御曹司な元カレの甘ったるいコマンドなんて受けたくないっ！

本編

29-本番 ※

「あ、っ、イく……イく……っ！　ーーーッッ……、！」

イく時に、蓮と目があった。
見せつけるような蓮の強い眼差しに、ぶわっと体がさらに熱くなって絶頂感が増した。

膝がガクガク揺れて、絶頂する。
コマンドがあるから、イってる時だって蓮から目を離すことは許されない。
少し口を開き、俺の吐き出した精液を見せつけて、そしてそれを全部飲み干す。

「や……ぁあ」

それも全て見届けなければいけないのだ。

俺の出したものを飲まれてしまうという恥ずかしさと、飲んでくれたという嬉しさでいっぱいになる。

俺が奉仕されているはずなのに、蓮に支配されている感覚を味わう。
俺の快感も、絶頂も蓮がコントロールしている。

「脚、持ち上げて」

そう言われて、自分の両足を手で抱えた。

「言うこと聞けてえらいな。いい子にはご褒美だ」

蓮は俺の尻を持ち上げて窄まりをしっかりと覗き込む。
そして、あろうことかそこに口付けた。

「な、なにしてっ……！？」

ぬろっ、と舌が窄まりの奥へと侵入してきた。

「あぁ……っ？！」

ちゅく、にゅぷぅ、と生暖かい蓮の舌が奥まで入り込み、縦横無尽に動き回る。

「やだ蓮……っ！　きたないから……や、ぁ、っふぁ？」

内側を舌で押されて、思わず大きな声が出てしまう。

「も、やらぁ……だめ……ねが…………ぅあ……ふぁ……ッ、……ん……ンッ？……っ！」

蓮は夢中で俺の後孔に吸い付く。
ぬるぬるとした舌は、前に味わった指の感覚とは違う。

「ンンッ？……や、……く……ぁあ、も、……ンッ、ンッ……んひぃ……」

指より柔らかい感触がして、変な感じだ。
それでも、舌先が内側に進んでくると、ぞくぞくとした高揚感がある。
内側が潤んで緩み、さらなる侵入を許してしまう。

蓮は舌を入れたまま、指も同時に挿入してきた。

「れん……っ、ゆび……やあ……ッ」

バラバラに動く舌と指。
違う生き物のように俺の内側で暴れて、俺を翻弄する。

「ちゃんと解してからじゃないと、入らない」
「やだ……て、いって……ンッ、ぁあ、あッ」
「本当にいやなら、セーフワードを言えよ」

蓮はいつもよりも、目がギラギラとしている。
なんだかすごく意地悪だ。

でもセーフワードは言えない。
だって本当はやめて欲しくない。

「はむ……ん、んん、ん……っ、んんぅっ？」

指で中を解されながら、深いキスをされた。
そして蓮の唇は首筋にいき、さらにその下へと移動する。

「ち、ぐひ……すうな……っあ……あ……ぁあ……ん」

俺の体を貪っていく。

「かわいい」
「ひ、……ぁ、ァア……ッ、は、んん……」

蓮の目には、俺はどんなふうに映っているのだろう。

「あ、あ……すうな……てぇッ……あ、ぁあっ？……ッ！　～ッ……！」

セーフワードを言えない理由も、見透かされているのかもしれない。

「本当は好きだろ？」
「や……ふ、ぁあぁ、っ」

ぢゅうぅっ、と強く吸いつかれて背筋が弓のようにしなる。

「なぁ？　『Say言えよ』」
「ん……すきぃ」

言えたご褒美に、優しく乳首を舌で転がされて、緩急をつけられた。

「ふ……ッ、ぁ、あ、ぁぁ……」

中を広げていた指が、ずりゅぅ、と音を立てて抜かれた。

蓮の指には俺の愛液がたっぷりと絡みついていて、手首まで滴り落ちる。

「……っ」

それを見せつけられて、俺は恥ずかしくなった。

蓮がベッドの上で膝立ちになり、ゴムを自身に付けた。

足を持ち上げられて、向かい合いながら、ぬちっ、と後孔に蓮のものがあてがわれた。
ずずず、とゆっくりと挿入されていく。

ぎちぎちと内側から広げられていき、中は蓮でいっぱいになっていった。

内臓が押し上げられていく感覚が苦しくも、達成感が生まれる。
奥まで押し込まれて、蓮の動きが止まり、少しだけで苦しそうな蓮が息を吐く。汗ばんだ顔がセクシーで色気で溢れていた。

しばらく動かずに馴染ませてくれて、蓮の大きさを感じていた。

「っ……もう、動いていいか？」
「っ、まだ……ゃ」

キツそうな顔の蓮が、俺の上にいる。
我慢できなかったのか、蓮はゆさゆさと体をゆすり始めてしまった。

「は、ん、んっ……ぁあ、あっ……ンッ」

内側から押し上げられる感覚についていけない。

少しだけ痛みがあるが、それだけじゃない。
甘苦しい快感でいっぱいになってくる。

「ヒカル……ッ」

悩ましい声で俺の名を何度も呼ぶ。
嬉しくなって俺も蓮の名前を呼んだ。

「れんッ……ぁ、あ」

今だけは俺の蓮で、俺のDomだ。
動きはだんだんと激しくなっていき、パンパンと肌がぶつかる音が大きく聞こえてくるほどに律動を繰り返す。

「れん……おれ、もう……」

絶頂が近づいてきていることを蓮に伝えた。
ぎゅう、と自ら蓮の体にしがみついた。
蓮も俺の体を抱き返す。
筋肉質の腕や、盛り上がった肩に俺は興奮した。

さらに密着してピストンが激しく繰り返されていく。

中の前立腺の部分を亀頭で突かれて喘ぎ声を上げた。

「あ、あ、っ、あ、……んん……ふ、ぁあ」
「ヒカル『Cumイけ』」
「ーーー～～ッ……！！」

コマンドによって絶頂と快感の入り混じった幸福感を感じて盛大に欲を吐き出した。

でた後も、しばらくビクビクと陰茎が震えて余韻がおさまらない。

蓮はそんな俺から離れて、ベッドから降りていった。

「れん……？」

まだ離れて欲しくなくて、甘えた声になってしまった。

「……すまない、俺はなんてことを」
「え……？」
「最後までするなんて、なんてバカだったんだ」
「ちょ、……待てよ。俺が、いいって言ったんだ」

いまさら何を言い出すかと思えば。

「嫌がるお前を、無理矢理抱いた。俺は最低だ……」

蓮は床に脱ぎ捨てていた服を着はじめていた。

「れ、蓮、どこいくんだよ」
「悪い、ヒカルは泊まっていけ。俺は、……仕事が残ってるから」

仕事なんて言い訳だってことは明らかだった。

「蓮っ！」
「ごめんな。最後まで我慢して受け入れてくれて、ありがとう」

苦々しく笑い、蓮は一人部屋を出ていく。

バタン、と無情にもドアが閉められた。

さっきまでの幸福感はもうすでに消え去って、残ったのは無様にベッドの上にいる裸の俺だけだった。