死が二人を分かたない世界

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魔界編:第13章

休日は前日の夜から

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「エッ、いや! あの!!」

 ルイさんからの質問に、思わず動揺してしまう。
「……ゴメーン、答えにくいよねそんなの!」
「すみません」
 ルイさんからの、ユキと一日何回くらいスるのかなんて質問、答えられるわけがない!
 答えられるわけないけど、つい最近悩んだネタだったから興味あるというか、逆に聞いてみたい話だったりして……でも、さすがに聞けない!

「ちょっと聞きたかっただけだからー!」
 ルイさんが慌てたように取り繕おうとして、でも耳まで真っ赤にしているのはなんだか可愛い。
 いつもは見た目に反して、大人っぽさを感じるルイさんだけど、今日はなんだか少し幼いような気がした。

「カズヤさんのルイさんを見る目、今日は一段と甘かったですね」
「えっ! そうかな!?」
 ルイさんの恥ずかしがる様子がかわいらしくて、思わず少しからかうようなことを言ってしまった。

「あ! 真里に言った事訂正しないと」
「ん?」
「あの……オレ、子ども扱いされてるなんて事……なかったみたいで」
 しどろもどろという言葉がピッタリとあてはまるように、ルイさんはただでさえ赤くなっていた頬をさらに真っ赤にしていた。
 それって、やっぱり二人はそういう関係までいったって事だよね!?
 
 お互いを知っているから、こういう話は少し照れくさい気がしてしまうけど……。
「真里のおかげだなーって思って、ありがとな」
「僕は何もしてないですけどね」
 悩みがなくなったって感じで、ルイさんはすっきりした表情で、僕までなんだか嬉しい。

「そんでケツの話なんだけどさー」
「ケッ……!」
「ホラ、そっちは真里の方が先輩じゃん? だから聞きたいなーって」
「僕もまだそんなに……それに、あまり赤裸々に話すのはちょっと」
「そうだよな、でもこんな話できるの真里しかいないからさー」
 確かに僕もそっちの悩みを相談する相手は居ない。
 聖華に相談しようものなら、バカにされそうだから絶対に嫌だし、ユキの事を具体的に言われたら話どころじゃなくなりそうだ。

「その……初めての時って、すんなり入ったかとか……気持ちよくなれたのか、とか……気になったんだけど」
 ウッ……具体的な質問だ!
 初めての時すんなり入ったし、気持ちよかったです……! って言っても、それはユキが慣れてるからっていうのが大きいだろうから、僕ができるアドバイスなんて何もない。

「気持ち良く……なかったんです?」
「うーん、良くなかったわけじゃ……」
 と、言いかけたところで前から人の気配がして、トーンを落とす事にした。
「ちょっと手間取って大変だったのと、苦しい方が強くてー……」
 そういえば、ユキがカズヤさんのおっきいって言ってたな……。なんかリアルなサイズ感まで教えてくれたせいで、複雑な気持ちだけど……確かに大変そうだ。

 僕は初めてと言っても、一週間毎日ユキに慣らされた後だったから、ルイさんとは条件が違う気がする。
 思えば、すごく大事に、丁寧に準備してくれたんだなって、こんなところでユキに大切にされてるなって自覚してしまった。
「どした? 顔赤いぞー?」
「いえ、なんでもないです!」

 それでも、初めての時より今の方が気持ちいい。
 最近余裕が出てきたせいか、僕からもユキに気持ちいいことしてあげたいって気持ちもあるし……。
「やっぱり慣れなのかなって、思いますけど」
「さすがに毎日ヤッてると慣れるかー!」
 そう言われると恥ずかしい! けど、ユキがそれで毎日魔力を回復させてることは、この世界では周知の事実だ。

「オレも毎日誘っちゃおっかなーなんて」
 ニシシっとイタズラっぽい顔で笑ったルイさんの表情は、ちょっと照れを含んでいて、こっちまで釣られて照れ笑いしてしまう。
「オレたちゆっくりさせてもらったからさー、明日からは真里たちが楽しんでこいよな!」
「はい、そうします」
 ルイさんとそんな話をしながら巡回していたら、離れたばかりなのにもうユキが恋しいような気がした。
 早く二人きりになって、ギュッて抱きしめたい。
 そんなもどかしいような気持ちで事務所に戻ると、カズヤさんとユキは諸々の話し合いを終わらせていたところだった。

 連日で負担をかけてしまう飛翔さんには、賄賂として例の大好物のアイスを大量に手渡した。
 これで一週間は頑張れるって大喜びしてくれるのは嬉しいけど、いつもこんな安上がりでいいんだろうかと申し訳なくなる。

「余程のことがない限り連絡しませんから、こちらは気にしなくていいですよ」
 カズヤさんにそんな事を言われて、いつもより早い時間に事務所から追い出されてしまった。

「なんか、気を使わせちゃったかな……?」
 思わず閉められた事務所の引戸を振り返ると、ユキが自然に手を繋いできて少しドキッとした。
「まぁ、いいんじゃないか?」
 少し強く手を握られて、いつもより速いペースで歩き出したユキが、早く帰りたいって言ってるみたいで嬉しくなってしまう。
 これからの時間は、ユキの事僕が独り占めできるんだ……!
 はやる気持ちを抑えるように、落ち着いて一度深呼吸した。

「ルイさんとカズヤさん、仲良く過ごせたみたいだね」
「あぁそうだな、アイツのデレデレした顔見せてやりたかったな」
「えっ! カズヤさんそんな顔するの!?」
 師匠の意外な一面に、驚きが隠せない。
 正直そんな緩んだ顔なんて、想像もできない! きっと僕の前では見せてくれないだろうなって事は、簡単に想像できるけど。

 ユキが可笑しそうに薄く笑いながらも、繋いだ手の指を絡めてくる。
 指の側面を撫でられて、誘うように愛撫されたら……話なんて頭に入ってこない。
「真里からいい匂いがする」
「う……恥ずかしいから、まだ嗅がないで」
「俺も我慢できなくなりそう」
 嗅がないでって言ってるのに、首元に顔を寄せられて、耳元でそんな事囁かれたら……!
 そんなの意識しないなんて無理だ! どうしよう、早く触りたい、触って欲しい。

 耳まで熱く感じながらユキを見上げると、ユキもはぁ……と色っぽいため息をつく。
「早く帰ろうか」
「うん」
 そんな顔外でしちゃだめだよ、ユキの色気はすごいから、歩いてる人達が誘惑されてしまいそうだ。
 実際、周りの人たちは僕達から気まずそうに顔を逸らしていて、そんな中を足早に通り抜けた。

 急いで家の中に入って玄関の戸を閉めるのとほぼ同時に、扉に押し付けられてキスされた。
 貪るように舌を吸われて、下着ごとズボンを下ろされて……体を触られながら舌を絡めて、もう我慢なんてできるわけなかった。
 気持ちいい……もっと触って欲しい! でも、でもここは……!
「ユキ、まだ玄関」
「我慢できない」
 カチャカチャとユキがベルトを外す音が聞こえて、僕も思わずユキの服の中に手を入れた。
 熱くなった背中に触れて、もっと熱くなったユキのズボンの中にも……。

 ユキからは後ろを指で撫でられて、前も熱い手に包まれて、もう欲しくて欲しくてたまらなくなる。
 玄関なのに、止められない!
「ユキッ……ベッド」
「そんなこと言いながら、真里も俺のを離さないけど? 今すぐここで欲しいんじゃないか?」
「――ッッ!!! ……いこ?」
 離したくない気持ちを必死で抑えて、ユキのズボンから手を抜いた。
 ユキがハハッと笑ってから、今度は軽くキスされて、ユキに手を引かれるまま寝室まで歩く。

「ベッドでは我慢しなくていいよな?」
 寝室で服を脱がされながら、我慢できないって声でそんな事言われたら、恥ずかしいけど嬉しくて、ユキと目を合わせられないまま頷いた。
 少し乱暴にベッドに押し倒されて、ユキに組み敷かれたら心臓が飛び出そうだ。

 僕も、もう我慢できない、したくない!
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