女子自動車部こんぺてぃちおーね!

多井矢成世

文字の大きさ
上 下
1 / 19

登場人物紹介

しおりを挟む
 するとモー・キンムーが、ラー・キンムーに向かって言った。

「あれは金になるぜ、兄貴」

 ラー・キンムーが口の端を上げてうなずいた。

「そうだな。いい土産になりそうだ」

 俺は、そんなふたりを鼻でせせら笑った。

「ふん、俺からこれを奪い取れると思っているのか?」

 ラー・キンムーが恍惚の表情を浮かべて言った。

「お前はつまらん小僧だが、ひとつだけ素晴らしいことがある。それは、お宝を持っているということだ!」

 ラー・キンムーが言うなり、凄まじい勢いで俺に襲いかかってきた。

 俺はすぐに蒼龍槍を後ろ手に引いて構え、間合いをはかる。

 ここだ!

 俺は力強く蒼龍槍を前に出す。

 と、ラー・キンムーが待っていたかのように上に向かって跳び上がった。

 蒼龍槍が空を切る。

 と、その後ろにモー・キンムーが!

 上からラー・キンムー、目の前にはモー・キンムーという二段構えの攻撃が迫る。

「死ねい!」

 ラー・キンムーが上から真っ直ぐ指を伸ばした手刀でもって、俺を指し貫こうと試みる。

 俺はすんでのところでそれを、ダッキングしてかわした。

 頭のすぐ上をラー・キンムーの手刀が通り過ぎる。

 だが目の前にはモー・キンムーが、俺の動きを予測していたかのように下段蹴りを繰り出していた。

 俺はその足を、蒼龍槍で薙ぎ払おうと渾身の力でもって横殴りした。

 すさまじい衝撃音と共に、モー・キンムーの右足が砕けた。

 モー・キンムーがたまらず絶叫した。

「おのれ!」

 弟の仇とばかりに、ラー・キンムーが踵を返して俺に襲い掛かる。

 俺はすぐさま立ち上がり、振り向きざまに蒼龍槍を振るった。

 再びの衝撃音が鳴り響く。

 蒼龍槍はラー・キンムーの脇腹にめり込み、肋骨数本を葬った。

 ラー・キンムーのけたたましい悲鳴が上がる。

 俺は肺腑の中の空気を一気に吐き出した。

「ふう~」

「やりおるの。さすがじゃ」

 俺の背から、バーン翁が語りかけていた。

 俺は振替し、肩をすくめてみせた。

「なあに、大したことじゃないさ」

 バーン翁が相好を崩した。

「そうかそうか。だがなかなかの相手だったとは思わないか?」

 これには俺もうなずくしかなかった。

「ああ。こいつら、Sランクだと思う」

 バーン翁がうなずいた。

「うむ。野良のSランクじゃな」

「Sランクってのは、数が少ないんじゃなかったのか?」

 俺が抗議するように言ったことで、バーン翁が笑みを見せた。

「わしのせいじゃないんだから、文句を言うな」

「でもさあ、三人もだぜ?たぶんSランクっていっても、ぎりぎり合格ってところだと思うけど、それにしてもだぜ」

「まあそれに関しては、わしも興味津々じゃ」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

女神と共に、相談を!

沢谷 暖日
青春
九月の初め頃。 私──古賀伊奈は、所属している部活動である『相談部』を廃部にすると担任から言い渡された。 部員は私一人、恋愛事の相談ばっかりをする部活、だからだそうだ。 まぁ。四月頃からそのことについて結構、担任とかから触れられていて(ry 重い足取りで部室へ向かうと、部室の前に人影を見つけた私は、その正体に驚愕する。 そこにいたのは、学校中で女神と謳われている少女──天崎心音だった。 『相談部』に何の用かと思えば、彼女は恋愛相談をしに来ていたのだった。 部活の危機と聞いた彼女は、相談部に入部してくれて、様々な恋愛についてのお悩み相談を共にしていくこととなる──

今更気付いてももう遅い。

ユウキ
恋愛
ある晴れた日、卒業の季節に集まる面々は、一様に暗く。 今更真相に気付いても、後悔してももう遅い。何もかも、取り戻せないのです。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

憧れの先輩とイケナイ状況に!?

暗黒神ゼブラ
恋愛
今日私は憧れの先輩とご飯を食べに行くことになっちゃった!?

アイドルグループの裏の顔 新人アイドルの洗礼

甲乙夫
恋愛
清純な新人アイドルが、先輩アイドルから、強引に性的な責めを受ける話です。

処理中です...