少女は自重を知らない～私、普通ですよね？

31 面倒くさいので結構です。

俺は、この騎士団隊長をしているユザック

「ハァ、ハァ、ハァ。クソッ……。」

このままでは、守れない。なんで、こんな所に盗賊がいるんだ！


「余所見してるんじゃねぇーーよ！」


「しまった！！」



〈ギャガルルゥゥゥ〉



「「「「うわーー」」」」



「何で………デビルタイガーが……。」

なんて、ついてない日なんだ。盗賊の次は天災級の魔獣に遭遇するなんて。


呆然としていると、デビルタイガーがあっという間に盗賊を倒してしまった。


「あははは。俺達の番か……。」

諦めて目を閉じると、近くから女の声が聞こえてきた。

目を開けると、デビルタイガーの後ろから女と獣人の男が現れた。


「お、お前ら！早く、逃げろー！デビルタイガーに喰われるぞ！！」


「「………？」」


「何してるんだ！早く、逃げろ！って……。あれ？」

デビルタイガーに襲われない？


「あのー。皆、大丈夫ですか～？この子、私の従魔なんで大丈夫ですよ！この子は、クローバーっていいます。私は、ミサトです。そっちにいるのは、フウスケさんです。」

何で皆、クローバーをみるとあんな風に怖がるんだろう？
こんなに、格好良くて可愛いのにー！


「デビルタイガーを従魔？有名なテイマーの方でしたか！助かりました！騎士団隊長のユザックといいます。」


「へぇー。騎士団ですか……。」

なんか、嫌な予感がするよ。チラッとフウスケさんをみると同じような事を思ったのか溜息を出しそうな顔をしていた。


「ミサト……そろそろ行かないか？」


「フウスケさん、そうだね！」

ナイスだよ！早く、この場から離れたい！面倒くさい事になりそうだもん。

そして、私達が行こうとすると……。


「君たち待ってくれ！」

 馬車から男性と女性が出てきた。
やっぱり、面倒くさい事になった。
 二人の話を聞くと、どうやら二人はララサの街の領主の関係者だったみたい。
 それで、お礼がしたいから是非とも領主邸に来てほしいという誘いだった。

「私達、先を急いでいますので結構です。それに、冒険者をしているので困っている人を助けるのは当たり前ですので！」


「なんて、素敵な方なんだ！貴女のような素敵な女性が冒険者をしているなんて勿体ない！」

さっきから、フウスケさんの事をチラチラと見ているのが気に入らない。
公爵だか知らないけど、面倒くさそうだからフウスケさんと目で合図を送り、クローバーに跨がると一気に走り出した。

だって、面倒事は結構です。

それに、馬車だったら街に着くまでにまだ時間もかかるし、私達が街を出る頃に着くんじゃないかな？

クローバーの速さを舐めないでよね！