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第6章

クチバシは丈夫にできている。

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♢宝石の森: 南採掘場

皆我れ先にと場所取りをしていて
若干出遅れた気がする。

やはりトレジャーハンター的な人が殆どで
採掘の技術や嗅覚が良い。

「あそこがいいと思う!」
「どうかな?誰もいないけれど...」

一ヶ所硬そうな岩盤があって
少しだけ掘られた跡があるけれど
誰も場所取りせずにポツンと空いていた。

「ビリビリ感じるよー?」

彼女が言うなら間違いない。
ここには何かが埋まっているようだ。

さっそく採掘を開始。
ロングリフォンもストレス解消に連れてきたから
大会が終わるまで自由にさせておく。

「遠くへ行き過ぎるなよ」

ピピッ...ピピッ...ヒュウーン
上空で楽しそうに弧を描いて飛んでいる。

「さあ、始めるよ。はい手袋とツルハシね」
「頑張るー!」


カンカンカン...カンカン.....

もう一時間も掘っているけれど宝石はゼロ。
女神(精霊)の嗅覚は間違っていたのか?

「あるよー。絶対にあるって」

その言葉を信じてさらに一時間。
岩盤の色が白く変わってきたような気がする。
カンカンカン...ん?

「それそれー!ビリビリするやつ」
「小さいけど宝石だよな」

彼女曰く空気が少しビリビリしていたらしい。
多分この宝石は魔石ではないものの
微かに残った地脈の魔力を帯びているのだろう。



ピピッ...ピピッ...(様子を見ている)
「おかえり。もうポッケに戻る?」

散歩から帰ってきたロングリフォン。
岩の上で毛繕いを始めたから
そのまま出しておくことにした。

その後も宝石はいくつか出てきたけれど
他の人達と比べるとまだまだ。
それにひたすら掘るだけで飽きてきたから
ちょっと趣向をを変えてみる。

「じゃあカレン、たくさん採れた方が勝ちだよ」
「勝った方が賢者の石を使うことにしよう」

とてもフェアな条件。
俺もカレンもレベルアップしたいけれど
貰える賢者の石は一つだけ。
まあ、入賞出来ればの話ではあるが。


ピピッ...ピピッ...カカン

グリフォンが俺達の真似をして岩盤をつつく。
なんだか可愛い。

ピピッ...カカン...カカン.....
スカカカカカカカカカカカン!!!

「なんだアレ?」「凄えな...」

けたたましい音に他の参加者も手を止めた。
恐ろしいほどの高速で岩盤にクチバシを叩きつける。

スカカカカカカカカカカカン!!!
.....ピピッ?

「そうだよ、それをもっと見つけて!」

キラキラと光る宝石を咥えていた。
どうやら採掘を手伝ってくれるようだ。

ここは飼い主マスターとして負けていられない。
威厳を見せるには良いチャンス。
俺とカレンも負けじと掘り進めていく。



そして時刻はもう五時。
終了の合図とともに一斉に手を止める。

結果は六位入賞。
最初の遅れで優勝には程遠かったけれど
賢者の石は貰うことができた。

「負けちゃったねー」「うん...仕方ないか」
「ピピッ...オ...オハヨウ...ゴ...」

しかし入賞に多大な貢献をしたのはアイツ。
俺でもカレンでもないが、約束は約束。

「はい、お前の石だから使って」

ピピッ...カン.....
シュウウウン...グワーン.....バッサバッサ

人が一人乗れる大きさまで急成長した。
(さすが賢者の小石とは威力が違う)

それを見てちょっと残念だったけれど
俺達の経験値も結構貰えたから大満足の結果だ。
とても美味しいイベントであった。


今夜は運営が用意した宿に一泊。
他の冒険者やトレジャーハンター達と話をしたり
バイキング形式の夕飯を楽しんだが

「お風呂でたよー!あれ、レオ?」
「・・・・・・・」

部屋に戻ると連勤と睡眠不足のせいもあり
カレンが風呂から上がるのを待つ間に
俺は倒れるように眠ってしまった。
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