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20 ドラゴン サイド
しおりを挟む我には名はない。
森の中を徘徊し、獲物を狩る日々を繰り返すだけの生き物だ。
そうして生きてきたし、これからも生きると思っていた。
しかし、衝撃の出会いがあった。
何時ものように、獲物を探しに森の上を飛んでいると、何かが我に向かって襲ってきた。
ワケがわからないまま反撃するが、手も足も出ない。
それなりに戦闘力に自信があった我だったが、敵わなかった。
我は死を覚悟したが、我に向かってくるフェンリルとその上に乗っている一人の男がみえた。
〈我が何をしたというのだ……。〉
これでも、今まで平和に過ごしてきた。
我を見かけた人族は、我を倒そうとやってきた。
だが、我は平和に過ごしたいだけなのに。
その男も我を見ただけで、倒しに来たのだなと思っていると、男は言った。
「お前は、俺が育てた作物を吹き飛ばすつもりか!やっと、村らしくなってきたのに!」
〈我は、ただ空を飛んでいただけだ…。作物を飛ばすつもりなどなかった。それに、このような場所に村があるなどしらなかった。〉
そんなことを言っても無駄であろう。
人族は、我を殺すだろう。
「そうだったのか、飛んでるだけだったのに攻撃して悪かった。怪我を治すからじっとしていてくれ。」
『パーフェクトヒール』
〈我を殺さないのか……?我は、ドラゴンだぞ?〉
「殺さないよ?だって、何もしないだろ?」
〈お主は変わったやつだな。お主が良ければ、村に住まわせてくれないか。〉
「えっ!?」
〈やはり、ダメか。〉
「いや……ダメじゃないが……デカイから……。」
〈小さくなればよいのか……?〉
「えーと。小さくなれるならいいよ。あと、村に住んでる仲間と仲良く出来るならね!」
〈もちろんだ!〉
ピカッと光ると。
〈久しぶりに人化した。〉
「おお!ドラゴンって変身出来るんだな!それに……くっ!カッコイイ……。」
〈全てのドラゴンが人化出来るわけではない。古代竜と一部のドラゴンだけだ。〉
「そうなのか……。それじゃあ、俺達の村に行こう。」
〈よろしく頼む。あと、そこにいるのはフェンリルであっているか……?〉
〈妾はフェンリルじゃ。〉
〈フェンリルが人族と一緒にいるとは驚きだ。〉
〈妾は、村で大切な存在なのだ。〉
〈やはり、さすがフェンリルだな。〉
「ただの番犬だけどな。」
〈〈……………〉〉
〈ドラゴンよ、そのうちお主もそう言われるようになるからな!〉
「ドラゴンは、人化出来るからとても助かるよ!そういえば、名前ってないのか?」
〈我に名はない。〉
「名がないと、不便だから名を付けていいか?」
〈!!付けてくれるのか!頼む!〉
「そうだな~。ドラコスでどうだ?」
〈我は、今からドラコスとなのろう!〉
そこで、一匹の犬がもじもじしていた。
「フェンリルどうした?」
〈…妾…にも……つけ…て…いいぞ…。〉
「フェンリルも名前が欲しいのか?」
〈…うん。〉
「シルバーでどうだ?」
〈シルバー!妾は、シルバーだ!〉
こうして我は、村に住むようになった。
初めて、やすらぎの場所を得る事が出来た。
そして、何より得たものは美味しい料理だった。
〈トンカツおかわり!ソースはたっぷりでお願いする!!えっ?キャベツは、マヨネーズをつけると美味しい?じゃあ、お願いします!ウマーイ!〉
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