが悪い噂を広めていらっしゃる?
「リリー令嬢は可愛いよね。おまけに婚約者も居ないし。子爵家ではあるけど、当主の手腕で侯爵家並に資産もある。」
「えぇ、その通りですわ。」
慰めるようにファウスト様がわたくしを抱き締めてくれます。もう小さい子ではないというのに…。
「だから、ティアがお世話しなくても面倒見てくれる人はいっぱいいるよ。」
メリルさんは可愛らしい子です。本当に。頑張り屋さんで優しくて、わたくしなんかとは比べ物にならないほど。…ファウスト様もそう思っていらっしゃったのね。
そうですわよね。こんな面白味のない人間よりずっとずっと素敵ですもの。
「だからね、泣くのも笑うのも僕の前だけにし…」
「そうですわね。未だ婚約者も決まらず、顔もそれほどでもない女がお世話なんて、なんて烏滸がましいことでしたでしょう。」
背に回った腕を解き、わたくしは決意しました。
気付かせてくれてありがとうございます、ファウスト様。
「ティア?」
「わたくし、礼儀作法だけは自信がありましたが、きっとそれも自信過剰でしたのよ。ごめんなさいファウスト様、こんな不出来な娘を毎回エスコートさせるなんて。」
「ティア、それは違うよ。ティアはとても可愛くて美しい素敵な令嬢だ。」
慰めはもう結構でございます。珍しく慌てた様子のファウスト様に、それ程までにショックを受けているように見えるのかしらと不思議に思いつつ、落ち込んでる暇はありません。
「いいえ、わたくし、もっと頑張らなければ。人の世話を焼くよりも婚約者探しをするべきなのでしょう。幸い、家柄だけは確かですもの、誰かしらもらってくださるわ。」
メリルさんを貴族令嬢として、そして殿下の婚約者に相応しい娘に成長させるよりまずはわたくしが素敵な令嬢になるべきですわ!
そうと決まればお父様にお伝えしなければ。
…そろそろ初恋ともおさらばですわね。良い機会ですわ。
「それでは、ごきげんよう!」
さようなら、わたくしの初恋の人。
「あぁもう、ちょっと泣いてくれるだけで良かったのに!誤解を解きにいかないと…!」
「『リリー子爵家の令嬢は異性ばかりと交友を深めており、中には深い仲の者もいるようだ。』ですって…?なんですのこれは!」
まずは今の噂話を集めようと調べさせた結果、なんともまあ悪意を煮詰めたようなものばかり。こんなの誰が流したのかしら。
「何って、見たまんまのことだよ。ほら。」
「メリルさんはそんな子じゃ…まさか。」
中庭に目を向ければ、メリルさんが複数人に囲まれなにやら談笑しておりました。確かに、異性が目立つようではありますが、噂されるほどはしたない言動には見えません。
…もしかして、誰かが悪い噂を広めていらっしゃる?
「リリー令嬢は可愛いよね。おまけに婚約者も居ないし。子爵家ではあるけど、当主の手腕で侯爵家並に資産もある。」
「えぇ、その通りですわ。」
慰めるようにファウスト様がわたくしを抱き締めてくれます。もう小さい子ではないというのに…。
「だから、ティアがお世話しなくても面倒見てくれる人はいっぱいいるよ。」
メリルさんは可愛らしい子です。本当に。頑張り屋さんで優しくて、わたくしなんかとは比べ物にならないほど。…ファウスト様もそう思っていらっしゃったのね。
そうですわよね。こんな面白味のない人間よりずっとずっと素敵ですもの。
「だからね、泣くのも笑うのも僕の前だけにし…」
「そうですわね。未だ婚約者も決まらず、顔もそれほどでもない女がお世話なんて、なんて烏滸がましいことでしたでしょう。」
背に回った腕を解き、わたくしは決意しました。
気付かせてくれてありがとうございます、ファウスト様。
「ティア?」
「わたくし、礼儀作法だけは自信がありましたが、きっとそれも自信過剰でしたのよ。ごめんなさいファウスト様、こんな不出来な娘を毎回エスコートさせるなんて。」
「ティア、それは違うよ。ティアはとても可愛くて美しい素敵な令嬢だ。」
慰めはもう結構でございます。珍しく慌てた様子のファウスト様に、それ程までにショックを受けているように見えるのかしらと不思議に思いつつ、落ち込んでる暇はありません。
「いいえ、わたくし、もっと頑張らなければ。人の世話を焼くよりも婚約者探しをするべきなのでしょう。幸い、家柄だけは確かですもの、誰かしらもらってくださるわ。」
メリルさんを貴族令嬢として、そして殿下の婚約者に相応しい娘に成長させるよりまずはわたくしが素敵な令嬢になるべきですわ!
そうと決まればお父様にお伝えしなければ。
…そろそろ初恋ともおさらばですわね。良い機会ですわ。
「それでは、ごきげんよう!」
さようなら、わたくしの初恋の人。
「あぁもう、ちょっと泣いてくれるだけで良かったのに!誤解を解きにいかないと…!」
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