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閑話 とある魔神族 ①

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  ファントスは、国王に魔力病が不治の病じゃなくなったこと国民に知らせるべきだと進言した。


「父上!私のように魔力病で死にかけている民がいるのです!!民に、生きる希望が出来たのです!早く、知らせるべきです!」


「ファントスの気持ちはわかるが……。その食べ物がどれくらい流通できるのか調べてからでないと大変な事になるぞ。」


「父上の言い分もわかりますが、知らせるのは早い方がいいです!!その食べ物については俺が調べますからー!」


ファントスは、自分の言い分を伝えたら直ぐに部屋から出ていった。
 その後ろ姿を見ながら国王は、魔力病が本当に直ったのだと実感しながら腰を上げた。


「魔力病を治す食べ物……ジーク殿もまたど偉いものを作った物だな……。なのが勿体ないな。国民にどう説明した物やら……。」


魔神族は、昔から人族を嫌っていた。
人族は、戦争を一方的に起こしては魔神族に殺られるを繰り返して、挙げ句には勇者召喚という禁忌魔法まで使う最低な部族だ。
 だが、その勇者たちに魔神族は負け人族は我々を奴隷にして楽しんでいる。
そんな、人族が作った食べ物を喜んで食べるだろうか?


「取り敢えず、魔力病を治す食べ物が見つかったことを発表するとしよう。これから忙しくなるなぁ…………。」


国王からの発表を聞いた国民は、盛大に喜び街中が祭り騒ぎになった。

一方では、魔力病にかかっている者達が魔力病を治す食べ物を求めて殺到していた。













俺は、魔神の国に住む魔神族だ。
街の一角で魔道具を作って売っている。

俺には、弟子が三人いるが、三人ともよく働くし勉強熱心ないい奴らだ。
三人はそれぞれを認めあったライバルだ。
ライバルだが、仕事でも普段でも三人は仲良しだ。

俺には勿体ないぐらいの弟子だ。

だが、ある日悲劇が起きた。

三人のうちの一人が魔力病にかかって倒れてしまった。

魔力病は、不治の病だ。俺も含めて弟子の二人はそいつを命が尽きるまで看病しようと決めた。
日に日に魔力が減っていき、とうとう自分の力では布団から起き上がる事すらできなくなっていた。もうすぐ、命が尽きるのも時間の問題かもしれない。

そんな諦めていた時にその知らせがきた。

国王様が「魔力病を治すが見つかった。魔力病は、不治の病ではなくなった。」という信じられないお言葉だった。


「マ、マ、魔力病が……治る?薬じゃなくて?それがあれば、あいつは助かる………?」

俺は、気づいたら王宮の前にいた。そして、叫んでいた。


「国王様ー!お願いです!魔力病が本当に治るならどうか、私の大切な弟子を助けて下さい!!もう、時間がありません!!お願いです!!」


私は、涙を流しながら叫び続けた。
兵士に止められたが、 街からは私以外の魔力病にかかっているであろう身内の者達が押し寄せていた。

兵士の一人が王宮の中から出てきて、国王様からの言葉を伝えた。


「魔力病を治す食べ物は、とある場所で見つかったがそれを作った者は人族である。それを聞いて、それでも欲しいと言うのなら私の前に来なさい。」 

というお言葉だった。


「えっ?人族が作った食べ物……。魔力病が治る……。人族……。」


私は、周りをみた。
  私の中では答えは出ている。昔から
人族は嫌いだ。人族は欲深くて、我々を奴隷にしたりする最低なやつらだ。

でも、そんなことより弟子の命の方が大切だ!
俺は、王宮の中に入っていった。
すると、門の所にいたやつらも俺の後を追うようについてきた。

みんな、それぞれの大切な人の為に人族が云々はどうでもよかった。
助かるならどんなことでもしてやるっていう気持ちだったんだ。

そして、詳細を聞いた俺達は絶句した。

死の森?そんな所に人族は何をしているのだ?
バカなのか?
だが、そのバカのおかげで魔力病が不治の病じゃなくなった。感謝しかない。

話を聞いていると、まさかステイ様もそのバカに入っていた。

バカを訂正しよう。ゲフン、ゲフン。

ちょっと、頭が足りない人と訂正しよう。

話を聞き終わり、ようするにその食べ物はどれくらい取れるかわからないから詳細がわかったら直ぐに手配してくれるらしい。


「そんな……どれくらい時間がかかるんだ……。あと何年もつかわからないのに……。」


俺が、落ち込んでいると突然部屋にステイ様が入ってきた。


「お父様じゃなくて、国王様!持ってきました!大体、100個あります。」


「「「「………………」」」」



「…………ふむ。随分、……早かったな?」


「まぁ、ジ……彼は規格外ですから。説明したら、急いで用意をしてくれました。」


「あ、あの~。話の途中で申し訳ありませんが……それが魔力病を治す食べ物ですか?ただの、タマゴに見えるのですが?」


「心配するな!これで、お兄様の魔力病が治ったのだから!そのお兄様は、元気になって友人(ジーク)に会いに行ったわ!」



「「「「おぅーーーー!」」」」





こうして、俺達は魔力病が治す事が出来る食べ物を貰って帰った。


「たしか、食べさせる時は一気に食べさせずに少しずつ与えるんだよな?」


ステイ様の説明で、一気に与えると魔力酔いを起こすから少しずつ与えるのがいいらしい。

魔神族で魔力酔いなんて聞いたことないが。


魔力酔いとは、種族によって違う。

人族は、魔素を強く浴びすぎると二日酔いの様な状態になりまともに歩く事も出来なくなるらしい。

我々、魔神族は魔力が他と比べると高いため魔素を強く浴びてもなんてことない。
たまに、体に合わない魔素があり魔力のコントロールができなくなり暴走する事があるが、魔法を使わなければ暴走する事もない。
だから、魔神族で魔力酔いなど皆無に等しい。


「ステイ様が言うなら、従おう。」

そして、俺はテンプルの温泉タマゴをスプーンに掬って弟子に食べさせた。
 もう一口与えようとしたら、弟子が突然布団から起き上がり叫んだ。


「魔力が戻ったーーー!」


「うぇっ?」

思わず、変な言葉がでてしまった。


「師匠!!俺、魔力病が……治ぢぃましたーー。」

弟子は、涙も鼻水も出しまくりながら泣いていた。

俺も、つられて泣いてしまった。
そして、二人の弟子も現れてみんなで泣いた。


「たった、スプーンに一口だけで治るなんて……一気に与えていたらどうなってたんだろう……。それより、効果が出るのはやくないか?」



「師匠!そんなのどうでもいいじゃないですか!あいつが治ったんですから!」


「そうだな!」

残りも少しずつ与えて休ませ、様子をみることにした。
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