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3章: 新しい聖女
魔晶石探し
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「こんな奴と契約するのは止めよう! アイツ、本気で君を売り飛ばすつもりだぜ?」
「本当に、その条件でいいのですか?」
「え? それはむしろこっちが聞きたいことだけど」
「もし魔晶石がなかったら、私が働けばいいんですね? だったらそれでお願いします」
「ちょっと! ちょっと! いいのかよ! 本当にそれで!」
「私は構いませんが? それに、ヤルスさんは働く必要はないのですよ」
「いや! 働くって言ってもな! コイツのことだからまともな商売を紹介しないぜ! 絶対にいかがわしい店とかそういう場所に決まっている」
「そんなことないわよ」
「お前は黙っていろ! とにかく、考え直すなら今のうちだ。このままじゃアンタが犠牲になる」
「私一人の犠牲を覚悟して、村の皆が救われるなら、私はそれで充分です」
「何だか、君の方がよほど聖女様に思えてきたよ」
「そうだね。感動して涙が出てきちゃったよ」
「血も涙もないお前が言うな。この人買いめ」
ヤルスが憎むように呟く。
「よろしくお願いします。えっと」
「エリーチェでいいよ」
「やれやれ。まさかこんな展開になるとは。これで魔晶石が見つけられなかったら目も当てられないぜ」
「大丈夫です。魔晶石は絶対にあります」
「俺ならともかく、君がどうしてそこまでの自信を持つ?」
「なんとなくわかるんです。私、勘がいいですから」
「それなら善は急げだ。レッツ・ゴー!!」
エリーチェが二人の背中を押した。その遥か先の山には魔晶石がある。セシルはそのことを勘ではなく、魔力の微弱な感知によって確信していたのだった。
エリーチェを伴って魔晶石があるという山にたどり着くこと数時間。
三人は眼前の光景を前に佇んでいた。
「ここに、魔晶石が?」
「魔晶石探し、決して楽じゃないとは予想していたけど・・・・・・」
見渡す限り転がっている大小様々な石の数々。あまりにそれが多すぎるせいで周囲には灌木の生える隙間すら残っていない。
「この中から魔晶石を探せって言うのかよ!!」
石ばかりの荒野でヤルスが絶望の叫びをあげた。
「ふぅ、どうやら少し歩き過ぎたようです」
セシルの方は慣れない山道を歩いたせいで足が完全に疲労していた。考えてみれば、人生で一番歩いた距離は神殿の端から端までが最長だったかもしれない。ましてや村を出ること数時間歩き続け、ここは普通の山より遥かに歩きにくい地形だ。
「で、どうなんだ? 魔導士さんよ。この中に魔晶石はあるのか?」
「・・・・・・」
エリーチェも無造作に転がった石の山を見て唖然としていた。
「魔導士さ~ん?」
ヤルスがわざとらしくエリーチェの耳元で呼びかける。エリーチェは初めて我に返った。
「え? ああ、まだこの辺じゃないかな」
「ふ~~ん」
「な、何よ? その白々しい目は」
「いや、魔導士ならもっと楽に見つけられるのかと思ってさ」
「そんなことできるなら苦労しないわよ」
「で、どうやってここから魔晶石を見つけるつもりなんだ?」
「ここは駄目だから・・・・・・もっと上に行かないと」
「え!? まだ歩くんですか?」
セシルが悲壮な顔をする。
「どうする? 君はここで休むか?」
「いえ・・・・・・元はと言えば私が言い出したことですから」
「そうか。無理はするなよ、で、どこまで歩かせるつもりなんだ?」
「ちょっと、その子とアタシとで随分と態度が違うんじゃないの?」
「当然だ。俺とお前は雇用関係なんだからな」
「じゃあ、その子とはどういう関係よ?」
「な! それはな・・・・・・別に知り合いの家でお世話になっているってだけさ」
「あ、そうなの」
「いいからお前は魔晶石を探していろ」
こうして山頂を目指す三人は一縷の期待を抱いていたのだが。
「あーーーー!! 全然、埒があかないじゃないか!!」
業を煮やしたヤルスが手に取っていた石を谷に投げ捨てた。石は岩の上を跳ねながら麓へ転がっていく。
「本当に、その条件でいいのですか?」
「え? それはむしろこっちが聞きたいことだけど」
「もし魔晶石がなかったら、私が働けばいいんですね? だったらそれでお願いします」
「ちょっと! ちょっと! いいのかよ! 本当にそれで!」
「私は構いませんが? それに、ヤルスさんは働く必要はないのですよ」
「いや! 働くって言ってもな! コイツのことだからまともな商売を紹介しないぜ! 絶対にいかがわしい店とかそういう場所に決まっている」
「そんなことないわよ」
「お前は黙っていろ! とにかく、考え直すなら今のうちだ。このままじゃアンタが犠牲になる」
「私一人の犠牲を覚悟して、村の皆が救われるなら、私はそれで充分です」
「何だか、君の方がよほど聖女様に思えてきたよ」
「そうだね。感動して涙が出てきちゃったよ」
「血も涙もないお前が言うな。この人買いめ」
ヤルスが憎むように呟く。
「よろしくお願いします。えっと」
「エリーチェでいいよ」
「やれやれ。まさかこんな展開になるとは。これで魔晶石が見つけられなかったら目も当てられないぜ」
「大丈夫です。魔晶石は絶対にあります」
「俺ならともかく、君がどうしてそこまでの自信を持つ?」
「なんとなくわかるんです。私、勘がいいですから」
「それなら善は急げだ。レッツ・ゴー!!」
エリーチェが二人の背中を押した。その遥か先の山には魔晶石がある。セシルはそのことを勘ではなく、魔力の微弱な感知によって確信していたのだった。
エリーチェを伴って魔晶石があるという山にたどり着くこと数時間。
三人は眼前の光景を前に佇んでいた。
「ここに、魔晶石が?」
「魔晶石探し、決して楽じゃないとは予想していたけど・・・・・・」
見渡す限り転がっている大小様々な石の数々。あまりにそれが多すぎるせいで周囲には灌木の生える隙間すら残っていない。
「この中から魔晶石を探せって言うのかよ!!」
石ばかりの荒野でヤルスが絶望の叫びをあげた。
「ふぅ、どうやら少し歩き過ぎたようです」
セシルの方は慣れない山道を歩いたせいで足が完全に疲労していた。考えてみれば、人生で一番歩いた距離は神殿の端から端までが最長だったかもしれない。ましてや村を出ること数時間歩き続け、ここは普通の山より遥かに歩きにくい地形だ。
「で、どうなんだ? 魔導士さんよ。この中に魔晶石はあるのか?」
「・・・・・・」
エリーチェも無造作に転がった石の山を見て唖然としていた。
「魔導士さ~ん?」
ヤルスがわざとらしくエリーチェの耳元で呼びかける。エリーチェは初めて我に返った。
「え? ああ、まだこの辺じゃないかな」
「ふ~~ん」
「な、何よ? その白々しい目は」
「いや、魔導士ならもっと楽に見つけられるのかと思ってさ」
「そんなことできるなら苦労しないわよ」
「で、どうやってここから魔晶石を見つけるつもりなんだ?」
「ここは駄目だから・・・・・・もっと上に行かないと」
「え!? まだ歩くんですか?」
セシルが悲壮な顔をする。
「どうする? 君はここで休むか?」
「いえ・・・・・・元はと言えば私が言い出したことですから」
「そうか。無理はするなよ、で、どこまで歩かせるつもりなんだ?」
「ちょっと、その子とアタシとで随分と態度が違うんじゃないの?」
「当然だ。俺とお前は雇用関係なんだからな」
「じゃあ、その子とはどういう関係よ?」
「な! それはな・・・・・・別に知り合いの家でお世話になっているってだけさ」
「あ、そうなの」
「いいからお前は魔晶石を探していろ」
こうして山頂を目指す三人は一縷の期待を抱いていたのだが。
「あーーーー!! 全然、埒があかないじゃないか!!」
業を煮やしたヤルスが手に取っていた石を谷に投げ捨てた。石は岩の上を跳ねながら麓へ転がっていく。
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