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3章: 新しい聖女

協力者

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「何だよ、アンタ。この村にまだ居たのか?」
「そっけないね。アタシは金の匂いがする場所ならばどこにでも行くのさ」
「だったらこの村から出て行った方がいいぜ。自分達の命代さえ払える状況じゃないんだ」
 ヤルスが皮肉っぽくあしらうが、魔導士の女は微笑を崩さない。
「今は、の話だよね? それこそ魔晶石があれば、兵役逃れの金貨はおろか、お釣りもたんまり出るんじゃないの?」
「あの、あなたには魔晶石を鑑定する能力は?」
 セシルが口を挟むと魔導士の女は得意げにウィンクする。
「もちろんバッチリさ! これでも優秀な魔導士だからさ」
「黙れ、畑泥棒。君もこいつの口車に乗せられちゃだめだ。街で聞いたんだが、優秀な魔導士ってのは、貴族に雇われるか、ギルドのようなものを作って幹部に就任するとか、実力相応のポストに収まっているものだぜ。根無し草みたいに放浪の旅を続けて、貧農に畑泥棒の仕事を代行する奴なんて小物中の小物に決まっている。大方、見習い修行についていけなくて破門されたクチだろう」
「ひどい言いようだね。まあ、魔導士の世界のことはよくわかっているみたいだけど。でもアンタ達に、魔晶石を見定める眼力はあるのかい?」
「・・・・・・ありません」
 セシルが答えると魔導士の女はいよいよ自信を漲らせた。
「だったら、私に協力をお願いする以外に選択肢はないわけだね。特にそこのアンタ、もう少しへりくだってもいいんじゃないかい?」
「けっ・・・・・・そんなことより、腕は確かなんだろうな?」
「保証するよ」
「では、お願いしてもいいですか?」
「おい! 本当にこんな強欲女と契約を?」
「この方は魔晶石採取に絶対に必要です」
「その前に大事な話があるよね? 報酬」
「いきなり図々しい奴だな」
 ヤルスが眉を顰める。
「その件ですが、今の私達にはお金がありません。ですが、魔晶石さえ手に入ればそれを対価にもできます。それまでの後払いということでどうでしょうか?」
「うん、後払いはいいけどさ・・・・・・魔晶石の話ってのも眉唾物だよね?」
「つまり、ガセネタだった場合の担保をご所望と?」
「そういうことだね。これだけの危険を伴う案件だから」
「でも、私達にはお支払いできるものが・・・・・・あの?」
 魔導士の女はセシルの顔をまじまじと眺める。
「えっと、何か?」
「アンタ、結構かわいい顔しているよね?」
「ええ・・・・・・でもそれと何の関係が?」
「もし、この話が嘘だったら、そうだね。知り合いの店でタダ働きしてもらおうかな!」
「ハァ!? ふざけんなよ! 一日付き合わせたくらいで、どうしてこっちが奴隷みたいに働かされなきゃならないんだ!」
「あ、別に野郎の方はお断りだからね。嫌なら話はなかったことにするけど? お姉さんはどうするの?」
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