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第1章
第一印象は大事だ。
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「帰りますよ!マスター・フェルナンド」
フィオは伯父を連れ戻しに来たのだった。
お人好しで面倒な仕事をすぐ引き受けてしまうのに
本人は飽きて遊びに行ってしまうものだから
こうして毎度フィオが回収しに来るのがお決まりだ。
「これからこのウェザーちゃんと親睦を深め...イデデ」
フィオに耳を引っ張られ強制退場した。
「レオナルド、お邪魔しました」
「ウェザーさんにもよろしく言っておいてくださいね」
「うん。じゃあまたね、フィオ」
「おじさんもまた来るぞぉ~!」
「来なくていいです」
バタンとドアを閉めた。
終始モジモジしてるから
挨拶をする機会を失ったウェザー。
「うぅ...私第一印象最悪だぁ」
二人が帰ると両手を顔に当てて急に喋り出した。
少し泣いているようだった。
こんな時どうしたら良いのか解らない。
とりあえず話を聞いてみることにした。
「...だって喋れなかったし、目も合わせなかったし」
「それに着てるのは白ワンピだし...」
白ワンピだし?
あ、着てる服の事か。
何かのアイテム名かと思った。
嗚咽混じりでちょっと混乱している様子だ。
一度涙を拭うと、また黙ってしまった...
俺はぬるくなったお湯を沸かし直して
もう一杯ドラゴンティーを入れた。
ウェザーはそれを一気に飲み干すと
少し落ち着いて俺に喋った。
フィオはレベルが高いから少し大人びた姿で
魔装束...と言っても給仕服のような見た目だったが
ちゃんとしたアイテムを纏った彼女は格好良くて。
自分はレベル1相当だし、白のワンピースだけなんて
恥ずかしくて椅子から立ち上がる事も出来なかった。
おまけに人間のお菓子まで作れるなんて...
とのことだった。
本当はアイテムでレベルアップさせたり
衣装とかも手持ちがあればすぐに着せるのだが
ビギナーがラックするとこうなる。
とても申し訳ない気がした。
召喚した後に憮然とした態度だったのは
俺のレベルでそれが判ったからだろう。
「そうだ、これを着けてあげるよ」
最初の召喚で当てたのを思い出した。
“大きなリボン”を取り出し彼女の髪に結ぶ。
ブロンドの髪にキナリの色がよく似合っていた。
フィオは伯父を連れ戻しに来たのだった。
お人好しで面倒な仕事をすぐ引き受けてしまうのに
本人は飽きて遊びに行ってしまうものだから
こうして毎度フィオが回収しに来るのがお決まりだ。
「これからこのウェザーちゃんと親睦を深め...イデデ」
フィオに耳を引っ張られ強制退場した。
「レオナルド、お邪魔しました」
「ウェザーさんにもよろしく言っておいてくださいね」
「うん。じゃあまたね、フィオ」
「おじさんもまた来るぞぉ~!」
「来なくていいです」
バタンとドアを閉めた。
終始モジモジしてるから
挨拶をする機会を失ったウェザー。
「うぅ...私第一印象最悪だぁ」
二人が帰ると両手を顔に当てて急に喋り出した。
少し泣いているようだった。
こんな時どうしたら良いのか解らない。
とりあえず話を聞いてみることにした。
「...だって喋れなかったし、目も合わせなかったし」
「それに着てるのは白ワンピだし...」
白ワンピだし?
あ、着てる服の事か。
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嗚咽混じりでちょっと混乱している様子だ。
一度涙を拭うと、また黙ってしまった...
俺はぬるくなったお湯を沸かし直して
もう一杯ドラゴンティーを入れた。
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少し落ち着いて俺に喋った。
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とのことだった。
本当はアイテムでレベルアップさせたり
衣装とかも手持ちがあればすぐに着せるのだが
ビギナーがラックするとこうなる。
とても申し訳ない気がした。
召喚した後に憮然とした態度だったのは
俺のレベルでそれが判ったからだろう。
「そうだ、これを着けてあげるよ」
最初の召喚で当てたのを思い出した。
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