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本編
19-プレイ
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サブドロップしたその日は、絶対安静!ということで俺はベッドに戻された。
病院に戻されて強制治療を受けたくなかった俺は、大人しく蓮の言うことに従った。
一度従うと、みるみるうちに、体調は回復していった。
蓮は、常に俺のそばにいてくれて、かいがいしく俺の世話を焼く。
ちょっと喉が乾いたと思ったらミネラルウォーターを用意してくれて、小腹が空いたと思ったらなんか高級そうなゼリーを食べさせてくれた。
もちろん、コマンド付きだった。
「ほら、『あーん』だぞ」
「く……っ」
俺は恥ずかしくて、顔が赤くなりながらも口を開けた。
体調管理のためだ!
この屈辱に耐えろ、俺!
(くそ、この高級ゼリーうまいな……)
いい年した大人が、これまたいい大人(しかもイケメン)にあーんされて喜んでいるなんて、恥ずかしすぎる。
しかも、こっちが照れてしまうくらい近い距離にイケメン顔が来る。
このホテルの経営がどれだけ忙しいのか俺は知らない。
けど、俺のために時間を作って、お世話してくれた。
時々秘書っぽい人がホテルの部屋のドア前まで来て仕事の話をしているようだった。
トイレに立った時に、チラリとドアと蓮の立っている隙間から秘書さんの顔が見えた。めちゃくちゃげっそりしていた……。
大丈夫なのかとこちらの方が心配になるくらい。
「蓮、お前、仕事は大丈夫なのかよ」
「大丈夫だ。なんとか在宅ワークとオンラインミーティングで対応してもらっている」
「そんな無理しなくても……俺、1人でもいられるし」
子どもじゃないんだから。
1人でも平気だ。
「それに秘書の人、なんか顔色悪そうだったぞ」
「サブドロップで死にそうなほどじゃないさ」
うぐっ、嫌味かよ。
「ヒカル『Come』」
「……ん」
蓮がソファに座っているその太ももを叩いた。
ここに座れってことだ。
おずおずと歩み寄り、気持ち控えめに蓮の膝に座った。
「大分顔色が良くなったな」
蓮の指が俺の頬を掠める。
俺は自分からその指に頬をよせた。
「ほんと?」
これで仕事にいける。
ピクリ、と蓮の手が止まったけど、ゆっくりと俺の頬を撫でてくれた。
ほっと気持ちがあったかくなる。
どうして蓮に触れられるとこんなにも気持ちがいいんだろう。
「俺的には、明日も仕事を休んで欲しいが……」
「それはむり」
明日には絶対出勤しないと。
今度は同期が倒れてしまうかもしれない。過労で。
「だったら、約束してくれ。毎日ここに来て俺とプレイするって」
「毎日……」
そんなに蓮と会わなきゃならないのか。
毎回のプレイで、蓮に褒められて嬉しくなる自分を想像すると、なんとも言い難い気持ちにさせられる。
コマンドを聞いて、褒められて、気持ちよくなって。
幼稚な感じがして、自分が気色悪く思えてしまう。
「もしこの部屋に来ないのなら、職場まで迎えに行くからな」
「や、やめろよ! わかったから! ちゃんと毎日ここに通うよ」
こんな上等なスーツを着た芸能人みたいな男性が、毎日会社にまで迎えに来られた……。
騒ぎになるどころではない。
会社中の注目の的となるだろう。みんなゴシップネタが大好きだから。忙しすぎてか知らないが、うちの社員はみんな男女問わず噂話ばかりしている。
誰と誰が付き合っていて、どこそこの課長と平社員が不倫してるとか。
噂に聞く話は本当にどうでもいい話ばかりだ。
「残業がある日は無理だぞ」
「そういう日は言ってくれ。この部屋は宿泊もできるから、どれだけ遅くなっても構わない」
「う、……本当に毎日プレイする気なんだな」
「そうしないと限界に来てるんだ、お前は。もっと自分のことを考えろ」
怖い顔で凄まれた。
美形が睨むとめちゃ怖い。
「わかってるけど……」
「仕事に対して責任感があるのはヒカルのいいところだと思うが、それで自分を後回しにするな」
「だけどさ……」
周りに認めてもらうには、努力が必要だ。
「自分を大事にしない心も体もボロボロのやつが、しっかり仕事をこなせるか?」
「っ、……それは」
もう俺は言い返せなかった。
言い訳もできない。
だって結局俺はサブドロップで倒れて、職場にめちゃくちゃ迷惑をかけちゃった。
特に同期には申し訳ないことをした。
あの書類の山を押し付けてしまったことになる。
はぁ。
明日、仕事に絶対に行かなきゃいけないのに、行きたくない。
でも行かなきゃ。
同期に謝り倒そう。
その後、夜は蓮がずっと抱きしめてくれて添い寝状態。
蓮からめちゃくちゃいい匂いがして、なんだか変な気分になりそうだった。
心臓がバクバクと激しくうるさくてねられないと思った。けど『Sleep』と言われて背中をずっとぽんぽんしてもらったら秒で寝れた。
母さんにも、こんなに甘やかされたことなかったかもしれない。
甘やかされるって、いいかもな。
病院に戻されて強制治療を受けたくなかった俺は、大人しく蓮の言うことに従った。
一度従うと、みるみるうちに、体調は回復していった。
蓮は、常に俺のそばにいてくれて、かいがいしく俺の世話を焼く。
ちょっと喉が乾いたと思ったらミネラルウォーターを用意してくれて、小腹が空いたと思ったらなんか高級そうなゼリーを食べさせてくれた。
もちろん、コマンド付きだった。
「ほら、『あーん』だぞ」
「く……っ」
俺は恥ずかしくて、顔が赤くなりながらも口を開けた。
体調管理のためだ!
この屈辱に耐えろ、俺!
(くそ、この高級ゼリーうまいな……)
いい年した大人が、これまたいい大人(しかもイケメン)にあーんされて喜んでいるなんて、恥ずかしすぎる。
しかも、こっちが照れてしまうくらい近い距離にイケメン顔が来る。
このホテルの経営がどれだけ忙しいのか俺は知らない。
けど、俺のために時間を作って、お世話してくれた。
時々秘書っぽい人がホテルの部屋のドア前まで来て仕事の話をしているようだった。
トイレに立った時に、チラリとドアと蓮の立っている隙間から秘書さんの顔が見えた。めちゃくちゃげっそりしていた……。
大丈夫なのかとこちらの方が心配になるくらい。
「蓮、お前、仕事は大丈夫なのかよ」
「大丈夫だ。なんとか在宅ワークとオンラインミーティングで対応してもらっている」
「そんな無理しなくても……俺、1人でもいられるし」
子どもじゃないんだから。
1人でも平気だ。
「それに秘書の人、なんか顔色悪そうだったぞ」
「サブドロップで死にそうなほどじゃないさ」
うぐっ、嫌味かよ。
「ヒカル『Come』」
「……ん」
蓮がソファに座っているその太ももを叩いた。
ここに座れってことだ。
おずおずと歩み寄り、気持ち控えめに蓮の膝に座った。
「大分顔色が良くなったな」
蓮の指が俺の頬を掠める。
俺は自分からその指に頬をよせた。
「ほんと?」
これで仕事にいける。
ピクリ、と蓮の手が止まったけど、ゆっくりと俺の頬を撫でてくれた。
ほっと気持ちがあったかくなる。
どうして蓮に触れられるとこんなにも気持ちがいいんだろう。
「俺的には、明日も仕事を休んで欲しいが……」
「それはむり」
明日には絶対出勤しないと。
今度は同期が倒れてしまうかもしれない。過労で。
「だったら、約束してくれ。毎日ここに来て俺とプレイするって」
「毎日……」
そんなに蓮と会わなきゃならないのか。
毎回のプレイで、蓮に褒められて嬉しくなる自分を想像すると、なんとも言い難い気持ちにさせられる。
コマンドを聞いて、褒められて、気持ちよくなって。
幼稚な感じがして、自分が気色悪く思えてしまう。
「もしこの部屋に来ないのなら、職場まで迎えに行くからな」
「や、やめろよ! わかったから! ちゃんと毎日ここに通うよ」
こんな上等なスーツを着た芸能人みたいな男性が、毎日会社にまで迎えに来られた……。
騒ぎになるどころではない。
会社中の注目の的となるだろう。みんなゴシップネタが大好きだから。忙しすぎてか知らないが、うちの社員はみんな男女問わず噂話ばかりしている。
誰と誰が付き合っていて、どこそこの課長と平社員が不倫してるとか。
噂に聞く話は本当にどうでもいい話ばかりだ。
「残業がある日は無理だぞ」
「そういう日は言ってくれ。この部屋は宿泊もできるから、どれだけ遅くなっても構わない」
「う、……本当に毎日プレイする気なんだな」
「そうしないと限界に来てるんだ、お前は。もっと自分のことを考えろ」
怖い顔で凄まれた。
美形が睨むとめちゃ怖い。
「わかってるけど……」
「仕事に対して責任感があるのはヒカルのいいところだと思うが、それで自分を後回しにするな」
「だけどさ……」
周りに認めてもらうには、努力が必要だ。
「自分を大事にしない心も体もボロボロのやつが、しっかり仕事をこなせるか?」
「っ、……それは」
もう俺は言い返せなかった。
言い訳もできない。
だって結局俺はサブドロップで倒れて、職場にめちゃくちゃ迷惑をかけちゃった。
特に同期には申し訳ないことをした。
あの書類の山を押し付けてしまったことになる。
はぁ。
明日、仕事に絶対に行かなきゃいけないのに、行きたくない。
でも行かなきゃ。
同期に謝り倒そう。
その後、夜は蓮がずっと抱きしめてくれて添い寝状態。
蓮からめちゃくちゃいい匂いがして、なんだか変な気分になりそうだった。
心臓がバクバクと激しくうるさくてねられないと思った。けど『Sleep』と言われて背中をずっとぽんぽんしてもらったら秒で寝れた。
母さんにも、こんなに甘やかされたことなかったかもしれない。
甘やかされるって、いいかもな。
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