『不思議さんと僕』


 不可解なもの。
 おかしなもの、変なもの。
 不気味なもの。
 有り得ないもの。
 非科学的なもの。
 それの呼び方は、いろいろあるだろう。
 不可思議、ミステリー、というのもありだろう。
 そんないくつも考えられる呼び名の中から、僕は「不思議」という言葉を選んだ。
 その単語に、「さん」を付け、「不思議さん」。僕はそれをそう呼ぶ。
 なぜだかは、まったく分からない。
 それは、物であったり、人や生き物であったり、時には何かの現象であったり。いろんな形で、僕の前に現われる。
 何の規則性もなく、統一感もない。正体は不明で、最後まで全く意味不明な時もある。
 けれど、僕には正体不明で意味不明なものであっても、僕の前に現われるのだ。そこには何かの意味があるんだろう、と思う。
 だから、僕はそれを無視したりしない。
 現われれば、いつでも、僕は不思議さんに付き合うことにしている。

(──以上、第一話『雨の日、明日を探す少女』本文より抜粋)

(現在、本作品は「アルファポリス」と「小説家になろう」にて掲載しています。)
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